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やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編
第百十三話 チョチョイのチョイ
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ソフィアはジト目で精霊王を見ている。
ーー何じゃ? そんな目で見て? はよう浄化せんか?
この石をどうやって浄化しろと? 説明もやり方も教えて貰えずに出来ますか? シルフィやウンディーネの方がよっぽど丁寧に教えてくれますよ? っと声を大にして言いたいが、ソフィアはぐっとその気持ちを飲み込んだ。
やってやりますよ。チョチョイのチョイなんでしょ?
ソフィアは禍々しい気を放つ石に向かって歩いて行く。
「……石に近寄ったは良いけどどうやって浄化する? 水を出した時は水よ出てーっで必死にお願いした。じゃあ石よ綺麗になぁれ? ってお願いするとか?」
ソフィアが一人石の近くでぶつぶつと独り言を呟いていると。
ーー何をもたもたしておる? チョチョイのチョイじゃ。
精霊王がヤジを飛ばしてくる。
「むうっ……分かってますよ? 残念王めっ!」
よし……あんまり触りたくないけど、やるよ? 早くしないと残念王様がうるさいしね。
ソフィアは石をそっと触り
「石よ浄化して綺麗になって! そう……それはもうピカピカのピッカピカに! お願い」
ソフィアがそう叫ぶと石に触れた手から眩い光の粒子が流れ出て、キラキラと石を覆っていく。
数分もすると……禍々しい黒さだった石は、真珠の様に白くなり宝石の様にキラキラ輝き出した。
「おおっ……出来た?」
次の瞬間石の周りから水が溢れてきた。
「えっ? 水?」
ーーソフィア! 早くこっちに走ってくるのじゃ! 泉が元の姿に戻っておる!
「えええっ? ちょっと待って? あっ足がっ水に浸かっ?!」
ーー急げソフィア!
「ちょっ……」
そう言われても、水に足がとられて早く走れないっ。
ーーったく。仕方ないのう。
「えっ? わっ?」
精霊王が指を鳴らすと、ソフィアはふわりと宙に浮かびそのままノームの背中へと、ふわふわ飛んできた。
ソフィアは思った。
初めからそうしてくれたら足が濡れなかったのにと。
少し口を膨らませながら、ソフィアは風魔法で濡れた足を乾かした。
ーー何をそんな膨れっつらをして、助けてやったんじゃぞ。我は? ありがとうであろ?
精霊王はソフィアにありがとうを要求する。
「はいはい……ありがとうございました」
ソフィアは目を細め棒読みでお礼を言った。
ーーはぁ……精霊王様。自分でお礼を要求するって……ないわぁ。
ノームが少し呆れた様にそんな二人のやり取りを見ていた。
ーーあっそうそう、ソフィア? あの石は持ってかえらないの?
ノームが浄化した石の事を聞いてきた。
「あの石? 浄化した石のこと?」
ーーそうそう! ソフィアはね浄化だけじゃなくて、なんと石をオリハルコンに変えたみたいだよ? オリハルコンは中々ない石だから貴重だよー! どうやったの?
ノームが少し不思議そうに頭を傾げる。
「えっ? オリハルコン?」
ちょっと待って? オリハルコンって言ったよね? オリハルコンはすっごい貴重な魔鉱石で、手のひらサイズでも金貨数百枚って学校で習った。
親指の爪程の量で、魔道具を作れるって。
普通の魔鉱石なら最低でも手のひらサイズはないと魔道具が作れない。それ程にオリハルコンは貴重。
それが……ええとあのサイズ? あの石直径二メートルはあったよね……。
ーーねぇ? どうするの? とりあえずコッチに石を動かすね?
ノームが石を動かすと言い出した。
「えっ? 動かす?」
ノームが前足をトンッと鳴らすと、泉からオリハルコンが出てきて、動く土がソフィアの目の前までオリハルコンを運んできた。
「何これっ? ノームは土を操れるの?」
ーーそりゃそうさ。僕は土の妖精だからね? ふふっ。
ーーふむ。色々と役に立つかも知れんの? アイテムボックスに収納しといたらどうじゃ?
精霊王がアイテムボックスに入れておけと言っている。
こんな大きなオリハルコンを持ってたら騒動にならないのかな?……まぁ良いか。
アイザック様とジーニアス様に聞いてみよう。うん二人ならきっと何とかしてくれるよね。
ソフィアはアイザック達にオリハルコンの事を丸投げしようと考えていた。
★ ★ ★
「さてと……泉も元の姿に戻ったし、石もアイテムボックスに収納したし……キィ村に帰りますか」
ーーそうじゃの。
「この枯れた木が元に戻らないのは少し残念だけど……」
ーーソフィアはこの木を戻したいの?
「そりゃ……」
キィの実は大好きだし、枯れたままの山って言うのもすごく寂しい。
ーー枯れた木は元には戻らないけど新しい木、この枯れた木の子供達を芽吹かせる事はできるよ?
ノームが新しい木を生やす事ができると言っている。
「そんな事できるの?」
ーーふふん? 僕は土の妖精王だよ? それくらい簡単さ! ソフィアがお水を出して手伝ってくれたら木々の成長も早いかも?
私がお水を出して手伝えば木々が戻るんなら何でも手伝う!
「分かった! 何でもするからこの森の木々を生やして」
ーー了解だ!
ーー何じゃ? そんな目で見て? はよう浄化せんか?
この石をどうやって浄化しろと? 説明もやり方も教えて貰えずに出来ますか? シルフィやウンディーネの方がよっぽど丁寧に教えてくれますよ? っと声を大にして言いたいが、ソフィアはぐっとその気持ちを飲み込んだ。
やってやりますよ。チョチョイのチョイなんでしょ?
ソフィアは禍々しい気を放つ石に向かって歩いて行く。
「……石に近寄ったは良いけどどうやって浄化する? 水を出した時は水よ出てーっで必死にお願いした。じゃあ石よ綺麗になぁれ? ってお願いするとか?」
ソフィアが一人石の近くでぶつぶつと独り言を呟いていると。
ーー何をもたもたしておる? チョチョイのチョイじゃ。
精霊王がヤジを飛ばしてくる。
「むうっ……分かってますよ? 残念王めっ!」
よし……あんまり触りたくないけど、やるよ? 早くしないと残念王様がうるさいしね。
ソフィアは石をそっと触り
「石よ浄化して綺麗になって! そう……それはもうピカピカのピッカピカに! お願い」
ソフィアがそう叫ぶと石に触れた手から眩い光の粒子が流れ出て、キラキラと石を覆っていく。
数分もすると……禍々しい黒さだった石は、真珠の様に白くなり宝石の様にキラキラ輝き出した。
「おおっ……出来た?」
次の瞬間石の周りから水が溢れてきた。
「えっ? 水?」
ーーソフィア! 早くこっちに走ってくるのじゃ! 泉が元の姿に戻っておる!
「えええっ? ちょっと待って? あっ足がっ水に浸かっ?!」
ーー急げソフィア!
「ちょっ……」
そう言われても、水に足がとられて早く走れないっ。
ーーったく。仕方ないのう。
「えっ? わっ?」
精霊王が指を鳴らすと、ソフィアはふわりと宙に浮かびそのままノームの背中へと、ふわふわ飛んできた。
ソフィアは思った。
初めからそうしてくれたら足が濡れなかったのにと。
少し口を膨らませながら、ソフィアは風魔法で濡れた足を乾かした。
ーー何をそんな膨れっつらをして、助けてやったんじゃぞ。我は? ありがとうであろ?
精霊王はソフィアにありがとうを要求する。
「はいはい……ありがとうございました」
ソフィアは目を細め棒読みでお礼を言った。
ーーはぁ……精霊王様。自分でお礼を要求するって……ないわぁ。
ノームが少し呆れた様にそんな二人のやり取りを見ていた。
ーーあっそうそう、ソフィア? あの石は持ってかえらないの?
ノームが浄化した石の事を聞いてきた。
「あの石? 浄化した石のこと?」
ーーそうそう! ソフィアはね浄化だけじゃなくて、なんと石をオリハルコンに変えたみたいだよ? オリハルコンは中々ない石だから貴重だよー! どうやったの?
ノームが少し不思議そうに頭を傾げる。
「えっ? オリハルコン?」
ちょっと待って? オリハルコンって言ったよね? オリハルコンはすっごい貴重な魔鉱石で、手のひらサイズでも金貨数百枚って学校で習った。
親指の爪程の量で、魔道具を作れるって。
普通の魔鉱石なら最低でも手のひらサイズはないと魔道具が作れない。それ程にオリハルコンは貴重。
それが……ええとあのサイズ? あの石直径二メートルはあったよね……。
ーーねぇ? どうするの? とりあえずコッチに石を動かすね?
ノームが石を動かすと言い出した。
「えっ? 動かす?」
ノームが前足をトンッと鳴らすと、泉からオリハルコンが出てきて、動く土がソフィアの目の前までオリハルコンを運んできた。
「何これっ? ノームは土を操れるの?」
ーーそりゃそうさ。僕は土の妖精だからね? ふふっ。
ーーふむ。色々と役に立つかも知れんの? アイテムボックスに収納しといたらどうじゃ?
精霊王がアイテムボックスに入れておけと言っている。
こんな大きなオリハルコンを持ってたら騒動にならないのかな?……まぁ良いか。
アイザック様とジーニアス様に聞いてみよう。うん二人ならきっと何とかしてくれるよね。
ソフィアはアイザック達にオリハルコンの事を丸投げしようと考えていた。
★ ★ ★
「さてと……泉も元の姿に戻ったし、石もアイテムボックスに収納したし……キィ村に帰りますか」
ーーそうじゃの。
「この枯れた木が元に戻らないのは少し残念だけど……」
ーーソフィアはこの木を戻したいの?
「そりゃ……」
キィの実は大好きだし、枯れたままの山って言うのもすごく寂しい。
ーー枯れた木は元には戻らないけど新しい木、この枯れた木の子供達を芽吹かせる事はできるよ?
ノームが新しい木を生やす事ができると言っている。
「そんな事できるの?」
ーーふふん? 僕は土の妖精王だよ? それくらい簡単さ! ソフィアがお水を出して手伝ってくれたら木々の成長も早いかも?
私がお水を出して手伝えば木々が戻るんなら何でも手伝う!
「分かった! 何でもするからこの森の木々を生やして」
ーー了解だ!
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