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そばにいてもいいですか?
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「へー。木元先生もワガママにゃんにゃんの幼馴染から洗礼を受けたんだね。あの二重人格は他でもなく幼馴染の影響だよ。」
「あの幼馴染店主って、」
「っていうか、今心電図取ってるから喋らないでねー。」
話しかけてきたのは金田先生だろうが!そんなツッコミを心の中で入れつつもピーピー、と音を立てて測る心電図に身を任せる。
「僕もね、一回だけ会ったことあるんだよ。幼馴染と。」
「‥‥。」
「ねえ、木元先生聞いてる?」
「さっき喋るなって言ったじゃないですか。」
「ああ、そうだったねえ。」
機械から波線が印字された長い紙が出てきくる。金田先生はそれを見て「喋ったからもう一回取るよ。」と口にした。
「ってかあの幼馴染さん店主になったんだあ。」
「?」
「僕が会った時は別の人が店主だったよ。」
金田先生は次に印刷された波線を見ると頷き、俺の足首についていた洗濯バサミのような物を取っていく。
「もう喋っていいよ。」
「その幼馴染店主が、男と付き合ってまた傷つくのは水津先生だって言ったんですよ。」
「えー、なんでだろ。」
「俺もそれがすごい引っかかってたから今回の休日出勤の健康診断で金田先生に会えるし聞こうと思ったんです。」
「残念ながら知らないね。っていうかその後は何したのさ。」
「それが気まずくて解散してそれから1週間会ってないんです。」
「ワガママにゃんにゃんと木元先生付き合ってるの?」
「!!!」
「どっちが挿れてるの?」
「付き合ってません!!」
「えー、こんないい身体してるのに?」
「ちょっ‥‥!」
診察台に寝転がっている俺に覆い被さって、心臓についている吸盤をぷち、ぷち、とわざとらしく音を立てながらら外してくる金田先生。何してるんだこの先生!思わず白衣の襟を掴み上げた瞬間だった。
「金田ーー。」
診察室のドアが開いて顔を覗かせたのはまさかの水津先生。水津先生は暫く固まってから金田先生を見て、俺の素肌を這う金田先生の手を見て、俺の顔を見て、金田先生の襟を掴む俺の手を見た。
「‥‥邪魔した。」
「してない!してない!!!!」
「おー、ワガママにゃんにゃん。」
「ごゆっくりどうぞ。」
「いやいや、ワガママにゃんにゃんの彼氏に手出すわけないじゃん。」
「え、付き合ってること言ったの?」
びっくりした顔で俺を見てくる水津先生に、押し倒された状態のまま全力で首を振る。視界が上下反転しているけど、水津先生の驚いた顔はまさに猫だった。
「言ってないです!言ってないです!」
「カマかけただけー。」
「こんのヤブ医者!」
「まーまー、そんな嫉妬しないの。」
「してねーわ。」
丸いクルクルと回る診察室椅子に水津先生は腰掛けると、まるで汚いものを見るかのような冷ややかな視線を俺に向ける。1週間ぶりの再会がこれってなんだよ。
1週間ぶりの水津先生は、前回までの小綺麗な私服に比べてダボっとしたパーカーを1枚着ているだけだった。
「ワガママにゃんにゃん何しにきたの?」
「その言い方やめて。」
「もしかして!木元先生に会いに!?」
「妄想もやめて。」
「じゃあなんで?」
「おいヤブ医者。1ヶ月前に月1回手の検査は暫くやるから来てくださいねー、って休日にも関わらず勝手に予約組んだのそっちでしょーが。」
「あー、そうだったそうだった。」
よやく金田先生は俺から退くと、水津先生の方に向かう。それから手を簡単に見ると「うんおっけー」と口を開いた。
「ワガママにゃんにゃん。木元先生すごい心配してたし気にしてたよ?」
「なにが。」
「え?男と過去に付き合ってた件についた。」
「ちょっ‥‥!金田先生!?」
言った!この人信じられないくらい超ナチュラルにポロった!
慌てて身体を起こして水津先生を覗き込むが、その顔からは表情が読めない。
「あの幼馴染店主って、」
「っていうか、今心電図取ってるから喋らないでねー。」
話しかけてきたのは金田先生だろうが!そんなツッコミを心の中で入れつつもピーピー、と音を立てて測る心電図に身を任せる。
「僕もね、一回だけ会ったことあるんだよ。幼馴染と。」
「‥‥。」
「ねえ、木元先生聞いてる?」
「さっき喋るなって言ったじゃないですか。」
「ああ、そうだったねえ。」
機械から波線が印字された長い紙が出てきくる。金田先生はそれを見て「喋ったからもう一回取るよ。」と口にした。
「ってかあの幼馴染さん店主になったんだあ。」
「?」
「僕が会った時は別の人が店主だったよ。」
金田先生は次に印刷された波線を見ると頷き、俺の足首についていた洗濯バサミのような物を取っていく。
「もう喋っていいよ。」
「その幼馴染店主が、男と付き合ってまた傷つくのは水津先生だって言ったんですよ。」
「えー、なんでだろ。」
「俺もそれがすごい引っかかってたから今回の休日出勤の健康診断で金田先生に会えるし聞こうと思ったんです。」
「残念ながら知らないね。っていうかその後は何したのさ。」
「それが気まずくて解散してそれから1週間会ってないんです。」
「ワガママにゃんにゃんと木元先生付き合ってるの?」
「!!!」
「どっちが挿れてるの?」
「付き合ってません!!」
「えー、こんないい身体してるのに?」
「ちょっ‥‥!」
診察台に寝転がっている俺に覆い被さって、心臓についている吸盤をぷち、ぷち、とわざとらしく音を立てながらら外してくる金田先生。何してるんだこの先生!思わず白衣の襟を掴み上げた瞬間だった。
「金田ーー。」
診察室のドアが開いて顔を覗かせたのはまさかの水津先生。水津先生は暫く固まってから金田先生を見て、俺の素肌を這う金田先生の手を見て、俺の顔を見て、金田先生の襟を掴む俺の手を見た。
「‥‥邪魔した。」
「してない!してない!!!!」
「おー、ワガママにゃんにゃん。」
「ごゆっくりどうぞ。」
「いやいや、ワガママにゃんにゃんの彼氏に手出すわけないじゃん。」
「え、付き合ってること言ったの?」
びっくりした顔で俺を見てくる水津先生に、押し倒された状態のまま全力で首を振る。視界が上下反転しているけど、水津先生の驚いた顔はまさに猫だった。
「言ってないです!言ってないです!」
「カマかけただけー。」
「こんのヤブ医者!」
「まーまー、そんな嫉妬しないの。」
「してねーわ。」
丸いクルクルと回る診察室椅子に水津先生は腰掛けると、まるで汚いものを見るかのような冷ややかな視線を俺に向ける。1週間ぶりの再会がこれってなんだよ。
1週間ぶりの水津先生は、前回までの小綺麗な私服に比べてダボっとしたパーカーを1枚着ているだけだった。
「ワガママにゃんにゃん何しにきたの?」
「その言い方やめて。」
「もしかして!木元先生に会いに!?」
「妄想もやめて。」
「じゃあなんで?」
「おいヤブ医者。1ヶ月前に月1回手の検査は暫くやるから来てくださいねー、って休日にも関わらず勝手に予約組んだのそっちでしょーが。」
「あー、そうだったそうだった。」
よやく金田先生は俺から退くと、水津先生の方に向かう。それから手を簡単に見ると「うんおっけー」と口を開いた。
「ワガママにゃんにゃん。木元先生すごい心配してたし気にしてたよ?」
「なにが。」
「え?男と過去に付き合ってた件についた。」
「ちょっ‥‥!金田先生!?」
言った!この人信じられないくらい超ナチュラルにポロった!
慌てて身体を起こして水津先生を覗き込むが、その顔からは表情が読めない。
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