世界の終焉

ぴんくじん

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常識

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他人に優しくしましょう。動物にも優しくしましょう。植物にも優しくしましょう。

小さい時に全ての人間が習う常識だ。

3×3=9よりも大事な常識であり、それよりも知名度がある常識だ。

しかし、人間が成長していくにつれ、優しさの常識が変わっていく。

他人に優しい人間は、優柔不断な人間、気が弱い人間、人生の辛さを知らない薄い人間とか言われる。

動物に優しい人間、植物に優しい人間なんかは変態扱いだ。

歳を取るにつれ、優しさとは良い感情ではないことを知っていく。

常識なんてものは、ギャルのファッションの流行と同じで、すぐに変化するんだ。

「それはなんだね」

「野球ボールです」

「いや違うのではないか」

「サッカーボールでした」

「いや違うのではないか」

「テニスボールでした」

「いや違う。それは生首だろう」

「ハハ、そんなことがありますか」

「あるだろう。君もあれだろう」

「ハハ、そうですよね。あれですよね」

「さてはお主、人間好きだな?ワシも大好きでな。苦味のあるドロっとしたゼラチン質なやつがな。もう止められん」

「そうなんですか?僕も人間大好きなんです。これもさっきスーパーで買ってきたんですけどね」

「おおう、〇〇スーパーか?そういえば今週は人間が安売りしているとチラシに大きく載っていたな」

「そうです。僕も買い占めたかったんですけどね、一人一個までだったからこいつだけです買えたの」

「ワシも後で買いに行くとしよう。しかしな、まさか食用の人間がこの世に生まれるなんて思いもしなかった」

「本当です。食用の人間と言っても普通の外見の人間じゃないですか?僕は絶対食べることはないと思ってましたよ」

「ワシもだ」

「ですが、今や人間を食べない生活なんて考えられません。人間は人間を食べてはならないという常識なんてもの、もはや脳みその端のシワシワの部分を探しても見当たらないですよ」

「ワシもだ。だがな、今は人間は人間を食べることが常識なのだ。人間は人間を食べてはならないというのは、もう常識ではないのだよ」
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