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やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編
閑話 キィ村の子供
しおりを挟むそれはある日突然起こったの。
お父さんがいつものように畑に行ったら畑が干からび、全ての野菜が枯れた。
「大変だ畑の野菜が枯れた」
「お前の所もか?ワシの所も全滅だ」
「何でこんな事が? あと少しで収穫だったのにっ」
「今年の小麦が……ああっ」
私達の家だけじゃなく村の全ての畑が干からびた。
まだ水場にはお水があったから、お父さんたち大人は必死に畑に水をやった。
そして、この事をどうにか助けてもらおうと、キィ村を統治している領主様に助けて貰いに行ったけど、近くの村で沢山の魔獣が出たとかで、今はそれどころじゃないと水の事は話さえ聞いてくれなかった。
「クソッ何でこんなタイミングでっ! 領主様は魔獣騒動でそれどころじゃないとさ」
「水が枯れたんだぞ? 何で助けてくれないのさ」
「魔獣騒動にみな駆り出されて俺達の村に来れないんだ」
「クソッ……」
一週間もしたら、村の命でもある水場が枯れた。
水が出ない……。
二週間したら村のみんなが動けなくなった。
村の周りの木々は全て枯れ飲み水もない。
体も洗えない。
一番近くの川の水も枯れた。
大人は皆気力を無くしてじっと座り動かなくなった。
動くと喉が渇き腹が減るからだ。
魔獣騒動のせいで村に週一で来ていた商人のおじさんも来なくなった。
ああ……喉が渇いた……コップいっぱいのお水が飲みたい。
クコの葉っぱを齧ると少しだけ甘い水が出てくる。
私達子供がオヤツにしていた、クコの葉だけは枯れなかった。
今はコレが唯一のごはんでお水。
でもこれだけじゃお腹が膨れない。
三週間もすると、お母さんがお布団から起きれなくなった。
神様お願いです。
お母さんを助けて……私何でもするから。
お友達が倒れていく。
動ける大人や子供達だけでクコの葉を探してたけど、もうみんな動けなくなってきた。
脚が動かない。
私が咥えてるクコの葉っぱは味がしない。何も出てこない。
だってもう三日もかじっている。
水場で横たわり何も出ないクコの葉っぱをかじっていたら、見た事もない綺麗な人達が立っていた。
目が霞んでよく見えないけど……あんなにも綺麗な人達を見た事がない。
もしかして……天使様がお迎えに来たのかな?
私はもう死ぬの?
死ぬのは怖いけど……
もう苦しまなくていいんだ。
良かった。
次の瞬間、一人の天使様の手から大量の水が出て水場は水で溢れる。
私の体は水で濡れた。
「冷たい……?」
何が起こったのか……理解できない。
でも……みんなが水場のお水を必死に飲んでいる。
私も同じ様に水を両手ですくって飲んだ。
「…………美味しい」
このお水は心が幸せになって力が漲る。
動かなかった体が動く。
私は何度も必死に水を飲んだ後、お母さんにもお水を持って帰った。
「……ああ……美味しい」
お母さんがお布団から起きて泣いている。……良かった。
天使様のお水はお母さんを元気にしてくれた。
村に来た天使様は、私達を助けに来てくれたんだ。
神様ありがとうございます。
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