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パン職人編
7-1
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7-1
再度、訪れたエルゴードの農村はいつも通りの静けさに包まれていた。
数日前のお祭りムードは夢、幻のようだ。
パンダネとして、ここに戻ってきたら彼らはどんな反応を見せるのだろう?
妙な疑問が頭の中によぎる――――が楽観視していられない。
なんせ、今回の訪問はクレス一人ではないのだから。
「なんで? そこいら中、蒸しパン屋ばかりなんだ……人とはこうも蒸しパンを好むのか?」
「さぁ、何ででしょう。アッハハァ――――」
まさか自分のせいだとは口が裂けても言えない。
目ざといと言うか……本当にちゃっかりしている。
田舎の民は、金銭的な嗅覚が鋭い。金になると分かったら、すぐに何でも売りだす。
村の中には『元祖、パンダネ蒸しパン』に『秘伝! 白い蒸しパン』
はては『チョコ蒸しパン』など様々な看板を掲げた屋台が軒を連ねていた。
辺りをキョロキョロと見渡し、何かあればすぐに口をつく。
この神経質な中年こそ、四魔皇が一人にして魔王軍政務官のガレットである。
義強(強情)で無愛想なとっつきにくい紳士である一方――――
悪魔は真名を知られると弱体化するという迷信を鵜吞みにして、誰にも本名を明かそうとしない小心的な一面も持つ。
クレスは人里へ向かうのを拒否されたとばかり思っていた。
書斎を退室した後、ガレットはわざわざ自室までもどって背広から半袖のシャツと短パンに着替えてきた。
外出する気、満々な彼を見た途端、思わず口元が緩んでしまいそうになった。
「クレス殿、どこへ向かうのだ?」
「一先ず、カーペンターのところへと向かいましょう。彼の家は村近くにあります」
「なら、そこに直接行けば良かろう」
「ミミコが行ったことがない場所だから無理ですよ。こうして貪欲の壺も持ってきたことですし、彼の所で預かってもらって、あとでミミコに覚えてもらいましょう」
村の中を歩く、青年と中年紳士。
決して小さな村ではないが、よそ者に対する村人の反応は敏感だ。
クレスともかく、ガレットは色々と目立ち過ぎだった。
こんな片田舎でバカンスを楽しむような格好をしているような者は滅多に見ない。
「フッ、どうやら私の存在が大きすぎて、下々の者共は圧倒されているようだな」
いつもよりガレットの口数が多い。
人間社会が物珍しいのはわかるが一々、反応されても返答に困る。
クレスは首をすぼめながら村の出入口へと急行した。
これ以上は余計なモノを見せられない。トラブルの臭いしかしない。
「あら。クレス君、戻ってきたの?」
歩いていると、向かい側からバケット(網かご)を手にした女性が手を振っていた。
スミレ色の髪と、優し気な瞳をした淡麗の美姫。
女性は、この村の宿泊施設のオーナーであるマダム、カテリーナだ。
預けておいた貪欲の壺を手前勝手に持ち出したクレスは、気不味さを感じていた。
仮に怪人の正体がクレスであると彼女が気づいていても、内緒にしてしまっていることには変わりない。
「いやぁ、すみませんね。うちのクレスがお世話になって」
予想だにしなかったガレットの演技にクレスは彼の方を振り向かずにはいられなかった。
どうやら機転を利かせてくれたようだ。
目が合うと、コチラに合わせろと言わんばかりにマダムの方へ視線を送っていた。
「失礼ですが、どちら様でしょうか?」
「ええっ……私は、パン屋の経営者でしてガレットと申します。経営専門で職人ではありませんが、此度、ロイヤルホールディングを解雇されたクレス君を、うちで採用することに決定しました」
「まぁ、そうだったのね。おめでとう、クレス君」
普段からは想像できないほど、腰が低いガレットにマダムはすっかり騙されてしまっていた。
場を取り持ってくれたことで壺の件は有耶無耶にできた。
助け船を出されたクレスだが、いかんせんガレットの魂胆が見えてこない。
いつもなら仏頂面で何の興味もしめさない癖に、ちゃっかりマダムと談笑している。
「クレス君、どうやら例のカーペンターはカテリーナさんの店に来ているらしいぞ」
危うくサムールと行き違いになるところだった。
マダムから詳しく話を聞くと、まだ真昼間だというのにサムールが突然、タヴァンにやって来て酒浸りになっているのだという。
詳しい理由は本人の口から聞いて欲しいとマダムが告げる。
お客様のプライバシーの保護を優先する為とのこと。
その辺りの徹底した管理は、さすがとしか言いようがない。
早速、全員でタヴァンへと向かった。
クレスたちの目的はサムールを魔族領へ勧誘することにある。
勧誘と言ってもクレスのように常時、滞在するわけではない。
必要な時に、必要な仕事を引き請けてもらえば、それで良かった。
「ヒィック……酒だ、酒を持ってこぉーい!」
中に入るなり、やけを起こしたような大声が響いてきた。
言うまでなく、サムールがカウンター席に座りながら喚いていた。
彼の他に客がいないのは幸いなのかもしれないが、ホールスタッフにはいい迷惑である。
「先日はお世話になりました。サムールさん」
クレスが話かけると、サムールは泥酔した眼を向けていた。
「おおっ、クレス……クレスか! この前はありがとっな。彼女もスゲー喜んでくれたわ」
おそらくはサンドイッチのことを話しているのだろう。
思い出したかのような笑顔をみせると、急に顔をシワクチャにして泣き始めた。
情緒不安定なサムールを見てクレスはガレットに言った。
「少しの間、彼の相手をしてあげて下さい」
「はぁ? 私がか? 何を勝手に――――」
「マダム、厨房をお借りしても?」
「ええ、どうぞ。ガレットさん……私からもお願いするわ。彼、今日はずっとこんな感じで。私よりも同性である貴方の方が、話しやすいはず。話だけでも聞いてあげてくださらない?」
「う、うむ……」
どうやら美人の【お願い】には弱いらしい。
マダムにまで頼まれてしまったガレットは何も反論できずにいた。
タジタジになりながらもサムールの隣に腰をおろした。
その様子を見届けながら、クレスは厨房へと入った。
ベイキングセラピーという言葉がある。
パンが持つ不思議な魅力。
それは作ったり、食べたりすることで人のストレスを発散してしまうということだ。
生地をこねることに没入すれば、嫌な事を忘れられる。
焼きたてのパンの香ばしい匂いは嗅いだだけで幸福感を得られる。
なにもクレスに限ったことではない。この感覚はパン好きならば誰にでも当てはまる。
今回、クレスが作るのは菓子パンだ。
新鮮な牛乳で作った自家製ヨーグルトは発酵させるのに貪欲の壺を使用した。
牛乳が一瞬にしてヨーグルトになるのだから、この壺はパン職人にとっては家宝クラスの魔道具だ。
ヨーグルトにクリームチーズを混ぜた物を、焼きたてのパンケーキにまんべんなく塗り付けてゆく。
あとはハーブを添えて、これでヨーグルトクリームケーキの完成だ。
「サムールさん、これを食べてみて下さい」
「おほっ、美味そうだわ」
クレスが運んできたデザートパンにサムールの眼は瞬時に釘付けとなった。
「本当、クレス君のパンは見る度に食欲をそそられるわね」
「うむ、ヨダレがでそうであるな」
「二人の分も用意してあるので、良かったら食べてください」
両手を合わせて歓喜するマダムと子供のように瞳を輝かせるガレット。
大人でも頬をゆるめてしまうほどに、焼きたて匂いが幸福を運んでくる。
「おお。ふんわり、しっとりとしたパンケーキの程よい甘さと、コクのあるヨーグルトクリームの酸味が実に合うでよ」
大きく切り分けたパンケーキを味わいながら、サムールが何度もうなづく。
「後味もスッキリとしていて食べやすいわ。これなら、小食の人も何枚でもいけそうね。ほんと、クリーム酸味がパンケーキの甘さをより引き立ててくれているわね、美味しいわ」
マダムもご満悦のようだ。
「この芳醇な香りはキュアの実かぁ! さらに熱過ぎず、冷めすぎない適温でデザートを用意する、こだわりの入れよう……これは初恋の相手を海デートへ誘った時、自然な流れでドロップキックを食らった、あの時の衝撃と同じだ……」
わけの分からない感想を長々と述べているが、ガレットも文句なしのようだ。
再度、訪れたエルゴードの農村はいつも通りの静けさに包まれていた。
数日前のお祭りムードは夢、幻のようだ。
パンダネとして、ここに戻ってきたら彼らはどんな反応を見せるのだろう?
妙な疑問が頭の中によぎる――――が楽観視していられない。
なんせ、今回の訪問はクレス一人ではないのだから。
「なんで? そこいら中、蒸しパン屋ばかりなんだ……人とはこうも蒸しパンを好むのか?」
「さぁ、何ででしょう。アッハハァ――――」
まさか自分のせいだとは口が裂けても言えない。
目ざといと言うか……本当にちゃっかりしている。
田舎の民は、金銭的な嗅覚が鋭い。金になると分かったら、すぐに何でも売りだす。
村の中には『元祖、パンダネ蒸しパン』に『秘伝! 白い蒸しパン』
はては『チョコ蒸しパン』など様々な看板を掲げた屋台が軒を連ねていた。
辺りをキョロキョロと見渡し、何かあればすぐに口をつく。
この神経質な中年こそ、四魔皇が一人にして魔王軍政務官のガレットである。
義強(強情)で無愛想なとっつきにくい紳士である一方――――
悪魔は真名を知られると弱体化するという迷信を鵜吞みにして、誰にも本名を明かそうとしない小心的な一面も持つ。
クレスは人里へ向かうのを拒否されたとばかり思っていた。
書斎を退室した後、ガレットはわざわざ自室までもどって背広から半袖のシャツと短パンに着替えてきた。
外出する気、満々な彼を見た途端、思わず口元が緩んでしまいそうになった。
「クレス殿、どこへ向かうのだ?」
「一先ず、カーペンターのところへと向かいましょう。彼の家は村近くにあります」
「なら、そこに直接行けば良かろう」
「ミミコが行ったことがない場所だから無理ですよ。こうして貪欲の壺も持ってきたことですし、彼の所で預かってもらって、あとでミミコに覚えてもらいましょう」
村の中を歩く、青年と中年紳士。
決して小さな村ではないが、よそ者に対する村人の反応は敏感だ。
クレスともかく、ガレットは色々と目立ち過ぎだった。
こんな片田舎でバカンスを楽しむような格好をしているような者は滅多に見ない。
「フッ、どうやら私の存在が大きすぎて、下々の者共は圧倒されているようだな」
いつもよりガレットの口数が多い。
人間社会が物珍しいのはわかるが一々、反応されても返答に困る。
クレスは首をすぼめながら村の出入口へと急行した。
これ以上は余計なモノを見せられない。トラブルの臭いしかしない。
「あら。クレス君、戻ってきたの?」
歩いていると、向かい側からバケット(網かご)を手にした女性が手を振っていた。
スミレ色の髪と、優し気な瞳をした淡麗の美姫。
女性は、この村の宿泊施設のオーナーであるマダム、カテリーナだ。
預けておいた貪欲の壺を手前勝手に持ち出したクレスは、気不味さを感じていた。
仮に怪人の正体がクレスであると彼女が気づいていても、内緒にしてしまっていることには変わりない。
「いやぁ、すみませんね。うちのクレスがお世話になって」
予想だにしなかったガレットの演技にクレスは彼の方を振り向かずにはいられなかった。
どうやら機転を利かせてくれたようだ。
目が合うと、コチラに合わせろと言わんばかりにマダムの方へ視線を送っていた。
「失礼ですが、どちら様でしょうか?」
「ええっ……私は、パン屋の経営者でしてガレットと申します。経営専門で職人ではありませんが、此度、ロイヤルホールディングを解雇されたクレス君を、うちで採用することに決定しました」
「まぁ、そうだったのね。おめでとう、クレス君」
普段からは想像できないほど、腰が低いガレットにマダムはすっかり騙されてしまっていた。
場を取り持ってくれたことで壺の件は有耶無耶にできた。
助け船を出されたクレスだが、いかんせんガレットの魂胆が見えてこない。
いつもなら仏頂面で何の興味もしめさない癖に、ちゃっかりマダムと談笑している。
「クレス君、どうやら例のカーペンターはカテリーナさんの店に来ているらしいぞ」
危うくサムールと行き違いになるところだった。
マダムから詳しく話を聞くと、まだ真昼間だというのにサムールが突然、タヴァンにやって来て酒浸りになっているのだという。
詳しい理由は本人の口から聞いて欲しいとマダムが告げる。
お客様のプライバシーの保護を優先する為とのこと。
その辺りの徹底した管理は、さすがとしか言いようがない。
早速、全員でタヴァンへと向かった。
クレスたちの目的はサムールを魔族領へ勧誘することにある。
勧誘と言ってもクレスのように常時、滞在するわけではない。
必要な時に、必要な仕事を引き請けてもらえば、それで良かった。
「ヒィック……酒だ、酒を持ってこぉーい!」
中に入るなり、やけを起こしたような大声が響いてきた。
言うまでなく、サムールがカウンター席に座りながら喚いていた。
彼の他に客がいないのは幸いなのかもしれないが、ホールスタッフにはいい迷惑である。
「先日はお世話になりました。サムールさん」
クレスが話かけると、サムールは泥酔した眼を向けていた。
「おおっ、クレス……クレスか! この前はありがとっな。彼女もスゲー喜んでくれたわ」
おそらくはサンドイッチのことを話しているのだろう。
思い出したかのような笑顔をみせると、急に顔をシワクチャにして泣き始めた。
情緒不安定なサムールを見てクレスはガレットに言った。
「少しの間、彼の相手をしてあげて下さい」
「はぁ? 私がか? 何を勝手に――――」
「マダム、厨房をお借りしても?」
「ええ、どうぞ。ガレットさん……私からもお願いするわ。彼、今日はずっとこんな感じで。私よりも同性である貴方の方が、話しやすいはず。話だけでも聞いてあげてくださらない?」
「う、うむ……」
どうやら美人の【お願い】には弱いらしい。
マダムにまで頼まれてしまったガレットは何も反論できずにいた。
タジタジになりながらもサムールの隣に腰をおろした。
その様子を見届けながら、クレスは厨房へと入った。
ベイキングセラピーという言葉がある。
パンが持つ不思議な魅力。
それは作ったり、食べたりすることで人のストレスを発散してしまうということだ。
生地をこねることに没入すれば、嫌な事を忘れられる。
焼きたてのパンの香ばしい匂いは嗅いだだけで幸福感を得られる。
なにもクレスに限ったことではない。この感覚はパン好きならば誰にでも当てはまる。
今回、クレスが作るのは菓子パンだ。
新鮮な牛乳で作った自家製ヨーグルトは発酵させるのに貪欲の壺を使用した。
牛乳が一瞬にしてヨーグルトになるのだから、この壺はパン職人にとっては家宝クラスの魔道具だ。
ヨーグルトにクリームチーズを混ぜた物を、焼きたてのパンケーキにまんべんなく塗り付けてゆく。
あとはハーブを添えて、これでヨーグルトクリームケーキの完成だ。
「サムールさん、これを食べてみて下さい」
「おほっ、美味そうだわ」
クレスが運んできたデザートパンにサムールの眼は瞬時に釘付けとなった。
「本当、クレス君のパンは見る度に食欲をそそられるわね」
「うむ、ヨダレがでそうであるな」
「二人の分も用意してあるので、良かったら食べてください」
両手を合わせて歓喜するマダムと子供のように瞳を輝かせるガレット。
大人でも頬をゆるめてしまうほどに、焼きたて匂いが幸福を運んでくる。
「おお。ふんわり、しっとりとしたパンケーキの程よい甘さと、コクのあるヨーグルトクリームの酸味が実に合うでよ」
大きく切り分けたパンケーキを味わいながら、サムールが何度もうなづく。
「後味もスッキリとしていて食べやすいわ。これなら、小食の人も何枚でもいけそうね。ほんと、クリーム酸味がパンケーキの甘さをより引き立ててくれているわね、美味しいわ」
マダムもご満悦のようだ。
「この芳醇な香りはキュアの実かぁ! さらに熱過ぎず、冷めすぎない適温でデザートを用意する、こだわりの入れよう……これは初恋の相手を海デートへ誘った時、自然な流れでドロップキックを食らった、あの時の衝撃と同じだ……」
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