14 / 40
Chapter.1:錆び朽ちた魔機人《マギナ》
11話:【ブラッドライン】
しおりを挟む
シャリシャリシャリシャリシャリシャリ――
どうもこんにちは。私は現在、一心不乱に魔導石を研磨しています。
というのも魔導石をパーツに組み込もうとしたところ、魔導石が大きすぎてどうしても組み込むことができないことが判明してしまったのです!
幸いと言っていいのか、ある程度削って小さくしても魔力保有量は変わらなかったので、必要な分だけ研磨しているってわけ。ま、磨けば見た目も綺麗になるしね!
そして、限界まで磨き上げた魔導石がこれだ。
[素材・アイテム]活性八八式魔導石・極 レア度:UR- 品質:B- 魔力保有量:B-
極ですってよ極。しかも、魔力保有量も上がってるんです!
まあ、これ一個削り出すのにゲーム内で三時間ほどかかっているので……必要数用意するのはとても大変だった。
研磨失敗で評価が落ちたものも含めると、どれくらいの時間を使ったのか……。
しかし、これでようやく次のステージへ行けるようになった。パーツ自体の加工はほぼ終わっており、後は研磨した魔導石をはめ込んで終了というところまできている。
パーツ作成にも魔力を使わないといけないため、試作異界式腕部を作ってからさらに現実時間で四日ほど日数が経過している。
夏休みじゃなかったら四日で済んだかどうか……。
VRMMOなのにぼっちで生産活動とはこれ如何に。まぁ、生産活動とは己との戦いなのだよ……はい。すみませんでした。
ヴィーンは森に行ったり生産活動してたり、まぁいつも通り過ごしていたようだ。
レンとアイちゃんは私のようにガレージにこもって色々やっていたみたいだね。
ちなみにヴィーンは私たちがパーツ作りを頑張っている間、一人でも〈散華の森・中層〉の入口付近歩けるくらいには鍛えたらしく、そこに出現するモンスターの素材も譲ってくれた。
特に、ポイズンスネークの進化系だと思われるアシッドスネーク、パラライズスネーク、ストーンスネークの皮が手に入ったのは大きい。
これらの皮で魔導ケーブルを作れれば、ポイズンスネークの皮製のものよりも強度と魔力の伝導率のいい魔導ケーブルを作れるからだ。
そして作ったのがこのケーブルになる。
[素材・アイテム]合成蛇皮の魔導ケーブル レア度:R
品質:C+ 魔力伝導率:B-
ちょくちょく掲示板を見ながら作業はしてたんだけど、どうやら私以外にもポツポツと錆び朽ちたパーツから脱却している魔機人プレイヤーがいるようだ。
耐久値の低さについてはまだ改善がされていないそうで、ヒットアンドアウェイの戦法が主流になっているとか。
あとは、射撃系のスキルが解放されるかもしれないと《弓》スキルを取るプレイヤーも多いらしい。
私の方は、既に耐久値の低さをカバーする方法を試しているけど……何でもかんでも情報を出すってのはあれだからね。
いくら他のロボットが見たいと言っても、さ。試行錯誤がより良い機体を産むのだよ。多分。
あとは、ユージン兄さんたちが北の山のボスを倒して、北の町を解放したってことかな。
北の町はノースファスディアって名前で、他の浮遊大陸に向かうための飛空船が出ている港町らしい。
現在は物資を運び込むための貨物飛空船しか出ていないということだ。
また、多人数用の飛空船とは別に、少人数……このゲームで言うと二PTまでの人数が乗れる飛空艇というのもあるみたいだ。こちらは個人で購入することができるみたいで、そのお値段はめちゃくちゃ高い。
現状、簡単に手に入れられるものじゃないってことだね。
そうそう。《鍛冶》スキルが成長限界に達したから、《初級鍛冶》スキルが解放されたんだよね。
まだ、初級にすら至れてなかったのか……って思わなくもないけど、取らない理由が無いから3SPを払って取得した。
初期に選べる一次スキルは、基本的に30レベルが成長限界っぽいね? 二次スキルは40か50か……あ、そろそろ《刀剣》スキルも二次スキル獲得しとかないといけないかな。
えっと、解放されてるのが《片手剣》《両手剣》《短剣》《細剣》《刀》か。
……悩ましいところだけど、ここは《片手剣》スキルを取ろう。
もしビームサーベルがあるなら、《片手剣》スキルが必要だろうしね。武装の目処も立ってないことは無いし……いいかな、うん。
『研磨も終わったし、そろそろ組み込みかな』
「おや、そろそろできるのかい?」
『うん。今日中には完成かな。あとは、武装の方にも手を付けないといけないけどね』
「ふむ。たしかに、あの錆び朽ちた武装では貧弱がすぎるか……なにを作るつもりだい?」
『考えてるのはビームサーベルもどきとビームライフルもどき。ライフルの方はマグナムになるかも』
「あの光る刃がシュイン、と伸びるあれだね。それと遠距離武装か。そもそもそれらの武器は作れるのかい?」
『魔機人なんてロマン種族を作るような運営だからね。絶対ロマン武器は作れる。それだけは確信を持って言えるね』
私、信じてるよ?
「そ、そうか……こほん。たしかに、遠距離武装は必要だろうね。魔機人は魔法が使えないから」
『うん。相手に遠距離攻撃手段があってこっちにないなんて状況を作りたくないからね。できるだけやってみるつもり』
「素材は足りるのかい?」
『サーベルの方ならなんとか。ただ、マグナムを作るにはちょっと鉱石のランクが低いかな……威力に耐えられなさそう』
「ふむ。中層の入口付近にら鉱石の取れる場所が見当たらなかったから、中層の奥か下層か……あとは、北の町から行ける鉱山くらいかな。少なくとも、ビームの剣ができるまでは動けないね」
『北の町は解放するためのボス戦がね……ほんとごめん! でも、かけた時間に見合うだけの威力を見せるから!』
「ふふ、謝らなくていいよ。ミオンならできるさ……さて、私も武器の強化をしなくてはね」
そう言うとヴィーンはガレージの外へと出て行く。
一人になったガレージの中で、私は《パーツクリエイト》を弄る。
研磨した活性八八式魔導石・極を全て素材庫へと移動させて、形を整えたフレームやパーツ、それらを繋ぎ合わせる魔導ケーブルを取り出した。
細かいパーツ一つ一つにコーティングするように魔力を込めていく。処理の終わったものから順に素材庫へと戻し、取り出してはそれぞれのパーツを組み上げる。
研磨魔導石をENタンクとして各部に組み込み、外れないように噛み合わせを確認しながら加工していく。
一つのパーツを作り上げるのに、ゲーム内で約一時間半。組み上がったパーツに色を付けて、ダメ押しの魔力コーティング。
……む、素材によって付けられる色が違うのか。えっと、この素材だと……赤、黒、金、がちょうど良さそうだね。
そして、リアル精神力とENの全てをつぎ込んで現状で作れる最高のパーツを完成させた。
逸る気持ちを抑えて、装備を全て換装する。
アバター決定時の色とは大きく違い、メインの機体色は黒。ところどころに紅のラインが引かれ、ENを通すとその部分が導線のように淡く光る。
細かい装飾は金で施され、さながら神話の果てを目指すどこぞの罪を背負っていそうなロボットのような色合いだ。
色は変わったが見た目はほとんど変わっておらず、違う点としては背部パーツを新しく作成したところ。
大型のスラスターを二点、小型のスラスターを四点新調し、大型のスラスターそれぞれに研磨魔導石を二個ずつ、小型のスラスターに一個ずつ組み込み、自分のENを使わなくともスラスターを使えるようにした。
短時間であれば飛行も可能だが、あまりおすすめはできない。消費ENがバカみたいに高いからね。
黒の機体色に紅のラインがまるで、血のように脈動しているように見えることから、このパーツの名前は〈ブラッドライン〉シリーズに決めた。ふふん、なかなかかっこいいでしょ?
もちろん、性能の方も凄いものだ。
[パーツ・頭部]ブラッドライン-H -レア度:EX
品質:B- 魔力伝導率:A 魔力保有量:2500 耐久値:5000
VIT+25 MIND+40
パーツスキル:《魔力自動吸収》《属性変更》
《魔力自動吸収》:組み込まれた魔導石の力により周囲の魔力を自動で吸収し、自身の魔力保有量を回復させる。
《属性変更》:魔力の属性を好きに変更できる。
[パーツ・胴部]ブラッドライン-B- レア度:EX
品質:B- 魔力伝導率:A 魔力保有量:2500 耐久値:5000
VIT+25 MIND+40
パーツスキル:《魔力自動吸収》《属性変更》
[パーツ・腕部]ブラッドライン-RA-(-LA-)レア度:EX
品質:B- 魔力伝導率:A 魔力保有量:2500(2500)耐久値:5000(5000)
STR+28 VIT+25 MIND+40
スキル:《魔力自動吸収》《属性変更》
[パーツ・腰部]ブラッドライン-Bo- レア度:EX
品質:B- 魔力伝導率:A 魔力保有量:2500 耐久値:5000
VIT+25 MIND+40 AGI+30
スキル:《魔力自動吸収》《属性変更》
[パーツ・脚部]ブラッドライン-RL-(-LL-)レア度:EX
品質:B- 魔力伝導率:A 魔力保有量:2500(2500) 耐久値:5000(5000)
VIT+25 MIND+40 AGI+30
スキル:《魔力自動吸収》《属性変更》
[パーツ・背部]ブラッドライン-Ba- レア度:EX
品質:B- 魔力伝導率:A 魔力保有量:15000 耐久値:5000
VIT+25 MIND+40 AGI+30
スキル:《魔力自動吸収》《属性変更》
うん、この性能なら大満足だね。色合いがかっこよくて美しい。錆び朽ちた見た目とはこれでおさらばよ! しかし品質はAいかなかったかぁ。素材の品質が足りないからかな?
ちなみに、色んなプレイヤーから耐久値が分かりにくいってことで昨日小さなアップデートが入ったらしく、耐久値が数値として表示されている。
そのついでか何かは分からないけど、魔力保有量の方も数字化されているみたいだ。
まぁ、見てもよく分からないんだけどね。
前までのアルファベット方式は、大体の目安だったみたいだ。その方式で言うと、ブラッドラインの耐久値は……C+くらい、かな?
試作異界式腕部と比べると、天と地ほどの差があるね。
しかし武器がまだ錆び朽ちたソードとブレードなので、次はそれをなんとかしなくちゃいけない。
ビームサーベル……ここの運営なら絶対に似たようなものを実装しているはず。
んー、出力確保のため魔導石は必須として、あとは鉱石とチューブ用の皮かな。ヴィーンから貰った中層の蛇皮で作ってみよう!
私がそのままの勢いで新しい武装を作ろうと素材に魔力を込めようとすると、その腕を綺麗な手が掴む。その先を見ると、笑顔のヴィーンとレン、アイちゃんが私を見ていた。
『……あのぅ、ヴィーンさん?』
「ミオン。熱中するのはいい事だけど、時間も気にした方がいいね」
『アタシも人の事言えねぇけど、さすがにな』
『根、詰め』
チラリと時間を確認すると、私がいつもログアウトしてる時間を少し過ぎていた。い、いつのまにこんなに時間が……。
「さ、今日はここまでだよ。全く、そろそろ夏休みも終わるっていうのに……」
『あはは……って、夏休み?』
「ん、いや、こちらの話だよ。私は先に落ちるからね。また明日だ」
『うん、また明日ね!』
『おう』
『ぶい』
本人にしか見えないメニューを操作し、光に包まれるヴィーンたち。光が収まる数秒後には私一人になっていた。
このまま続けてもいいけど、それで遅れたら明日怒られるな……ここは大人しくログアウトしますか。
私もメニュー画面を操作し、ログアウトを選択。あっという間に現実世界に戻ってきた私は食事やお風呂などのもろもろの雑事を済ませ、ベッドにダイブするのだった。
ちなみに晩ご飯は兄さんが作って置いといてくれました。ありがとう兄さん! 持つべきものは理解のある家族だね!
[所持スキル]
《魔機人》Lv.33(2up↑)
《武装》Lv.29《パーツクリエイト》Lv.27(12up↑)
《自動修復》Lv22《自動供給》Lv.28(5up↑)
《片手剣》Lv.1(New)《鑑定》Lv.-- 《感知》Lv.14《直感》Lv.25《敏捷強化》Lv.27《採掘》Lv.21《初級鍛冶》Lv.4(New)《裁縫》Lv.17(5up↑)
残りSP25
どうもこんにちは。私は現在、一心不乱に魔導石を研磨しています。
というのも魔導石をパーツに組み込もうとしたところ、魔導石が大きすぎてどうしても組み込むことができないことが判明してしまったのです!
幸いと言っていいのか、ある程度削って小さくしても魔力保有量は変わらなかったので、必要な分だけ研磨しているってわけ。ま、磨けば見た目も綺麗になるしね!
そして、限界まで磨き上げた魔導石がこれだ。
[素材・アイテム]活性八八式魔導石・極 レア度:UR- 品質:B- 魔力保有量:B-
極ですってよ極。しかも、魔力保有量も上がってるんです!
まあ、これ一個削り出すのにゲーム内で三時間ほどかかっているので……必要数用意するのはとても大変だった。
研磨失敗で評価が落ちたものも含めると、どれくらいの時間を使ったのか……。
しかし、これでようやく次のステージへ行けるようになった。パーツ自体の加工はほぼ終わっており、後は研磨した魔導石をはめ込んで終了というところまできている。
パーツ作成にも魔力を使わないといけないため、試作異界式腕部を作ってからさらに現実時間で四日ほど日数が経過している。
夏休みじゃなかったら四日で済んだかどうか……。
VRMMOなのにぼっちで生産活動とはこれ如何に。まぁ、生産活動とは己との戦いなのだよ……はい。すみませんでした。
ヴィーンは森に行ったり生産活動してたり、まぁいつも通り過ごしていたようだ。
レンとアイちゃんは私のようにガレージにこもって色々やっていたみたいだね。
ちなみにヴィーンは私たちがパーツ作りを頑張っている間、一人でも〈散華の森・中層〉の入口付近歩けるくらいには鍛えたらしく、そこに出現するモンスターの素材も譲ってくれた。
特に、ポイズンスネークの進化系だと思われるアシッドスネーク、パラライズスネーク、ストーンスネークの皮が手に入ったのは大きい。
これらの皮で魔導ケーブルを作れれば、ポイズンスネークの皮製のものよりも強度と魔力の伝導率のいい魔導ケーブルを作れるからだ。
そして作ったのがこのケーブルになる。
[素材・アイテム]合成蛇皮の魔導ケーブル レア度:R
品質:C+ 魔力伝導率:B-
ちょくちょく掲示板を見ながら作業はしてたんだけど、どうやら私以外にもポツポツと錆び朽ちたパーツから脱却している魔機人プレイヤーがいるようだ。
耐久値の低さについてはまだ改善がされていないそうで、ヒットアンドアウェイの戦法が主流になっているとか。
あとは、射撃系のスキルが解放されるかもしれないと《弓》スキルを取るプレイヤーも多いらしい。
私の方は、既に耐久値の低さをカバーする方法を試しているけど……何でもかんでも情報を出すってのはあれだからね。
いくら他のロボットが見たいと言っても、さ。試行錯誤がより良い機体を産むのだよ。多分。
あとは、ユージン兄さんたちが北の山のボスを倒して、北の町を解放したってことかな。
北の町はノースファスディアって名前で、他の浮遊大陸に向かうための飛空船が出ている港町らしい。
現在は物資を運び込むための貨物飛空船しか出ていないということだ。
また、多人数用の飛空船とは別に、少人数……このゲームで言うと二PTまでの人数が乗れる飛空艇というのもあるみたいだ。こちらは個人で購入することができるみたいで、そのお値段はめちゃくちゃ高い。
現状、簡単に手に入れられるものじゃないってことだね。
そうそう。《鍛冶》スキルが成長限界に達したから、《初級鍛冶》スキルが解放されたんだよね。
まだ、初級にすら至れてなかったのか……って思わなくもないけど、取らない理由が無いから3SPを払って取得した。
初期に選べる一次スキルは、基本的に30レベルが成長限界っぽいね? 二次スキルは40か50か……あ、そろそろ《刀剣》スキルも二次スキル獲得しとかないといけないかな。
えっと、解放されてるのが《片手剣》《両手剣》《短剣》《細剣》《刀》か。
……悩ましいところだけど、ここは《片手剣》スキルを取ろう。
もしビームサーベルがあるなら、《片手剣》スキルが必要だろうしね。武装の目処も立ってないことは無いし……いいかな、うん。
『研磨も終わったし、そろそろ組み込みかな』
「おや、そろそろできるのかい?」
『うん。今日中には完成かな。あとは、武装の方にも手を付けないといけないけどね』
「ふむ。たしかに、あの錆び朽ちた武装では貧弱がすぎるか……なにを作るつもりだい?」
『考えてるのはビームサーベルもどきとビームライフルもどき。ライフルの方はマグナムになるかも』
「あの光る刃がシュイン、と伸びるあれだね。それと遠距離武装か。そもそもそれらの武器は作れるのかい?」
『魔機人なんてロマン種族を作るような運営だからね。絶対ロマン武器は作れる。それだけは確信を持って言えるね』
私、信じてるよ?
「そ、そうか……こほん。たしかに、遠距離武装は必要だろうね。魔機人は魔法が使えないから」
『うん。相手に遠距離攻撃手段があってこっちにないなんて状況を作りたくないからね。できるだけやってみるつもり』
「素材は足りるのかい?」
『サーベルの方ならなんとか。ただ、マグナムを作るにはちょっと鉱石のランクが低いかな……威力に耐えられなさそう』
「ふむ。中層の入口付近にら鉱石の取れる場所が見当たらなかったから、中層の奥か下層か……あとは、北の町から行ける鉱山くらいかな。少なくとも、ビームの剣ができるまでは動けないね」
『北の町は解放するためのボス戦がね……ほんとごめん! でも、かけた時間に見合うだけの威力を見せるから!』
「ふふ、謝らなくていいよ。ミオンならできるさ……さて、私も武器の強化をしなくてはね」
そう言うとヴィーンはガレージの外へと出て行く。
一人になったガレージの中で、私は《パーツクリエイト》を弄る。
研磨した活性八八式魔導石・極を全て素材庫へと移動させて、形を整えたフレームやパーツ、それらを繋ぎ合わせる魔導ケーブルを取り出した。
細かいパーツ一つ一つにコーティングするように魔力を込めていく。処理の終わったものから順に素材庫へと戻し、取り出してはそれぞれのパーツを組み上げる。
研磨魔導石をENタンクとして各部に組み込み、外れないように噛み合わせを確認しながら加工していく。
一つのパーツを作り上げるのに、ゲーム内で約一時間半。組み上がったパーツに色を付けて、ダメ押しの魔力コーティング。
……む、素材によって付けられる色が違うのか。えっと、この素材だと……赤、黒、金、がちょうど良さそうだね。
そして、リアル精神力とENの全てをつぎ込んで現状で作れる最高のパーツを完成させた。
逸る気持ちを抑えて、装備を全て換装する。
アバター決定時の色とは大きく違い、メインの機体色は黒。ところどころに紅のラインが引かれ、ENを通すとその部分が導線のように淡く光る。
細かい装飾は金で施され、さながら神話の果てを目指すどこぞの罪を背負っていそうなロボットのような色合いだ。
色は変わったが見た目はほとんど変わっておらず、違う点としては背部パーツを新しく作成したところ。
大型のスラスターを二点、小型のスラスターを四点新調し、大型のスラスターそれぞれに研磨魔導石を二個ずつ、小型のスラスターに一個ずつ組み込み、自分のENを使わなくともスラスターを使えるようにした。
短時間であれば飛行も可能だが、あまりおすすめはできない。消費ENがバカみたいに高いからね。
黒の機体色に紅のラインがまるで、血のように脈動しているように見えることから、このパーツの名前は〈ブラッドライン〉シリーズに決めた。ふふん、なかなかかっこいいでしょ?
もちろん、性能の方も凄いものだ。
[パーツ・頭部]ブラッドライン-H -レア度:EX
品質:B- 魔力伝導率:A 魔力保有量:2500 耐久値:5000
VIT+25 MIND+40
パーツスキル:《魔力自動吸収》《属性変更》
《魔力自動吸収》:組み込まれた魔導石の力により周囲の魔力を自動で吸収し、自身の魔力保有量を回復させる。
《属性変更》:魔力の属性を好きに変更できる。
[パーツ・胴部]ブラッドライン-B- レア度:EX
品質:B- 魔力伝導率:A 魔力保有量:2500 耐久値:5000
VIT+25 MIND+40
パーツスキル:《魔力自動吸収》《属性変更》
[パーツ・腕部]ブラッドライン-RA-(-LA-)レア度:EX
品質:B- 魔力伝導率:A 魔力保有量:2500(2500)耐久値:5000(5000)
STR+28 VIT+25 MIND+40
スキル:《魔力自動吸収》《属性変更》
[パーツ・腰部]ブラッドライン-Bo- レア度:EX
品質:B- 魔力伝導率:A 魔力保有量:2500 耐久値:5000
VIT+25 MIND+40 AGI+30
スキル:《魔力自動吸収》《属性変更》
[パーツ・脚部]ブラッドライン-RL-(-LL-)レア度:EX
品質:B- 魔力伝導率:A 魔力保有量:2500(2500) 耐久値:5000(5000)
VIT+25 MIND+40 AGI+30
スキル:《魔力自動吸収》《属性変更》
[パーツ・背部]ブラッドライン-Ba- レア度:EX
品質:B- 魔力伝導率:A 魔力保有量:15000 耐久値:5000
VIT+25 MIND+40 AGI+30
スキル:《魔力自動吸収》《属性変更》
うん、この性能なら大満足だね。色合いがかっこよくて美しい。錆び朽ちた見た目とはこれでおさらばよ! しかし品質はAいかなかったかぁ。素材の品質が足りないからかな?
ちなみに、色んなプレイヤーから耐久値が分かりにくいってことで昨日小さなアップデートが入ったらしく、耐久値が数値として表示されている。
そのついでか何かは分からないけど、魔力保有量の方も数字化されているみたいだ。
まぁ、見てもよく分からないんだけどね。
前までのアルファベット方式は、大体の目安だったみたいだ。その方式で言うと、ブラッドラインの耐久値は……C+くらい、かな?
試作異界式腕部と比べると、天と地ほどの差があるね。
しかし武器がまだ錆び朽ちたソードとブレードなので、次はそれをなんとかしなくちゃいけない。
ビームサーベル……ここの運営なら絶対に似たようなものを実装しているはず。
んー、出力確保のため魔導石は必須として、あとは鉱石とチューブ用の皮かな。ヴィーンから貰った中層の蛇皮で作ってみよう!
私がそのままの勢いで新しい武装を作ろうと素材に魔力を込めようとすると、その腕を綺麗な手が掴む。その先を見ると、笑顔のヴィーンとレン、アイちゃんが私を見ていた。
『……あのぅ、ヴィーンさん?』
「ミオン。熱中するのはいい事だけど、時間も気にした方がいいね」
『アタシも人の事言えねぇけど、さすがにな』
『根、詰め』
チラリと時間を確認すると、私がいつもログアウトしてる時間を少し過ぎていた。い、いつのまにこんなに時間が……。
「さ、今日はここまでだよ。全く、そろそろ夏休みも終わるっていうのに……」
『あはは……って、夏休み?』
「ん、いや、こちらの話だよ。私は先に落ちるからね。また明日だ」
『うん、また明日ね!』
『おう』
『ぶい』
本人にしか見えないメニューを操作し、光に包まれるヴィーンたち。光が収まる数秒後には私一人になっていた。
このまま続けてもいいけど、それで遅れたら明日怒られるな……ここは大人しくログアウトしますか。
私もメニュー画面を操作し、ログアウトを選択。あっという間に現実世界に戻ってきた私は食事やお風呂などのもろもろの雑事を済ませ、ベッドにダイブするのだった。
ちなみに晩ご飯は兄さんが作って置いといてくれました。ありがとう兄さん! 持つべきものは理解のある家族だね!
[所持スキル]
《魔機人》Lv.33(2up↑)
《武装》Lv.29《パーツクリエイト》Lv.27(12up↑)
《自動修復》Lv22《自動供給》Lv.28(5up↑)
《片手剣》Lv.1(New)《鑑定》Lv.-- 《感知》Lv.14《直感》Lv.25《敏捷強化》Lv.27《採掘》Lv.21《初級鍛冶》Lv.4(New)《裁縫》Lv.17(5up↑)
残りSP25
12
お気に入りに追加
437
あなたにおすすめの小説
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。
VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?
ある平民生徒のお話
よもぎ
ファンタジー
とある国立学園のサロンにて、王族と平民生徒は相対していた。
伝えられたのはとある平民生徒が死んだということ。その顛末。
それを黙って聞いていた平民生徒は訥々と語りだす――
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
春空VRオンライン ~島から出ない採取生産職ののんびり体験記~
滝川 海老郎
SF
新作のフルダイブVRMMOが発売になる。 最初の舞台は「チュートリ島」という小島で正式リリースまではこの島で過ごすことになっていた。
島で釣りをしたり、スライム狩りをしたり、探険したり、干物のアルバイトをしたり、宝探しトレジャーハントをしたり、のんびり、のほほんと、過ごしていく。
アメイジング・ナイト ―王女と騎士の35日―
碧井夢夏
ファンタジー
たったひとりの王位継承者として毎日見合いの日々を送る第一王女のレナは、人気小説で読んだ主人公に憧れ、モデルになった外国人騎士を護衛に雇うことを決める。
騎士は、黒い髪にグレーがかった瞳を持つ東洋人の血を引く能力者で、小説とは違い金の亡者だった。
主従関係、身分の差、特殊能力など、ファンタジー要素有。舞台は中世~近代ヨーロッパがモデルのオリジナル。話が進むにつれて恋愛濃度が上がります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる