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冒険者が統べる村
トラブルメーカー
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武具を新調したのち、素材屋なども数件まわった。
その頃にはもう、天秤や宝玉のことなど頭の中からすっぽ抜け、ただただ買い物に夢中になる私がいた。
思ったよりも品揃えがよく、旅に必要なアイテムは何ら問題もなく購入することができた。
それだけで満足してしまう自分は、やすい女なんだろうか?
とにかく、これ以上はジップ村で魔法具関連の情報を探し続けても進展はなさそうだ。
「そういえば、お昼まだ食べてないや。なになに、ジップ村でオススメの飲食店トップ5ね~」
『あのぅ、萌知様。一つよろしいでしょうか?』
「ほおお、芋のデザートが充実していると……やっぱ、甘味は外せないよね。で、何?」
『大変……心苦しいのですがマイレデイ。どど、どうしてこのモリスンめに頼らず、あのタンクトップ野郎の店で、買った雑誌に目を通していらっしゃるのですかな? 失礼ながら萌知様は、先刻いらないと豪語していたはず……我に何か不手際があったのでしょうか? あったのですねぇ! これはそれを戒める為の罰なのですね!!』
「えっ? 知らないけど? あの、お兄さん真剣だったんだよ。偶然、自分の店にやってきた新米冒険者の女の子が危険な目に合わないように心配してくれるなんてホント善意としか受け取れないよね。ああいう人にオススメされたら無下に断れなくてさぁ~買っちった」
『がはっ! あんなのに我は敗北したのですか? しかしながら萌知様、あれは口上。きっと、あ奴めは――』
「カモじゃないもん……よく知っているから、それ以上は言わないで」
『左様……ですか、やはり我が主は情に熱い。その熱が、かって常闇に幽閉されていた――――』
ながっ! その物語に終わりはあるん?
隙あらば、自分語りを始める悪魔に頭を悩ませつつ、私は近場から漂う香ばしい匂いにつられて歩き出した。
「串焼きかぁ。丁度、小腹も空いているし美味しそう。店主さん、一本、頂戴」
「うがあああぁっ!!」
串焼きを注文したのと同時に店の中から悲鳴と共に飛んできた串が私の真横を通過していった。
音を立て落下する焼き網台、飛び散る食材と砕けるガラスの器。
地面に叩きつけられるようにして串焼き屋の主人が店外に投げ飛ばされていた。
「おい、貴様ぁ。この俺にピーマンを食わせるとは度し難いな。野菜はいらないっていつも言ってただろ――が!」
「つっ! そんなの言いがかりだ。だいたいアンタ、普段は出店通りなんて来やしないだろ」
「っさい! 屁理屈ばかりこねやがって。貴様のような輩は一度、仕置きが必要だな、おい!!」
なんなん? この人。
店主にしようもない因縁をふっかける男。
筋骨隆々の体躯に殺気混じりの睨みつけ、とてもじゃないがこの状況、穏便では済まされない。
男が只物でないのは周囲の人々の反応みればすぐに分かる。
「せっかくのメシが不味くなった。貴様のせいでだ、この村のルールは下級民であるお前らでも知っているはずだろう? 日々、これでもかってぐらい言い聞かせてやっているのに忘れるたぁ……どこまで恩知らずなんだ」
「横暴だ! いくら伯爵家の子息でも、たかが好き嫌いで暴れられると思っているのか? 往来で騒ぎ立てりゃ、貴族様の愚行が村人の目にとまるだけだ」
「知ったような口をきくな。ここでは俺が……俺たちビーンズ一家がルールだ、絶対だ」
私を含めた無関係な者たちがそばにいるというのに、貴族の男が遠慮する気配はなかった。
店主の胸ぐらを掴み、その身を持ち上げたまま力任せに投げ飛ばす蛮行を繰り返す。
暴力に訴えかけられてもちっとも屈服しない店主の根性は見上げたものだが、このままだと流石に店主の身体が持たない。
ここで関われば今後どうしようもない厄介事に巻き込まれるのは目に見えている。
私以外の人々もその事を理解した上で理不尽な折檻に目を背けている。
それらを踏まえた上で、私の決意はすでに固まっていた。
これも性分だろう。
窮地に立たされている人がいる、ならば助けるだけだ。
私には見て見ぬふりなど到底できそうにない。
「さてとどうしたものか?」 今の時点で、私が魔導士だと気取られるのは得策ではない。
『相手に気づかれないように仕掛けるのが一番的確かと』
策を練る私にモリスンがさっとアドバイスを寄こした。
悪くない手立てだと、無言でうなづいた私は誰にも気取られないように水属性魔法、ミストチャフを発動させた。
どこからともなく発生した濃霧に包み込まれてゆく男、上出来だ。
これで辺りを目視することも魔力の流れを感知することすらもままならなくなった。
「はぁん? 何だ? 急に視界が見えづらくなってき――がっ! く、首が……息ができねぇ」
魔法の霧が立ち込める中を神眼で覗き見る。
そこには一人苦しみ始める貴族の男の姿があった。
喉元をかきむしるようにソレを狼狽しながら取り除こうとするも上手くいくはずもなく顔色は、みるみるうちに紫みを帯びてきた。
空糸・結束は魔力で生成した風の糸を束にしたモノ、人並みの腕力では引きちぎるのは容易ではないだろう。
それをロープ状にして放ったのだ、魔法で解除するなど対策を講じなければこの状況からは抜け出せない。
抵抗するだけ余計に糸が絡みつき、苦しみが増加するだけ。
このまま、さっさと落ちてくれると助かるんだけど…………どうも、様子がヘンだ。
「くっははは、どこのどいつが仕組んだのか? 知らねぇが、これまた随分と手荒な歓迎をしてくれるじゃねぇか。だがよ……分かるぜ、この感覚は魔術の類だ」
男は口元を大きく広げて嗤う。
誰が見ても追い詰められた状況下……なのに殺気は高まっていく一方だ。
なるほど、大した自信だ。
「雄雄っ、オーラバルク――!!」
男は霧の向こうで必殺技めいた名を恥ずかし気もなく大声で叫んでいた。
気持ちは分からなくも……いやいや、理解してはダメだ。
魔法を使う時、術名を呼ぶのはスイッチを入れるようなもので発動効率を高める為、決してカッコイイからとかじゃない。
魔法にたずさわる者として、その事をわきまえて、てっ?
「おらっ! どこだぁぁぁ? 人の邪魔しやがって、隠れてないで出てこい卑怯者が――!!」
少し戯れが過ぎたようだ。
気づくと男は自力で空糸を取り払っていた。
別に侮ったり油断していたわけじゃないけど、ここいう手合いと本気で事を構えるつもりは、はなからない。
何せ、向こうも脅し目的で生半可な殺気を突きつけてくるんだ、興醒めもいいところだ。
ふざけているのは、お互い様なんて都合のいい言い方はしない。
けれど、大義とか正義とか私にとっては殉ずるモノではないし、無闇に誰かと争うのもゴメンだ。
対人稽古の時、師匠にも口うるさく言われたっけ「やすやすと賭けられる命ほど、賭ける意味はない」って。
だから、すぐに済ます。
これ以上、人の入りが多い場所で時間をとって戦うのは被害と騒ぎを広めてしまう恐れがある。
さらに悪い話、貴族の男は私を見つけられないことで躍起になり猛獣ように手当たり次第に突進しだした。
「ジャガーノートアタック!」 と意味もなく叫びながら子供のように暴れている。
極めて迷惑な技だ、近場にある建屋の壁に重量ある身体をめり込ませて破壊力の限りを尽くしている。
はっきりって自爆技……なのに額から流血しても彼はピンピンしている。
ホント、何も考えてないって怖いわ。
「ぐあっ!」間抜けな一声とともに男がこけた。
自然と倒れたのではない奴の足下を魔法で固めてやった。
グレイブロックまたはアースロックと呼ばれる初級の土魔法は、柔らかな土を瞬時に硬化させる魔法。
使い手次第では金属に引けを取らないほど硬くなる。
さて、この子たちの出番だ。
男の動きを止め、私は店で購入したばかりのアーツグリッドのグローブを右手に装備した。
パワーグローブという冒険者の間では、結構重宝されている定番の商品。
装備者の力、ストレングスを底上げしてくれるらしいが、その恩恵がどこまでなモノなのか曖昧すぎて私には分からない。
まぁ、この獲物を振るうにはおあつらえ向きだとは思うけど。
交渉のすえ、苦労して手に入れた物干し竿――ことアイアンロッド。
イキった敵をぶちのめすのには欠かせない殲滅ウェポン。
これほどの一品を物干し竿にした挙句、そこいらに立てかけておいたままにするのは、それこそバチが当たるというもの。
「エンチャントウェポン発動! 属性雷」
ロッドを掴んだまま地面に振り下ろすとぶつかった先端から蒼白い電気がバチバチと弾けた音を鳴らし走る。
雷の付与。雷属性は性質上、物を強固にし運動力エネルギーを加速移動させる。
詳しい説明を省くと、ようは破壊や貫通に優れているというわけだ。
「ちっ、いい加減……隠れてないで出てこいや!! どこのクソ魔術師かしらねぇが、こんな低俗魔法でこのナック様をもてあそんでいるつもりかぁ!? 上等だ、俺の能力の恐ろしさを存分に――――」
「ちぇすとぉぉぉぉ!」
「あじゃあっあああああああぅんん――――――!!」
何か、口上していたけど聞くもの面倒なのでロッドの先っちょでナックの尻を小突いてやった。
狂ったように地面を転がり回っている彼は、突然襲ってきたの激痛により呻き悶絶するばかりだった。
さながら、羽化する前の蛹……に喩えるのはビジュアル的にキツイか。
「ん? 霧が消えかけている?」
その頃にはもう、天秤や宝玉のことなど頭の中からすっぽ抜け、ただただ買い物に夢中になる私がいた。
思ったよりも品揃えがよく、旅に必要なアイテムは何ら問題もなく購入することができた。
それだけで満足してしまう自分は、やすい女なんだろうか?
とにかく、これ以上はジップ村で魔法具関連の情報を探し続けても進展はなさそうだ。
「そういえば、お昼まだ食べてないや。なになに、ジップ村でオススメの飲食店トップ5ね~」
『あのぅ、萌知様。一つよろしいでしょうか?』
「ほおお、芋のデザートが充実していると……やっぱ、甘味は外せないよね。で、何?」
『大変……心苦しいのですがマイレデイ。どど、どうしてこのモリスンめに頼らず、あのタンクトップ野郎の店で、買った雑誌に目を通していらっしゃるのですかな? 失礼ながら萌知様は、先刻いらないと豪語していたはず……我に何か不手際があったのでしょうか? あったのですねぇ! これはそれを戒める為の罰なのですね!!』
「えっ? 知らないけど? あの、お兄さん真剣だったんだよ。偶然、自分の店にやってきた新米冒険者の女の子が危険な目に合わないように心配してくれるなんてホント善意としか受け取れないよね。ああいう人にオススメされたら無下に断れなくてさぁ~買っちった」
『がはっ! あんなのに我は敗北したのですか? しかしながら萌知様、あれは口上。きっと、あ奴めは――』
「カモじゃないもん……よく知っているから、それ以上は言わないで」
『左様……ですか、やはり我が主は情に熱い。その熱が、かって常闇に幽閉されていた――――』
ながっ! その物語に終わりはあるん?
隙あらば、自分語りを始める悪魔に頭を悩ませつつ、私は近場から漂う香ばしい匂いにつられて歩き出した。
「串焼きかぁ。丁度、小腹も空いているし美味しそう。店主さん、一本、頂戴」
「うがあああぁっ!!」
串焼きを注文したのと同時に店の中から悲鳴と共に飛んできた串が私の真横を通過していった。
音を立て落下する焼き網台、飛び散る食材と砕けるガラスの器。
地面に叩きつけられるようにして串焼き屋の主人が店外に投げ飛ばされていた。
「おい、貴様ぁ。この俺にピーマンを食わせるとは度し難いな。野菜はいらないっていつも言ってただろ――が!」
「つっ! そんなの言いがかりだ。だいたいアンタ、普段は出店通りなんて来やしないだろ」
「っさい! 屁理屈ばかりこねやがって。貴様のような輩は一度、仕置きが必要だな、おい!!」
なんなん? この人。
店主にしようもない因縁をふっかける男。
筋骨隆々の体躯に殺気混じりの睨みつけ、とてもじゃないがこの状況、穏便では済まされない。
男が只物でないのは周囲の人々の反応みればすぐに分かる。
「せっかくのメシが不味くなった。貴様のせいでだ、この村のルールは下級民であるお前らでも知っているはずだろう? 日々、これでもかってぐらい言い聞かせてやっているのに忘れるたぁ……どこまで恩知らずなんだ」
「横暴だ! いくら伯爵家の子息でも、たかが好き嫌いで暴れられると思っているのか? 往来で騒ぎ立てりゃ、貴族様の愚行が村人の目にとまるだけだ」
「知ったような口をきくな。ここでは俺が……俺たちビーンズ一家がルールだ、絶対だ」
私を含めた無関係な者たちがそばにいるというのに、貴族の男が遠慮する気配はなかった。
店主の胸ぐらを掴み、その身を持ち上げたまま力任せに投げ飛ばす蛮行を繰り返す。
暴力に訴えかけられてもちっとも屈服しない店主の根性は見上げたものだが、このままだと流石に店主の身体が持たない。
ここで関われば今後どうしようもない厄介事に巻き込まれるのは目に見えている。
私以外の人々もその事を理解した上で理不尽な折檻に目を背けている。
それらを踏まえた上で、私の決意はすでに固まっていた。
これも性分だろう。
窮地に立たされている人がいる、ならば助けるだけだ。
私には見て見ぬふりなど到底できそうにない。
「さてとどうしたものか?」 今の時点で、私が魔導士だと気取られるのは得策ではない。
『相手に気づかれないように仕掛けるのが一番的確かと』
策を練る私にモリスンがさっとアドバイスを寄こした。
悪くない手立てだと、無言でうなづいた私は誰にも気取られないように水属性魔法、ミストチャフを発動させた。
どこからともなく発生した濃霧に包み込まれてゆく男、上出来だ。
これで辺りを目視することも魔力の流れを感知することすらもままならなくなった。
「はぁん? 何だ? 急に視界が見えづらくなってき――がっ! く、首が……息ができねぇ」
魔法の霧が立ち込める中を神眼で覗き見る。
そこには一人苦しみ始める貴族の男の姿があった。
喉元をかきむしるようにソレを狼狽しながら取り除こうとするも上手くいくはずもなく顔色は、みるみるうちに紫みを帯びてきた。
空糸・結束は魔力で生成した風の糸を束にしたモノ、人並みの腕力では引きちぎるのは容易ではないだろう。
それをロープ状にして放ったのだ、魔法で解除するなど対策を講じなければこの状況からは抜け出せない。
抵抗するだけ余計に糸が絡みつき、苦しみが増加するだけ。
このまま、さっさと落ちてくれると助かるんだけど…………どうも、様子がヘンだ。
「くっははは、どこのどいつが仕組んだのか? 知らねぇが、これまた随分と手荒な歓迎をしてくれるじゃねぇか。だがよ……分かるぜ、この感覚は魔術の類だ」
男は口元を大きく広げて嗤う。
誰が見ても追い詰められた状況下……なのに殺気は高まっていく一方だ。
なるほど、大した自信だ。
「雄雄っ、オーラバルク――!!」
男は霧の向こうで必殺技めいた名を恥ずかし気もなく大声で叫んでいた。
気持ちは分からなくも……いやいや、理解してはダメだ。
魔法を使う時、術名を呼ぶのはスイッチを入れるようなもので発動効率を高める為、決してカッコイイからとかじゃない。
魔法にたずさわる者として、その事をわきまえて、てっ?
「おらっ! どこだぁぁぁ? 人の邪魔しやがって、隠れてないで出てこい卑怯者が――!!」
少し戯れが過ぎたようだ。
気づくと男は自力で空糸を取り払っていた。
別に侮ったり油断していたわけじゃないけど、ここいう手合いと本気で事を構えるつもりは、はなからない。
何せ、向こうも脅し目的で生半可な殺気を突きつけてくるんだ、興醒めもいいところだ。
ふざけているのは、お互い様なんて都合のいい言い方はしない。
けれど、大義とか正義とか私にとっては殉ずるモノではないし、無闇に誰かと争うのもゴメンだ。
対人稽古の時、師匠にも口うるさく言われたっけ「やすやすと賭けられる命ほど、賭ける意味はない」って。
だから、すぐに済ます。
これ以上、人の入りが多い場所で時間をとって戦うのは被害と騒ぎを広めてしまう恐れがある。
さらに悪い話、貴族の男は私を見つけられないことで躍起になり猛獣ように手当たり次第に突進しだした。
「ジャガーノートアタック!」 と意味もなく叫びながら子供のように暴れている。
極めて迷惑な技だ、近場にある建屋の壁に重量ある身体をめり込ませて破壊力の限りを尽くしている。
はっきりって自爆技……なのに額から流血しても彼はピンピンしている。
ホント、何も考えてないって怖いわ。
「ぐあっ!」間抜けな一声とともに男がこけた。
自然と倒れたのではない奴の足下を魔法で固めてやった。
グレイブロックまたはアースロックと呼ばれる初級の土魔法は、柔らかな土を瞬時に硬化させる魔法。
使い手次第では金属に引けを取らないほど硬くなる。
さて、この子たちの出番だ。
男の動きを止め、私は店で購入したばかりのアーツグリッドのグローブを右手に装備した。
パワーグローブという冒険者の間では、結構重宝されている定番の商品。
装備者の力、ストレングスを底上げしてくれるらしいが、その恩恵がどこまでなモノなのか曖昧すぎて私には分からない。
まぁ、この獲物を振るうにはおあつらえ向きだとは思うけど。
交渉のすえ、苦労して手に入れた物干し竿――ことアイアンロッド。
イキった敵をぶちのめすのには欠かせない殲滅ウェポン。
これほどの一品を物干し竿にした挙句、そこいらに立てかけておいたままにするのは、それこそバチが当たるというもの。
「エンチャントウェポン発動! 属性雷」
ロッドを掴んだまま地面に振り下ろすとぶつかった先端から蒼白い電気がバチバチと弾けた音を鳴らし走る。
雷の付与。雷属性は性質上、物を強固にし運動力エネルギーを加速移動させる。
詳しい説明を省くと、ようは破壊や貫通に優れているというわけだ。
「ちっ、いい加減……隠れてないで出てこいや!! どこのクソ魔術師かしらねぇが、こんな低俗魔法でこのナック様をもてあそんでいるつもりかぁ!? 上等だ、俺の能力の恐ろしさを存分に――――」
「ちぇすとぉぉぉぉ!」
「あじゃあっあああああああぅんん――――――!!」
何か、口上していたけど聞くもの面倒なのでロッドの先っちょでナックの尻を小突いてやった。
狂ったように地面を転がり回っている彼は、突然襲ってきたの激痛により呻き悶絶するばかりだった。
さながら、羽化する前の蛹……に喩えるのはビジュアル的にキツイか。
「ん? 霧が消えかけている?」
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