問答無用!でランキングブレイカー!! ースキル、グラビアこそ最強最高ですー

心絵マシテ

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魔王様はアイドル!?

57話 審判の門

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「も、もう一度だ―――「二度も同じ手を喰らわんわぁ―――――!!」

 スキルブックを開きかけたままホロモンの爺さんは、デスクロールの餌食となった。
 悪魔角の感度は良好だ。敵の攻撃を未然に察知し……? 敵が攻撃する前にこちらから仕掛けることが可能となった。
 それとデスクロールは、腕を巨大化させただけの単なる打撃技ではない。
 殴った相手を紙のように薄っぺらくし弱体化させるデバフ効果を持っている。
 デバフ効果とは、分かりやすく例えるとデバフ効果である。
 パーティーメンバーに入れるだけで、戦力的にダウンしたり、ランキングポイントを入手しても順位が上がらず、身体能力が向上しなかったり、呪いによって心の声がだだ漏れだったり、つまるところ俺!
 俺がデバフだ!

 そんでもって、デスクロールの効果は、一時的なランキングブレイクだ。
 これは、このセカイの強者にとって一番最悪なデバフだ。
 ランキングブレイク時は攻撃も魔力も、防御力でさえも機能しない。
 どれだけ数値が高くとも0に等しい。
 俺でもさくとモンスターを狩ることができる。

「ペラペラペラペラペラペラペラペラぺラペラペラ…………」

「マジで紙みたいにペラペラ言っている。よし……皆、行くぞぉぉぉぉ!!」

 風にさらされ、情けない音を漏らす紙切れに俺たちは総攻撃を仕掛けた。
 卑怯もクソも戦闘時においてはない、生存の競争に勝ったモノだけが自由を手にできる。
 今なら狩れる。絶対、狩れる。間違いなく殺れるヒャハハハッ―――!!

 勝利が目の前に見えるはず……そう思ってしまったのが誤算を生んだ。
 攻撃をしに行ったはずの俺は華麗に月面宙返りをしていた。
 むろん、ガッツが足りない。着地失敗で見事に散る。

 既視感ある、この感触はまごうことなくメイビスさんの箒だ。
 勢いづいた俺たちの出鼻を砕くために、爺さんよりも推定で強い彼女が出てきたのだ。

「ペラ、メイビス……ちゃん。助けにきてくれたのか? ワシ感激」

「どこの三葉虫かと思ったら、ホロモン様でしたか? にしても、引きこもりの貴方が、久方ぶりに表へ出たというのに……無様ですね! ド無様とでも改めるべきでしょうか?」

「いやあああ! 止めてくれぇええ――!! 魔王はメンタルが脆いんだわ~」

「そうですか。私は、残りを掃除をするので邪魔にならない程度に、引っ込んでいてください」

 メイビスさんがほうきを両手で持ち構える。
 その瞬間、彼女背後に夜叉やしゃのようなモノが潜んでいる気配がした。
 あまりの凄みに誰もが委縮し、動きが鈍くなる。
 箒の一振りではない落雷のような物音と同時に、俺たちは後方へと弾き飛ばされてしまった。

「人をゴミ扱いとは、良い性格をなさってますわね。まったく……鬼のような強さですわ」
 シャルたちが応戦するも、その強さはハンパない。
 結界は仕掛けた傍から吹っ飛ぶし、何故か? 魔法は彼女に届かない。

「はああああぁ――! ドルフィン スタンピング」

「甘いです、隙あり!」

 体術においては、赤子の手をひねるようにリンを翻弄ほんろうし一撃で押し倒してしまった。
 本当にこの人、ハウスキーパーなのか……?
 誰もが、同様の疑問を抱く最中、最後のとりでたるササブリが地上に降り立った。
 さしものメイビスさんも、相手が悪いと悟ったのだろう自前のスキルブックを開いた。
 メイビスさんを見てササブリが問う。

「ほほう! 貴様、魔王クラスの強さを持っているな? 何故? 他の魔王に仕えておる?」

「それは、貴女も同じでは? よりによって人間に従うとは……異例ですよ」

「まぁ、良い。うぬもそ奴も我の糧にしてやる。かかってこい!」

「すでに、済ませました。スキルブック、氷の微笑……ホロモン様と対を成すこの能力は、対象を固定することができます。それゆえ、ホルモン様の能力は一切、私には通じません」

「なんじゃ? 自慢か? なら、こ……う、動かんぞ!? 我の身体がビクともせんぞ!!」

 ササブリが急に焦りだした。フリかと思っていたが、どうやら本当に身体が動かせないようだ。
 背後で、ウダウダ言っている爺は、ともかくメイビスさんの能力は半端なくヤバイ。
 そのことを彼女自身が気づいていたら、ササブリでも勝ち目がないかもしれない。

『準備完了しました! これよりゲートを開きます』

「へっ? げーと……」

 アナウンスのお姉さんがご乱心なされた。
 頼んでもいないのに、ゲートとかいう意味深な単語を使い始めた。
 この先、中二の闇に染まってしまわないか、非常に心配である。

 とりあえず、俺たちの頭上に、ワームホールみたいなヤツが開いた。
 この時点で嫌な予感しかしない……。

「メイビス! コイツはヤベェ……ぞ」

「分かっております。デスブリンガーのロックを解除! 我々をロックします」

 魔王二人が揃って、ヤベェヤベェと言っている……これは、避難しないといけない奴なのか?

『警告します、この先、リストルームへの入室許可がない者は、ランダムで転送されます』

「えっ……ランダムって。まさか!!」

 ワームホールが凄まじい勢いで大気を吸い始めた。
 人一人通れる程度の大きさしかない穴だというのに、吸引力がけた違いだ。
 身体が引きずられたかと思いきや、宮殿が見る見るうちに遠のいてゆく。

「うわわわああああ――――!!」

「キャアアアアアアッ―――――!!!」

 悲鳴とともに俺たちは全員、上空に巻き上がられていた。

「マイト―――――」
 かすかに、俺を呼ぶリンの声がした。
 見ると、すぐ傍で彼女が手を伸ばしていた。
 何とかしようと、俺も必死で手を動かしたが、身体の自由が利かないどころか、視界さえもあやふやだ。
 結局、その手をつかむことはできなかった……。
 絶望の中、成すが為されるまま、俺たちはワームホールへ突入することとなった。
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