227 / 242
第二百二十八話: 魔界侵攻の行方
しおりを挟む
ディテールへと入った俺たちは、すぐにジラと合流した。
ここは、市街地から外れた寂れた場所のようだ。
廃屋の残骸や、生ゴミがギッチリと通路一杯に敷き詰められている。
鼻をつくようなツンとした腐臭が立ち込めていた。
まともな人ならば、この場所に近付こうとは思わないだろう。
「ターゲットの妖魔族ですが、あそこに見える廃屋に入ったっきり、出て来ません。かれこれ2時間以上は経過しています」
「確かにあの中に反応が一つだけあるな」
もう暫く待っていると、この場所に近付く反応が現れた。
幸い、この辺りには隠れる場所はいくらでもある。
物陰に隠れてやり過ごすと、案の定その人物は妖魔族のいる廃屋へと入って行った。
今度は、犬人か。
妖魔族に吸血鬼族に犬獣人か。
異種格闘技でも始めるつもりだろうか?
まぁ、冗談はさておき、このまま待っててもらち埒があかない。
「突入するか」
捉えて自白させれば何かしらの情報は得られるだろう。
自白に関しては久々にノアに活躍して貰うつもりだ。
っと、考えていると背後が慌しくなってきた。
これ以上人数が増えると面倒だな。
「別れて行動しよう」
「え?」
ジラとクロが不可解そうな顔で此方に顔を向ける。
「後方約500メートル付近に5人の反応が近付いてくる。それに廃屋の中の2人も何だか動きが慌ただしい感じがする。何か行動を開始するのかもしれない」
「一度離脱しますか?」
「いや、時間も惜しい。まとめて相手をするぞ」
「私が背後やる」
「ああ、任せた。ジラも後方を担当してくれ。人数的にな。2人なら大丈夫だろうけど、油断はするなよ。それと、殺しはなしだぞ?」
「私は1人で大丈夫ですので、クロちゃんはユウ様についてあげて下さい」
「心配してくれるのは有難いけど、だめだ。後方は相手の実力が未知数だからな。2人に任せたい。それに廃屋の2人は、職とレベルは把握している。俺1人で問題ないよ」
まだ納得はしていないようだけど、俺が考えを曲げないと思ったのか、ジラがコクリと頷き了承した。
「終わり次第すぐに駆けつけますから」
「ああ、分かった」
2人と別行動を開始する。
策は無しだ。真正面から堂々と乗り込む。
勿論、透明化マントを羽織ってるけどね。
卑怯?
石橋は叩いて渡るくらいが丁度いいんだよ。
どのみち、瓦礫の山の為、歩くたびに、ミシメシと足音が鳴っている。姿を隠す意味はないかもしれない。
「誰だ!」
やっぱりバレたか。
透明化マントを外して姿を見せる。
「貴様は、この辺りを嗅ぎまわってる奴の仲間だな。ギルドからの差し金か?」
たった数時間でそんな噂が広まっているのか。
「いや、あんたらの行動の目的に興味があってね。魔界にでも乗り込むつもりかい?」
核心をついて驚かすつもりが、2人の表情は変わらない。
「何者かは知らんが排除する」
犬人の身体が段々と大きくなり、元の2倍くらいの大きさにまで膨れ上がった。
スキル欄にあった、倍化だろう。
壁に立て掛けてある巨大な戦斧を持ち上げる。
吸血鬼族は何やら怪しげな呪文を唱えると、そのまま持っていた短剣を素早く俺目掛けて放り投げた。
最小限の動きでそれを躱した先に|犬人(シエンヌ)が斧を振り上げて待ち構えていた。
脳天目掛けて振り下ろされた戦斧を片手で掴む。
「おりゃ!」
そのまま犬人諸共投げ飛ばす。
流石にボロ屋だけあり、何枚かの壁を破壊した後、やがて視界から消えた。
吸血鬼族の元へ歩み寄ろうとした所で異変に気が付く。
脚が動かない。
いつの間にか、下半身に荊のようなものが巻き付いていた。
さっきの呪文か?
吸血鬼族の職は呪術師。
さっきジラには大見得切ったが、そんな職は聞いたこともない。
今は亡き、失われた職か何かか?
俺の動きが止まったのを確認すると、再度短剣を投擲してきた。
転移が使用出来ないところを見るに、この荊どうやら魔術の類も使用出来ないらしい。
だが、脚は動かないけど手は動く。
投擲された短剣を易々と手で掴むと、そのまま吸血鬼族に向かって投げ返した。
避ける間がなかったのか、右脇腹に見事に命中する。
大丈夫、命を奪ったりはしないから。
「な、何故、動け――」
薔薇が消失したかと思いきや、吸血鬼族が口から泡を出し、苦しみ始め、やがてその身体が溶けて…え? 溶けて?
やがて、消えた。
「おいおいまじかよ、短剣に毒か何かが塗ってあったのか?」
生け捕りにするつもりが、最悪の結果になってしまった。
もう1人の方はと言うと、うん、逃げ出してるね。
もうかなり遠くまで行ってるな。
でも悪いけど俺からは逃げられないよ。
すぐさま犬人の後を追う。
範囲探索にチラリと目をやる。
どうやらジラ達はまだ交戦中のようだ。
「くそっ! 一体お前は何者だ!」
「それはこっちのセリフだよ。お前らのバックにいるのは誰だ」
「い、言えねえ、それを言うと俺はまた殺される」
また?と言う言葉に疑問を覚えつつも、元より正直に話すとは思っていない。
(ノア、頼めるか?)
(はいはーい)
一歩、また一歩と犬人へと近付く。
「へへっ、お前らはもう終わりだよ」
犬人の態度が一転した。
奥の手でも隠し持っているのか?
「間も無く彼の方がおいでになる。そしたらお前らは終わりだ! はははっ、う…な、に、、ぐはっぁぁぁー」
吐血をして、急に苦しみ出したかと思えば、そのまま生き絶えた。
その亡骸は灰になって、飛散していく。
その時だった。
脳内警報が鳴り響く。
これは、確か。
すぐに7大魔王の居場所を確認する。
と言うのも、7大魔王が範囲1キロ圏内に近付いた際に警報が鳴るようにセットしていたからだ。
マズい。
ジラ達の近くにラドルーチって奴が来ている。
すぐに転移で2人の元へ向かった俺は、戦況を確認する。
全員を丁度拘束し終わった所のようだ。
2人がこっちに気付き、駆け寄ってくる。
声を掛ける間も無く、すぐに2人を抱えてその場を離脱した。
街の反対方向まで離れたので、一先ずは大丈夫だろう。
「ユウ様、血相変えて一体どうされたのですか?」
「7大魔王が現れたんだ。1分としないうちにあの場所に来ていたよ」
「そいつ倒す?」
「いや、俺達だけじゃ無理だな」
恐らくラドルーチの目的は、魔界を攻めるつもりなのだろう。
だけど、あの転移門は片方からでは開ける事は出来ない。
魔界内に協力者でもいない限り奴等が魔界に渡る事は絶対に出来ない。
「ジラ、魔界側に奴等の協力者がいると思うか?」
「そうですね、あってもらっては困りますが、ありえなくはないと思います。今の魔界体制に不満を持っている連中は実はたくさんいます。魔王様が不在の中、もしその体制を壊すのに協力すると言う話なら、恥ずかしい話ですが、乗ってくる連中はいると思います」
「だったら、この事を魔王代理であるメルシーに伝えて、転移門を固めておいた方がいいな。てことは、また魔界に行かないといけないのか」
「その必要はありませんよ」
ジラが首に掛けていたものを服の中から取り出した。
その際、チラリと下着が見えた事は黙っておく。
「私達クオーツ同士は、この魔導具を使ってコンタクトを取る事が出来ます。有事の際の連絡手段ですね」
「ならそれを使って、この事態を伝えてくれ。相手さんは悠長に待ってくれそうになさそうだ」
ラドルーチの反応が街から離れ、件の転移門の方へと向かっていたのだ。しかも範囲探索圏内で察知した限りだと、正確な数は分からないが、仲間らしき人物を100人くらい引き連れていた。
「ありのままを伝えたのですが、少々問題が」
「問題?」
「はい、たまたま転移門の近くにいたクオーツのラザルが転移門の異常を伝えてきました。何故だか、転移門が開場状態となっていて、閉鎖する事が出来ないようです」
やはり、魔界側内部に裏切り者がいたって事か。
「マズいな、奴等もう転移門のすぐ近くまで来てやがる」
「魔界側の精鋭達を直ちに転移門に向かうようにフラン様から指示が出たようですが、場所が場所なだけに到着まで数時間は時間を要するでしょう」
「覚悟を決める必要がありそうだな」
「私達で時間を稼ぐ」
「ああ、それしかないな」
ジラとクロが臨戦体制に入る。
「いいか、何度も言うが無茶はするなよ。それと今度ばかりは生け捕りだなんて甘い考えは捨てる。敵対する勢力は全員排除だ!」
「「了解」」
ここは、市街地から外れた寂れた場所のようだ。
廃屋の残骸や、生ゴミがギッチリと通路一杯に敷き詰められている。
鼻をつくようなツンとした腐臭が立ち込めていた。
まともな人ならば、この場所に近付こうとは思わないだろう。
「ターゲットの妖魔族ですが、あそこに見える廃屋に入ったっきり、出て来ません。かれこれ2時間以上は経過しています」
「確かにあの中に反応が一つだけあるな」
もう暫く待っていると、この場所に近付く反応が現れた。
幸い、この辺りには隠れる場所はいくらでもある。
物陰に隠れてやり過ごすと、案の定その人物は妖魔族のいる廃屋へと入って行った。
今度は、犬人か。
妖魔族に吸血鬼族に犬獣人か。
異種格闘技でも始めるつもりだろうか?
まぁ、冗談はさておき、このまま待っててもらち埒があかない。
「突入するか」
捉えて自白させれば何かしらの情報は得られるだろう。
自白に関しては久々にノアに活躍して貰うつもりだ。
っと、考えていると背後が慌しくなってきた。
これ以上人数が増えると面倒だな。
「別れて行動しよう」
「え?」
ジラとクロが不可解そうな顔で此方に顔を向ける。
「後方約500メートル付近に5人の反応が近付いてくる。それに廃屋の中の2人も何だか動きが慌ただしい感じがする。何か行動を開始するのかもしれない」
「一度離脱しますか?」
「いや、時間も惜しい。まとめて相手をするぞ」
「私が背後やる」
「ああ、任せた。ジラも後方を担当してくれ。人数的にな。2人なら大丈夫だろうけど、油断はするなよ。それと、殺しはなしだぞ?」
「私は1人で大丈夫ですので、クロちゃんはユウ様についてあげて下さい」
「心配してくれるのは有難いけど、だめだ。後方は相手の実力が未知数だからな。2人に任せたい。それに廃屋の2人は、職とレベルは把握している。俺1人で問題ないよ」
まだ納得はしていないようだけど、俺が考えを曲げないと思ったのか、ジラがコクリと頷き了承した。
「終わり次第すぐに駆けつけますから」
「ああ、分かった」
2人と別行動を開始する。
策は無しだ。真正面から堂々と乗り込む。
勿論、透明化マントを羽織ってるけどね。
卑怯?
石橋は叩いて渡るくらいが丁度いいんだよ。
どのみち、瓦礫の山の為、歩くたびに、ミシメシと足音が鳴っている。姿を隠す意味はないかもしれない。
「誰だ!」
やっぱりバレたか。
透明化マントを外して姿を見せる。
「貴様は、この辺りを嗅ぎまわってる奴の仲間だな。ギルドからの差し金か?」
たった数時間でそんな噂が広まっているのか。
「いや、あんたらの行動の目的に興味があってね。魔界にでも乗り込むつもりかい?」
核心をついて驚かすつもりが、2人の表情は変わらない。
「何者かは知らんが排除する」
犬人の身体が段々と大きくなり、元の2倍くらいの大きさにまで膨れ上がった。
スキル欄にあった、倍化だろう。
壁に立て掛けてある巨大な戦斧を持ち上げる。
吸血鬼族は何やら怪しげな呪文を唱えると、そのまま持っていた短剣を素早く俺目掛けて放り投げた。
最小限の動きでそれを躱した先に|犬人(シエンヌ)が斧を振り上げて待ち構えていた。
脳天目掛けて振り下ろされた戦斧を片手で掴む。
「おりゃ!」
そのまま犬人諸共投げ飛ばす。
流石にボロ屋だけあり、何枚かの壁を破壊した後、やがて視界から消えた。
吸血鬼族の元へ歩み寄ろうとした所で異変に気が付く。
脚が動かない。
いつの間にか、下半身に荊のようなものが巻き付いていた。
さっきの呪文か?
吸血鬼族の職は呪術師。
さっきジラには大見得切ったが、そんな職は聞いたこともない。
今は亡き、失われた職か何かか?
俺の動きが止まったのを確認すると、再度短剣を投擲してきた。
転移が使用出来ないところを見るに、この荊どうやら魔術の類も使用出来ないらしい。
だが、脚は動かないけど手は動く。
投擲された短剣を易々と手で掴むと、そのまま吸血鬼族に向かって投げ返した。
避ける間がなかったのか、右脇腹に見事に命中する。
大丈夫、命を奪ったりはしないから。
「な、何故、動け――」
薔薇が消失したかと思いきや、吸血鬼族が口から泡を出し、苦しみ始め、やがてその身体が溶けて…え? 溶けて?
やがて、消えた。
「おいおいまじかよ、短剣に毒か何かが塗ってあったのか?」
生け捕りにするつもりが、最悪の結果になってしまった。
もう1人の方はと言うと、うん、逃げ出してるね。
もうかなり遠くまで行ってるな。
でも悪いけど俺からは逃げられないよ。
すぐさま犬人の後を追う。
範囲探索にチラリと目をやる。
どうやらジラ達はまだ交戦中のようだ。
「くそっ! 一体お前は何者だ!」
「それはこっちのセリフだよ。お前らのバックにいるのは誰だ」
「い、言えねえ、それを言うと俺はまた殺される」
また?と言う言葉に疑問を覚えつつも、元より正直に話すとは思っていない。
(ノア、頼めるか?)
(はいはーい)
一歩、また一歩と犬人へと近付く。
「へへっ、お前らはもう終わりだよ」
犬人の態度が一転した。
奥の手でも隠し持っているのか?
「間も無く彼の方がおいでになる。そしたらお前らは終わりだ! はははっ、う…な、に、、ぐはっぁぁぁー」
吐血をして、急に苦しみ出したかと思えば、そのまま生き絶えた。
その亡骸は灰になって、飛散していく。
その時だった。
脳内警報が鳴り響く。
これは、確か。
すぐに7大魔王の居場所を確認する。
と言うのも、7大魔王が範囲1キロ圏内に近付いた際に警報が鳴るようにセットしていたからだ。
マズい。
ジラ達の近くにラドルーチって奴が来ている。
すぐに転移で2人の元へ向かった俺は、戦況を確認する。
全員を丁度拘束し終わった所のようだ。
2人がこっちに気付き、駆け寄ってくる。
声を掛ける間も無く、すぐに2人を抱えてその場を離脱した。
街の反対方向まで離れたので、一先ずは大丈夫だろう。
「ユウ様、血相変えて一体どうされたのですか?」
「7大魔王が現れたんだ。1分としないうちにあの場所に来ていたよ」
「そいつ倒す?」
「いや、俺達だけじゃ無理だな」
恐らくラドルーチの目的は、魔界を攻めるつもりなのだろう。
だけど、あの転移門は片方からでは開ける事は出来ない。
魔界内に協力者でもいない限り奴等が魔界に渡る事は絶対に出来ない。
「ジラ、魔界側に奴等の協力者がいると思うか?」
「そうですね、あってもらっては困りますが、ありえなくはないと思います。今の魔界体制に不満を持っている連中は実はたくさんいます。魔王様が不在の中、もしその体制を壊すのに協力すると言う話なら、恥ずかしい話ですが、乗ってくる連中はいると思います」
「だったら、この事を魔王代理であるメルシーに伝えて、転移門を固めておいた方がいいな。てことは、また魔界に行かないといけないのか」
「その必要はありませんよ」
ジラが首に掛けていたものを服の中から取り出した。
その際、チラリと下着が見えた事は黙っておく。
「私達クオーツ同士は、この魔導具を使ってコンタクトを取る事が出来ます。有事の際の連絡手段ですね」
「ならそれを使って、この事態を伝えてくれ。相手さんは悠長に待ってくれそうになさそうだ」
ラドルーチの反応が街から離れ、件の転移門の方へと向かっていたのだ。しかも範囲探索圏内で察知した限りだと、正確な数は分からないが、仲間らしき人物を100人くらい引き連れていた。
「ありのままを伝えたのですが、少々問題が」
「問題?」
「はい、たまたま転移門の近くにいたクオーツのラザルが転移門の異常を伝えてきました。何故だか、転移門が開場状態となっていて、閉鎖する事が出来ないようです」
やはり、魔界側内部に裏切り者がいたって事か。
「マズいな、奴等もう転移門のすぐ近くまで来てやがる」
「魔界側の精鋭達を直ちに転移門に向かうようにフラン様から指示が出たようですが、場所が場所なだけに到着まで数時間は時間を要するでしょう」
「覚悟を決める必要がありそうだな」
「私達で時間を稼ぐ」
「ああ、それしかないな」
ジラとクロが臨戦体制に入る。
「いいか、何度も言うが無茶はするなよ。それと今度ばかりは生け捕りだなんて甘い考えは捨てる。敵対する勢力は全員排除だ!」
「「了解」」
0
お気に入りに追加
108
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
【完結】もうやめましょう。あなたが愛しているのはその人です
堀 和三盆
恋愛
「それじゃあ、ちょっと番に会いに行ってくるから。ええと帰りは……7日後、かな…」
申し訳なさそうに眉を下げながら。
でも、どこかいそいそと浮足立った様子でそう言ってくる夫に対し、
「行ってらっしゃい、気を付けて。番さんによろしくね!」
別にどうってことがないような顔をして。そんな夫を元気に送り出すアナリーズ。
獣人であるアナリーズの夫――ジョイが魂の伴侶とも言える番に出会ってしまった以上、この先もアナリーズと夫婦関係を続けるためには、彼がある程度の時間を番の女性と共に過ごす必要があるのだ。
『別に性的な接触は必要ないし、獣人としての本能を抑えるために、番と二人で一定時間楽しく過ごすだけ』
『だから浮気とは違うし、この先も夫婦としてやっていくためにはどうしても必要なこと』
――そんな説明を受けてからもうずいぶんと経つ。
だから夫のジョイは一カ月に一度、仕事ついでに番の女性と会うために出かけるのだ……妻であるアナリーズをこの家に残して。
夫であるジョイを愛しているから。
必ず自分の元へと帰ってきて欲しいから。
アナリーズはそれを受け入れて、今日も番の元へと向かう夫を送り出す。
顔には飛び切りの笑顔を張り付けて。
夫の背中を見送る度に、自分の内側がズタズタに引き裂かれていく痛みには気付かぬふりをして――――――。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる