37 / 164
やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編
第九十四話 ドキドキ
しおりを挟む「ふぅーっ! これで最後ね」
馬車の近くでケガをし倒れていた人達は、全て快癒してあげる事ができた。良かった……助ける事ができて。本当に良かった。
「ソフィア様! 私は感動しています。ううっふぐっ…」
シャルロッテがバタバタとこちらに走って来たかと思ったら
「シャルロッテ!? どうしたの! 何で泣いてるの?」
ふとシャルロッテを見ると大粒の涙をポロポロと流し泣いていた。なんで?
「だって……村の人達の傷を癒すソフィア様が女神様に思えて……感動して」
「ちょっ! 何言って」
シャルロッテ? 恥ずかしいからね? そんな事言わないでね? 女神様なんて言われて赤面してしまう。
「女神様ありがとうございます! まだケガを負った者たちが村の教会に多数います。お願いします! その者達を助けてください」
助けた村人の一人がまだ教会に沢山ケガをした人が居るという。そう言って頭を下げる。
「分かりました。私に任せてください。だからもう頭を上げてください」
「女神様……」
村人達が集まり私を見て拝みだした。何やら変な空気になって来たので、私は村人にお辞儀をすると、足早に教会へとシャルロッテを連れ走っていった。
教会の近くに行くと、アイザック様とジーニアス様もいた。
「アイザック様! ここにいたんですね」
私はアイザック様を見つけ駆け寄って行く。
「ソフィア! この場所は危険だ。さっき魔獣が歩いてきっ!?」
次の瞬間アイザック様に手を引っ張られ後ろに下げられる。
「え?!」
何と目の前には二メートル以上の大きな体躯の狼?が突然現れた。これが魔獣?! こんなに大きいの?!
「ソフィア後ろに下がって!」
そう言うとアイザック様は魔獣に向かって切り掛かっていった。
アイザック様の鋭い剣捌きが大きな魔獣を一刀両断し、真っ二つに体を切り裂いた。
魔獣はなす術もなくその場に倒れる。
「すごい……」
アイザック様ってあんなにも強かったんだ。
「ソフィア大丈夫か?」
「あっわっ私は全然大丈夫です! アイザック様が助けてくれたので、私はなんともありません」
そう言うとアイザック様にギュッと抱きしめられた。
「ひょっ?!」
「……良かった……心臓が止まるかと思った」
アイザック様の声にならない声が唇から漏れる。私の耳元近くで……囁くように。
「あっ……う」
急に抱きしめられるは耳元で囁かれるはで私はどーしたら良いのかも分からずドキドキして固まってしまう。
アイザック様の体は私よりも大きくて、私は腕の中にスッポリと収まっている。
いつの間にこんなにも体格に差がついたんだろう。少し前までは私の方が大きかったのに。
ドキドキして胸が苦しい。
「あーーーーっ! アイザック何してるんだよっ。ソフィア大丈夫?」
ジーニアス様が私とアイザック様の間に割って入る。ふっふう助かった。
「ったく、目を話した隙に」
ジーニアス様がアイザック様に何がブツブツと文句を言っているようだけど、私は最早それどころではなかった。
はぁドキドキした。
大きく深呼吸して気持ちを落ち着かせ、教会の中に入ると……床に布を敷いただけの場所に、村人や防具を着た冒険者らしき人達が横たわっていた。教会の中は鉄臭い血の匂いでむせ返っている。
ざっと見ても重傷者は二十人以上いる。こんなの一人一人治癒していったんじゃ間に合わない。
どうしたら良いの!
神様、女神様、妖精達! どうか私に力を貸してください! この教会内にいる人達を癒してあげたいんです。
傷を治してあげたいんです。お願いします私に力を貸してください!
強く必死に願った次の瞬間、教会内を目が開けられないほどの光の粒子が覆う。
「えっ?」
何が起こってるの?
光がおさまると、教会内の怪我人は全て全回復していた。
皆自分に何が起こったのか理解できず怪我していた筈の体を何回も見ている。
何故なら欠損部分まで修復し身体が快癒したのだ。理解が追いつかないんだろう。
良かった……何だか分からないけど、助けることができた。神様女神様力を貸してくれてありがとうございます。
教会内の人が助かった事が嬉しくて
私は自分の姿がキラキラと神々しく輝いている事に、全く気づいていなかった。
179
お気に入りに追加
11,663
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。