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Chapter2.5:アップデートと遺跡攻略

28話:大規模アップデートに向けて

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 どうも、ミオンです。今日で第一回のイベントから、現実時間で一週間ほどが経とうとしています。
 私たちは相変わらず黄昏のトワイライト戦乙女・ヴァルキュリアの修復に勤しんでいた。
 今ではそれなりに動きの効率化も進み、現在ではかなりの修復度を稼げている。

[戦艦・ホーム]黄昏のトワイライト戦乙女・ヴァルキュリア

 修復度:510702/1000000

 現時点で半分を過ぎたところかな。この調子で行けば、夏休みが終わる前には修復が完了しそうだ。
 ただ、この作業にちょっと飽きてきたというか……少しでいいから気分転換したいなーって気持ちもあったりする。

 作業こそMMOらしさって言えばそうなんだけどね。こう、気晴らしくらいはしたいわけですよ。
 悪魔の素材を使ったパーツ開発もちょっと行き詰まってるし……ん、何か通知? メッセージかな?

『……おお、次のアップデートのお知らせだ!』

 届いたのは、運営からのお知らせだった。どうやらFFOをプレイ中の全ユーザーに、同時に送信されたみたい。既に掲示板のスレが面白いくらいに騒いでる件について。
 えっと、何て書いてあるのかな……ほほう。

 お知らせに書いてあることを要約すると、以下のようになる。
 まず、今日から現実時間で一週間後、FFOのver.2.0.のアップデートが行われるみたいだ。時間は丸一日かかるみたいだね。

 で、肝心のアップデートの内容だけど、結構色々あるよ。
 まず、全プレイヤー待望の新しい浮遊大陸ファンタジアが実装されるみたい。大陸の大きさも最初の浮遊大陸とは比べ物にならないくらい大きいようだ。

 第二のセカンド浮遊大陸・ファンタジアに渡る方法はいくつかあるみたいだけど、最も簡単な方法がノースファスディアから出ている定期便に乗ること。これは、利用料を払えば誰でも乗れるらしい。

 だけど、この最初の浮遊大陸から外に出るためには、特定のモンスターを倒して証明書を発行してもらわないといけないみたいだ。

 その特定のモンスターっていうのが、西の沼地の奥のボスか、南の森の下層のボスか、東の遺跡のボスの三体。で、そのうちどれか二体を倒していることが定期便を利用できる条件のようだ。
 これはアプデ前に倒してても大丈夫なようだね。暫くはこの三つのマップにプレイヤーが集まりそうだ。

 それで、定期便以外に浮遊大陸間を渡る方法っていうのが、自前の飛空艇での移動だね。これは、クラン単位でも個人単位でもいいらしい。
 こちらは定期便と違って決められた航路がないから、自力で次の浮遊大陸までたどり着かないといけないのがデメリットかな。もしかしたら、その道中でまだ見ぬ浮遊大陸が発見される可能性もあるとか。

 後は空を飛べる種族だけど、この方法は一番おすすめされてないね。翼人とかだとスタミナの問題もあるし、もしも途中で下に落っこちたら、死に戻った上で特殊なペナルティが発生するらしい。
 通常のペナルティに加えて、所持アイテムがランダムに半分ロストだったかな。結構重いペナルティがある。だから、自力での飛行じゃなくて定期便を使うか自前の飛空艇を使おうってことだね。

 私たちには黄昏の戦乙女があるから、いちいち飛空艇は買わなくていいかな……小さいのでもすごい値段しそうだし。現実時間で一週間後なら、修復度の進み具合も大丈夫そうだ。

 後は細かな調整とか、新しい浮遊大陸が追加されることによって新規モンスターと新規クエストが追加される……くらいかな。調整の方は私たち魔機人マギナには関係無さそうだ。

 さて、と。アップデートが来る前に、とりあえずやらないといけないことができたわけだ。
 私たちは南の森……〈散華の森・下層〉のボスは倒してるけど、沼地にも遺跡にも行ったことがないんだよね。つまり、そこのボスも倒してないってことだ。

 この浮遊大陸の外に出るためには、三体のうち二体のボスモンスターの討伐が必須。なら、気分転換も兼ねて沼地か遺跡のボスモンスターを倒しに行きたいね。
 というわけで、早速みんなに連絡……したんだけど。

 レンとアイちゃんはリアルでの用事があって不在、ヴィーンは打ち上げで新しくフレンドになったプレイヤーと予定がある、と。
 親方たちは黄昏の戦乙女の修復度を稼ぎたいってことで今回は不参加……私一人しかいないね。

 んー、どうしよう。正直気持ちが気分転換の方に振り切れてて、作業のやる気がないんだよね。
 となると、私もフレンドの誰かと行くのがいいか。
 それなら……兄さんかカンナヅキさんかリリスタリアさんになるかな? 流石に打ち上げ以来絡んだことのないカンナヅキさんとリリスタリアさんを誘うのはハードルが高いから……兄さんにしよう。なんだかんだ兄さんなら、二つ返事でOKしてくれそうだ。

 というわけで、早速兄さんにチャットを送るぜ!

『ん、珍しいな。ミオンちゃんからチャットなんて』
『まぁね。兄さんって今空いてる?』
『最愛の妹の頼みとあれば、例え空いていなくても空けるが?』
『あー、うん。用事があるなら別にいいんだけど』
『用事はたった今なくなった。で、どうした?』

 全く、この兄さんは……まぁ、妹としては兄さんに大切にされてるんだなぁって嬉しくもあるけど、それで他の人に迷惑がかかってるとなると複雑な気持ちだ。
 モヤモヤした気持ちのまま、私は兄さんに遺跡か沼地のボスモンスターを倒したい旨を伝える。

『なるほど。さっきの運営からのお知らせを見たんだね』
『うん。それで、兄さんが一番声を掛けやすかったからチャットしたんだけど……』
『それならちょうどいい。これから【モフモフ帝国】と【お嬢様の集いノーブル・レディ】と合同でボスアタックをする予定だったんだ。そこにミオンちゃんも来ればいい』
『えっ、でも、私部外者だけど……?』
『ミオンちゃんの参加を拒むやつなんていない。仮に居たらPvPで認めさせるまでだ』
『そ、そう? それならお邪魔しよっかな。どこに行けばいい?』
『一応遺跡の前で合流して、そこから合同パーティーを組んで順にボスアタックさせる予定だから、そこに来てくれればいい』
『ん、分かった。急いでそっちに向かうね』
『ああ。カンナヅキとリリスタリアにはこっちから伝えておこう』
『ありがとう。じゃあ後でね』

 兄さんとのチャットを終えた私は、親方たちに出かける旨を伝えて、ガレージを出た。
 〈散華の森・最奥〉から自動回復の追いつく限りで急いで一時間ほど。
 私は東の遺跡まで辿り着いた。
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