問答無用!でランキングブレイカー!! ースキル、グラビアこそ最強最高ですー

心絵マシテ

文字の大きさ
上 下
55 / 122
魔王様はアイドル!?

55話 エマージェンシーコール

しおりを挟む
「さ、ササブリ――!」有り得ない事態に、慌てて彼女の元へと駆け寄ろうとした。

「ちょい、待ちな……」俺の服の袖を引っ張ったのはワカモトさんだ。
「一体、どうゆう―――」言葉を出し切る前に、彼女はメイデンちゃん、こと魔製石斧の砕けた破片を歪んだ空間へと弾き飛ばした。

 占い師の魔法によって飛ばされた破片がササブリ同様に空間の奥へと沈んでゆく。

「これで、分かったかい? 近づくとアンタもああなるよ」

「だからといって、見捨てるわけには……」

「こういう時こそ、冷静さが求められるんさ。アンタまで、相手の術中にはまったら、誰がササちゃんを助けるんだい?」

 その通りだ……。
 ここで感情のまま、行動すれば被害が大きくなるだけだ。
 落着け、俺……まずは、深呼吸だ。
 そうすれば、翼だって授かるかもしれない!

 んな、わけあるか!? ダメだ、情報が不足している中であれこれ探っても、時間の無駄だ。
 なら、アプーチの仕方を変えるまでのことだ。

「マイトちゃん。おやめ!!」

 ワカモトさんの忠告を聞かず、俺は前に飛び出した。   
 鞘から、宝剣を引き抜き一直線に庭園を中央まで駆ける。
 そして、十字の道の中心にいるホロモン、目掛けて刃を突きつけた。

 押し潰されそうな衝撃が全身を貫いた。
 意識が飛びそうになる寸でのところで、持ちこたえる。
 身体が鉛のように重い……そうか、俺は蹴られたのか。
 片膝を上げたまま立っている爺さん。
 その様子を見て自分はあの膝を喰らったのだと知った。

 知性のない本体とは、比べ物にならないほどの強敵。
 どれほど、優れた武器を持っていても使い手が弱ければこんなモノだ。
 一太刀も浴びせられず、叩きのめされてしまう。

 正攻法じゃ無理だ……なにか手を打たねば……。
 強力な一撃を御見舞いされ、今になって頭が冷えてきた。
 ワカモトさんが危惧していたのは、こういう事だ……しゃにむにやっても状況は進展しない。

「しっかりしな。今、回復してやるからね……」

 今回も物の見事にワカモトさんの治癒魔法にお世話になってしまった。
 我ながら情けないと思いつつも治療を受けていつと、シャルが傍へとやってきた。
 見るからにご機嫌斜めといった感じで俺を冷たく直視してくる。

「ロビー君、相手は先ほど戦った魔王ですよね? リンさん同様、あの魔王とお知り合いのようですけど、どういう事か? きちんと経緯を説明してもらえませんか? でなければ、私も先生もどう立ち回れば良いのか分かりません」

 彼女がそう言うのも頷ける。
 いきなり、ここに移動させられた上、魔王同士で勝手にやり始めたせいで、ホロモン爺さんについて詳しく話すタイミングを逃していた。
 これは先走って動いた俺にも責任はある。ちゃんとそこに触れるべきだったのだ。

「ただの顔見知りよ、シャル。お爺ちゃ……ううん。あの魔王は、ササブリを人質に取って、本体の封印を解くようにアタイら脅してきた悪い魔王なんだよ」

 俺に代わって、リンが二人に説明した。
 元々、ホロモン爺さんとは深い関わりがあるわけじゃない。
 二人とも、話を聞くなり、すんなりと状況を飲み込んでくれた。

 彼女たちが「ササブリの救出に手を貸す」と言ってくれたのは、とても有難い。
 嬉しさのあまり、何度も聞き返していたら、リンに耳を引っ張られた。
 皆のバックアップは本当に心強い……だが、ササブリは魔王だ。そう簡単にはくたばらない。
 それに、まだ俺たちの近くにいる。
 彼女が、スキルブックから離れすぎれば強制力が働き自動で本の方へと引き戻される仕様だ。
 万が一、不足な事態が発生すれば、自動でスキルが解除されるようにもなっている。

 ただ、それができていればすぐにでもササブリを戻すことができた。
 爺さんに斬りかかる以前から何度も試していたが、スキルを強制解除することができない状態に陥っている。
 多分、爺が持つスキルブックの影響だ。
 物が出たり、移動したりするのは、爺さんの能力内での事。
 こちらから、干渉することはできないという事だ。

 よって結論は、ササブリが自力で脱出するしかないということだ。

「スキルブック! フォトグラファー!」

『5000ポイントを使用して、衣装を購入します。宜しいですか?』

 購入ボタンを迷わず押した。
 彼女を助けられるのは、このオプションだけだ。
 一度に大量のポイント消費、これにより何が起きるのか? 想像もつかない……。
 それでも、ササブリを助けると決めたんだ。後悔はしない!

『2000ポイント購入特典 スキャニングシステム解放……。
 3000ポイント購入特典 イベント 果実の王からの挑戦状、解放……。
 5000ポイント購入特典 リストルームが解放されました……』
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。 次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。 時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く―― ――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。 ※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。 ※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...