問答無用!でランキングブレイカー!! ースキル、グラビアこそ最強最高ですー

心絵マシテ

文字の大きさ
上 下
18 / 122
自由へのゴング

18話 グゼンの宅配便

しおりを挟む
「この不潔! お下劣! 淫行罪で極刑にしてやるわ……グスンッ」

「まぁ、リンさんを泣かせるなんて……とんだクズカスがいるものですわ」

 泣きじゃくりながら神官にあやされる軽装の少女。
 腹部丸出しの省エネコスチュームを着ながら、人を性犯罪者扱いするとは、いかかがなものか?
 解せぬ! 冤罪である以上、断じて解せぬ!

「へぇ~。お前、なかなか面白いな! 名前は?」

「聞いてよ! サトラン。この変態、アタイの胸をずっと触り続けていたんだよ」

「そう、カッカするのは良くないよ。君だって、満更でもなかっただろ? 触られるのが嫌なら、すぐに叩けば良かったものを」

「そっ……それはっ」

 魔術師に指摘され、彼女は耳の先まで赤くし目を伏せる。
 それを見た神官が「まさしく、火ダルマですわ~」と茶化す。
 こんな、むさ苦しい野郎ばかり吹き溜まりで、青春劇されても俺たちが困る……。

「なぁ? お前、新人冒険者でもないのに弱っちいな。でも、リンの一撃は見えていたな? 普通、アレを喰らったら意識が飛ぶぞ」

 困ると言えば、コイツだ。
 新しい玩具でも見つけた時の子供のように、瞳を輝かせ色々と質問してくる。
 あまり、しっこいんで同性愛者じゃないかと疑いたくなった。

「よしっ、決めた! お前、僕たちの仲間になれ!」

 その一言で、コイツの頭のネジは全部、バカになっているのがうかがい知れた。
 ハッキリ、言って意味不明だ。
 どうして、お前の一存で俺の運命が左右されないといけなんだ。
 つぅーか、どこぞの王のパクリじゃねぇか! せめて、自身の言葉で口説き落とせや。

「ちょっと! 信じらんない!? サトラン、本気で言ってんの?」
 案の定、取り巻きが騒ぎだした。
 奇遇だな、俺も同じ意見だ……と同調したいところではあるも、それはできない。
 リンとやらの否定には、仲間うんぬんではなく、俺自身の存在が許せないという意味合いしかない。
 できれば、無実を証明したかった。
 けど、それ以上にコイツらと関わるのは危険だ。

「僕は本気さ。アナライズで彼のランキングを見たけど、いいね! 僕たちが探し求めていた条件にピッタリだ」
 特にコイツはヤバイ……さっさと辞退しよう。

「悪いが俺には、ありったけ夢はかき集められない。集められるのは草だけだわ……」

「いいのかい? コッチは、その気になれば慰謝料だって請求できるんだ。ここで、素直に従っておくのが君にとって幸せだと思うけどなぁ~」

 悪魔が耳元で囁いた。
 仲間の不幸だろうが何だろうが、この男は躊躇しない。使えるモノは全て使ってくる。
 脅しだけで済めばいい。
 けど、コイツはその先に足を踏み込んでしまっている。
 断ることは悪手だった。断れば、見せしめに報復してくる。
 コイツはそういう奴の眼をしている。

「聞くが、新人を星団船に連れてゆき何をするつもりだ?」

「ん? 新人でも強い奴は連れていけないな。僕たちが求めるのは弱者だ。弱い者たちを集めているのは、力をつけて魔王討伐するためなんだ……」

 真剣な面持ちではある。
 嘘をついているようには見えない……本当に人を騙すのが上手い奴だ、油断ならない。
 口先に惑わされず、ちゃんと考えてみれば矛盾に気づける。
 まず、本気で魔王討伐をやるのなら、新人募集と並行して討伐募集をかけるはずだ。
 星団船を根城にしている魔王たちは、冒険者数名ていどでは絶対に太刀打ちできない。
 それこそ、数百、数千人単位の人数が必要だ。
 だからこそ、ここ百年以上は誰も魔王に挑もうとはしなかった。

 だったら、どうして分かりやすい嘘をつくのか?
 理由は二つ、俺が拒否できないことを理解しているのと、俺の実力を試している。
 弱い奴が欲しいけど、無能はいらない。と言ったところか……。
 なら、こちらは無能を演じるだけだ。
 そうすれば、飽きて向こうから追放してくれるかもしれない。

「僕は賢者のサトラン。宜しくな」

「マイトだ。職業は……フリーターだ」

 さすがに無職とは言えなかった。適当に、それっぽい言葉を使って誤魔化そうとした。
 後に知ることだが、サトランも前世の記憶を持つ転生者だ。
 俺の言い訳など意味を成さなかったわけだ。

 契約が完了したところで、力強く出入り口の扉が開かれた。
 唐突な出来事に冒険者一同は、扉へと注目する。
 行軍する重戦車のごとくドスドスと床を踏み鳴らす筋肉質の男がやって来た。
 その両腕でかかげるのは、見たこともない特大サイズの肉塊。
 大皿に乗せた、それはこんがりと焼け、香ばしい匂いを漂わせていた。

「お前ら、待たせたな! 冒険者でありながらも、料理四天王であるグゼン様が、スペシャルな一品を持ってきてやったぜ! なんせ、ギルドは血の気が多い奴らばかりだ。そりゃあ、すぐに腹も減るわな! 腹が減れば気持ちも落ち着かなくなる、どーせ、今も喧嘩してたんだろう? ならば、食え! そして腹を満たせ! さすれば、怒りは自然と消えよう」

 なんか、変な奴が出てきた。
 言いたい事は分からくもないが、誰も一人お前を待ってはいない。
 というよりも、誰なのか? さえも知らない。

「あちゃあ~……そう来るか」

 サトランが頭を抱えていた。美女二人も知らん顔をしている。
 まさか、コイツもパーティーメンバーだというのか?
 だとしたら……上手くやっていける自信がない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

元公務員が異世界転生して辺境の勇者になったけど魔獣が13倍出現するブラック地区だから共生を目指すことにした

まどぎわ
ファンタジー
激務で倒れ、そのまま死んだ役所職員。 生まれ変わった世界は、魔獣に怯える国民を守るために勇者が活躍するファンタジーの世界だった。 前世の記憶を有したままチート状態で勇者になったが、担当する街は魔獣の出現が他よりも遥かに多いブラック地区。これは出現する魔獣が悪いのか、通報してくる街の住人が悪いのか……穏やかに寿命を真っ当するため、仕事はそんなに頑張らない。勇者は今日も、魔獣と、市民と、共生を目指す。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

処理中です...