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ルチア十六歳、魔法学園編
クラス委員
しおりを挟む現在私と白ちゃん黒ちゃんは、これから1年通うクラスが決定した。
クラス内で担任の先生から、学園についての説明を聞いている。
三人皆一緒で嬉しい。正確には二匹と一人だけどね。
一緒でホッとした。
学園のクラス編成はS・A・B・C・D・E・Fの全部で七クラス。
このクラス分けは、魔力テストの成績順だ。
私達は一番上の、Sクラスになった。
ひとクラスの人数は三十人。
月に一回ある学園テストの成績で、クラスが入れ替わるらしい。
その辺は凄くシビアで実力主義の学園だ。
「このクラスの皆さんは、魔法学園で最高位のクラスです。卒業までこのクラスでいた者達は、皆素晴らしい活躍をしています。皆様にも期待していますよ」
担任となったアレン先生が、頑張って下さいねと喝をいれてくれる。
「そして、魔法学園始まって以来の異例事態なのですが! 特別講師として、竜王様であり学園長であられるシェラザード様が、このクラスを特別に教えて下さる事になりました!」
ちょっまっ?!
えっ!?
シェラ様?
ーーはぁーっバカ竜王。何をしでかしてんだ!?
教室に少し得意げな顔をしたシェラ様が入ってきた。
『新入生の諸君、俺もたまには初心にかえり皆に教える事も大事だなと思ってな。宜しく頼むぞ。皆の成長を楽しみにしておる』
「ワァー! 竜王様!?」
「凄い! こんな幸せが!?」
「この学園に入学出来て本当によかった」
教室内に歓喜の大歓声が巻きおこるんだけど……私たちはそれどころじゃない。
『特に今年度の新入生は、かなり優れた魔力の持ち主達がいるからな! 期待しておるぞ!』
パチンッって私にウインクして来たけど!?
ちょっとシェラ様!? 後で説教案件だからね!
褒めてとばかりに、もの凄いドヤ顔してるけど、全く褒める所ないからね?
ーーはぁーっ……何でルチィの事となると彼奴はこんなにアホウなんだ。
ーーとんだバカ竜王だな。
教室内で明らかに私たち三人だけ盛りさがっている中、アレン先生が興奮冷めやらぬと言った様子で、学園について語りだした。
「せっかく竜王様がいらっしゃる事ですし! この学園の成り立ちなど少しお話しようと思います」
みんなは興味深々に話を聞いている。それは私も同じ。
「この魔法学園は創立六百五十年になります。シェラザード様が竜王様になった時に、貧しい者でも力ある者には平等にチャンスを与えよう。との素晴らしい考えにて魔法学園は創られました」
シェラ様が作った!? こんな凄い魔法学園を?
「十六歳以上であれば、何歳でも入学資格があります。今年は試験に落ちてしまっても努力して来年入学出来る可能性もあるのです。
これも努力する者には何度でもチャンスを与えよとの。竜王様の素晴らしいお考えなのです」
さっきのシェラ様の態度が帳消しになるほどに、シェラ様の考え方は素晴らしい。
「ですから、貴方達はとても幸せなのですよ。竜王様が創られた。この素晴らしい学園に入学出来た事を、誇りに思って勤勉に励み二年間の学園生活を充実させて下さいね」
「「「ワァァー!!竜王様!!ー」」」
歓声と拍手が鳴り止まない。
この学園はシェラ様が創ったなんて知らなかった。それこそドヤ顔で自慢しても良い話なのに。
それに何て素敵な考えなんだろう。
などと私が感動してたら
ーーおいルチィ? 竜王の顔見てみろよ。
黒ちゃんがコソッと耳打ちして来た。
「ふぇっ?」
ブッ……!!
シェラ様。
せっかく良い話を聞いて感動してたのに……。
またウィンクからのドヤ顔……何のアピールですか? そんな顔してたら他の生徒たちに変に思われるよ?
あーあ。折角の良い話がどっかに行っちゃったや。
学園生活は楽しみなんだけど、シェラ様が何をしでかすか分かんないから、不安になってきた。
「では! このクラスの学級委員を決めたいと思います!」
委員とかもあるんだ。まるで日本の学校みたいだな。
『ふぅむ。そうそう委員長は魔力テストで一番成績の良かった者がなるんじゃったの!』
シェラ様がやたらと張り切ってる!!
ーーこのパターン……嫌な予感しかしない。
『おお! ルチア嬢が断トツで一番か。皆の前に立つのだ』
シェラ様が棒読みで私を呼ぶ。
はぁ……やっぱりね。
ーーバカ竜王! スタートからルチィに目立つ様な事させるなよなぁ。
本当だよ!!
何で私が委員長なの。そこは違う子を選ぶとか誤魔化したりしてよ。
『さぁ! ルチィ。フグッ。ルチア嬢! 来たまえ。』
ちょっ今! ルチィって言った。はぁ……もう!
「ーーはい」
私はしぶしぶ前に歩いて行く。
『ルチア嬢、素晴らしい成績! 期待してるからな!たがムリはしなくて良いから「はい!頑張ります!」
また余計なこと話そうとしてるので、被せ気味に返事をして直ぐ席に戻る。
『今後は、委員長ルチア嬢に俺からの連絡等も伝える事もあるだろう。ルチア嬢は後で学園長室に来るように!』
何ですと?
やりたい放題じゃないかシェラ様!
もうシェラ様は! 後で絶対に説教だからね? と怒っていたら、一人の生徒が手を上げる。
「竜王シェラザード様! 発言宜しいでしょうか!」
わっ!
エルフ族の美人さんだ。プラチナブロンドの髪に綺麗な青色の瞳。絵に描いた天使みたい……。
『うぅむ? お主は……確かエルフ族のシャリオンではないか? お主も入学したのか』
どうやらシェラ様はこの美人さんを知ってるみたい?
「シェラザード様! お久しぶりです。シャリーです。やっとお会いできて光栄です!」
美人エルフさんの興奮がやばい。目がハートになってるみたい。
『で? 発言とは何が良いたいのだ?』
「はい! その人族の女が一番だとシェラザード様は言いましたが、その成績は本当でしょうか?
人族如きが、我がエルフ族を上回るなんて! 不正をしたとしか考えられません!」
ギリッと美人エルフさんに睨まれる。私だってなりたくてなったんじゃないんから!
『ほう……?お主はこの学園テストは不正が簡単に出来ると申すのか?』
やばい……!シェラ様がキレそう。普段は凄く温厚なのに、私の事になると少し見境がなくなるから。
私は大丈夫だから、これくらい平気! 落ちついてシェラ様。っと必死に合図を送る。
「ぐっ……ですが! 私よりも魔力が上なんて信じられません!」
美人エルフさんは納得がいかない様子。
ーーあっ! 彼奴はエルフ族の愛し子だ!
ーーはぁぁ……ルチィに魔力制御を教えとくべきだったな。テストで魔力を低く制御するように言ったけど、低く出来てなかったのか。
ーー愛し子より魔力が高いとか、普通の人族ではあり得ないからな!
白ちゃん黒ちゃん?! マジ?
これってやばい状況なんじゃ︎?
ーー困ったな……シェラが上手く言ってくれたら良いけど。まぁ無理だろな……
『黙れ! 何と言おうとルチア嬢が委員長だ。覆す事はない! 良いな』
予想どうり、シェラ様は話をまともに聞かず終わらせた。
「はっはい」
シェラ様の圧が怖すぎて、何も言い返せなかったけど、美人エルフの人絶対に納得してないよね。
ヒィィーッ! 私、凄く睨まれてる。
怖くてもうエルフさんがいる方が見れない。
ーーってか、普通と言うのは難しいもんだな……
本当に!
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