12 / 14
第十一話 悪夢の中へ
しおりを挟む
今日3回目のリハビリが終わり、晩御飯までの自由時間が出来た。
ここから彼女に会うための作戦開始だ。
先に言った通り俺は睡眠麻痺を持っている。
入眠時幻覚やいわゆる金縛りは、毎日とまでは言わないが不定期にやってくる。
俺に出来るのは意識してこれらを発生させ、夢と現実の境目に長時間滞在する事ぐらいだ。
分の悪い賭けなのはわかっているが、唯一俺が出来る事だから仕方ない。
その為に俺はまず昼寝をとった。
睡眠バランスを崩して夜の睡眠の質を落とし、なるべく長く睡眠障害を起こす為だ。
そうして昼寝を取った後、身体と頭のバランスも崩す為、消灯まで身体を動かし疲労を溜めた。
あとはなるべく何も考えず眠れば良いだけだ。
眠いけど眠れない。眠れないけど眠ってしまう。
その状態に持ち込めばもしかしたら……
俺は人気のない真っ暗な部屋でそっと目をつぶった。
…
……
………
何か嫌な声が聞こえてくる。
…
……
………
身体が何かの奥底に引きずり込まれる。
…
……
………
色々な妄想が襲ってくる。
歪な悪夢を見せられている。息が苦しい、
これは…完全に境目に入った。
よし。ここからが本番だ。
俺はおぞましいモノに包まれながら彼女の声を探す、姿を探す、気配を探る。
悪夢が俺の耳を遮る。集中を乱す。目の前が暗くなる。
時間はそれほど残っていない。
俺は必死に彼女を探す。
…………あっ。
雑音の中、微かに少女の泣いている声が聞こえた。
――どこだ。どこだ。どこだ。
泣き声のする場所を必死で探す。
……そこか!
遠くに僅かな光が見える。
間違いない。光の向こうに彼女がいる!
俺は光の中に飛び込もうとするが、身体は動かない。動かし方を知らない。
しかし、それでも俺は諦めない。
そして、試行錯誤を繰り返して、少しずつ移動の仕方がわかってきた。
光が大きくなっていく。
ようやく彼女に会える。
早く会いたい。
彼女に会って俺は……!
…………
光の中に飛び込んだ時、俺の視界に入ったのは知らない病院の病室、そしてベッドで寝ている彼女だった。
ここから彼女に会うための作戦開始だ。
先に言った通り俺は睡眠麻痺を持っている。
入眠時幻覚やいわゆる金縛りは、毎日とまでは言わないが不定期にやってくる。
俺に出来るのは意識してこれらを発生させ、夢と現実の境目に長時間滞在する事ぐらいだ。
分の悪い賭けなのはわかっているが、唯一俺が出来る事だから仕方ない。
その為に俺はまず昼寝をとった。
睡眠バランスを崩して夜の睡眠の質を落とし、なるべく長く睡眠障害を起こす為だ。
そうして昼寝を取った後、身体と頭のバランスも崩す為、消灯まで身体を動かし疲労を溜めた。
あとはなるべく何も考えず眠れば良いだけだ。
眠いけど眠れない。眠れないけど眠ってしまう。
その状態に持ち込めばもしかしたら……
俺は人気のない真っ暗な部屋でそっと目をつぶった。
…
……
………
何か嫌な声が聞こえてくる。
…
……
………
身体が何かの奥底に引きずり込まれる。
…
……
………
色々な妄想が襲ってくる。
歪な悪夢を見せられている。息が苦しい、
これは…完全に境目に入った。
よし。ここからが本番だ。
俺はおぞましいモノに包まれながら彼女の声を探す、姿を探す、気配を探る。
悪夢が俺の耳を遮る。集中を乱す。目の前が暗くなる。
時間はそれほど残っていない。
俺は必死に彼女を探す。
…………あっ。
雑音の中、微かに少女の泣いている声が聞こえた。
――どこだ。どこだ。どこだ。
泣き声のする場所を必死で探す。
……そこか!
遠くに僅かな光が見える。
間違いない。光の向こうに彼女がいる!
俺は光の中に飛び込もうとするが、身体は動かない。動かし方を知らない。
しかし、それでも俺は諦めない。
そして、試行錯誤を繰り返して、少しずつ移動の仕方がわかってきた。
光が大きくなっていく。
ようやく彼女に会える。
早く会いたい。
彼女に会って俺は……!
…………
光の中に飛び込んだ時、俺の視界に入ったのは知らない病院の病室、そしてベッドで寝ている彼女だった。
1
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【ショートショート】おやすみ
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる