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王子たちの願い
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「お願いっていうのはさ……?」
サミュエルが少し頬を染め、言葉を詰まらせる。
そんな姿を見てアルビダは、顎に手を置き『?』となりながらも次の言葉を待つ。
「せっかく仲良くなれたんだし、僕たちと一緒に図書室で勉強会をしないかい? っと思ってね」
サミュエルが言いかけた続きをデービットが話す。さすが双子だけあって息がピッタリである。
「勉強会ですか?」
———確かにこの前行った王宮図書室は、見たこともない珍しい本がたくさんあって、とても魅力的でした。あの時はゆっくり本を見れなかったので、そこで勉強できるなら……。
二人の提案にアルビダは瞳を輝かせた。
「それはぜひ行ってみたいのですが、お父様の了承がないと無理ですわ」
「そうだよね。それはすでに了承済みさ」
サミュエルが得意げにそう言って話す。
〝本当は僕かデービットの婚約者になってほしいとお願いしたんだが断られてしまった〟
「え?!」
———今婚約を断られてって心の声が聞こえたような……さすがにこれは気のせいですよね。
「「え?」」
アルビダは心の声に驚き、思わず声が出たんだが。その声を真似るように、二人も同じように驚く。
「もしかして……無理やり過ぎたかな?」
サミュエルがそういうと。
「アルビダ嬢の意見を聞いてからにしたら良かったかな」
とデービットが続ける。
アルビダの意見も聞かずに、先に父に了承を得た事が嫌だったのではと、二人は少し不安げだ。
「いいえ、それはとても有り難いですわ。お父様の了承があるのなら、ぜひよろしくお願いいたします」
アルビダはそう言って頭を下げた。
「やったー! じゃあ、早速なんだけど明後日から勉強会しないかい? お昼に迎えの馬車を向かわせるね」
サミュエルがアルビダに手を出し握手を求める。
アルビダはその手を握りかえし、「はい、よろしくお願いします」と返事を返した。
そんな二人を見てデービットは「ちょっ、二人で何してんのさ、僕も混ぜてね」と言い二人の上から手を置いた。
———ふふふ、急ではありますが、楽しみですわ。
二人のやり取りにほっこりし、アルビダは笑顔がほころぶのだった。
★★★
side サミュエル
小さな頃は神童なんて呼ばれていた時期もあった。
僕は何をやっても人より早く習得できる。
だがそれに調子にのっていたわけでもない。
ちゃんと努力をしていた。
人よりも努力の成果が出やすいから、努力していないと思われやっかまれることも多々あった。
そんな時。いつも僕を庇ってくれたのは、半身であるデービットだった。
デービットさえ僕のことを認めてくれれば、それで良かった。
だが……ある日から僕の日常は一変した。
———謎の病が僕の体を蝕んだ。
いつ起こるかわからない発作が怖くて、まともな日常が送れない日々が続く。
そんな僕をデービットは変わらず接してくれた。
僕はデービットの影になろうとこの時に決めた。
出来ることを勉強し吸収した。発作がいつ起こるか分からないから公の場に出ることは、避けた。
デービットと僕が半身だと知るものは、時が経つにつれ少なくなっていった。
でもこれで良いと思っていた。
だって何年たっても……この発作は治らないんんだから。
どんな有能な治癒師でも治すことは無理だった。
だから……僕は自分の人生は諦めていた。
せめてデービットの補助に回ろうと。
頑張って明るく振舞っていたんだ。
それができない時は僕だけの秘密の場所で一人でいた。
ある日その場所に不思議な少女がいた。
———君は誰?
派手な見た目のせいもあり、僕に媚を売る人をいっぱい見てきたが、彼女はそのどれとも違った。
なんなら初めて会ったのに……一緒にいる時間が心地よい。
発作だってもっと長く続くはずなのに、彼女と会った日はすぐに落ち着いた。
こんなことは初めてだった。
———もしかして彼女は天使なのだろうか?
そう思ってしまう程に不思議な少女だった。
———その少女の名は【アルビダ】この名前は絶対忘れないだろう。
また会いたいと思った。こんな気持ち初めてだった。
再会はすぐに訪れた。
アルビダ嬢が王宮図書室に訪れているのを見かけた。
僕の心臓が早鐘を打つ。
気がついたら僕はアルビダ嬢を追いかけていた。
———え……僕に会うために来てくれた?
その言葉を聞いた僕は嬉しくて顔が綻ぶのを抑えることができなかった。
嬉しくて、僕の特別な場所に案内した。
この場所は半身であるデービットでさえ入ったことのない場所。
だって二人でゆっくり話がしたかったんだ。
こんな気持ちは初めてだ。
なのに最悪のタイミングで発作が起こった。
この時ほど発作のことを悔やんだことはない。
だが……アルビダ嬢が僕のためにしてくれたことは……。
桁違いだった。
何年も……何年も……僕を悩ませ続けてきた。発作を治してくれた。
しかもこれが呪いだと。
教えてくれた。
その呪いの原因も全て……解消してくれた。
いつか死ぬと思っていたこの命。
アルビダ嬢が新しい命を注ぎ込んでくれた。
僕に未来を照らしてくれた天使アルビダ嬢。
僕はこのさき……君のために何を返したらいい?
僕の一生を君のために……。
サミュエルが少し頬を染め、言葉を詰まらせる。
そんな姿を見てアルビダは、顎に手を置き『?』となりながらも次の言葉を待つ。
「せっかく仲良くなれたんだし、僕たちと一緒に図書室で勉強会をしないかい? っと思ってね」
サミュエルが言いかけた続きをデービットが話す。さすが双子だけあって息がピッタリである。
「勉強会ですか?」
———確かにこの前行った王宮図書室は、見たこともない珍しい本がたくさんあって、とても魅力的でした。あの時はゆっくり本を見れなかったので、そこで勉強できるなら……。
二人の提案にアルビダは瞳を輝かせた。
「それはぜひ行ってみたいのですが、お父様の了承がないと無理ですわ」
「そうだよね。それはすでに了承済みさ」
サミュエルが得意げにそう言って話す。
〝本当は僕かデービットの婚約者になってほしいとお願いしたんだが断られてしまった〟
「え?!」
———今婚約を断られてって心の声が聞こえたような……さすがにこれは気のせいですよね。
「「え?」」
アルビダは心の声に驚き、思わず声が出たんだが。その声を真似るように、二人も同じように驚く。
「もしかして……無理やり過ぎたかな?」
サミュエルがそういうと。
「アルビダ嬢の意見を聞いてからにしたら良かったかな」
とデービットが続ける。
アルビダの意見も聞かずに、先に父に了承を得た事が嫌だったのではと、二人は少し不安げだ。
「いいえ、それはとても有り難いですわ。お父様の了承があるのなら、ぜひよろしくお願いいたします」
アルビダはそう言って頭を下げた。
「やったー! じゃあ、早速なんだけど明後日から勉強会しないかい? お昼に迎えの馬車を向かわせるね」
サミュエルがアルビダに手を出し握手を求める。
アルビダはその手を握りかえし、「はい、よろしくお願いします」と返事を返した。
そんな二人を見てデービットは「ちょっ、二人で何してんのさ、僕も混ぜてね」と言い二人の上から手を置いた。
———ふふふ、急ではありますが、楽しみですわ。
二人のやり取りにほっこりし、アルビダは笑顔がほころぶのだった。
★★★
side サミュエル
小さな頃は神童なんて呼ばれていた時期もあった。
僕は何をやっても人より早く習得できる。
だがそれに調子にのっていたわけでもない。
ちゃんと努力をしていた。
人よりも努力の成果が出やすいから、努力していないと思われやっかまれることも多々あった。
そんな時。いつも僕を庇ってくれたのは、半身であるデービットだった。
デービットさえ僕のことを認めてくれれば、それで良かった。
だが……ある日から僕の日常は一変した。
———謎の病が僕の体を蝕んだ。
いつ起こるかわからない発作が怖くて、まともな日常が送れない日々が続く。
そんな僕をデービットは変わらず接してくれた。
僕はデービットの影になろうとこの時に決めた。
出来ることを勉強し吸収した。発作がいつ起こるか分からないから公の場に出ることは、避けた。
デービットと僕が半身だと知るものは、時が経つにつれ少なくなっていった。
でもこれで良いと思っていた。
だって何年たっても……この発作は治らないんんだから。
どんな有能な治癒師でも治すことは無理だった。
だから……僕は自分の人生は諦めていた。
せめてデービットの補助に回ろうと。
頑張って明るく振舞っていたんだ。
それができない時は僕だけの秘密の場所で一人でいた。
ある日その場所に不思議な少女がいた。
———君は誰?
派手な見た目のせいもあり、僕に媚を売る人をいっぱい見てきたが、彼女はそのどれとも違った。
なんなら初めて会ったのに……一緒にいる時間が心地よい。
発作だってもっと長く続くはずなのに、彼女と会った日はすぐに落ち着いた。
こんなことは初めてだった。
———もしかして彼女は天使なのだろうか?
そう思ってしまう程に不思議な少女だった。
———その少女の名は【アルビダ】この名前は絶対忘れないだろう。
また会いたいと思った。こんな気持ち初めてだった。
再会はすぐに訪れた。
アルビダ嬢が王宮図書室に訪れているのを見かけた。
僕の心臓が早鐘を打つ。
気がついたら僕はアルビダ嬢を追いかけていた。
———え……僕に会うために来てくれた?
その言葉を聞いた僕は嬉しくて顔が綻ぶのを抑えることができなかった。
嬉しくて、僕の特別な場所に案内した。
この場所は半身であるデービットでさえ入ったことのない場所。
だって二人でゆっくり話がしたかったんだ。
こんな気持ちは初めてだ。
なのに最悪のタイミングで発作が起こった。
この時ほど発作のことを悔やんだことはない。
だが……アルビダ嬢が僕のためにしてくれたことは……。
桁違いだった。
何年も……何年も……僕を悩ませ続けてきた。発作を治してくれた。
しかもこれが呪いだと。
教えてくれた。
その呪いの原因も全て……解消してくれた。
いつか死ぬと思っていたこの命。
アルビダ嬢が新しい命を注ぎ込んでくれた。
僕に未来を照らしてくれた天使アルビダ嬢。
僕はこのさき……君のために何を返したらいい?
僕の一生を君のために……。
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