問答無用!でランキングブレイカー!! ースキル、グラビアこそ最強最高ですー

心絵マシテ

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孤島の花嫁

65話 孤島の部族

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 澄み渡る青空、どこまでも続く水平線。
 360度、見渡す限りのオーシャンビュー。

 バカンスに来たわけではない。
 今度は青海の孤島。そこにある岩山の頂上で俺は倒れていた。

 ナンの因果か、この俺、大名真依人だいみょうまいとは、ランキングブレイカーとして異世界ライフを、現在進行形で満喫している。
 どうして、そうなったのかは不明だ。神々の気まぐれとしか言いようがない。

 突如、発生した時空の嵐。
 魔王ホロモンの宮殿で発生したモノと酷似していたソレにより、俺が乗っていた帆船は、クルーもろとも巻き込まれてしまった。
 ただし前回とは反対に、嵐に弾き飛ばされる結果となった。
 この島の上空からカエルのように降り落ちてきたのだろう……気づけば島のど真ん中。
 我ながら、無傷で生存しているのが、奇跡的すぎて信じられない。

 ともあれ現状をどうにかしないといけない。このまま、此処に留まっていても飢えてしまうだけだ。
 それに、背後からジッとこちらの様子をうかがう気配を感じる。
 
 茂みの中にナニかがいる……。
 できれば、女性ファンの待ち伏せか、食えそうな小動物であってほしいが望み薄のようだ。

 丸皿のような仮面をつけ、腰ミノ姿の筋肉ムキムキの男たちが、セグウェイを爆走させてやってきた。
 二度見してみても、正真正銘の改造セグウェイだから突っ込み待ちなのかと疑ってしまう。

 風と一体となり走る姿は、大道芸人も顔負けだ。
 あと、お約束だといわんばかりに美少女キャラのペイントを欠かさない勇者が、独り混じっているのもポイントが高い。
 仮面の奴らは、じゃじゃ馬に振り落とされないよう、上腕二頭筋を張り詰めている。
 明らかに従来品の速度より三倍は速い! 速いのか!? ……動力に何を使用しているんだ?

 純粋な疑問をぶち壊すように、四つの人影が俺を標的に疾走している。
 
 彼らから、白い文字のようなモノがチラついて見えている。
 ボリネシアンランサー 推奨ランク 12,000位以上、そう表示されていた。
 早速、活躍するスキャニング。
 自分以外の生物と遭遇した時に自動で発動してくれるから使い勝手が良い。
 ボリネシアンランサーとは、この奇怪な変態たちの呼び名だ。
 一応、自身の身体を探ると[装備、腰ミノ ランキング18,039位]というお馴染みの数字が浮き上がっている。
 う~ん、安定の変わらなさ。

「ワシャシャシャオショオシャ――!!」

 人語とは思えない奇声がこだまする。
 あっ、終わったわ……どう考えても歓迎されているとは思えない。

 ランサーとは一体!? 半裸の変態どもが背中に備えていたもりを構えていた。
 よほどお気に入りなのか? 連中は、どうあっても愛機から降りようとしない。

「おっと!」呆れていると、奴らの一人が俺にむけて銛を投げつけてきた。

 危なげなく避けられた。当然のことながらバランスは悪い。
 上半身が前後にフラついていれば、まともに投擲とうてき武器を扱えるわけがない。
 何度、投げても結果は同じだ。銛は地面に刺さるだけだ。
 フハハハハ! 当たる気配はまったくないわい!

 俺は捕まった。

 いい気になって油断しすぎた。
 もりの柄に、捕獲網が取りつけられていた……。
 一本では意味もないが、回数を重ねるごとに網が拡がって、気づけば全身におおい被さっていた。

「お前ら、俺をどこに連れていく気なんだ」

 網ごと、引きずられる俺。
 粗暴な扱いにもほどがある。
 焼き豚のように、木に手足をくくりつけられ、持ち運ばれるよりは幾分かはマシだが、これはこれで地獄だ。
 捕獲網が頑強でなければ、肉塊になっていた。

「オオンゴ~、ホンゴ! ホンゴ!」いや、何を言っているのか分からないって……。

 雑木林の奥、開けた場所に簡素な木の住居が点在している。
 なんとなくで察した。ここは、連中の集落だ。

 ランサーの一人に引っ張られ、村の中を進む。
 家畜小屋や井戸と、ときおり生活感を漂わせる光景を目にし、ここにはある程度の文化があると知れた。
 炊事場もあるらしく、奥のほうから煙が立ち込めていた。

 力任せに押し出された先は、そこはオッサンの懐の中だった……。
 デカい、山のような巨漢だ。
 両腕でがっしりとホールドされた、俺は身動きすらとれない!
 オッサンの顔が近すぎて、ガチ恋距離必死だ!!
 つーか、どういうつもりだ!? このオッサンは!! 気持ち悪いったらありゃしない。

「すみません! そろそろ離れてくれませんかね? 苦しいッス」

「うおおおぉぉん! 会いたかったナラよ。我が息子よマイサン

「うええぇぇぇ!! 人違いなんじゃないのか!?」

「何を馬鹿な事を―――ワシが、自分の子供を見間違えるわけないだろう! アルファポメオ」

「ぜっ、全然ちが―――うわい!!」

 ワンワン号泣するオッサンの巨躯きょくを押し込めるようにして突き飛ばした。
 まったく、知らんオッサンに息子認定されるなんて冗談じゃない。

 「ん? アルファポメオ?」 
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