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五十二話 アニキ、孤軍奮闘
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「GET WHY!? 魔法少女ごときの攻撃にヒーロイックメタル装甲が破壊されただと……」
「魔法少女ごときだと……? アンタが馬鹿にするその力が大きな差を生んだんだ! ヒーロー×魔法少女、このタッグに勝てるわけがないだろう」
「どういうことだ?」
「こういうことさ! ガゥライザー!!」
転送されたガゥライザーが床下から浮上してきた。
フルスタイルモードになるまで、何かのモメリがわずかに足りない。
「ドブさん、どうすればゲージが満タンになるの?」
「う~ん、ワカンナイね!!」
「そんな、神様みたいなことを言わないでよ~」
開発に関わっていた本人でさえ、この始末だ。
八割以上は悪ノリで田所さんに造らせたんだろう。できた後は、データに保存しておけばいいのに、何故放置したのか?
「馬鹿な……ドルフィーネと同じタイプの機体だと。それに、この獅子のモデル……ドクター、チョイワリィの巨大ロボと酷似している」
「しているも、何もそれを改修してできたものが、このガゥライザーさ」
「ということは、チョイワリィの奴とは顔見知りというわけだな? 相変わらず、人のアイデアを盗むのが得意なようだ。俺のビルゲイザーも奴のせいで没にされてしまった……赦せん赦さん赦さんぞぉぉぉ!!」
「まさか、アンタはマシナリーの開発者なのか!?」
積年の恨みという言葉がぴったりなのだろう。
チョイ博士の名前を出したレッドは、荒々しく負の感情を吐露していた。
過去に彼が、博士とどう関わっていたのか?
気になるところではあるが、知ったところでレッドの怒りが静まるとは考えにくい。
話し合いに持ち込むのであれば、徹底的に力の差を見せつけないとならない。
「ガゥ、行くよ!」
「待て、ヒサカズ!! コイツをどうにかしてくれ~、気づいたら勝手に潜りこんでいた」
ガゥが頭部をヒョイと下げると溝の合間から、ヒョッコとレッサーパンダが顔を出した。
「サガワ博士!? また、逃走しようとしていたんですか?」
ボクの質問に博士は首を横に振ってみせた。
会話はできないけれど、こちらの言っていることは理解できるようだ。
いや、ガゥライザーが転移することを知っているからこそ飛び乗ってきたと考えたほうがいい。
「何か、用事があってきたんですか?」
博士は大きくうなづき、ブルジョアレッドの方へ小さな前足を突き出した。
意外なことにサガワ博士は、彼のことを知っているようであった。
「何だね? そのアライグマは?」
「レッサーパンダ! じゃなくて、サガワ博士と知り合いなの?」
「知り合いも何も、親子だよ! 佐川 虎治は俺の親父だ」
かたや、悪の組織の元幹部。かたや、偽物のヒーロー。
さすが親子だ……変なところが似通っている。
正直、驚いたけどボクが知りたかったのは、そういう関係性ではなかった。
知りたいのはサガワ博士の目的の方だ。
ボクらの行動を把握していなければ、このタイミングでやってくるはずがないし……ガゥと、どうやってコンタクトを取ったのかもイマイチ不明だ。
自分の息子に会い来た。
本当にそれだけなら構わないけれど、サガワ博士は薄情者ではっきり言って自分以外には無関心である。
感動の再会などあるわけもない。
「実は、このレッサーパンダがサガワ博士なんだ」
今すぐにでもそう言ってやりたかったが、到底言える状況でもない。
相乗効果でサガワ博士の名前を聞いたレッドはますますヒートアップしてしまった。
「科学者など、すべて滅んでしまうばいい。そう、世界に独りだけ……俺のみが科学の父であり、あとは助手で事足りる。見よ! この技術の結晶を、これぞ! 世界が必要とする巨大ロボ、ビルゲイザーだ!」
興奮気味にブルジョアレッドは手にした端末のボタンを押した。
巨大ロボの一言に背筋が凍る。
そんな決戦兵器を持ち出されたら、ボクたちの勝利が0になる。
余程の自信作なのか、得意気になってリモコンを見せつけてくる。そういうトコロが嫌いだ。
『ビルゲイザーはOS更新の為、現在起動できません。更新まであと151時間を要します、実行しますか?』
「っざんけんなぁ―――ああああああああああああああああああああああああ!!!」
レッドが発狂し、リモコンを床にたたきつけた。
ソフトウェアの更新なら仕方ない……とでも言うと思うか?
サガワ博士の息子でも手心は加えない。ここで止めなければ、さらに暴走してゆくだけだ。
それに博士とボクは、敵対する者同士だから助ける義理はない。
「ガゥ、バルキュリアキャリィを出してくれ! 奴の相手はボクだけでやる」
「了解! だが、気をつけろよ。アイツ、まだ何かを隠し持っているような感じがする」
ガゥライザーの後ろ脚部がが半分ほど外れブーツに変形した。
バルキュリアキャリィを装着すれば、一歩踏み込んだだけで脚力が上昇し超加速することができる。
今のレッドは頭に血が上がりきっている状態だ。
さきほどまでとは、違う隙が生じていた。
アクセラレートした状態で接近したボクの裏拳が奴のマスクを打ち抜いた。
「魔法少女ごときだと……? アンタが馬鹿にするその力が大きな差を生んだんだ! ヒーロー×魔法少女、このタッグに勝てるわけがないだろう」
「どういうことだ?」
「こういうことさ! ガゥライザー!!」
転送されたガゥライザーが床下から浮上してきた。
フルスタイルモードになるまで、何かのモメリがわずかに足りない。
「ドブさん、どうすればゲージが満タンになるの?」
「う~ん、ワカンナイね!!」
「そんな、神様みたいなことを言わないでよ~」
開発に関わっていた本人でさえ、この始末だ。
八割以上は悪ノリで田所さんに造らせたんだろう。できた後は、データに保存しておけばいいのに、何故放置したのか?
「馬鹿な……ドルフィーネと同じタイプの機体だと。それに、この獅子のモデル……ドクター、チョイワリィの巨大ロボと酷似している」
「しているも、何もそれを改修してできたものが、このガゥライザーさ」
「ということは、チョイワリィの奴とは顔見知りというわけだな? 相変わらず、人のアイデアを盗むのが得意なようだ。俺のビルゲイザーも奴のせいで没にされてしまった……赦せん赦さん赦さんぞぉぉぉ!!」
「まさか、アンタはマシナリーの開発者なのか!?」
積年の恨みという言葉がぴったりなのだろう。
チョイ博士の名前を出したレッドは、荒々しく負の感情を吐露していた。
過去に彼が、博士とどう関わっていたのか?
気になるところではあるが、知ったところでレッドの怒りが静まるとは考えにくい。
話し合いに持ち込むのであれば、徹底的に力の差を見せつけないとならない。
「ガゥ、行くよ!」
「待て、ヒサカズ!! コイツをどうにかしてくれ~、気づいたら勝手に潜りこんでいた」
ガゥが頭部をヒョイと下げると溝の合間から、ヒョッコとレッサーパンダが顔を出した。
「サガワ博士!? また、逃走しようとしていたんですか?」
ボクの質問に博士は首を横に振ってみせた。
会話はできないけれど、こちらの言っていることは理解できるようだ。
いや、ガゥライザーが転移することを知っているからこそ飛び乗ってきたと考えたほうがいい。
「何か、用事があってきたんですか?」
博士は大きくうなづき、ブルジョアレッドの方へ小さな前足を突き出した。
意外なことにサガワ博士は、彼のことを知っているようであった。
「何だね? そのアライグマは?」
「レッサーパンダ! じゃなくて、サガワ博士と知り合いなの?」
「知り合いも何も、親子だよ! 佐川 虎治は俺の親父だ」
かたや、悪の組織の元幹部。かたや、偽物のヒーロー。
さすが親子だ……変なところが似通っている。
正直、驚いたけどボクが知りたかったのは、そういう関係性ではなかった。
知りたいのはサガワ博士の目的の方だ。
ボクらの行動を把握していなければ、このタイミングでやってくるはずがないし……ガゥと、どうやってコンタクトを取ったのかもイマイチ不明だ。
自分の息子に会い来た。
本当にそれだけなら構わないけれど、サガワ博士は薄情者ではっきり言って自分以外には無関心である。
感動の再会などあるわけもない。
「実は、このレッサーパンダがサガワ博士なんだ」
今すぐにでもそう言ってやりたかったが、到底言える状況でもない。
相乗効果でサガワ博士の名前を聞いたレッドはますますヒートアップしてしまった。
「科学者など、すべて滅んでしまうばいい。そう、世界に独りだけ……俺のみが科学の父であり、あとは助手で事足りる。見よ! この技術の結晶を、これぞ! 世界が必要とする巨大ロボ、ビルゲイザーだ!」
興奮気味にブルジョアレッドは手にした端末のボタンを押した。
巨大ロボの一言に背筋が凍る。
そんな決戦兵器を持ち出されたら、ボクたちの勝利が0になる。
余程の自信作なのか、得意気になってリモコンを見せつけてくる。そういうトコロが嫌いだ。
『ビルゲイザーはOS更新の為、現在起動できません。更新まであと151時間を要します、実行しますか?』
「っざんけんなぁ―――ああああああああああああああああああああああああ!!!」
レッドが発狂し、リモコンを床にたたきつけた。
ソフトウェアの更新なら仕方ない……とでも言うと思うか?
サガワ博士の息子でも手心は加えない。ここで止めなければ、さらに暴走してゆくだけだ。
それに博士とボクは、敵対する者同士だから助ける義理はない。
「ガゥ、バルキュリアキャリィを出してくれ! 奴の相手はボクだけでやる」
「了解! だが、気をつけろよ。アイツ、まだ何かを隠し持っているような感じがする」
ガゥライザーの後ろ脚部がが半分ほど外れブーツに変形した。
バルキュリアキャリィを装着すれば、一歩踏み込んだだけで脚力が上昇し超加速することができる。
今のレッドは頭に血が上がりきっている状態だ。
さきほどまでとは、違う隙が生じていた。
アクセラレートした状態で接近したボクの裏拳が奴のマスクを打ち抜いた。
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