異世界もふもふ召喚士〜俺はポンコツらしいので白虎と幼狐、イケおじ達と共にスローライフがしたいです〜

大福金

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エスメラルダ帝国

神龍召喚!!

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「さぁ大召喚士様、詠唱し神龍を召喚してください」

「……だからな? そんな目で見られても、俺は召喚の仕方が分かんないんだってば」

「またまたご謙遜を。さぁ早く、皆が待ってますよ」

 無理だって、知らねーっていってんのに全く話を聞かねぇ爺さん。
 これどーすんの。俺なんかしないといけないわけ?

 さっき唱えてた厨二病的な言葉も知らねーし。

 魔法ゲームっぽい、それらしいの言ったら良いのか? 
 あんまゲームとかしなかったからなぁ。

 詠唱って……近所のガキが魔法ゴッコとかしてる時に、言ってたやつだよな。
 無理矢理アイツらに付き合わされて、言わされた事もあるから……なんとなくニュアンスは分かるけど……。

 てか、そもそも俺が描いた聖印タトゥーだぜ? それで召喚出来る訳ないと思うんだが……。

 でも、もしかして師匠が描いてくれた神龍ならありえるのか? どうやらここは異世界みたいだし。ゲームでいうチート能力的な? が俺にもあるかもだよな。

 俺が一人どうしようか考えこんでる最中も、周りからの熱い視線が突き刺さる。

 とりあえず何かしないと収まらない感じだな。

 ……はぁ。

「……わかったよ。希望に添えなくても知らねーからな?」

 ———いくぞ?

 俺は先ほどの子供と同じ様に、両手を天にかざしそれっぽい詠唱を言ってみる。

「地の底に眠りし聖なる神龍よ、古の眠り覚ましその使命を果たせ。目覚めよ神龍!」




 ん?




 …………全く何も起きねぇな。





 コレじゃダメか? ならもういっちょ。

「魔空の時に生まれし蒼き龍よ。現世の光を力にし我が力とならん。力を貸してくれ神龍!!」



「「「「「・・・・・・」」」」」」


 適当に作った詠唱で、神龍が現れる訳もなく。
 広い空間に、俺の恥ずかしい詠唱の声だけが響き渡る。


「んん? あれっ、おっかしいなぁ?」

 なにも出てこないから、少し怪しんだ目で俺を見ているのが分かる。
 やっぱ適当にそれっぽい事を言ったんじゃダメか。

 ここは異世界とやらだしさ? 
 もしかしてチート能力発動とかの力でさ? 
 自分で描いた模様もいけるんじゃねぇ? 

 ……なんて、ちょっとだけ期待しちゃったじゃねーか!!

 なのにさ!

 ただただ恥ずかしいセリフを大声で言わされただけじゃん。

 やだっ! 思い出すだけで恥ずかしい!
 
 出来ることならこの場から立ち去りたい。

「あのう……大召喚士様。ふざけてないで、早く神龍を召喚してくれないですか?」

 痺れを切らした白ひげ爺さんが、早く神龍を召喚しろと少しイラつき気味に言ってきた。

「あのさ? ふざけてる訳じゃなくて、俺は召喚とかできねーよ。だってさ? この体に描かれた模様は全て自分で描いたんだからな、あっ背中の神龍ちゃんは師匠の作品だけどな」

「ふぇ!? 今なんと?」

 俺の話を聞いた爺さんが固まる。

「だーかーらー! この体に描かれている模様は聖印とやらではなくてだな? 自分で描いたの! タトゥー・・・・だよ! タ・ト・ゥー分かる?」

「「「「えーーーっ!!」」」」

 俺がそう言うと、爺さんは膝から崩れ落ちヘナヘナとその場に座り込む。周りの奴らは目をこれでもかと見開き、ワナワナと体を震わせている。

「ああっ! なんたる事! 自分で聖印を描くなんて神への冒涜だ! 我らはなんて奴を異世界から呼び寄せてしまったんだ」

 いやいや爺さんよ? そっちが勝手に呼んどいてそれは酷くないか? 
 爺さんの声を皮切りに、俺を囲っていた男たちが一斉にぎゃあぎゃあと騒ぎ出す。

「何だって!? 自分で描いただと!?」
「じゃあ大召喚士様でも何でもないじゃねーか! 偽物ポンコツを異世界から呼び寄せてしまった」
「ああああああっなんたる事だ!」
偽物ポンコツを呼び寄せるのに、どれだけのにえを使ったと思ってるんだ」

 おいおい……あのなぁ? 俺は来たくてこの世界に来た訳じゃねーんだぞ? 

 ポンコツポンコツ言うんならな? とっとと元の世界に帰してくれ!

「落ち込むのはまだ早い、もう一人召喚しているではありませんか!」

 誰かがもう一人いるぞと、俺の横にいた男を引っ張り立たせる。

 横に立っている男は、急に自分が話題の中心になり、困惑しているのが分かる。

「えっ!? ちょっ待って下さい! 何するんですか!」

 三人のジーさん達が男に集まり服を脱げ脱げと迫っている。
 とうとう無理やり服を脱がせようとしている。正直見てて良いもんじゃない。

「あははっ、何やってるんだよ」

 思わず笑ってしまったが、パンイチ姿にされた男の体には腹の辺りに亀? 太ももに狼の様な獣、そして胸の辺りに鳥のタトゥー……じゃなくて聖印が描かれていた。

「えっ!? 私の体に模様が!? いつの間に!? なんだこれは!?」

 男は驚き、自分の体に触れると、描かれた聖印を不思議そうに見ている。

 どうやらこの男も、初めて気付いたみたいだな。って事は俺みたいに自分で絵をいれてないって事だよな。

「おおおっ、聖印が三紋も入っている!」
「素晴らしい!」
「なんと見事な聖印」
「良かった……こちらが本物でしたか」

 男を祭りあげ、大喜びするエスメラルダ帝国の奴ら。俺の存在なんて初めから無かったかのように……無視して。

 本物が登場ですか、もう偽物ポンコツにようは無い感じだな。
 でもな? そいつだって召喚の仕方は分からないと思うぞ? 

 だってさ? そいつだってなんて詠唱したら召喚獣が現れるとか、俺と一緒で知らないだろうからな。
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