【完結】虐げられた令嬢の復讐劇 〜聖女より格上の妖精の愛し子で竜王様の番は私です~

大福金@書籍発売中

文字の大きさ
上 下
14 / 81
ルチア十歳、断罪&冒険編

閑話 リディア

しおりを挟む

 この国の重鎮や貴族たちが、会場に犇めき合うように集まっている。 
 ここにいる全ての人達が、聖女となる私を見に来ているんだわ。

 とうとう私が主役のストーリーが始まる……フフッ

 きっと私の可愛さに驚いているはずね。
 本当なら、もっと派手でゴージャスなドレスが良かったんだけど……白く飾り気の無いワンピースを着ている。ハッキリ言って好みじゃない。
 でもこれが聖女の式典服らしい。はぁ地味だわ。なんでもっと派手なドレスとかにしなかったのかしら……私をもっと目立たせてくれないと。

「聖女リディアよ、前へ」

 などと考えていたら、国王様から名前を呼ばれる。キタキター!
 会場を見回すと皆がウットリと私に注目する。

「はい」

 私は返事を返し美しいカーテシーを披露した後、国王様の前に歩いて行く。

 ぐふっ、もっと私を見て!

 あれぇ? ところでルチアはどこにいるの!? 今から良いシーンなのに!

「これより、リディア・クロノス侯爵令嬢の聖女認定式を始める」

 国王陛下がそう言うと、会場から割れんばかりの拍手喝采が鳴り響く。

 そうそうコレコレ! はぁ最高!

「本日よりリディア・クロノス侯爵令嬢を、我が国の新たなる聖女として認めようではないか! 異議のある者は申し出よ」

 国王様ったら何を言ってるの? 異議なんてないでしょうよ!

 もちろん異議のある人なんて現れず、そりゃそうでしょ? 五十年ぶりに現れた聖女様なのよ私。もっと崇め奉りなさいよ。

「ではリディア・クロノス侯爵令嬢にこの聖女の証である王冠ティアラを授ける。聖女リディアよ前へ」

 王様が私の頭にそっと王冠をのせる。

 憧れの聖女の証! みんな私を見てー! 王冠をつけた私、綺麗でしょう?

 チラリと周りを見渡すが、ルチアの姿がやはり見当たらない。
 私の素晴らしい所を見せつけてやりたいのに、肝心な時に何処に行ったのよ! 
 ったくイライラさせないで欲しいわ。

「これにより、我が国の聖女リディアが誕生した」

 国王様がそう言うと、会場から盛大な拍手喝采が鳴り止まない。

 フフッ……もっと私を見て!
 あー気持ちが良いわ! さてと仕上げといきますか。

「国王陛下、お話があります。聞いて頂けますか?」

「何じゃ? 聖女リディアよ。発言を許す」

「……実は私……長らくの間、義妹のルチアに虐げられておりました。私と母はルチアとは義理の親子で血が繋がってない事もあり、私は何も出来ず毎日虐げられておりました、今日まで我慢しておりましたが……それもっもう限界でっううっ」

 ここでハンカチを出し泣き真似をすると……

「何と! 聖女様を虐げる? 何て事を!」
「そんな令嬢には罰が必要だ」

 周りがザワザワと騒ぎだす。よしよし。ここで決めの一言。

「でも聖女となった今は、それも全て許します……」


「なんて慈悲深い……」
「心の広い聖女様なんだ!」

 ぐふっぐふっ周りが面白いくらい、反応してくれるわ。

 さすが聖女の力ね。

 そしていいタイミングで、第二皇子のレオンハルト様が私の横に立つ。

「国王陛下、お願いがあります。聖女リディアを虐げていた女ルチアとの婚約を解消し、私は聖女リディアとの婚約を結びたく。お許し頂けないでしょうか?」

「「「「オオーッ!」」」」

 それはおめでたいと、会場が盛り上がる。

 この雰囲気には、婚約破棄を渋っていた国王陛下もうんとしか言えない。

「分かった。聖女リディアと第二皇子レオンハルトの婚約を認めよう!」

ワアアー!!!

 再び拍手喝采の盛り上がる。

 はぁぁ、予定ならルチアに直接婚約破棄をいいたかったのに。どこいったのよ! 家に帰ったらお仕置きが必要ね。



『ルチィ? 俺は何の茶番劇を見せられてるんだ?』
しおりを挟む
感想 81

あなたにおすすめの小説

夫の隠し子を見付けたので、溺愛してみた。

辺野夏子
恋愛
セファイア王国王女アリエノールは八歳の時、王命を受けエメレット伯爵家に嫁いだ。それから十年、ずっと仮面夫婦のままだ。アリエノールは先天性の病のため、残りの寿命はあとわずか。日々を穏やかに過ごしているけれど、このままでは生きた証がないまま短い命を散らしてしまう。そんなある日、アリエノールの元に一人の子供が現れた。夫であるカシウスに生き写しな見た目の子供は「この家の子供になりにきた」と宣言する。これは夫の隠し子に間違いないと、アリエノールは継母としてその子を育てることにするのだが……堅物で不器用な夫と、余命わずかで卑屈になっていた妻がお互いの真実に気が付くまでの話。

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!

よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

落ちぶれて捨てられた侯爵令嬢は辺境伯に求愛される~今からは俺の溺愛ターンだから覚悟して~

しましまにゃんこ
恋愛
年若い辺境伯であるアレクシスは、大嫌いな第三王子ダマスから、自分の代わりに婚約破棄したセシルと新たに婚約を結ぶように頼まれる。実はセシルはアレクシスが長年恋焦がれていた令嬢で。アレクシスは突然のことにとまどいつつも、この機会を逃してたまるかとセシルとの婚約を引き受けることに。 とんとん拍子に話はまとまり、二人はロイター辺境で甘く穏やかな日々を過ごす。少しずつ距離は縮まるものの、時折どこか悲し気な表情を見せるセシルの様子が気になるアレクシス。 「セシルは絶対に俺が幸せにしてみせる!」 だがそんなある日、ダマスからセシルに王都に戻るようにと伝令が来て。セシルは一人王都へ旅立ってしまうのだった。 追いかけるアレクシスと頑なな態度を崩さないセシル。二人の恋の行方は? すれ違いからの溺愛ハッピーエンドストーリーです。 小説家になろう、他サイトでも掲載しています。 麗しすぎるイラストは汐の音様からいただきました!

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

処理中です...