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百三十七話
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ギデオン VS 生徒会
一触即発の雰囲気の中、それは予期せぬカタチで起こった。
ウウウウ―――!! ファァァアア――――ン!!
目が覚めるようなアラートが一同を制止させる。
「何だ?」と声を漏らすギデオンの手前で、プロタリコルが戦線離脱を計った。
「何処へ向かうつもりだ!?」
「ええーい! 邪魔しないでいただけますでしょうか? 場内を移動するネズミを発見した合図なので……」
「ブロッサムのことだな。アンタについて行けば、会えるというわけか!」
「ついて来るなら勝手にどうぞ。自分の任務はブロッサムを監視することにあるんで、貴方には興味がありません」
「ヒハッ……ヒハァ! んつーか、何でワシまで走らなんだ……」
看守はわけも分からず、若者たちと並走していた。
それもこれも、ギデオンが彼を案内役から解放し忘れたからだ。
べつに老体に鞭打ちながら走る必要はなかった。
案内人としての役目を充分に努めてくれた。
ただ、彼のアスリート魂は止まらない。
「うおおおおお!!」雄叫びあげながら走り去ってゆく看守。どさくさ紛れどこかにバックレてしまった。
屋外に出ると監視塔の灯りが目まぐるしく留置場内を照らし逃亡者の行方を追っていた。
追加情報として館内から音声が流れてくる。
「現在、留置場内、東車両倉庫区画にて、脱獄者を連れた侵入者を確認! 第三、第五師団はただちに敵を包囲せよ!!」
「こっちだ!」「向こうだ!」と留置所職員やナズィール兵が騒ぎ立てるなか、目的の車両倉庫区画を目指す。
生徒会の書記と一緒なのが、釈然としないが、そのオカゲで足止め食らわずにすんだのも、また事実だ。
車両倉庫の付近には、すでに先鋒隊が集結し始めていた。
この、黒山の人だかりからブロッサムを見つけられるのだろうか?
ダイレクトに伝わる現場の重苦しい雰囲気が、不安を煽ってくる。
「ん?」目元に微かな光が照射された。
一瞬のことで気のせいかと疑ったが、再度光を受けギデオンは足を止めた。
光の元をたどると、闇夜に塗れ倉庫の屋根に立つ人影らしきモノが見えた。
肉眼で確認するには、夜目が利かなければ気づくこともないだろう。
「敵を引きつけろとでも言いたいのか……」
合図をするように送られてくる光に応じ、ギデオンは魔銃を構え空に一発、発砲した。
決して褒められた方法ではなかった……。
兵士たち注意を引くだけなら他に方法はあったはずだ。
轟音鳴り響く中で、誰もが中心にいる彼に注目した。
ギデオンにとって、リスクマネジメントは二の次だ。
最短、最速で目的を達する―――それだけが、彼の行動理念だ。
「皆さん、騙されないで下さい!! ソイツは逃亡者ではありません!! 注意をそらす為の囮です!」
館内放送から流れてくる声は、さきほどまでのアナウンスとは変わり異質なモノだった。
異変の正体は、聴覚ではなく、脳へと直に飛び込んでくる女の声。
奇怪なことに、その一言だけで職員や兵士たちはギデオンに目もくれなくなった。
「セクティーめ……」近くにいた、プロタリコルが口元を歪めて悔しがっていた。
監視塔の証明が倉庫の屋根を照らした。
それと同時に、屋根の上から凄まじい衝撃音が駆け抜け人影が落下してきた。
真下にいた兵士たちを巻き込み、二つが巨漢が空から降ってきた。
下敷きとなった者たちが呻く中、彼らはほぼ同時に起き上がった。
ドドドッドン!!! 戦いのドラムが鳴る。
殴り合いとは思えないほどの音を立てて、男たちは互いを潰し合っていた。
掌底を突き出すブロッサム。
対するは、手刀を用いる生徒会長のバミューダ。
両者の力は拮抗しているようにも見える。
「秘技、大包!!」力を溜めたブロッサムの一撃が、バミューダの懐に飛ぶ。
「はぇえええい! 鉈斬り」振り下ろされる手刀が逃亡者の両肩に食い込む。
「どうして彼らは、争っているんだ?」「勇士学校の生徒だろっ……あれ」 状況が飲み込めない兵士たちから、戸惑いの声が拡がっていた。
「チッ、もう解け始めてきましたか」その様子にプロタリコルが舌打ちしながら、手にしたナイフを周囲に向けかざす。
「いいですか! このナイフをよーく見て下さい。このナイフが差し示したモノこそ我々のて――――アダダア、嗚呼ア”ア”ア”ア”ア”ア”――――!!」
向かい合うギデオンが当然、彼の手を握った。
親指を下に向けたまま、腕を軽くひねっただけで、悲鳴をあげる生徒会、書記。
地面に這いつくばるプロタリコルに、ギデオンが囁く。
「そう易々と精神魔法を使われてたまるか!」
一触即発の雰囲気の中、それは予期せぬカタチで起こった。
ウウウウ―――!! ファァァアア――――ン!!
目が覚めるようなアラートが一同を制止させる。
「何だ?」と声を漏らすギデオンの手前で、プロタリコルが戦線離脱を計った。
「何処へ向かうつもりだ!?」
「ええーい! 邪魔しないでいただけますでしょうか? 場内を移動するネズミを発見した合図なので……」
「ブロッサムのことだな。アンタについて行けば、会えるというわけか!」
「ついて来るなら勝手にどうぞ。自分の任務はブロッサムを監視することにあるんで、貴方には興味がありません」
「ヒハッ……ヒハァ! んつーか、何でワシまで走らなんだ……」
看守はわけも分からず、若者たちと並走していた。
それもこれも、ギデオンが彼を案内役から解放し忘れたからだ。
べつに老体に鞭打ちながら走る必要はなかった。
案内人としての役目を充分に努めてくれた。
ただ、彼のアスリート魂は止まらない。
「うおおおおお!!」雄叫びあげながら走り去ってゆく看守。どさくさ紛れどこかにバックレてしまった。
屋外に出ると監視塔の灯りが目まぐるしく留置場内を照らし逃亡者の行方を追っていた。
追加情報として館内から音声が流れてくる。
「現在、留置場内、東車両倉庫区画にて、脱獄者を連れた侵入者を確認! 第三、第五師団はただちに敵を包囲せよ!!」
「こっちだ!」「向こうだ!」と留置所職員やナズィール兵が騒ぎ立てるなか、目的の車両倉庫区画を目指す。
生徒会の書記と一緒なのが、釈然としないが、そのオカゲで足止め食らわずにすんだのも、また事実だ。
車両倉庫の付近には、すでに先鋒隊が集結し始めていた。
この、黒山の人だかりからブロッサムを見つけられるのだろうか?
ダイレクトに伝わる現場の重苦しい雰囲気が、不安を煽ってくる。
「ん?」目元に微かな光が照射された。
一瞬のことで気のせいかと疑ったが、再度光を受けギデオンは足を止めた。
光の元をたどると、闇夜に塗れ倉庫の屋根に立つ人影らしきモノが見えた。
肉眼で確認するには、夜目が利かなければ気づくこともないだろう。
「敵を引きつけろとでも言いたいのか……」
合図をするように送られてくる光に応じ、ギデオンは魔銃を構え空に一発、発砲した。
決して褒められた方法ではなかった……。
兵士たち注意を引くだけなら他に方法はあったはずだ。
轟音鳴り響く中で、誰もが中心にいる彼に注目した。
ギデオンにとって、リスクマネジメントは二の次だ。
最短、最速で目的を達する―――それだけが、彼の行動理念だ。
「皆さん、騙されないで下さい!! ソイツは逃亡者ではありません!! 注意をそらす為の囮です!」
館内放送から流れてくる声は、さきほどまでのアナウンスとは変わり異質なモノだった。
異変の正体は、聴覚ではなく、脳へと直に飛び込んでくる女の声。
奇怪なことに、その一言だけで職員や兵士たちはギデオンに目もくれなくなった。
「セクティーめ……」近くにいた、プロタリコルが口元を歪めて悔しがっていた。
監視塔の証明が倉庫の屋根を照らした。
それと同時に、屋根の上から凄まじい衝撃音が駆け抜け人影が落下してきた。
真下にいた兵士たちを巻き込み、二つが巨漢が空から降ってきた。
下敷きとなった者たちが呻く中、彼らはほぼ同時に起き上がった。
ドドドッドン!!! 戦いのドラムが鳴る。
殴り合いとは思えないほどの音を立てて、男たちは互いを潰し合っていた。
掌底を突き出すブロッサム。
対するは、手刀を用いる生徒会長のバミューダ。
両者の力は拮抗しているようにも見える。
「秘技、大包!!」力を溜めたブロッサムの一撃が、バミューダの懐に飛ぶ。
「はぇえええい! 鉈斬り」振り下ろされる手刀が逃亡者の両肩に食い込む。
「どうして彼らは、争っているんだ?」「勇士学校の生徒だろっ……あれ」 状況が飲み込めない兵士たちから、戸惑いの声が拡がっていた。
「チッ、もう解け始めてきましたか」その様子にプロタリコルが舌打ちしながら、手にしたナイフを周囲に向けかざす。
「いいですか! このナイフをよーく見て下さい。このナイフが差し示したモノこそ我々のて――――アダダア、嗚呼ア”ア”ア”ア”ア”ア”――――!!」
向かい合うギデオンが当然、彼の手を握った。
親指を下に向けたまま、腕を軽くひねっただけで、悲鳴をあげる生徒会、書記。
地面に這いつくばるプロタリコルに、ギデオンが囁く。
「そう易々と精神魔法を使われてたまるか!」
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