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ライバルとの決着
84話 バナナとともに奴が来た!
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「ぷはっぁ!! やっぱ、一仕事終えたあとのジンジャーエールは最高だな! 俺の気分も株価並みに乱高下よ」
ボリネシアンズの村を襲撃したハンターを撃退した後。
何やかんやで目的を達成した俺とササブリは、リストルームへ強制送還させられた。
シャルには一通り説明したのだが、自分だけ取り残されるのが不服だったらしい。
一応、再度迎えに行くからと約束するも終始、むくれていた。
こっちはこっちで訳がわからなかった。
戻るなり、キュピ公が「新しい魔王を捕まえたようだな? スキルブックをよこせ」と尋ねてきた。
そこでようやく奴の目論見が判明した。
「どうしてスキルブックが欲しいのか? 説明しないと渡さないぞ」と強気に追及してみた。
すると、キュピは「キュピ、倒したい奴がいる……名をマーダという」
――――そう答えた。
どこかで聞いたような名に俺は眉をひそめ「山田に何かされたのか?」これまた痛快に攻めると「性根だけでじゃなく耳まで腐っているようだなぁ~」と遺憾砲を撃ち込まれた。
まぁ、鳥の言うことだ。1ヘクトパスカルぐらいには心にトドメておこう。
軽く手をふり、ベッドに横たわると「嘘つき! 約束を守れ!」と野党みたいな鳥の叫び声が聞こえた。
残念だけど、約束じゃないんだわ、コレ。たんなる脅しよなのね。
そもそも、キュピはエクスサイズをどう扱うつもりなのか? その辺りをハッキリさせない限り、俺に降伏を申し入れたアイツが可哀そうだ。
それに……今はササブリとの関係も良好とはいえない。
致し方無いとはいえ、強制的にスキルブックに戻したのは失敗だった。
あれ以来、何度も呼びかけてはみたものの一向に出てこない。
スキルブックをを開いても、どこかに隠れてしまったササブリの姿を見つけることができない。
もはや、反則技を使うウォーリーである。
奴がプリズンブレイクした時のような手際の良さだ。
*
「パンポンピンポン! えー、業務連絡、業務連絡。大名さん、至急~三番便器までお越しください」
「スーパーの店員か、俺は! そもそも三番の便器ってどこだよ!? クッソ、番号をつけんなよー」
せっかくの休息時間を堪能しているとキュピに呼び出された。
また、スキルブックをねだられるかと、思っていたがそうでもないらしい。
俺たち以外に便座に腰かけている人物がいた。
普通、ここには俺のようなセカイの理を壊す者しか立ち入ることはできないはずだ。
だから、シャルを連れてこられなかった。
なのに、この土偶を両手に抱えた小坊主さんは何者なのよ!?
懐疑的に様子をうかがう俺に対し、坊主は目が合うと軽く一礼した。
ヤバイ……できる男だ。
得体の知れない衝動に俺はアワアワするだけだった。
坊主から発せられる清浄な空気は、まさにエアコンの機能そのままだった。
奴の存在が俺をハウスダストにする! ホムンクルスならぬホルムアルデヒドの誕生だ……。
まさか、星くずのローブを集めていた俺が、ゴミくずの成分になるとは誰が想像できたのだろうか?
坂田金時が金太郎であることぐらい差がある。
「んで、要件は何だ? こっちは忙しいんだ? 手短に頼むわ」
なるべく、下手に出ないようにオラオラ感を発揮してみせた。
途端、坊主が鼻水を噴き出して大爆笑してきた。
一体全体、どこがイケていなかったんだ? つーか、笑い過ぎじゃね? いい加減にしないとバスケのゴールにその頭ごとブチこむぞ!!
「いやいや、失礼すますた。拙者、キヨシの里から来ますたフシダラと申すです」
「し」を「す」と発音してしまうソレが、今度は深々とお辞儀してきた。
なんて、寛大なんだ! ハリウッドなクラスの心の広大さ……。
そんな人間、デュアルゴースティングにはいなかった。せいぜいワカモトさんが柴漬けをくれる程度だ。
「実は今日は神さんにおねげぇ~があって……あっ! これ里からもってきた菓子折りですわ。つまらないモンですが皆さんでどうぞ」
おいおい……社会人レベル、いくつだよ? 意識の高さに変な笑いがこみ上げてきた。
もしかして、さっきコイツが爆笑していたのも、これと似たような理由か?
俺のハングレみたいな態度に呆れて嗤っていたのかよ……というか、あれほどハングレハングレ、言っていたのに旬がすぎれば使用頻度が減るのってどうよ。
所詮、造語なんだからメディアは無理して使うなよ……聞いているこっちが恥ずかしいわ。
ハングレが駄目ならせめて、グレイのハイレグにしろよ。
なんか、反社的な変態に聞こえるし、インフルエンサーの頑張り次第で全世界規模で浸透するからさ。
ボリネシアンズの村を襲撃したハンターを撃退した後。
何やかんやで目的を達成した俺とササブリは、リストルームへ強制送還させられた。
シャルには一通り説明したのだが、自分だけ取り残されるのが不服だったらしい。
一応、再度迎えに行くからと約束するも終始、むくれていた。
こっちはこっちで訳がわからなかった。
戻るなり、キュピ公が「新しい魔王を捕まえたようだな? スキルブックをよこせ」と尋ねてきた。
そこでようやく奴の目論見が判明した。
「どうしてスキルブックが欲しいのか? 説明しないと渡さないぞ」と強気に追及してみた。
すると、キュピは「キュピ、倒したい奴がいる……名をマーダという」
――――そう答えた。
どこかで聞いたような名に俺は眉をひそめ「山田に何かされたのか?」これまた痛快に攻めると「性根だけでじゃなく耳まで腐っているようだなぁ~」と遺憾砲を撃ち込まれた。
まぁ、鳥の言うことだ。1ヘクトパスカルぐらいには心にトドメておこう。
軽く手をふり、ベッドに横たわると「嘘つき! 約束を守れ!」と野党みたいな鳥の叫び声が聞こえた。
残念だけど、約束じゃないんだわ、コレ。たんなる脅しよなのね。
そもそも、キュピはエクスサイズをどう扱うつもりなのか? その辺りをハッキリさせない限り、俺に降伏を申し入れたアイツが可哀そうだ。
それに……今はササブリとの関係も良好とはいえない。
致し方無いとはいえ、強制的にスキルブックに戻したのは失敗だった。
あれ以来、何度も呼びかけてはみたものの一向に出てこない。
スキルブックをを開いても、どこかに隠れてしまったササブリの姿を見つけることができない。
もはや、反則技を使うウォーリーである。
奴がプリズンブレイクした時のような手際の良さだ。
*
「パンポンピンポン! えー、業務連絡、業務連絡。大名さん、至急~三番便器までお越しください」
「スーパーの店員か、俺は! そもそも三番の便器ってどこだよ!? クッソ、番号をつけんなよー」
せっかくの休息時間を堪能しているとキュピに呼び出された。
また、スキルブックをねだられるかと、思っていたがそうでもないらしい。
俺たち以外に便座に腰かけている人物がいた。
普通、ここには俺のようなセカイの理を壊す者しか立ち入ることはできないはずだ。
だから、シャルを連れてこられなかった。
なのに、この土偶を両手に抱えた小坊主さんは何者なのよ!?
懐疑的に様子をうかがう俺に対し、坊主は目が合うと軽く一礼した。
ヤバイ……できる男だ。
得体の知れない衝動に俺はアワアワするだけだった。
坊主から発せられる清浄な空気は、まさにエアコンの機能そのままだった。
奴の存在が俺をハウスダストにする! ホムンクルスならぬホルムアルデヒドの誕生だ……。
まさか、星くずのローブを集めていた俺が、ゴミくずの成分になるとは誰が想像できたのだろうか?
坂田金時が金太郎であることぐらい差がある。
「んで、要件は何だ? こっちは忙しいんだ? 手短に頼むわ」
なるべく、下手に出ないようにオラオラ感を発揮してみせた。
途端、坊主が鼻水を噴き出して大爆笑してきた。
一体全体、どこがイケていなかったんだ? つーか、笑い過ぎじゃね? いい加減にしないとバスケのゴールにその頭ごとブチこむぞ!!
「いやいや、失礼すますた。拙者、キヨシの里から来ますたフシダラと申すです」
「し」を「す」と発音してしまうソレが、今度は深々とお辞儀してきた。
なんて、寛大なんだ! ハリウッドなクラスの心の広大さ……。
そんな人間、デュアルゴースティングにはいなかった。せいぜいワカモトさんが柴漬けをくれる程度だ。
「実は今日は神さんにおねげぇ~があって……あっ! これ里からもってきた菓子折りですわ。つまらないモンですが皆さんでどうぞ」
おいおい……社会人レベル、いくつだよ? 意識の高さに変な笑いがこみ上げてきた。
もしかして、さっきコイツが爆笑していたのも、これと似たような理由か?
俺のハングレみたいな態度に呆れて嗤っていたのかよ……というか、あれほどハングレハングレ、言っていたのに旬がすぎれば使用頻度が減るのってどうよ。
所詮、造語なんだからメディアは無理して使うなよ……聞いているこっちが恥ずかしいわ。
ハングレが駄目ならせめて、グレイのハイレグにしろよ。
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