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ルチア十歳、断罪&冒険編
獣人国の宴
しおりを挟む私達はあの後直ぐに、獣人国の王城に行く事となった。
王城に着くなり、豪華なお部屋を用意され、メイドさんが集まりお姫様のようなドレスを着せてくれた。さらには軽くお化粧までされちゃって、なんだか変な汗が止まらない。
前世も含め、こんな扱いをされた事がないので、さっきから心臓が苦しくて胸も痛い……。
「ルチィ? どうした? んん?」
「ちょっちょっと緊張して……」
純白のタキシードに身を包んだシェラ様が、私の前に座り込み目線を合わせると、心配そうに見つめてくる。
キラキラした服に着替えたシェラ様の破壊力は、余りの美しさに直視できない……。
ううっ眩しい。つい後ろに振らつく。
ーーははっルチィは何やってるんだよ。
ーーその服は似合ってて僕は可愛いと思う。
挙動不審な私を見て、白ちゃんと黒ちゃんが楽しそうに笑う。
むう。バカにしてぇ。
二人も高そうなタキシードを、着せてもらっている。白ちゃんが黒色で黒ちゃんが白色とペアなっていて美しさが二倍まし。
シェラ様といい、みんなカッコ良すぎるよ……。
部屋の扉が勢い良く開くと、獣王様がズカズカと入ってきた。
「さぁさ! 皆が待っている。行こうぞ!」
獣王様がみんなを引き連れ、広間へと案内してくれる。
大きくて重厚な扉を開け広間に入ると。
「すっ凄い……」
あまりの広さに、私は口が大きくポカンッと空いたまま……。
『ルチィ、口が開きっぱなしだぞ』
シェラ様が慌て閉じてくれた。
……すみません。田舎者で。
この広さを、どれくらいと例えたら良いのかさえ分からない……
学校の体育館が十個分とか? それよりもっと?
だって前世も含め、今までこんなに広い部屋を見た事がないのだ……‼︎
ーールチィ! 早く美味しいもん食べに行こうぜっ!
ーー本当だよー。僕はスイーツが食べたいな。
そんな私とは対極に、食べても意味のない二匹が楽しそうに張り切ってる……。
「そだね、緊張しても仕方ないねっ行こう!」
★★★
えーー!?
何でこんな事に……。はぁ。
これは、ご飯食べるだけの宴じゃなかったの?
私は今、千人? は優にいる人たちの前に立たされている。
ええと、何を言えば良いの……?
身体中から変な汗が溢れてるのが分かる……。脇汗だって止まらない。
「さぁさ! 愛し子ルチアーノ様。待っている皆に、声をかけてやってくれ」
獣王様が早く何かを話せと、煽ってくる。
イヤイヤ………だからね?……何を言えば良いんのか分からないの!
ーールチィ? 大丈夫?
そんな私の様子を感じとった白ちゃんが、横に立ってくれた。
「白ちゃん……ムリ……」
ーー何でも適当に言ったら良いんだよっ。ほらっ! こんな感じだよ!
『皆の者、良く集まってくれたな! 感謝するよ』
白ちゃんが一言そう言うと会場から割れんばかりの歓声が上がる。熱気に満ち溢れている。
『ホラっ? ルチィ︎?』
白ちゃんとは反対側の横に来た黒ちゃんが、急かす……うう。
何か一言でいいんだよね? よしっ。
私は精一杯声を張り上げて、集まってくれた人達に声をかける。
「きょっ……今日は楽しみましょー!!」
「「「「オオーー!!」」」」
会場にいる人が私の声に歓声でこたえてくれる。
もう恥ずかしいので、一言いうとそそくさとその場を離れた。
「わー! 愛し子ルチアーノ様!」
「愛し子様!」
会場は愛し子コールが止まらない。ううっ恥ずかし。
俯いていると、獣王様に捕まっていたシェラ様がやっと解放されたのか、私の所に走って来て抱きあげると、追い打ちをかける一言をいう。
『ルチィ……皆の前での声明、素晴らしかったぞ、可愛いいな』
「シェラ様……恥ずかしい!」
ーーさぁ!ルチィ。食べに行こうぜっ!
「そだね」
ーーうまっ美味い!
ーーコレも辛さが刺激だな!
嬉しそーに食べてるね?
『ルチィ……あーん?』
あむ………。
「美味しっ⁉︎」
『そうであろ? んっ。あーん?』
はぐっ………。
さっきからずっと……シェラ様が私を膝の上に乗せて、ご飯を食べさせてくれる。
恥ずかしいから自分で食べたいのに……
『ルチィ…ん? 何か食べたいのあるかの?』
あむあむ。
そんな時だった。
ドンッ!!
バァーーンッ!!
大きな音立て勢いよく会場の扉が開く。
外から三人の男性が、勢いよく入って来た。
「シェラザード様! やっと見つけましたぞ!!」
なんなの!? シェラ様の知り合い?
『うぬぅ?!』
あれ? シェラ様が少し慌てて︎いる。あの男の人たちは何もの?
シェラ様に向かって、男の人達三人が一目散に走ってくる!
ええっ!? なに事?
「シェラザード様! やっと捕まえましたよ! もう逃がしませんよからね!」
逃がさないって……シェラ様はこの人たちに一体何をしたの?
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