上 下
74 / 77
ヴィルヘルニア帝国

王太子

しおりを挟む
「出来損ないのお前が、書庫でなんの調べものがあるってんだ?」
「ここは男と逢い引きするための場所じゃねーんだぞ?」
「ハハハッ、ちがいねぇ」

 金糸の刺繍が入った高そうな服を着た男たちが、いきなり話しかけてきたと思ったらキャロをバカにする。

 なんだコイツら、三人とも耳がうさ耳じゃない。兄妹なのに違うのか……?

 こっそり鑑定で確認してみると……。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【獣人族】

 種族 黒豹獣人
 名前 アレク・ヴィルヘルミナ
 力  C/B
 体力 B/B
 魔力 C/B

 獣人の国ヴィルヘルミナ帝国の王太子(第一皇子)

 スキル 魔法剣士

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ほう……豹獣人か、なるほどな。耳が黒い奴が王太子か。一番偉そうにしてるもんな。

 残りの二人は耳が茶色のヒョウ柄だからこいつらも豹獣人だろうな。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【獣人族】

 種族 豹獣人
 名前 ローランド・ヴィルヘルミナ
 力  B/B
 体力 B/A
 魔力 D/C

 獣人の国ヴィルヘルミナ帝国の第二皇子

 スキル 身体強化

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【獣人族】

 種族 黒豹獣人
 名前 ブルーノ・ヴィルヘルミナ
 力  C/B
 体力 D/C
 魔力 B/A

 獣人の国ヴィルヘルミナ帝国の第三皇子

 スキル 炎魔法

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 背が一番でっかくてガタイの良いのが第二皇子で、第三皇子は背が低くてヒョロイ感じだな。メガネかけてインテリっぽいな。

 だけどなんでキャロだけ兎獣人なんだ? 後で聞いてみよう。


「キャロ。お前はここで何をしていたんだ?」

 第一王子の黒豹獣人がキャロを訝しげに見る。
 その表情に萎縮しながらもキャロは返事を返した。

「僕たちは調べ物をしていたんです」
「調べ物ねぇ……」

 嫌味ったらしくテーブルに積み上げていた本を見つめる。

「お兄様たちは何をしに?」
「俺たちはなぁ? お前みたいに好きな事をして遊んでいる訳にはいかねーからな? 国王様からとある国について調べてくれと言われて、ここに資料がないかと探しに来たんだ」

 キャロの質問に対してめんどくさそうに答えを返す黒豹獣人。妹に対してその態度はどうかと思うぜ?
 もっと優しいお兄ちゃんになれねーの?

 俺が呆れたようにキャロたちのやり取りを見ていたら、メガネをかけた豹獣人が声を上げた。

「アアアッアレク兄さん! 本棚の封印が解けてる!」
「え? 封印が!? ブルーノ何言ってるんだよ! あれはどんな解除師が封印を解除しようとしても、出来なかっただろ!?」
「そうだぜ、もう何百年も封印されたままだぞ」

 黒豹獣人たちが慌て出す。

 どうやら琥珀が解除した封印は、かなりやべえ代物だったみたいだな。
 とうの琥珀はというと、ケーキを食べて満足したのか俺の横で気持ちよさそうに寝てるがな。

「あれ、本棚が……ガラガラだ! こんなだった!?」
「いや、ビッシリと本が並べられていたはず」
「なんで……?」

 そう言って三人が俺たちの方に一斉に見た。

「「「その机に乗っている本はここに封印されてた本なのか!?」」」

 豹獣人たちは、息ぴったりに質問してきた。
 気が合うことで。

 



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
★ファンタジーカップ参加作品です。  応援していただけたら執筆の励みになります。 《俺、貸します!》 これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極める話である。(新形式のざまぁもあるよ) ここから、直接ざまぁに入ります。スカッとしたい方は是非! 「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」 この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。 しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。 レベル35と見せかけているが、本当は350。 水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。 あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。 それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。 リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。 その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。 あえなく、追放されてしまう。 しかし、それにより制限の消えたヨシュア。 一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。 その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。 まさに、ヨシュアにとっての天職であった。 自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。 生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。 目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。 元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。 そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。 一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。 ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。 そのときには、もう遅いのであった。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

処理中です...