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僕の知るワガママにゃんにゃんの話
しおりを挟むどーも、おはにちばんは!生まれてこの方全盛期、耀華大学附属病院に勤めている金田です。
さてさて今日はワガママにゃんにゃんこと、水津先生が骨折したとのことで朝から大忙し。まあ別にこのまま教員寮に帰してもよかったんだけど帰したら絶対無理して持ち帰りの仕事やったり、意外とああ見えて変な所で不器用だしガサツだから心配で無理矢理入院させてみましたー!
そしたらワガママにゃんにゃんは俺をパシって買い物に行かせるという、早速ワガママっぷりを大発揮してくれました。
そもそもワガママにゃんにゃんとの出会いは、耀華グループが毎年行なっている1週間の新人研修の時のこと。
短大卒の水津と、大学に六年通った僕とでは年齢差が4つもあったけれど同じグループだったから関わることになったんだよね。
「‥‥‥なにか?」
「‥‥‥いえ。」
研修中の水津は冷静沈着で本当にいけ好かないやつだった。思わずお前の血は何色だ!?って聞きたくなったよね。なんならこの時水津の血は凍ってると思ってたもん。でも、凍ってなくて赤色の血液が流れているんだな、って思ったのは食事の場面。
「‥‥‥。」
「‥‥もしかして、卵苦手なの?」
みんなが食べ終わって席を立つ中、なかなか天津飯が進まない水津がいたんだよ。人が少なくなったタイミングでおちょくってやろうと思って聞いてみたんだ。ほら、さっきまで本当にムカついてたからさ。
「‥‥っ!」
でもね、ハッとした顔をして「しまった!バレた!」とでも言いたげな表情の水津を見た途端笑っちゃったんだ。だって全然皿の中減ってなくてバレバレなのに隠せてると思ってたんだよ?
それから水津はカァ‥‥と漫画か?ってツッコミを入れたくなるくらい赤くなって、周りにバレないくらい小さく頷いたんだ。その姿は六年制や四年生の大学に行った僕たちと比べて、二年制の短大に行った水津の幼さを全面に引き出していてね。思いがけない可愛いらしい姿に「この子面白いな。」なんて思ったりして。
「なんで、わかったんですか‥?」
「そりゃわかるよ。」
「‥‥本当に苦手なんです。」
そう言ってしゅん、とする姿の水津はもはや幼稚園教諭ではなくて幼稚園児みたいだった。さっきまでの研修の姿とのギャップに面白さを覚えつつも、隣に腰掛けたんだよね。
「ほら、貸してごらん。手伝ってあげるよ。」
僕の言葉に瞳をキラキラさせて見てきた水津のことは多分忘れないと思う。ツンケンしてた野良猫に懐かれた感じ。
ただ、僕はすごい意地悪なのでわざと天津飯の中身だけ食べて卵だけ水津に返してやったんだ。その時の顔は、猫ちゃんのシャーーッ!って感じ。
そこから腐れ縁って感じで水津とはお互い仲良くなって、僕もなんだかんだワガママにゃんにゃんの水津を可愛がっちゃうってわけ。
「‥あの大型犬とどんな化学変化起こすかな。」
病室にやってきた大型犬みたいな木元先生を思い出す。ほら、猫と犬って犬猿の仲だけど最終的にはお互い絆されるじゃん?
野良猫が飼い猫になる日もそう遠くないような気がして、ちょっと楽しみな未来にワクワクしてした。
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