世界の終焉

ぴんくじん

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病院

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絶対に答えを出さないといけない職業がある。それは医者だ。

体に異変が起きていることは認知しているのだが、何がどのようになって結果このようになっているというメカニズムは理解し難い。

体に異変が起きているのだが、メカニズムを知れず、結果だけ現れているのは、妙に気持ちの悪いものだ。

ある日のこと。僕は、南行徳の駅前でスキップをしていたんだ。

綺麗なハートの形をした落ち葉を拾ったからね。

これまでにもハート型の落ち葉を拾ってはいたのだが、欠けて半ケツになっていたり、土手っ腹に穴が空いていたりと海千山千の政治家のようなハートばかりだった。

それが、僕は出逢ってしまった。純麗なハートに。思わず天に向かって「マリア様、こんなところにハート落としてますよ」と呟いていた。

僕はマリハートの匂いのすべてを逃すまいと、全力で鼻で吸引した後、おもむろにズボンを緩め、三日間洗っていないパンツの中へと滑り込ませた。

そして、マリアを股間に感じながらスキップをしていたその時だ。

スキップのップ辺りで、右足に激痛が走った。

痛い。通り魔的にハンマーで叩かれたような痛さだ。マリオの残忍さが手に取るように分かる。

それから一週間、右足の痛みが続いた。右足の痛みで何度も夜中に目が覚めるし、数センチのわずかな段差を上がるのにも数分かかるぐらいに自由が効かないので、家から出られず、ご飯は銀のさらのデリバリーを頼むことになり、お金も消えていく。

仕方なく、親に相談をした。足を痛めて、ゾンビのような歩き方をしていること。amazonで杖の購入を考えていること。銀のさらがとても美味しいこと。
すると親が一言。「いや、病院行けよ」なるほど!そういう選択もあるのねという思いに至り、次の日病院に行った。

少々待たされ(待っている間、僕の横に座っていたおばあちゃんに「ちょっとわしトイレ行ってくるから。お兄さん!わしが呼ばれたらトイレに行ってるって言っといてくれ」って言われたけど、名前知らないのよね。僕の前に呼ばれた数人のうちの誰かだったのかな?)

僕の名前が呼ばれ、診察室の中に入り、医者とご対面。

まず思った。この医者大丈夫かな?と。

人間というのは、髪の流れがある。右流れ、左流れ、人それぞれだ。大体の人間が一定の髪の流れを遵守しているが、ごく稀に髪の流れがごちゃごちゃな人がいる。

理由は特にないのだが、感覚的に僕は、髪の流れが一定ではない人間を胡散臭いと思ってしまうところがある。

眼前の医者がそれだった。前髪は右流れなのに、他は左に流れている。おや?大丈夫なのかい?診断前から嫌な予感がしていた。

そして、痛みの詳細を述べ、レントゲン写真を撮り、医者の答えを待った。

しかし、待てども待てども医者が口を開こうとしない。首を傾げている。

「あの~、どうだったんですか」僕から水を向けてみた。

すると医者が絞り出すように言った

「いや...あのね...なんか気持ち悪いんだよね」

は?僕の耳がおかしくなったのか?

「いやね、なんだろう原因が見当たらなくてね、なんか気持ち悪いんだよね」

僕の耳は正常だった。此奴目、なんか気持ち悪いと言ったな。医者がそんなに曖昧な表現を使っていいのか。曖昧な表現を使うにしても、もっと言葉があるだろう。

僕が唖然というよりも、慄然としていると、医者が提案する。

「反射を調べてみましょう。レントゲン写真では、原因は見当たらないので」

反射を調べるというのは、脚気の検査だ。腱を棒で叩くと、普通は関節がビクッと素早く反応するらしい。

「わかりました。やりましょう」

これで、原因が分かるかも知れない。藁にもすがる思いだった。

トン、一叩き。まったく何も反応しない。
トン、二叩き。まったく何も反応しない。
トン、三叩き目ぐらいで、医者が呟きだした。

「おかしい...反応なしだと...なんか気持ち悪い」

また言ったぞ。おい!このタケノコ医者が!と心の中で咆哮しながらも、なにかしらの診断名を貰えないとせっかく病院に来た意味がないし、親の金だから後で報告しないといけないしというジレンマを抱えながら

「もう一回やってみてください。次はさぞかし足ピーンなるでしょうよ」

トン、今だ!足をピーンと上げたのだが、勢いが余りすぎて、医者の腕を蹴ってしまい、医者の持っていた棒が宙を舞い、地面に転がった。

宛らそれはリングにタオルが投げ入れられた光景のようだったという。

僕は最後の力を振り絞り、医者に聞いた。

「僕の症状はなんなんですか」

医者は地面に転がっている棒を見つめながら呟いた。

「なんか気持ち悪いんだよなぁ...」

診断名:なんか気持ち悪い

この病気知っている人いましたら、教えてください。
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