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第20話 これが決勝戦なんだ。凄いね!
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「うわぁっ!」
いつもとは違う”熱気”に思わず知奈は声をあげた。
開かれた幕の向こうからは、いつもより多くの観客と拍手や声援、そして高揚感で溢れていた。
準決勝までとは少し違った雰囲気で、新鮮ですらあった。これがゴールデンタイム、生中継の力なんだろう。
「これが決勝戦なんだ。凄いね!」
一方、みぅや同好会メンバーはいつもと違った雰囲気に気圧されて流石に少しおどおどしている。しかし、渡辺会長と内海さんはいつものあやしい笑みを絶やさない。
この度胸と自信はどこから来るのだろう。本当に凄い二人だなと知奈は思った。
* * *
『さぁ、それでは各チームへの応援VTRを見ていただきましょう! どうぞー!』
各チームの簡単な紹介の後、会場にある多数の大型ビジョンから最終日用の特別応援VTRが流れ始めた。
「そっか。お店でもVTR収録したって言ってたな。完全にムービーの事忘れてたわ」
ねいねは撮影には一切参加しておらず、当然内容についても知らされていない。
どんなのが流れてくるんだろう。と知奈はワクワクしてきた。
…………
いかにも企業っぽい雰囲気で応援アピールしてくるホソダとコマス。
一方、お店同様に格調高い映画のような映像を見せつけるフィフネル。
そしてロボットアニメ同好会は、水道橋大学の学生や学長の応援から始まり、エンジェル・ハイロゥのスタッフや常連客からの声援といういかにも学生らしい緩い感じで進んでいく。
(こういう演出はインターハイでは無かったから嬉しいな)
と、ねいねはニコニコしながら各チームの応援VTRを見ていたが、その直後、心臓が飛び出そうな映像を見る事になる。
「!?」
ビジョンに映ったのは見慣れた景色。液体の入った大きなカプセルとその中にいる二次元の男性。
「えっ!? 嘘っ! 嘘っ!!?」
そして、その男性は少し間をおいて喋り始めた。
「Vチューバーのほづみ・パトラクシェです。ねいねさん。決勝戦、頑張って下さいね」
その後すぐにカットが変わり他の映像が流れるが、知奈は今、目の前で起こった事が信じられない。
(これは一体……!)
ほづみ君はどうやって応援メッセージを送ったのか。そもそも何でこんな事が起こったのか。知奈がその答を必死で考えてる時、横から視線を感じた。
(……へ?)
視線をそこへ向けると、少し離れた所で”してやったり”とニヤニヤしている伊集院まりぃがいた。
「まりぃさん…… ハッ!」
そのいたずらっ子のような目を見て、知奈は全てを理解した。
お店に凸して全ての事情を知ったまりぃはすぐにTV局に連絡を取り、ほづみに応援メッセージを依頼させてそれをそのままTVで流させたのだと。
フィフネル参戦の時もそうだったけど、伊集院家の力とまりぃさんの即断即決、即実行は凄すぎて恐ろしさすら感じてくる。
(しかし、そのまりぃさんの気持ちがとにかく嬉しい)
これは、推しの最後の配信がリアルタイムで見れない私への労いであり、サプライズプレゼントであり、叱咤激励でもある。
「まいったな。ここまでされたら……」
――私は更に頑張らないといけなくなった。
『ねいねさん。それでは決勝戦へ向けての意気込みをお願いします!』
そこへインタビュアーからマイクが向けられる。
「はいっ!私を応援してくれる皆さんの為にも全身全霊で戦ってベストを尽くします。どうぞ私を見ててください!」
観客からは大きな歓声と拍手が巻き起こった。
そして、全てを吹っ切った知奈の満面の笑顔と声に、同好会やみぅ、そして伊集院まりぃは安堵していた。
やっぱり我らが天使は笑顔が一番なのだから。
いつもとは違う”熱気”に思わず知奈は声をあげた。
開かれた幕の向こうからは、いつもより多くの観客と拍手や声援、そして高揚感で溢れていた。
準決勝までとは少し違った雰囲気で、新鮮ですらあった。これがゴールデンタイム、生中継の力なんだろう。
「これが決勝戦なんだ。凄いね!」
一方、みぅや同好会メンバーはいつもと違った雰囲気に気圧されて流石に少しおどおどしている。しかし、渡辺会長と内海さんはいつものあやしい笑みを絶やさない。
この度胸と自信はどこから来るのだろう。本当に凄い二人だなと知奈は思った。
* * *
『さぁ、それでは各チームへの応援VTRを見ていただきましょう! どうぞー!』
各チームの簡単な紹介の後、会場にある多数の大型ビジョンから最終日用の特別応援VTRが流れ始めた。
「そっか。お店でもVTR収録したって言ってたな。完全にムービーの事忘れてたわ」
ねいねは撮影には一切参加しておらず、当然内容についても知らされていない。
どんなのが流れてくるんだろう。と知奈はワクワクしてきた。
…………
いかにも企業っぽい雰囲気で応援アピールしてくるホソダとコマス。
一方、お店同様に格調高い映画のような映像を見せつけるフィフネル。
そしてロボットアニメ同好会は、水道橋大学の学生や学長の応援から始まり、エンジェル・ハイロゥのスタッフや常連客からの声援といういかにも学生らしい緩い感じで進んでいく。
(こういう演出はインターハイでは無かったから嬉しいな)
と、ねいねはニコニコしながら各チームの応援VTRを見ていたが、その直後、心臓が飛び出そうな映像を見る事になる。
「!?」
ビジョンに映ったのは見慣れた景色。液体の入った大きなカプセルとその中にいる二次元の男性。
「えっ!? 嘘っ! 嘘っ!!?」
そして、その男性は少し間をおいて喋り始めた。
「Vチューバーのほづみ・パトラクシェです。ねいねさん。決勝戦、頑張って下さいね」
その後すぐにカットが変わり他の映像が流れるが、知奈は今、目の前で起こった事が信じられない。
(これは一体……!)
ほづみ君はどうやって応援メッセージを送ったのか。そもそも何でこんな事が起こったのか。知奈がその答を必死で考えてる時、横から視線を感じた。
(……へ?)
視線をそこへ向けると、少し離れた所で”してやったり”とニヤニヤしている伊集院まりぃがいた。
「まりぃさん…… ハッ!」
そのいたずらっ子のような目を見て、知奈は全てを理解した。
お店に凸して全ての事情を知ったまりぃはすぐにTV局に連絡を取り、ほづみに応援メッセージを依頼させてそれをそのままTVで流させたのだと。
フィフネル参戦の時もそうだったけど、伊集院家の力とまりぃさんの即断即決、即実行は凄すぎて恐ろしさすら感じてくる。
(しかし、そのまりぃさんの気持ちがとにかく嬉しい)
これは、推しの最後の配信がリアルタイムで見れない私への労いであり、サプライズプレゼントであり、叱咤激励でもある。
「まいったな。ここまでされたら……」
――私は更に頑張らないといけなくなった。
『ねいねさん。それでは決勝戦へ向けての意気込みをお願いします!』
そこへインタビュアーからマイクが向けられる。
「はいっ!私を応援してくれる皆さんの為にも全身全霊で戦ってベストを尽くします。どうぞ私を見ててください!」
観客からは大きな歓声と拍手が巻き起こった。
そして、全てを吹っ切った知奈の満面の笑顔と声に、同好会やみぅ、そして伊集院まりぃは安堵していた。
やっぱり我らが天使は笑顔が一番なのだから。
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