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ルチア十六歳、魔法学園編

久々の再会

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「今回は本当にお世話になった!ありがとう」
「私達、獣人国の問題でしたのに解決して下さり本当にありがとうございます」

 獣王様とミミィさんが深々と頭を下げて御礼を言う。

「いやっ! 御礼は大丈夫です。このまま放っておいたら、何れは竜人国の妖精さん達だって被害に遭ってたと思うから」

 妖精さん達を助けてあげる事が出来て……本当に良かった。

「ルチア嬢は優しいな! 今日の夜は盛大な宴をするからな! 楽しみにしといてくれ!」

ーーおお! それは良いな! 僕は甘いのいっぱい揃えてねー。
ーー俺は美味いのなら何でも良いぞっ! よーし、夜まで時間あるな。それまでのんびり昼寝でもするか。
ーーそれ良いね!

 二匹は奥の部屋に案内してもらい、お昼寝しに行った。
 相変わらず自由だなー。

『ルチィ? 夜の宴まで時間があるのう。ルチィも昼寝するか?』
「えっ! 昼寝かぁ……」

 たまにはのんびりと良いかも。

『我が腕枕で、ゆっくり寝かせてあげるからな。ルチィの背が伸びてから、久しく一緒に寝てないからな?』

 ひゃっ!!

 シェラ様何を言い出すんですか!

 恥ずかしいからそれは無理! シェラ様を意識し出してから、余計にドキドキして仕方ない。
 腕枕とか想像するだけで、胸がくるしい。
 いつになったらこのドキドキに慣れるの?
 また女子会を開いて貰って、詳しく教えてもらわないと!!

『ふうむ? ルチィ? 昼寝しないのか?』

 私がなかなかお昼寝をしに行こうとしないので……。
 シェラ様が不思議そうな顔してる。

「ええとっその……まっまだ眠くないからなぁ~、私は散歩でもしよっかな~なんてっえへへ」

『散歩か。それも良いなあ。今の時期は、例の公園の花が満開で綺麗であろ。行って見るかの?』

「行く!!」

 初めて獣人国に行った時に見た公園! 色とりどりの花に凄く感動した。あの花をまた見れる何て!
 嬉しい。

「嬉しい。シェラ様ありがとう」

 シェラ様の手をギュッと握る。

『ふふ。ルチィが嬉しいと俺も嬉しい』

 シェラ様は手をグイッとひくと、私を腕の中に抱きしめ頬にキスをおとす。

 はわわ!!
 次の瞬間、一面の花畑に景色が変わっていた。

 こんなドキドキする転移の方法はやめて頂きたい。

「綺麗……」

 此処は妖精さん達も沢山いて、みんな楽しそうに飛び回っている。

「あのう、シェラ様? ご飯を食べてる時じゃないから、抱っこしなくても大丈夫だよ?」

 私達は今、花畑がよく見えるベンチに座ってるんだけど……私はシェラ様の膝の上に座り、更にシェラ様が後ろからギュウッと抱きしめ、私の肩の上に顔を置いてるのだ!
 とにかく密着が凄い。

『ふうむ? 我はルチィ不足なのだ。此処の所バタバタしておってルチィが足りぬ。だからこのままが良いなぁ』

 ふグゥッ。
 何この可愛い人。耳元でそんな甘えた声で……。
 苦しい。

 嬉しいけど、これだと顔が動かせないよ。右肩にシェラ様の顔があるから……右に向けない。

『ふふ。可愛いの』

 シェラ様が固まってる私のほっぺに、擦りって顔を寄せてきた。

 もう景色が、全然頭に入ってこない。

 そんな時だった、遠くから声をかけられる。

「ルチア様、お久しぶりです!」

 んっ!?
 私を呼ぶ声の方を見ると!

「わっガウディさん! お久しぶりです!」

 神の助け! 私はシェラ様から離れてガウディさんに挨拶する!

『ふぬ。邪魔だの……』

 ちょっシェラ様!

「ルチア様、大きくなられましたね。お美しく成長されて。番のパレードの時に拝見した時、成長にビックリしました」

「ガウディさんもパレードを見に来てくれてたんですね。ありがとうございます」

 小さな時にこの場所を教えてくれた、エルフ族のガウディさんとまたここで再会するなんて、不思議な感じ。

 ふう……やっと落ち着いて花が見れる。

 シェラ様の横に座り直したら、ぴょこんって膝の上に茶色い動物が乗ってきた。

 んん?
 ーー猪の子供?

「可愛いー! シェラ様見て? 猪の子供だよ、可愛いねー」

 私はヨシヨシと撫でる。
 すると気持ち良さそうにプギッとなく。……可愛い。

『良いな。俺も可愛いと言われたい』

ブッッ!!

 シェラ様がチビ竜になった。
 猪の子供に対抗してる? 相手は動物だよ? その焼きもち可愛い過ぎるんだけど。

 私はシェラ様と猪を抱っこして、美しい花を見ることに。
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