65 / 122
孤島の花嫁
65話 孤島の部族
しおりを挟む
澄み渡る青空、どこまでも続く水平線。
360度、見渡す限りのオーシャンビュー。
バカンスに来たわけではない。
今度は青海の孤島。そこにある岩山の頂上で俺は倒れていた。
ナンの因果か、この俺、大名真依人は、ランキングブレイカーとして異世界ライフを、現在進行形で満喫している。
どうして、そうなったのかは不明だ。神々の気まぐれとしか言いようがない。
突如、発生した時空の嵐。
魔王ホロモンの宮殿で発生したモノと酷似していたソレにより、俺が乗っていた帆船は、クルーもろとも巻き込まれてしまった。
ただし前回とは反対に、嵐に弾き飛ばされる結果となった。
この島の上空からカエルのように降り落ちてきたのだろう……気づけば島のど真ん中。
我ながら、無傷で生存しているのが、奇跡的すぎて信じられない。
ともあれ現状をどうにかしないといけない。このまま、此処に留まっていても飢えてしまうだけだ。
それに、背後からジッとこちらの様子をうかがう気配を感じる。
茂みの中にナニかがいる……。
できれば、女性ファンの待ち伏せか、食えそうな小動物であってほしいが望み薄のようだ。
丸皿のような仮面をつけ、腰ミノ姿の筋肉ムキムキの男たちが、セグウェイを爆走させてやってきた。
二度見してみても、正真正銘の改造セグウェイだから突っ込み待ちなのかと疑ってしまう。
風と一体となり走る姿は、大道芸人も顔負けだ。
あと、お約束だといわんばかりに美少女キャラのペイントを欠かさない勇者が、独り混じっているのもポイントが高い。
仮面の奴らは、じゃじゃ馬に振り落とされないよう、上腕二頭筋を張り詰めている。
明らかに従来品の速度より三倍は速い! 速いのか!? ……動力に何を使用しているんだ?
純粋な疑問をぶち壊すように、四つの人影が俺を標的に疾走している。
彼らから、白い文字のようなモノがチラついて見えている。
ボリネシアンランサー 推奨ランク 12,000位以上、そう表示されていた。
早速、活躍するスキャニング。
自分以外の生物と遭遇した時に自動で発動してくれるから使い勝手が良い。
ボリネシアンランサーとは、この奇怪な変態たちの呼び名だ。
一応、自身の身体を探ると[装備、腰ミノ ランキング18,039位]というお馴染みの数字が浮き上がっている。
う~ん、安定の変わらなさ。
「ワシャシャシャオショオシャ――!!」
人語とは思えない奇声がこだまする。
あっ、終わったわ……どう考えても歓迎されているとは思えない。
ランサーとは一体!? 半裸の変態どもが背中に備えていた銛を構えていた。
よほどお気に入りなのか? 連中は、どうあっても愛機から降りようとしない。
「おっと!」呆れていると、奴らの一人が俺にむけて銛を投げつけてきた。
危なげなく避けられた。当然のことながらバランスは悪い。
上半身が前後にフラついていれば、まともに投擲武器を扱えるわけがない。
何度、投げても結果は同じだ。銛は地面に刺さるだけだ。
フハハハハ! 当たる気配はまったくないわい!
俺は捕まった。
いい気になって油断しすぎた。
銛の柄に、捕獲網が取りつけられていた……。
一本では意味もないが、回数を重ねるごとに網が拡がって、気づけば全身におおい被さっていた。
「お前ら、俺をどこに連れていく気なんだ」
網ごと、引きずられる俺。
粗暴な扱いにもほどがある。
焼き豚のように、木に手足をくくりつけられ、持ち運ばれるよりは幾分かはマシだが、これはこれで地獄だ。
捕獲網が頑強でなければ、肉塊になっていた。
「オオンゴ~、ホンゴ! ホンゴ!」いや、何を言っているのか分からないって……。
雑木林の奥、開けた場所に簡素な木の住居が点在している。
なんとなくで察した。ここは、連中の集落だ。
ランサーの一人に引っ張られ、村の中を進む。
家畜小屋や井戸と、ときおり生活感を漂わせる光景を目にし、ここにはある程度の文化があると知れた。
炊事場もあるらしく、奥のほうから煙が立ち込めていた。
力任せに押し出された先は、そこはオッサンの懐の中だった……。
デカい、山のような巨漢だ。
両腕でがっしりとホールドされた、俺は身動きすらとれない!
オッサンの顔が近すぎて、ガチ恋距離必死だ!!
つーか、どういうつもりだ!? このオッサンは!! 気持ち悪いったらありゃしない。
「すみません! そろそろ離れてくれませんかね? 苦しいッス」
「うおおおぉぉん! 会いたかったナラよ。我が息子よ」
「うええぇぇぇ!! 人違いなんじゃないのか!?」
「何を馬鹿な事を―――ワシが、自分の子供を見間違えるわけないだろう! アルファポメオ」
「ぜっ、全然ちが―――うわい!!」
ワンワン号泣するオッサンの巨躯を押し込めるようにして突き飛ばした。
まったく、知らんオッサンに息子認定されるなんて冗談じゃない。
「ん? アルファポメオ?」
360度、見渡す限りのオーシャンビュー。
バカンスに来たわけではない。
今度は青海の孤島。そこにある岩山の頂上で俺は倒れていた。
ナンの因果か、この俺、大名真依人は、ランキングブレイカーとして異世界ライフを、現在進行形で満喫している。
どうして、そうなったのかは不明だ。神々の気まぐれとしか言いようがない。
突如、発生した時空の嵐。
魔王ホロモンの宮殿で発生したモノと酷似していたソレにより、俺が乗っていた帆船は、クルーもろとも巻き込まれてしまった。
ただし前回とは反対に、嵐に弾き飛ばされる結果となった。
この島の上空からカエルのように降り落ちてきたのだろう……気づけば島のど真ん中。
我ながら、無傷で生存しているのが、奇跡的すぎて信じられない。
ともあれ現状をどうにかしないといけない。このまま、此処に留まっていても飢えてしまうだけだ。
それに、背後からジッとこちらの様子をうかがう気配を感じる。
茂みの中にナニかがいる……。
できれば、女性ファンの待ち伏せか、食えそうな小動物であってほしいが望み薄のようだ。
丸皿のような仮面をつけ、腰ミノ姿の筋肉ムキムキの男たちが、セグウェイを爆走させてやってきた。
二度見してみても、正真正銘の改造セグウェイだから突っ込み待ちなのかと疑ってしまう。
風と一体となり走る姿は、大道芸人も顔負けだ。
あと、お約束だといわんばかりに美少女キャラのペイントを欠かさない勇者が、独り混じっているのもポイントが高い。
仮面の奴らは、じゃじゃ馬に振り落とされないよう、上腕二頭筋を張り詰めている。
明らかに従来品の速度より三倍は速い! 速いのか!? ……動力に何を使用しているんだ?
純粋な疑問をぶち壊すように、四つの人影が俺を標的に疾走している。
彼らから、白い文字のようなモノがチラついて見えている。
ボリネシアンランサー 推奨ランク 12,000位以上、そう表示されていた。
早速、活躍するスキャニング。
自分以外の生物と遭遇した時に自動で発動してくれるから使い勝手が良い。
ボリネシアンランサーとは、この奇怪な変態たちの呼び名だ。
一応、自身の身体を探ると[装備、腰ミノ ランキング18,039位]というお馴染みの数字が浮き上がっている。
う~ん、安定の変わらなさ。
「ワシャシャシャオショオシャ――!!」
人語とは思えない奇声がこだまする。
あっ、終わったわ……どう考えても歓迎されているとは思えない。
ランサーとは一体!? 半裸の変態どもが背中に備えていた銛を構えていた。
よほどお気に入りなのか? 連中は、どうあっても愛機から降りようとしない。
「おっと!」呆れていると、奴らの一人が俺にむけて銛を投げつけてきた。
危なげなく避けられた。当然のことながらバランスは悪い。
上半身が前後にフラついていれば、まともに投擲武器を扱えるわけがない。
何度、投げても結果は同じだ。銛は地面に刺さるだけだ。
フハハハハ! 当たる気配はまったくないわい!
俺は捕まった。
いい気になって油断しすぎた。
銛の柄に、捕獲網が取りつけられていた……。
一本では意味もないが、回数を重ねるごとに網が拡がって、気づけば全身におおい被さっていた。
「お前ら、俺をどこに連れていく気なんだ」
網ごと、引きずられる俺。
粗暴な扱いにもほどがある。
焼き豚のように、木に手足をくくりつけられ、持ち運ばれるよりは幾分かはマシだが、これはこれで地獄だ。
捕獲網が頑強でなければ、肉塊になっていた。
「オオンゴ~、ホンゴ! ホンゴ!」いや、何を言っているのか分からないって……。
雑木林の奥、開けた場所に簡素な木の住居が点在している。
なんとなくで察した。ここは、連中の集落だ。
ランサーの一人に引っ張られ、村の中を進む。
家畜小屋や井戸と、ときおり生活感を漂わせる光景を目にし、ここにはある程度の文化があると知れた。
炊事場もあるらしく、奥のほうから煙が立ち込めていた。
力任せに押し出された先は、そこはオッサンの懐の中だった……。
デカい、山のような巨漢だ。
両腕でがっしりとホールドされた、俺は身動きすらとれない!
オッサンの顔が近すぎて、ガチ恋距離必死だ!!
つーか、どういうつもりだ!? このオッサンは!! 気持ち悪いったらありゃしない。
「すみません! そろそろ離れてくれませんかね? 苦しいッス」
「うおおおぉぉん! 会いたかったナラよ。我が息子よ」
「うええぇぇぇ!! 人違いなんじゃないのか!?」
「何を馬鹿な事を―――ワシが、自分の子供を見間違えるわけないだろう! アルファポメオ」
「ぜっ、全然ちが―――うわい!!」
ワンワン号泣するオッサンの巨躯を押し込めるようにして突き飛ばした。
まったく、知らんオッサンに息子認定されるなんて冗談じゃない。
「ん? アルファポメオ?」
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説


おっさんの異世界建国記
なつめ猫
ファンタジー
中年冒険者エイジは、10年間異世界で暮らしていたが、仲間に裏切られ怪我をしてしまい膝の故障により、パーティを追放されてしまう。さらに冒険者ギルドから任された辺境開拓も依頼内容とは違っていたのであった。現地で、何気なく保護した獣人の美少女と幼女から頼られたエイジは、村を作り発展させていく。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる