異世界もふもふ召喚士〜俺はポンコツらしいので白虎と幼狐、イケおじ達と共にスローライフがしたいです〜

大福金

文字の大きさ
上 下
75 / 77
ヴィルヘルニア帝国

タヌキの召喚獣!?

しおりを挟む
「そうです! ここにいる乱道様の召喚獣である琥珀ちゃんが、解呪してくれたのです」

 キャロが得意げに琥珀と俺を見る。
 当の琥珀様は、涎を垂らしながら気持ち良さそうに寝てるがな。

「はっ!? はぁぁ!? キャロよ!? 何を言ってるんだ?」
「こんなたぬきみたいな獣人が召喚獣!? そんなわけあるか!」
「そうだぞ、召喚獣を見たことあるがもっと神々しくて強そうだった」

 琥珀を見た皇子たちがギャーギャーと騒ぎ立てる。
 流石にこんなにあからさまに見た目だけで悪口を言われてると、可哀想になってくる。

 こんな見た目だけどな? 琥珀はつえーんだぞ!?

「あのさ? もう少し声のトーン下げてじゃべってくれないか? さすがに耳がキンキンしてウゼーわ」

「なっ!?」

 俺の言い方が王族に対してまずかったんだろう、一番大きな第二皇子が恐ろしい形相で睨みつけてきた。

「お前っ、王族にむかってその口の聞き方はなんだ!? 不敬罪で捕まえてやろうか!?」
「ヘェ~、できるもんならどうぞ。その前にこの国をとっととオサラバするだけだ」
「なっ……」

 俺の胸ぐらを、今にも掴もうとしそうな第二皇子の前に、メガネ皇子が抑制し前にでる。

「ローランドお兄様、少し落ち着いてください。さっきは少し取り乱しましたが、本当にこの者が数百年の間封印されていたこの本棚の封印を解除したのなら、ちゃんと話を聞くべきです」
「そうだぞ、ブルーノの言う通りだ。喧嘩っ早いのはお前の悪い所だぞローランド」
「アレン兄貴……ブルーノ。スマねぇ、ちょっと血が上っちまって」
「と言うことで、詳しく教えてくれないか」

 そう言いながら黒豹皇子が俺の隣に座った。

「詳しくったってなぁ……この琥珀が封印を解いただけだ。それがそんな凄い封印とは知らなかったがな」
「なっ……では本当にこのタヌキが封印を!?」
「ああ、そうだぜ。ってか、お前ら調べ物に来てたんじゃねーのか? 封印も解けたんだし、なんだっけ……とある国・・・についての本もあるかもよ?」
 
 俺がそういうと慌てて封印の解けた本棚に走っていく三人。

 幻獣族について少し情報がわかった事だし、この隙におさらばさせていだだきますか。

「……キャロ? 今のうちに出ていくぞ」

 俺は小さな声でキャロに耳打ちすると、キャロが無言で頭を上下にいさせて頷いた。考えてる事を察してくれたようだ。
 寝ている琥珀を抱き上げ、さっと部屋を後にした。

 下に降りると、俺に気づいた稲荷が満面の笑みで飛びついてきた。

「稲荷お待たせ、賢く待ってたか?」
「うゆ!」
「そかそか。稲荷は賢いなぁ」

 稲荷を抱き上げ頭を撫でてやると、目を細めてへにゃりと笑う。

『乱道様、稲荷様はとても賢く待っておられましたよ』
「我路。面倒見てくれてありがとうな」
『いえいえ』

 我路が綺麗な所作で、俺に向かって頭を下げた。何をしても様になるなお前は、これだからイケオジは。

「じゃあ行くか」

 資料研究所を出ると外は真っ暗だった。資料研究所に入る前は色んな店屋の明かりで街が煌々としてたのに。
 その店屋も閉まってるのか、街灯の灯りがチラホラとついているだけ。もうどこにも行けないな。
 
 今気付いたんだが、泊まる宿屋を決めてなかった。この街のしくみがまだ分からねーが、今から泊まれる所があるんだろーか?

「キャロ、俺たちが泊まれるような、ちょうど良い宿屋はあるか?」

 今更だがキャロに聞いてみると。

「ふふふ。それなら任せてください。我ら商業ギルドが管理している物件をご用意しますね」

 キャロが得意げに胸をボフンっと叩く。
 なんだろう。こんな時のキャロはイマイチ信用できないんだが。

「じゃあ僕の後を付いてきて下さいね!」
「おう……」

 自信満々なキャロの後を少し不安になりながら、後を付いて行くと。

 俺たちの目の前に豪華な屋敷が目に入ってきた。

 ……まさか、な?

「着きました! ここです」

 嫌な予感は当たるもんで……


「はぁぁぁ!? ここ!?」
「はい! 乱道様にピッタリでしょ?」

 キャロに連れてこられたのは宿屋でもなんでもなく、大きなお屋敷だった。

『おお! 広いお家でち。ここならいっぱい遊べるでち』
「ん! いぱい! きゃう」
『キャンキャン』
「ふふふ。琥珀様たちも気に入ってくれたみたいですね」

 キャロよ? こんな大きな家に泊まれと? 一泊いくらするんだよ。この物件。


★★★


 ❤️や応援いつもありがとうございます! 執筆の励みになっています。
 実はこの作品。こっそり、ファンタジーカップにエントリーしていたんですが、告知もしていないのに気づいてベットしていただき、ありがとうございます。めちゃくちゃ嬉しいです。
 優しい読者様のおかげで更新頻度が上がりました。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

成長率マシマシスキルを選んだら無職判定されて追放されました。~スキルマニアに助けられましたが染まらないようにしたいと思います~

m-kawa
ファンタジー
第5回集英社Web小説大賞、奨励賞受賞。書籍化します。 書籍化に伴い、この作品はアルファポリスから削除予定となりますので、あしからずご承知おきください。 【第七部開始】 召喚魔法陣から逃げようとした主人公は、逃げ遅れたせいで召喚に遅刻してしまう。だが他のクラスメイトと違って任意のスキルを選べるようになっていた。しかし選んだ成長率マシマシスキルは自分の得意なものが現れないスキルだったのか、召喚先の国で無職判定をされて追い出されてしまう。 一方で微妙な職業が出てしまい、肩身の狭い思いをしていたヒロインも追い出される主人公の後を追って飛び出してしまった。 だがしかし、追い出された先は平民が住まう街などではなく、危険な魔物が住まう森の中だった! 突如始まったサバイバルに、成長率マシマシスキルは果たして役に立つのか! 魔物に襲われた主人公の運命やいかに! ※小説家になろう様とカクヨム様にも投稿しています。 ※カクヨムにて先行公開中

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

拾った子犬がケルベロスでした~実は古代魔法の使い手だった少年、本気出すとコワい(?)愛犬と楽しく暮らします~

荒井竜馬
ファンタジー
旧題: ケルベロスを拾った少年、パーティ追放されたけど実は絶滅した古代魔法の使い手だったので、愛犬と共に成り上がります。 ========================= <<<<第4回次世代ファンタジーカップ参加中>>>> 参加時325位 → 現在5位! 応援よろしくお願いします!(´▽`) =========================  S級パーティに所属していたソータは、ある日依頼最中に仲間に崖から突き落とされる。  ソータは基礎的な魔法しか使えないことを理由に、仲間に裏切られたのだった。  崖から落とされたソータが死を覚悟したとき、ソータは地獄を追放されたというケルベロスに偶然命を助けられる。  そして、どう見ても可愛らしい子犬しか見えない自称ケルベロスは、ソータの従魔になりたいと言い出すだけでなく、ソータが使っている魔法が古代魔であることに気づく。  今まで自分が規格外の古代魔法でパーティを守っていたことを知ったソータは、古代魔法を扱って冒険者として成長していく。  そして、ソータを崖から突き落とした本当の理由も徐々に判明していくのだった。  それと同時に、ソータを追放したパーティは、本当の力が明るみになっていってしまう。  ソータの支援魔法に頼り切っていたパーティは、C級ダンジョンにも苦戦するのだった……。  他サイトでも掲載しています。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

処理中です...