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天上へ続く箱庭
暴虐無人の魔手
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――それで隠れたつもりか!?
再度、声が聞こえた。
感情の起伏が掴めない、随分と冷めた声の主。
姿は見えなくとも、確実にこの広間に潜んでいる。
敵がどこから私達を狙ってきているのか? 気にはなるがそれよりも――――
優先すべきはグレイデさんの応急処置だ。
真っ赤に染まった彼女のチュニックをめくり傷口を診る。
斬撃による切り口、内臓まで達していないようだが血が止まらない、とにかく止血だ。
見る見るうちにグレイデさんの容体が悪化している、あまりもたついては居られない。
先程まで着ていたブラウスで彼女の傷口にあてがう、同時に魔法でブラウスごと氷結させ固めた。
「回復の指輪は……良かった、治癒魔法一回分の魔力は溜まっている」
私はグレイデさんの手に指輪を握らせた。
傷口が塞がるまで安静にしておけば、一先ずは大丈夫だろう。
「さっきの戯言そっくりそのまま返すよ、エアリアルサーチ」
これだけ開けた空間があれば、エアリアルサーチで敵の居場所を特定できる。
そう、確信をもって放ったが思いもよらぬ肩透かし喰らってしまった。
何処にもいない……いや、正確には魔力が一切感じ取れない。
残滓すら見つけられない、ということは敵は何らかの方法で魔力遮断を行っている。
バキィ――ン!!
金属同士がぶつかり合う音とともに私の肩越しで火花が散った。
床を叩き割るような勢いでふり降ろされた大剣、その先に浮かぶ屈強な鎧姿のシルエットは騎士にしてビーンズ家の嫡男、カシュウのものだった。
「よく、凌いだな。初撃でこれに反応できるとはゾイの話していた事は、あながちデタラメではないわけだな」
「……ただの振り下ろし、なのに何て威力なの」
「極めるとは、こういう事だ。どんなものでも極限に突き詰めれば天元となす」
「どうでもいい……そんな話は! 私の友人を傷つけた報いはキッチリ受けてもらう」
無言のまま大剣を掲げていたカシュウの眉がピクリと動き反応した。
自身の尊厳をバッサリと否定されたのが、よほど気に食わないらしい。
「デュエル! セット!」
深く腰を落としカシュウが構えの姿勢を向ける。
次の一瞬、剣圧よりも先に刃の切っ先が飛び出してくる。
「させない!!」
剣が振り上がる手前で炎を付与したロッドを刀身に打ち当てて勢いを殺したはずが、それでも尚、カシュウの大剣は止まらない。
咄嗟にロッドを反転させ、今度は雷のエンチャントを用いて刀身を叩き伏せて抑え込む。
半分は炎、半分は雷、ロッドの先端を左右同時にエンチャントウエポンさせなければカシュウには対抗できそうにない。
「器用な真似を……なら、コイツはどうだ?」
まるで、感触を愉しむかのごとくゆっくりとカシュウは剣の柄を握る拳に力を込めていく。
途端、斬り上げる大剣の重さが一気に増大する。
「くぅ、駄目! 押し切られてしまう」
斬り上げの威力に、ロッドごと上半身が浮かされてしまった。
半ば、背筋が反り返ったままの状態では、こちらも思うように身動きが取れない。
その機を逃さず、追撃の薙ぎ払いが私に襲いかかる。
飛び出す真空の斬撃。
ダウンバーストでは避けきれないほどの速度と破壊力……。
ならば、壁で!!
フレイムウォール、炎の塊が障壁と化す。
魔法により形成できる壁はいくつか種類があるが、現状最速で構築できるモノはこれしか思い当たらない。
それに火力特化の火属性魔法なら、壁として防御するだけではなく、投げ放つことで敵の攻撃を弱化されることも可能だ。
ただ、今はカシュウとの距離が近すぎる上、真空の範囲規模が常識を逸脱している。
どう足掻いても被弾は覚悟しなければならない。
「何だ……やはりお前も、俺に与えてくれないのか……」
目前でカシュウが寂しげな眼差しを私に向けていた。
急場しのぎで作った防御壁は壁と呼ぶににはあまりにも、おざなりだった。
火炎を突き破り、飛び出た横一線の斬撃が飛翔する鳥がごとく私の身をさらっていく。
岩石を打ちつけるような轟音が辺りに響いた。
一体、何があった…………?
キィーンと音を立てる耳鳴りが一向に止まない中、私は周囲を見回していた。
驚異的な力に弾き飛ばされらしい私の身体は塔の内壁をまんまとブチ破り、半分埋もれている。
まさか、瓦礫と一緒に埋没することになるとは……
危うかった、あと少し衝撃が酷ければ意識を刈り取られているところだった。
保険としてウインドミールで全身を覆っておいて助かった。
「……しくった。フレイムウォールは物理に弱いんだった。こんなんなら、雷の防御魔法を習得しておくべきだったか?」
「驚いた。無傷なのもそうだが、あれだけの力の差を見せられて心が折れるどころか怯える様子も一切ないとはな。なかなかどうして、イカれた女だ」
火の粉舞い散る先で待機していたカシュウが仏頂面で話しかけてきた。
人をサイコパス扱いするとは何たる非礼、とはいえ、この男の言い分もあながち馬鹿にはできない。
思い当たるフシがいくらかある。
隠世での私は今まで一度たりとも恐怖し戦慄した覚えがない。
そう言うと語弊が生じるかもしれないが、決して恐怖心がないという意味ではない。
気持ちは、それなり有るも単純に恐怖することに対し、感性が面倒臭いと訴えてくる。
これが魔性の影響という奴なのか? 私には知る由もないが、自然とそういったものだと錯覚していた。
第三者に直接、指摘されることで再度、自分の異常性に気づかされてしまった。
真っ暗なエントランスホールに一筋の光跡が走る。
さしずめ流星光底といったところか。
まるで夜空で燃え尽きる星屑のように、わずかな刻、最大限の輝きを解き放ってくる。
まだ、いささか足元がおぼつかないが、一度受けた技。
材料も揃っていることだ。
現在位置と攻撃してくるタイミングさえはっきりと見極めれば、後はどうにかなる。
「飛礫だと!? その程度の子供騙しが俺に通用すると思うのが間違いだぁ――!」
「無数の飛礫は布石、本命はこっちだよ!」
大剣を振り上げようとしていたカシュウの身体が大きく前後に振れた。
私が崩した塔の内壁、その瓦礫を魔力操作で飛ばして奴にぶつけてやった。
視界を遮りつつ、小石だと油断しきったところで土魔法ダイヤミサイルを撃ち込んだ。
いくら頑丈な鎧を着こんでいても人である以上、岩石が被弾すれば平気なわけがない。
最初の方こそ、平然を装っていたカシュウもそのまま前進するのは難しいと判断し、防御に徹して迅速に後退し始めた。
剣士であるがゆえに、その間合いさえ入らなければ脅威にはならない。
遠距離主体の魔法使いにとってはやりやすい相手だ。
「見切ったぞ、お前の力量! 俺は壱を知れば拾まで覚えるが、お前は壱を知るまえに拾を得ている。ゆえに、基礎からして段階を踏んでいない、つまり知っていて当たり前の事、経験や判断、知識の応用がお前には欠如している」
苦し紛れに何を言い出しているのかと聞き流そうとしたが違った。
奴の瞳には、揺るぎにない勝利への自信と覇気が滾っている。
そういう眼を向ける輩は大抵、ヤバイ……。
つんざく空気の音ともに鉄塊が猛スピードで飛来してきた。
何て男だ! よりもよって自分の武器である大剣を投げつけてくるとは――
「アースウォールで防いで……」
「ほらな。想定外の事態に対して教科書通りの行動しか取れない。とんだ、甘ちゃんだ」
魔法で生成した土壁に大剣が突き刺さった。
それをいち早く引き抜いたのは、カシュウ本人だった。
この男は、剣を投擲したのと同時にこちらに駆けてきたのだ、私を自身の間合いに引き入れる為に。
「しまっ……!!」
「こ、これは!? まさか……」
私の側面まで接近してきたカシュウ。
振りかざした大剣は確実に、この身に届き裂こうとしていた。
なのに……剣閃は何もない空を斬っている。
事態を把握できず、呆然とする私。
ただ、一つ判明しているのは私とカシュウ、互いの立ち位置が入れ替わっていることぐらいだ。
再度、声が聞こえた。
感情の起伏が掴めない、随分と冷めた声の主。
姿は見えなくとも、確実にこの広間に潜んでいる。
敵がどこから私達を狙ってきているのか? 気にはなるがそれよりも――――
優先すべきはグレイデさんの応急処置だ。
真っ赤に染まった彼女のチュニックをめくり傷口を診る。
斬撃による切り口、内臓まで達していないようだが血が止まらない、とにかく止血だ。
見る見るうちにグレイデさんの容体が悪化している、あまりもたついては居られない。
先程まで着ていたブラウスで彼女の傷口にあてがう、同時に魔法でブラウスごと氷結させ固めた。
「回復の指輪は……良かった、治癒魔法一回分の魔力は溜まっている」
私はグレイデさんの手に指輪を握らせた。
傷口が塞がるまで安静にしておけば、一先ずは大丈夫だろう。
「さっきの戯言そっくりそのまま返すよ、エアリアルサーチ」
これだけ開けた空間があれば、エアリアルサーチで敵の居場所を特定できる。
そう、確信をもって放ったが思いもよらぬ肩透かし喰らってしまった。
何処にもいない……いや、正確には魔力が一切感じ取れない。
残滓すら見つけられない、ということは敵は何らかの方法で魔力遮断を行っている。
バキィ――ン!!
金属同士がぶつかり合う音とともに私の肩越しで火花が散った。
床を叩き割るような勢いでふり降ろされた大剣、その先に浮かぶ屈強な鎧姿のシルエットは騎士にしてビーンズ家の嫡男、カシュウのものだった。
「よく、凌いだな。初撃でこれに反応できるとはゾイの話していた事は、あながちデタラメではないわけだな」
「……ただの振り下ろし、なのに何て威力なの」
「極めるとは、こういう事だ。どんなものでも極限に突き詰めれば天元となす」
「どうでもいい……そんな話は! 私の友人を傷つけた報いはキッチリ受けてもらう」
無言のまま大剣を掲げていたカシュウの眉がピクリと動き反応した。
自身の尊厳をバッサリと否定されたのが、よほど気に食わないらしい。
「デュエル! セット!」
深く腰を落としカシュウが構えの姿勢を向ける。
次の一瞬、剣圧よりも先に刃の切っ先が飛び出してくる。
「させない!!」
剣が振り上がる手前で炎を付与したロッドを刀身に打ち当てて勢いを殺したはずが、それでも尚、カシュウの大剣は止まらない。
咄嗟にロッドを反転させ、今度は雷のエンチャントを用いて刀身を叩き伏せて抑え込む。
半分は炎、半分は雷、ロッドの先端を左右同時にエンチャントウエポンさせなければカシュウには対抗できそうにない。
「器用な真似を……なら、コイツはどうだ?」
まるで、感触を愉しむかのごとくゆっくりとカシュウは剣の柄を握る拳に力を込めていく。
途端、斬り上げる大剣の重さが一気に増大する。
「くぅ、駄目! 押し切られてしまう」
斬り上げの威力に、ロッドごと上半身が浮かされてしまった。
半ば、背筋が反り返ったままの状態では、こちらも思うように身動きが取れない。
その機を逃さず、追撃の薙ぎ払いが私に襲いかかる。
飛び出す真空の斬撃。
ダウンバーストでは避けきれないほどの速度と破壊力……。
ならば、壁で!!
フレイムウォール、炎の塊が障壁と化す。
魔法により形成できる壁はいくつか種類があるが、現状最速で構築できるモノはこれしか思い当たらない。
それに火力特化の火属性魔法なら、壁として防御するだけではなく、投げ放つことで敵の攻撃を弱化されることも可能だ。
ただ、今はカシュウとの距離が近すぎる上、真空の範囲規模が常識を逸脱している。
どう足掻いても被弾は覚悟しなければならない。
「何だ……やはりお前も、俺に与えてくれないのか……」
目前でカシュウが寂しげな眼差しを私に向けていた。
急場しのぎで作った防御壁は壁と呼ぶににはあまりにも、おざなりだった。
火炎を突き破り、飛び出た横一線の斬撃が飛翔する鳥がごとく私の身をさらっていく。
岩石を打ちつけるような轟音が辺りに響いた。
一体、何があった…………?
キィーンと音を立てる耳鳴りが一向に止まない中、私は周囲を見回していた。
驚異的な力に弾き飛ばされらしい私の身体は塔の内壁をまんまとブチ破り、半分埋もれている。
まさか、瓦礫と一緒に埋没することになるとは……
危うかった、あと少し衝撃が酷ければ意識を刈り取られているところだった。
保険としてウインドミールで全身を覆っておいて助かった。
「……しくった。フレイムウォールは物理に弱いんだった。こんなんなら、雷の防御魔法を習得しておくべきだったか?」
「驚いた。無傷なのもそうだが、あれだけの力の差を見せられて心が折れるどころか怯える様子も一切ないとはな。なかなかどうして、イカれた女だ」
火の粉舞い散る先で待機していたカシュウが仏頂面で話しかけてきた。
人をサイコパス扱いするとは何たる非礼、とはいえ、この男の言い分もあながち馬鹿にはできない。
思い当たるフシがいくらかある。
隠世での私は今まで一度たりとも恐怖し戦慄した覚えがない。
そう言うと語弊が生じるかもしれないが、決して恐怖心がないという意味ではない。
気持ちは、それなり有るも単純に恐怖することに対し、感性が面倒臭いと訴えてくる。
これが魔性の影響という奴なのか? 私には知る由もないが、自然とそういったものだと錯覚していた。
第三者に直接、指摘されることで再度、自分の異常性に気づかされてしまった。
真っ暗なエントランスホールに一筋の光跡が走る。
さしずめ流星光底といったところか。
まるで夜空で燃え尽きる星屑のように、わずかな刻、最大限の輝きを解き放ってくる。
まだ、いささか足元がおぼつかないが、一度受けた技。
材料も揃っていることだ。
現在位置と攻撃してくるタイミングさえはっきりと見極めれば、後はどうにかなる。
「飛礫だと!? その程度の子供騙しが俺に通用すると思うのが間違いだぁ――!」
「無数の飛礫は布石、本命はこっちだよ!」
大剣を振り上げようとしていたカシュウの身体が大きく前後に振れた。
私が崩した塔の内壁、その瓦礫を魔力操作で飛ばして奴にぶつけてやった。
視界を遮りつつ、小石だと油断しきったところで土魔法ダイヤミサイルを撃ち込んだ。
いくら頑丈な鎧を着こんでいても人である以上、岩石が被弾すれば平気なわけがない。
最初の方こそ、平然を装っていたカシュウもそのまま前進するのは難しいと判断し、防御に徹して迅速に後退し始めた。
剣士であるがゆえに、その間合いさえ入らなければ脅威にはならない。
遠距離主体の魔法使いにとってはやりやすい相手だ。
「見切ったぞ、お前の力量! 俺は壱を知れば拾まで覚えるが、お前は壱を知るまえに拾を得ている。ゆえに、基礎からして段階を踏んでいない、つまり知っていて当たり前の事、経験や判断、知識の応用がお前には欠如している」
苦し紛れに何を言い出しているのかと聞き流そうとしたが違った。
奴の瞳には、揺るぎにない勝利への自信と覇気が滾っている。
そういう眼を向ける輩は大抵、ヤバイ……。
つんざく空気の音ともに鉄塊が猛スピードで飛来してきた。
何て男だ! よりもよって自分の武器である大剣を投げつけてくるとは――
「アースウォールで防いで……」
「ほらな。想定外の事態に対して教科書通りの行動しか取れない。とんだ、甘ちゃんだ」
魔法で生成した土壁に大剣が突き刺さった。
それをいち早く引き抜いたのは、カシュウ本人だった。
この男は、剣を投擲したのと同時にこちらに駆けてきたのだ、私を自身の間合いに引き入れる為に。
「しまっ……!!」
「こ、これは!? まさか……」
私の側面まで接近してきたカシュウ。
振りかざした大剣は確実に、この身に届き裂こうとしていた。
なのに……剣閃は何もない空を斬っている。
事態を把握できず、呆然とする私。
ただ、一つ判明しているのは私とカシュウ、互いの立ち位置が入れ替わっていることぐらいだ。
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