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ライバルとの決着
93話 即身合体
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「いやぁだ――!! いやあああ―――!!! ぜってぃ、乗らん」
「そんな、ワガママが通じるのは子供チャレンジぐらいっすよ!」
「さては、フシダラ。お前も転生者か!? 俺はガッケン派だったぞ!」
「もう、どっちでも良いさ。さっさと階段をヤメテ、パドックに向かってくだせぇ~!!」
「なんだよおぉぉ、それ?? 競争馬でもいんのかよ!」
緊急発進を余儀なくされた俺は、籠城を決意した。
断固として外へと出ない。
世間では引きこもりなどとモテはやされているが……俺のは籠城戦、常に戦モード全開である。
「どうして、嫌がるんっすか?」
「決まっているだろっが!! その巨大兵器を今から止めに行く流れなんだろう? 他人が敷いたレールの上なんざ、歩いてられっか!! 俺は俺だけのシャイニーカラーで行くんだぁ」
「どう頑張っても、FU〇Iカラー止まりでしょうが」
「お前が映すのは心霊現象ばかりなんだろう、どうせ」
「また、坊主扱いですか! これでも成人してんすよ! 昔、基準で」
昔って十三歳とか……だよな。
というか、坊主違いである。
互いに罵り合うことに切磋琢磨しながら、ゴール目指す。
そんな俺たちをアウェイから見届けるジョージは鼻クソをほじっていた。
鼻ではない、中に詰まった具のほうだ。
いったい鼻クソの内部にどんなトレジャーがあるだろうか、期待で手に汗握る俺とその腕を握るフシダラ。
「あああっ! 汚ねっぇええ」
つい、オーナーの愚行に魅入ってしまった。
いつの間にやら、地下格納庫がある場所にまで連行されていた。
パドックと呼ばれるスペースの傍にある、格納庫の恥部をフシダラが指さす。
まぁ、色々な意味で顔面を両手で覆い隠したくなる光景だ。
「あのピットの中に拙者たちの機体があります。一番奥側のピットにマイトさんのマッハファルコンが格納されています。大丈夫! 操作の仕方はセグウェイと一緒ですよ」
ちっとも大丈夫ではないだろう! まだ、搭乗するともいっていないのにパイロット扱いだ。
そういや、トンボのジョージはどこにいった?
勝手に人を巻き込んでくれたんだ。文句の一つでも言ってやろうじゃないか!
そう意気込んでいたのに、肝心な場面で不在とは拍子抜けもいいところだ。
しょせんは、奴も温室育ちということだ……他者をフロントラインに送りながら、自身は安全圏から見届ける。
漫画やアニメとは違う、本物の指令管とはそういうものだ。
『テメェら、何をだべってやがる! とっとと乗りやがれ。敵さんは待っちゃくれねぇーぞ!!』
地下に響く指令の声と同時にピットの扉が開いた。
手前側のピットから盛大に手を振っているチョイ悪イケメンがいた。
「マジかよ……アイツ、指令とパイロットを兼任してんのかよ」
自身の声が震えているのが分かった。
こんな、しょうもない企画に付き合う奴がいるわけがない。
若干、一名だけ例外がいるが、どうしてこんな設備を造ったのか? 理解に悩む。
『どうだ? 驚いたろう? 昔からプラモとか好きでよぅ~。勢いで自作しちまった、へへっ』
ハッキリ言わせてもらう……それこそ、ザ・才能の無駄遣いだ。
勢いで造ろうにも普通は、それができない。
チート、スキルを他所で使用した可能性は否めないが、情熱がなければ、ここまで大掛かりな装置は作成できないはずだ。
これこそ、マニアの実力。
こだわりという一点においては無類の強さを発揮してくる。
「その意気やヨシ!!」
「おおっ! ようやく、その気になられましたか」
「ふん、本当は嫌だがオーナー、いんや……指令の熱意に打たれたぜ。ここまでのモノを見せられちゃー、俺も無碍にはできないじゃんかよ」
「ファルコンの準備が完了しました。マイトさん、セグウェイに乗ったままピットに入って下さい」
「あ、うん」
せっかく、テンションが上がってきたのに、小坊主の事務的な対応が気分を萎えさせてくれる。
ここは二人して、ロボット談義でも洒落こもうという感じになるのではないのか?
あまりの距離の遠さに、ここは銀河なのかと、思わず疑ってしまった。
釈然としないまま、ゼグウェッェェェ―――イィィごとリフトで持ち上がってゆく。
やがて、キャノピー全開となった剥き出しのコックピット見えてきた。
内部にシート座席がないことに違和感を覚えた……などと呑気なことを考えている場合ではない。
リフトの床が傾き、滑り台のようにコックピットへと向かって伸びていった。
当然ながら、流れでゼグウェイが滑り落ちてゆく。
あれよ、あれよと言う間にインするとセグウェイが変形し座席シートに変わった……。
適当なのにもほどがある。
そもそも、戦闘機とセグウェイが合体するの不自然だ。
完全に自然界の法則を無視している。
だが、しかし…………実は俺がカン違いしていただけで、セグウェイとは従来、戦闘機のシートとして製造されたものではないのか……。
万が一の可能性もない現実を、どうやってやり過ごそうかと理由を求める。
人とは、理解できないモノに対して答えを見いだそうとする生き物なのだ。
「そんな、ワガママが通じるのは子供チャレンジぐらいっすよ!」
「さては、フシダラ。お前も転生者か!? 俺はガッケン派だったぞ!」
「もう、どっちでも良いさ。さっさと階段をヤメテ、パドックに向かってくだせぇ~!!」
「なんだよおぉぉ、それ?? 競争馬でもいんのかよ!」
緊急発進を余儀なくされた俺は、籠城を決意した。
断固として外へと出ない。
世間では引きこもりなどとモテはやされているが……俺のは籠城戦、常に戦モード全開である。
「どうして、嫌がるんっすか?」
「決まっているだろっが!! その巨大兵器を今から止めに行く流れなんだろう? 他人が敷いたレールの上なんざ、歩いてられっか!! 俺は俺だけのシャイニーカラーで行くんだぁ」
「どう頑張っても、FU〇Iカラー止まりでしょうが」
「お前が映すのは心霊現象ばかりなんだろう、どうせ」
「また、坊主扱いですか! これでも成人してんすよ! 昔、基準で」
昔って十三歳とか……だよな。
というか、坊主違いである。
互いに罵り合うことに切磋琢磨しながら、ゴール目指す。
そんな俺たちをアウェイから見届けるジョージは鼻クソをほじっていた。
鼻ではない、中に詰まった具のほうだ。
いったい鼻クソの内部にどんなトレジャーがあるだろうか、期待で手に汗握る俺とその腕を握るフシダラ。
「あああっ! 汚ねっぇええ」
つい、オーナーの愚行に魅入ってしまった。
いつの間にやら、地下格納庫がある場所にまで連行されていた。
パドックと呼ばれるスペースの傍にある、格納庫の恥部をフシダラが指さす。
まぁ、色々な意味で顔面を両手で覆い隠したくなる光景だ。
「あのピットの中に拙者たちの機体があります。一番奥側のピットにマイトさんのマッハファルコンが格納されています。大丈夫! 操作の仕方はセグウェイと一緒ですよ」
ちっとも大丈夫ではないだろう! まだ、搭乗するともいっていないのにパイロット扱いだ。
そういや、トンボのジョージはどこにいった?
勝手に人を巻き込んでくれたんだ。文句の一つでも言ってやろうじゃないか!
そう意気込んでいたのに、肝心な場面で不在とは拍子抜けもいいところだ。
しょせんは、奴も温室育ちということだ……他者をフロントラインに送りながら、自身は安全圏から見届ける。
漫画やアニメとは違う、本物の指令管とはそういうものだ。
『テメェら、何をだべってやがる! とっとと乗りやがれ。敵さんは待っちゃくれねぇーぞ!!』
地下に響く指令の声と同時にピットの扉が開いた。
手前側のピットから盛大に手を振っているチョイ悪イケメンがいた。
「マジかよ……アイツ、指令とパイロットを兼任してんのかよ」
自身の声が震えているのが分かった。
こんな、しょうもない企画に付き合う奴がいるわけがない。
若干、一名だけ例外がいるが、どうしてこんな設備を造ったのか? 理解に悩む。
『どうだ? 驚いたろう? 昔からプラモとか好きでよぅ~。勢いで自作しちまった、へへっ』
ハッキリ言わせてもらう……それこそ、ザ・才能の無駄遣いだ。
勢いで造ろうにも普通は、それができない。
チート、スキルを他所で使用した可能性は否めないが、情熱がなければ、ここまで大掛かりな装置は作成できないはずだ。
これこそ、マニアの実力。
こだわりという一点においては無類の強さを発揮してくる。
「その意気やヨシ!!」
「おおっ! ようやく、その気になられましたか」
「ふん、本当は嫌だがオーナー、いんや……指令の熱意に打たれたぜ。ここまでのモノを見せられちゃー、俺も無碍にはできないじゃんかよ」
「ファルコンの準備が完了しました。マイトさん、セグウェイに乗ったままピットに入って下さい」
「あ、うん」
せっかく、テンションが上がってきたのに、小坊主の事務的な対応が気分を萎えさせてくれる。
ここは二人して、ロボット談義でも洒落こもうという感じになるのではないのか?
あまりの距離の遠さに、ここは銀河なのかと、思わず疑ってしまった。
釈然としないまま、ゼグウェッェェェ―――イィィごとリフトで持ち上がってゆく。
やがて、キャノピー全開となった剥き出しのコックピット見えてきた。
内部にシート座席がないことに違和感を覚えた……などと呑気なことを考えている場合ではない。
リフトの床が傾き、滑り台のようにコックピットへと向かって伸びていった。
当然ながら、流れでゼグウェイが滑り落ちてゆく。
あれよ、あれよと言う間にインするとセグウェイが変形し座席シートに変わった……。
適当なのにもほどがある。
そもそも、戦闘機とセグウェイが合体するの不自然だ。
完全に自然界の法則を無視している。
だが、しかし…………実は俺がカン違いしていただけで、セグウェイとは従来、戦闘機のシートとして製造されたものではないのか……。
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