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二章、後編 聖地の落とし物
51話 揺れる大樹林
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私たちが今いるのは、ヴィンセント遺跡最奥に張られている結界のすぐ近く、聖域と呼ばれている場所だ。
本来なら結界の間を通らないと、ここには辿り着けない。
隠し通路のおかげで、ショートカットできたのは幸運だった。
裏手側から結界へと直行できるおかげで、道中を塞いでいるオークキングとは出会わないで済む。
結界の様子を確認し、壊れているようであれば修復する。
それが、神官である私の役割だ。魔物退治などは専門家に任せておけばいい。
ピョンピョン飛び跳ねながら、キィーナの後についてくる、綿あめ。
完全にあの子に懐いている。
精霊なら知らない人間に対して警戒を見せるはずなのに、加護の精霊にはそれがない。
純真無垢なキィーナはともかく……私がいっても平気なようだ。
ついて来る目的が何であれ、光の象徴だ。
キィーナの傍にいてくれるのは、私としてはありがたい。
ほどなくして、結界の中心部に到達した。
やはり……というか、予想通り結界が途切れてしまっている。
調べると結界の核たる石碑に刻まれていた魔法陣の一部が欠けてなくなっている。
自然とそうなったのか? 人為的に破壊されたのか? 知るすべはないが、そんなことは後回しだ。
今は一刻も早く石碑を修復する必要がある。
「まぁ、大して壊れてないからチャッチャと終わらせますか!」
「どうしたの? うん……コワいのがいる」
「キィーナ? その精霊さんが、何か言っているの?」
「ここはキケンだって、魔物のすみかだって言っているよ」
「う~ん、出たとしても足の遅いオークキングでしょ? 私でも、どうにか逃げ切れると思うけど」
「ディ……地面から来るって。早く、にげないと!」
キィーナの言葉が何を意味するのか?
考える暇もなく大地が震動し始めた。
「こ、こんな時に地震!? いいえ……違う。余震もなかったし、森の動物たちも何ら反応を示さなかった。これは……ここだけが揺れているんだ!」
亀裂が生じるのと同時に、地面が隆起した。
地中から伸びる細長い木の根が、ムチのようにしなりながら、地面を掘り起こしてゆく。
その内の一本が私たちの前でダダン! と地を打ちつけた。
辺りに漂う砂煙の中で蠢く怪物の影が見えた。
「オークキングって……まさか、これぇぇぇぇっ――――!!」
絶叫したくなるもの無理はない……私が勝手に豚さんだとイメージしていた魔物はトレントの亜種だ。
オークの木に宿った邪精霊、それがオークキングと呼ばれる魔物の正体だった。
本来なら結界の間を通らないと、ここには辿り着けない。
隠し通路のおかげで、ショートカットできたのは幸運だった。
裏手側から結界へと直行できるおかげで、道中を塞いでいるオークキングとは出会わないで済む。
結界の様子を確認し、壊れているようであれば修復する。
それが、神官である私の役割だ。魔物退治などは専門家に任せておけばいい。
ピョンピョン飛び跳ねながら、キィーナの後についてくる、綿あめ。
完全にあの子に懐いている。
精霊なら知らない人間に対して警戒を見せるはずなのに、加護の精霊にはそれがない。
純真無垢なキィーナはともかく……私がいっても平気なようだ。
ついて来る目的が何であれ、光の象徴だ。
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やはり……というか、予想通り結界が途切れてしまっている。
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自然とそうなったのか? 人為的に破壊されたのか? 知るすべはないが、そんなことは後回しだ。
今は一刻も早く石碑を修復する必要がある。
「まぁ、大して壊れてないからチャッチャと終わらせますか!」
「どうしたの? うん……コワいのがいる」
「キィーナ? その精霊さんが、何か言っているの?」
「ここはキケンだって、魔物のすみかだって言っているよ」
「う~ん、出たとしても足の遅いオークキングでしょ? 私でも、どうにか逃げ切れると思うけど」
「ディ……地面から来るって。早く、にげないと!」
キィーナの言葉が何を意味するのか?
考える暇もなく大地が震動し始めた。
「こ、こんな時に地震!? いいえ……違う。余震もなかったし、森の動物たちも何ら反応を示さなかった。これは……ここだけが揺れているんだ!」
亀裂が生じるのと同時に、地面が隆起した。
地中から伸びる細長い木の根が、ムチのようにしなりながら、地面を掘り起こしてゆく。
その内の一本が私たちの前でダダン! と地を打ちつけた。
辺りに漂う砂煙の中で蠢く怪物の影が見えた。
「オークキングって……まさか、これぇぇぇぇっ――――!!」
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