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エスメラルダ帝国
召喚
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『ええとでちね~? ちょっと待つでち』
琥珀が得意げにタトゥーマシーンの姿に変身した。
『ランドーちゃま。ワレを手に持ち、あの亀を想像するでち!』
亀を想像? この前見た姿を思い出したら良いのか?
琥珀を握りしめ、言われた通りに亀の姿を思い描くと。
「うおっ!?」
タトゥーマシーンから亀が飛び出してきた。
飛び出した亀は、元の大きさの十分の一くらいしかなく少し透け、ふよふよと宙に浮き漂っている。
なんかホログラム映像みたいだな。
『これはまた面白いですね。吸い込んだ召喚獣を呼び出せるのですか。琥珀様は凄いことが出来るのですね』
我路が顎に手を置き、ふむと言った様子で亀を見ている。
『ふっふっふっ。それだけじゃ無いでちよ? 資格がある者には、この聖印を書いて授ける事ができるでち』
琥珀がふんぞり返り、俺をチラチラと見てどうだ? とアピールしてくる。
「えっ? 授けるだと?」
『そうでちよ~! 聖印を授けることが出来る者は、体が光るんでちよ! そう例えばあんな感じで光るでち』
琥珀がそう言って短い腕で、ミントをさした。
見るとミントの脇腹が煌々と輝いている。
「え?」
「何なの?! 僕の体が輝いて?」
ミントも急に体が光りだしたので、戸惑いを隠せないっ……てか、おい琥珀! これってミントにその亀を授ける事が出来るんじゃねーのか!?
『おやぁ。こんな近くに居たでち! 資格がある者でち』
少しドヤりながらミントを見る琥珀。
おやぁ。じゃねーだろ。
この後どうすんだよ。
『ではその子供に、この亀を授けるでち! らんどーちゃま。ワレをあの子供の光っている部分に当てるでち』
琥珀を? ミントの腹に?
俺は言われるままにミントの脇腹に当てがった。
「うわっ!?」
初めは少し強張りビックリしているミントだったが、すぐに柔らかい表情となり、現れていた亀はミントの脇腹へと吸収された。
「すげえな……」
「お兄ちゃんこれって……」
「……聖印だ」
思わずミントの腹を撫でると、ざらつく訳でもなく何の違和感もない。
「くすぐったいよぅ」
「あっごめんな。不思議でさ」
つい夢中で撫ででしまった。
『さぁ少年よ! 亀を召喚するでち!』
「え!? ぼっ僕が!?」
『そうでちよ! 他に誰がいるでち。さあその亀の事を想像するでち。そして浮かんだ言葉を詠唱するでち』
「……言葉? あっうわ目の前に文字が!?」
『それでちよ!』
ゴクリッと唾を飲み込むと、ミントが恐る恐る詠唱をはじめた。
「始原より生まれし大地の子、長き眠りより目覚めよ! タイタン」
詠唱が終わると
目の前に十メートル以上ある大きな亀が現れた。
「ボ……ボクが……召喚」
…………すげえ。
本当に召喚出来ちまった。
『さっこの亀に今から頑張って貰うちよー!』
琥珀が大きな亀の上を、ピョンピョンと器用に登って行く。
その後を稲荷が必死に追いかけて行く。仲が良いなお前ら。
さてと……琥珀のお手並み拝見と行きますか。
★★★
大きな亀の頭上に琥珀と稲荷が乗り、わちゃわちゃと戯れているんだが……。
おいっ。琥珀よ? 遊んでんじゃねーか。
なんかする為に、その亀の上に乗ったんじゃなかったのか?
『高いところは気持ち良いでちね~。景色が最高でちよ』
「キャふふ。わえサイコっ」
…………ほう琥珀よ。わざわざその亀の上に乗ったのは、まさか景色を見るためか?
「あのっ。お兄ちゃん……僕どうしたら……」
ミントがどうしたら良いのか困っている。
だが俺に、何かいい指示ができる訳もなく……まだ召喚獣についてはよく分かってないからな。
『ミント様? タイタンの能力を使われないのですか?』
そんな中、我路がどうしたら良いのか困惑している俺たちの間に入ってきた。
さすが我路。察し能力が天才的。
「え……タイタンの能力?」
『ええ。そのタイタンの大地の能力を使えば、井戸水を綺麗に出来るはずですよ』
この亀にはそんな能力が!? よく知ってるな。さすが我路だ。
「え? 僕にそんな事ができるの?」
ミントも我路に教えてもらい、さらに動揺している。
『ええ。タイタンには、水の浄化や新たな水源の確保も出来るかと。ミント様? 水が欲しいと望んで下さい』
「僕が望む……分かった。ゴクッ」
ミントは大きく深呼吸すると。
「タイタン。近くにある水源を探して!」
亀に向かって叫んだ。
すると亀は『グオオオオオオオッ』と雄叫びをあげた後。ドシンッドシンッとゆっくり歩き出した。
『おおっ動いた! 楽しいでち! 進めでち~!』
「キャふふ!」
琥珀と稲荷が亀の頭上で、楽しそうにピョンピョン飛び跳ねる。
……お前ら何してるんだ。
少し歩くと亀は動きをピタリと止め、地面をスンスンッと匂う様な仕草をしたと思ったら、頭を地面にズボッと潜らせた。
『うわぁ!? 何するでち!』
「うゆ!?」
何するでちじゃないだろう? お前が何してるんだ。というか何がしたいんだ。
琥珀と稲荷が亀の頭から背中へと、わちゃわちゃと慌てて移動している。
ほんと楽しんでるな。お前ら。
つい琥珀たちの方を見入っていたら、亀が地面から頭を出した。
「うお!?」
次の瞬間。亀が潜った穴から水が噴水のように噴き出した!
「みっ水だぁー!」
ミントが噴き出した水に走って行く。
さらには掘建小屋から水の湧き出る音に、なんだなんだと人が出てきて、ワラワラと集まってくる。
「……水が!?」
「神の恩恵か!?」
「ああああっ!」
みんなが歓喜の声をあげて、噴水のように湧き出る水のシャワーを浴びている。
「良かったな。みんな」
亀の力……凄えな。
琥珀が得意げにタトゥーマシーンの姿に変身した。
『ランドーちゃま。ワレを手に持ち、あの亀を想像するでち!』
亀を想像? この前見た姿を思い出したら良いのか?
琥珀を握りしめ、言われた通りに亀の姿を思い描くと。
「うおっ!?」
タトゥーマシーンから亀が飛び出してきた。
飛び出した亀は、元の大きさの十分の一くらいしかなく少し透け、ふよふよと宙に浮き漂っている。
なんかホログラム映像みたいだな。
『これはまた面白いですね。吸い込んだ召喚獣を呼び出せるのですか。琥珀様は凄いことが出来るのですね』
我路が顎に手を置き、ふむと言った様子で亀を見ている。
『ふっふっふっ。それだけじゃ無いでちよ? 資格がある者には、この聖印を書いて授ける事ができるでち』
琥珀がふんぞり返り、俺をチラチラと見てどうだ? とアピールしてくる。
「えっ? 授けるだと?」
『そうでちよ~! 聖印を授けることが出来る者は、体が光るんでちよ! そう例えばあんな感じで光るでち』
琥珀がそう言って短い腕で、ミントをさした。
見るとミントの脇腹が煌々と輝いている。
「え?」
「何なの?! 僕の体が輝いて?」
ミントも急に体が光りだしたので、戸惑いを隠せないっ……てか、おい琥珀! これってミントにその亀を授ける事が出来るんじゃねーのか!?
『おやぁ。こんな近くに居たでち! 資格がある者でち』
少しドヤりながらミントを見る琥珀。
おやぁ。じゃねーだろ。
この後どうすんだよ。
『ではその子供に、この亀を授けるでち! らんどーちゃま。ワレをあの子供の光っている部分に当てるでち』
琥珀を? ミントの腹に?
俺は言われるままにミントの脇腹に当てがった。
「うわっ!?」
初めは少し強張りビックリしているミントだったが、すぐに柔らかい表情となり、現れていた亀はミントの脇腹へと吸収された。
「すげえな……」
「お兄ちゃんこれって……」
「……聖印だ」
思わずミントの腹を撫でると、ざらつく訳でもなく何の違和感もない。
「くすぐったいよぅ」
「あっごめんな。不思議でさ」
つい夢中で撫ででしまった。
『さぁ少年よ! 亀を召喚するでち!』
「え!? ぼっ僕が!?」
『そうでちよ! 他に誰がいるでち。さあその亀の事を想像するでち。そして浮かんだ言葉を詠唱するでち』
「……言葉? あっうわ目の前に文字が!?」
『それでちよ!』
ゴクリッと唾を飲み込むと、ミントが恐る恐る詠唱をはじめた。
「始原より生まれし大地の子、長き眠りより目覚めよ! タイタン」
詠唱が終わると
目の前に十メートル以上ある大きな亀が現れた。
「ボ……ボクが……召喚」
…………すげえ。
本当に召喚出来ちまった。
『さっこの亀に今から頑張って貰うちよー!』
琥珀が大きな亀の上を、ピョンピョンと器用に登って行く。
その後を稲荷が必死に追いかけて行く。仲が良いなお前ら。
さてと……琥珀のお手並み拝見と行きますか。
★★★
大きな亀の頭上に琥珀と稲荷が乗り、わちゃわちゃと戯れているんだが……。
おいっ。琥珀よ? 遊んでんじゃねーか。
なんかする為に、その亀の上に乗ったんじゃなかったのか?
『高いところは気持ち良いでちね~。景色が最高でちよ』
「キャふふ。わえサイコっ」
…………ほう琥珀よ。わざわざその亀の上に乗ったのは、まさか景色を見るためか?
「あのっ。お兄ちゃん……僕どうしたら……」
ミントがどうしたら良いのか困っている。
だが俺に、何かいい指示ができる訳もなく……まだ召喚獣についてはよく分かってないからな。
『ミント様? タイタンの能力を使われないのですか?』
そんな中、我路がどうしたら良いのか困惑している俺たちの間に入ってきた。
さすが我路。察し能力が天才的。
「え……タイタンの能力?」
『ええ。そのタイタンの大地の能力を使えば、井戸水を綺麗に出来るはずですよ』
この亀にはそんな能力が!? よく知ってるな。さすが我路だ。
「え? 僕にそんな事ができるの?」
ミントも我路に教えてもらい、さらに動揺している。
『ええ。タイタンには、水の浄化や新たな水源の確保も出来るかと。ミント様? 水が欲しいと望んで下さい』
「僕が望む……分かった。ゴクッ」
ミントは大きく深呼吸すると。
「タイタン。近くにある水源を探して!」
亀に向かって叫んだ。
すると亀は『グオオオオオオオッ』と雄叫びをあげた後。ドシンッドシンッとゆっくり歩き出した。
『おおっ動いた! 楽しいでち! 進めでち~!』
「キャふふ!」
琥珀と稲荷が亀の頭上で、楽しそうにピョンピョン飛び跳ねる。
……お前ら何してるんだ。
少し歩くと亀は動きをピタリと止め、地面をスンスンッと匂う様な仕草をしたと思ったら、頭を地面にズボッと潜らせた。
『うわぁ!? 何するでち!』
「うゆ!?」
何するでちじゃないだろう? お前が何してるんだ。というか何がしたいんだ。
琥珀と稲荷が亀の頭から背中へと、わちゃわちゃと慌てて移動している。
ほんと楽しんでるな。お前ら。
つい琥珀たちの方を見入っていたら、亀が地面から頭を出した。
「うお!?」
次の瞬間。亀が潜った穴から水が噴水のように噴き出した!
「みっ水だぁー!」
ミントが噴き出した水に走って行く。
さらには掘建小屋から水の湧き出る音に、なんだなんだと人が出てきて、ワラワラと集まってくる。
「……水が!?」
「神の恩恵か!?」
「ああああっ!」
みんなが歓喜の声をあげて、噴水のように湧き出る水のシャワーを浴びている。
「良かったな。みんな」
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