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黒幕の内
109話 超熟
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「や、めろぉおおお! 俺は、ここの教員だぁぁ……決して、怪しいものじゃなぁい!!」
「黙れ! 貴様のような、ふっくら股間をした輩は、それ絶対に怪しい奴だぁ!」
「ご飯みたいに言うんじゃねぇよ!!」
グゼンと警備員がくんずほぐれつ、やっていた。
今のグゼンは戦士ではなく、いち教員である。
当然ながらスキルブックは使えない……。
使えない? それって……俺たちにとってかなり不味い状況なのでは…………。
気づいてしまった、大問題。
試しに本を取り出そうとしても無反応だ。
この状態のままで、俺たちはマーダと戦わなければならないとなると勝機は、まったく無いんじゃないかと弱気になってしまう。
と、とにかく……パンのままではラチが空かない。
自由が利く手足が必要だ。
「さぁーて、ことはオマエの目論見通りにいくかな? マイトぉぉおお」
近くを横切るサトランが振り向きざまに、ニタァと笑った。
ハンバーガーショップのクルーとして、それをやったら間違いなく、子供が泣き出す。
断じて! 店員ではない……クルーだ。
たとえそれがタイタニック号であろうとも、氷山の一角に乗り上げるだけだ。
沈むときは皆同時だ。
ゆえにクルー、一人のミスは全員のミス。
「とりあえず沈んでおけ」と言わんばかりの連帯感が必要とされている。
「ああ、もう……メンドクサッ! やっぱ、このパン……そこら辺のゴミ箱に捨てておくべきだわ」
早速、協調性のない言葉が飛んできた。
ギャルのリンにとってパンなどは素朴でダサく感じるのであろう。
手にしているだけでも嫌そうだ。
カラスと同じく、キラキラした物が好きなのだろう? もっとファッショナブルに着飾るコーデをチョイスしないと飽きられてしまう。
「ラッキー! ゴミ箱発見」
『メ、メイビスさぁぁああああ――――ん』
またしても、ハウスキーパーな魔王に救いを求めることしか出来なかった。
いくら土がついていても、食品のまま女子に嫌がられたままで終わるなんて、最悪すぎる。
どうせ、嫌われるのなら、せめて人として……助兵衛のままメイビスアイ(ゴミ虫を見るような視線)に悩殺されながら、熟成してゆきたい。
人生の発酵により、俺はより味わい深い存在となるだろう。
間違えても、腐らなければ俺は『超熟』となる。
『用がないので呼ばないで頂けますでしょうか……』
『すんげぇー、早くも拒否ってる! いや、俺……今のままだとゴミ箱行き確定なんすけど!』
『元々、ゴミだったのに、何を今更。はぁ~……もう呼ばれたくないので解決方法を教えます。マイト様、貴方のスキルブックには我々と同じく魔王の力が宿っています』
『それが……今、別のスキルブックの能力によって自分のスキルブックにロックがかかっている状況なんだ。つまり使用できないわけ』
『ならば、余計に好都合ですよ。スキルブックという枷が外れている以上、魔王の魔力をマイト様自身が吸収するのです。パンである以上吸収するのは、得意でしょう?』
『なるほど!』などと言いつつも、内心では何がなんだか……釈然としねぇー。
よく理解していないのに、口裏を合わせるなと爺ちゃんによく注意されたっけ。
まぁ、それとなく察しているように見せかけるのも、デキル男の条件さ。
とりあえず、魔法はイメージだ。イメージを膨らませればそれだけで頑張った気になれる。
変化? あるわけねぇだろう。想像しただけで魔法が使えるのは、元から魔法が使えるヤツだけだ。
チクショウ……俺には春のパン祭りは来ないというのか?
「か……おっぇえええええ―――!!」
タンを吐き捨てるオッサンのようにリンがえづいていた。
まさか……嫌な予感がした。
リンに限ってそんなことは……無いと本当に言い切れるのだろうか? 予感が外れていることを祈ってしまうのは、俺の個人的な願望でしかない。
「くっふふうふふふっ……ようやく、程度な肉体が手に入りましたわぁ――!!」
両腕を突き上げ天を仰ぐリン。
その肉体から、漏れ出しているのは魔王エクスサイズの魔力だ。
なんてタイミングの悪さだろう……悪い予感などでは済まされなかった。
魔力ぎれで眠っていた奴が目覚めてしまった。
『聞いてくれ、エクスサイズ……ここはマーダの居城だ。今、俺たちは奴の手下のスキルブックよって創造された世界にいる。元のセカイに戻るには、お前の協力があると助かる』
「シャラァァッップ! 我が主はフォトグラファーを扱えるマイト様のみ……パンとなって落ちぶれた者など、妾が相手にするはずもない」
これが、かの有名な手のひらクルクル……人が弱体化したところにつけこんで裏切る。
実にエクスサイズらしいセコイやり口だ。
妙に態度がデカくなっているところなど、小並感が半端ない。
「黙れ! 貴様のような、ふっくら股間をした輩は、それ絶対に怪しい奴だぁ!」
「ご飯みたいに言うんじゃねぇよ!!」
グゼンと警備員がくんずほぐれつ、やっていた。
今のグゼンは戦士ではなく、いち教員である。
当然ながらスキルブックは使えない……。
使えない? それって……俺たちにとってかなり不味い状況なのでは…………。
気づいてしまった、大問題。
試しに本を取り出そうとしても無反応だ。
この状態のままで、俺たちはマーダと戦わなければならないとなると勝機は、まったく無いんじゃないかと弱気になってしまう。
と、とにかく……パンのままではラチが空かない。
自由が利く手足が必要だ。
「さぁーて、ことはオマエの目論見通りにいくかな? マイトぉぉおお」
近くを横切るサトランが振り向きざまに、ニタァと笑った。
ハンバーガーショップのクルーとして、それをやったら間違いなく、子供が泣き出す。
断じて! 店員ではない……クルーだ。
たとえそれがタイタニック号であろうとも、氷山の一角に乗り上げるだけだ。
沈むときは皆同時だ。
ゆえにクルー、一人のミスは全員のミス。
「とりあえず沈んでおけ」と言わんばかりの連帯感が必要とされている。
「ああ、もう……メンドクサッ! やっぱ、このパン……そこら辺のゴミ箱に捨てておくべきだわ」
早速、協調性のない言葉が飛んできた。
ギャルのリンにとってパンなどは素朴でダサく感じるのであろう。
手にしているだけでも嫌そうだ。
カラスと同じく、キラキラした物が好きなのだろう? もっとファッショナブルに着飾るコーデをチョイスしないと飽きられてしまう。
「ラッキー! ゴミ箱発見」
『メ、メイビスさぁぁああああ――――ん』
またしても、ハウスキーパーな魔王に救いを求めることしか出来なかった。
いくら土がついていても、食品のまま女子に嫌がられたままで終わるなんて、最悪すぎる。
どうせ、嫌われるのなら、せめて人として……助兵衛のままメイビスアイ(ゴミ虫を見るような視線)に悩殺されながら、熟成してゆきたい。
人生の発酵により、俺はより味わい深い存在となるだろう。
間違えても、腐らなければ俺は『超熟』となる。
『用がないので呼ばないで頂けますでしょうか……』
『すんげぇー、早くも拒否ってる! いや、俺……今のままだとゴミ箱行き確定なんすけど!』
『元々、ゴミだったのに、何を今更。はぁ~……もう呼ばれたくないので解決方法を教えます。マイト様、貴方のスキルブックには我々と同じく魔王の力が宿っています』
『それが……今、別のスキルブックの能力によって自分のスキルブックにロックがかかっている状況なんだ。つまり使用できないわけ』
『ならば、余計に好都合ですよ。スキルブックという枷が外れている以上、魔王の魔力をマイト様自身が吸収するのです。パンである以上吸収するのは、得意でしょう?』
『なるほど!』などと言いつつも、内心では何がなんだか……釈然としねぇー。
よく理解していないのに、口裏を合わせるなと爺ちゃんによく注意されたっけ。
まぁ、それとなく察しているように見せかけるのも、デキル男の条件さ。
とりあえず、魔法はイメージだ。イメージを膨らませればそれだけで頑張った気になれる。
変化? あるわけねぇだろう。想像しただけで魔法が使えるのは、元から魔法が使えるヤツだけだ。
チクショウ……俺には春のパン祭りは来ないというのか?
「か……おっぇえええええ―――!!」
タンを吐き捨てるオッサンのようにリンがえづいていた。
まさか……嫌な予感がした。
リンに限ってそんなことは……無いと本当に言い切れるのだろうか? 予感が外れていることを祈ってしまうのは、俺の個人的な願望でしかない。
「くっふふうふふふっ……ようやく、程度な肉体が手に入りましたわぁ――!!」
両腕を突き上げ天を仰ぐリン。
その肉体から、漏れ出しているのは魔王エクスサイズの魔力だ。
なんてタイミングの悪さだろう……悪い予感などでは済まされなかった。
魔力ぎれで眠っていた奴が目覚めてしまった。
『聞いてくれ、エクスサイズ……ここはマーダの居城だ。今、俺たちは奴の手下のスキルブックよって創造された世界にいる。元のセカイに戻るには、お前の協力があると助かる』
「シャラァァッップ! 我が主はフォトグラファーを扱えるマイト様のみ……パンとなって落ちぶれた者など、妾が相手にするはずもない」
これが、かの有名な手のひらクルクル……人が弱体化したところにつけこんで裏切る。
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