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第6話「知らないものはとことん「損」をする。それは味方であるはずの…。②」
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第6話「知らないものはとことん「損」をする。それは味方であるはずの…。②」
翌日、午後10時、痛々しいギブス姿の「部辣区欣夢」が原付で金城事務所を訪れた。ヘルメットの下は、まだ幼さが残るアイドル顔だったが、残念な事に「深く、濃い」クマと落ち込んだ眼が異常なまでに目立っていた。
「遅い時間にすみません。幸い、上司は飲みに行ったんで今日はもう電話がかかってくることも無いと思いますのでよろしくお願いします。これ、つまらないものですが…。」
と洋菓子屋のケーキが入った紙袋を差し出した。
森が受け取り、奥の部屋にいる万沙に「アイスコーヒー入れたって。ケーキ持って来てくれはったから、せっかくやからいただきながら話を聞かせてもらいましょか。」と声をかけた。
事務所内のキッチンに万沙がアイスコーヒーとケーキの配膳準備に向かうと、副島が万沙の心に語り掛けて来た。
「なかなかのイケメンやったやんか!菓子折り持ってくるところも気に入った。今日は、おいちゃんが「ばっちり」万沙ちゃんになり切って話を進めたるから、この数時間後には「音玄さん、素敵です。かっこいいです。付き合ってください!」ってなるかもな。部辣区さんが「ムー民」やったら最高やのにな!
まあ、おいちゃんが艦長、森君が戦闘班長の戦艦大和に乗ったつもりで、次の作品のネタ作りの為に聞いておくことやな。カラカラカラ。」
「おっちゃん、部辣区さんは初対面やねんから、くれぐれも失礼のないようにしてや。今日は、お酒は禁止。あと、「おいちゃんは…」とか「しばいたったらええねん!」とかいうのも無しにしてや。もちろん「昭和のオヤジギャグ」も厳禁やで。」
と不安げに万沙が呟くと「まかせてチョモランマ!」と副島はふざけて返事をした。
応接に万沙が入ると部辣区欣夢が立ち上がり、直立不動の姿勢で
「夜分遅くにすみません。一度、舞台を見ただけの私の為にお時間を割いていただき、誠にありがとうございます。こんな若くて美人があの脚本を書いているとは想像してませんでした。」
と裏返り気味の声で一気に話すと、丁寧に135度のお辞儀をした。
「初めまして。音玄万沙と言います。まあ、脚本の殆どは、森先生と、この場にはいないですけどもう一人の「先生」にいただいた「案」ですから、私には気を遣わないでくださいね。」
万沙は、欣夢の勢いに押されつつも、平常を装いながらアイスコーヒーとケーキを応接テーブルに並べた。
基本的には森が話を先導し、それに欣夢が答える流れで話は進められた。聞けば聞くほど、欣夢の勤める会社のブラック度には驚かされるものがあった。
上司は、勤務時間中は真面目にプログラミングしている若手社員の前でゴルフやキャバクラの話ばかり。夕方5時の定時が過ぎると、職場内でビールや缶チューハイを飲みながら
「はよ仕事進めろよ。お前らが終わらんと、俺らも遊びに行かれへんからなぁ。」
と言われる毎日の酷い現実が語られると万沙の胸が痛んだ。
(パワハラ?いや、それ以前のモラルの問題やろ。けど、こんな会社相手におっちゃんと森先生はどんな手で「成敗」するっていうの?会社は「ブラック」、頼みの労災もあかんかったみたいやし…。)と不安感が沸き上がると「万沙ちゃん、ちょっとしゃべらせてもらうで。ええかな?」と副島の声が頭の奥に響いた。
「部辣区さん、大体のところはわかりました。2点確認させておいてもらいたいねん。「会社に辞意を伝えた。」ってメールには書いてあったけど、辞める前提で会社とこじれてもええんかな?」
の副島の問いには速攻で
「はい。次の仕事に入ったら半年間逃げられなくなってしまいます。そうなったら、「過労死」するか「心を病む」かどちらかですから。「退職手続き代行会社」を使ってでもやめようと考えてたくらいです。」
思いもかけないくらい強い言葉が返ってきた。
「まあ、「退職手続き代行」も「良し」、「悪し」があるから早まらんで良かったな。下手すりゃ、こじれて離職票が出えへんかったり、賠償を求められることもあるからな。」
と言うと、副島は何やらメモを取りながら、再度、部辣区に質問をした。
「ちなみに、部辣区さんの会社って人事部ってあるんかな?何人くらいの会社なん?同じような職種は何人おんの?「就業規則」って読んだことあんのかな?あと、労基署の担当は若かったか?それともベテランそうやった?」
(ん、「就業規則」ってなんやったっけ?なんか聞いたことがあるような言葉やねんけど。あと、労基署の担当が「若い」とか「ベテラン」ってなんか関係あんの?私自身も調べたけど「寄り道」中の事故は「通勤災害」にならへんってネットでも書いてあったで…?)万沙が思っている間に、欣夢が万沙の中の副島に答えていた。
「人事部はあります。責任者は人事部長です。社員は全部で60名くらいです。30名ほどが僕と同じような若い「SE」です。「就業規則」は見たことは無いです。あと、「労基署」の担当は電話で話しただけなんですけど、何度も途中で保留して他の人にアドバイス求めてた感じなんで若い人だと思います。」
応接室の時計は午前0時を示していた。
「おっしゃ、だいたい分かった。部辣区さんは、明日は「発熱」で会社は「休み」や。今日はもう遅いから「うち」に泊まっていき。なんやったらちょっと飲むか?まあ、高い酒は何もあれへんけどな。
おいちゃん…、いや「私」もちょっと飲みたいし、「戦の前の宴」ってなもんかな。ところで兄ちゃんは飲める口か?」
突然の副島が憑依した「万沙」のオヤジ言葉での誘いに、「そんな、ご迷惑じゃないですか…?ちなみに「ここ」って音玄さんの「家」なんですか?」と控えめに断るも、のどの渇きが限界に来ていた副島が先にカップ酒を開けていた。
「かまへん、かまへん。過労が積み重なってる中、帰り道でバイクの事故起こしたらそれこそ「労災」になれへんからな。飲むんは「ビール」か?それとも「チューハイ」か?安物の「日本酒」と「バーボン」もあるで!」
「今日のおまけ」
昨日のイラストの「欣夢くん」、予想外に受けが良かったですね(笑)。
女性読者の「嗜好」がよくわからない、「おじさん」です(笑)。
まあ、反応よかったんでイラスト追加!
こんな感じでよろしかったでしょうか?
前作の「遊穂くん」も「草食系男子」をイメージしてたんですけど、「黒髪」の「新卒社員」の方が受けが良かったようです(笑)。
「日々勉強」
ですね(笑)。
そして、万沙ちゃんは「旧ドク」の男性読者に思いっきり「忖度」します!
「海の万沙ちゃん」!
今日のところはこんな感じで!
(⋈◍>◡<◍)。✧💓
翌日、午後10時、痛々しいギブス姿の「部辣区欣夢」が原付で金城事務所を訪れた。ヘルメットの下は、まだ幼さが残るアイドル顔だったが、残念な事に「深く、濃い」クマと落ち込んだ眼が異常なまでに目立っていた。
「遅い時間にすみません。幸い、上司は飲みに行ったんで今日はもう電話がかかってくることも無いと思いますのでよろしくお願いします。これ、つまらないものですが…。」
と洋菓子屋のケーキが入った紙袋を差し出した。
森が受け取り、奥の部屋にいる万沙に「アイスコーヒー入れたって。ケーキ持って来てくれはったから、せっかくやからいただきながら話を聞かせてもらいましょか。」と声をかけた。
事務所内のキッチンに万沙がアイスコーヒーとケーキの配膳準備に向かうと、副島が万沙の心に語り掛けて来た。
「なかなかのイケメンやったやんか!菓子折り持ってくるところも気に入った。今日は、おいちゃんが「ばっちり」万沙ちゃんになり切って話を進めたるから、この数時間後には「音玄さん、素敵です。かっこいいです。付き合ってください!」ってなるかもな。部辣区さんが「ムー民」やったら最高やのにな!
まあ、おいちゃんが艦長、森君が戦闘班長の戦艦大和に乗ったつもりで、次の作品のネタ作りの為に聞いておくことやな。カラカラカラ。」
「おっちゃん、部辣区さんは初対面やねんから、くれぐれも失礼のないようにしてや。今日は、お酒は禁止。あと、「おいちゃんは…」とか「しばいたったらええねん!」とかいうのも無しにしてや。もちろん「昭和のオヤジギャグ」も厳禁やで。」
と不安げに万沙が呟くと「まかせてチョモランマ!」と副島はふざけて返事をした。
応接に万沙が入ると部辣区欣夢が立ち上がり、直立不動の姿勢で
「夜分遅くにすみません。一度、舞台を見ただけの私の為にお時間を割いていただき、誠にありがとうございます。こんな若くて美人があの脚本を書いているとは想像してませんでした。」
と裏返り気味の声で一気に話すと、丁寧に135度のお辞儀をした。
「初めまして。音玄万沙と言います。まあ、脚本の殆どは、森先生と、この場にはいないですけどもう一人の「先生」にいただいた「案」ですから、私には気を遣わないでくださいね。」
万沙は、欣夢の勢いに押されつつも、平常を装いながらアイスコーヒーとケーキを応接テーブルに並べた。
基本的には森が話を先導し、それに欣夢が答える流れで話は進められた。聞けば聞くほど、欣夢の勤める会社のブラック度には驚かされるものがあった。
上司は、勤務時間中は真面目にプログラミングしている若手社員の前でゴルフやキャバクラの話ばかり。夕方5時の定時が過ぎると、職場内でビールや缶チューハイを飲みながら
「はよ仕事進めろよ。お前らが終わらんと、俺らも遊びに行かれへんからなぁ。」
と言われる毎日の酷い現実が語られると万沙の胸が痛んだ。
(パワハラ?いや、それ以前のモラルの問題やろ。けど、こんな会社相手におっちゃんと森先生はどんな手で「成敗」するっていうの?会社は「ブラック」、頼みの労災もあかんかったみたいやし…。)と不安感が沸き上がると「万沙ちゃん、ちょっとしゃべらせてもらうで。ええかな?」と副島の声が頭の奥に響いた。
「部辣区さん、大体のところはわかりました。2点確認させておいてもらいたいねん。「会社に辞意を伝えた。」ってメールには書いてあったけど、辞める前提で会社とこじれてもええんかな?」
の副島の問いには速攻で
「はい。次の仕事に入ったら半年間逃げられなくなってしまいます。そうなったら、「過労死」するか「心を病む」かどちらかですから。「退職手続き代行会社」を使ってでもやめようと考えてたくらいです。」
思いもかけないくらい強い言葉が返ってきた。
「まあ、「退職手続き代行」も「良し」、「悪し」があるから早まらんで良かったな。下手すりゃ、こじれて離職票が出えへんかったり、賠償を求められることもあるからな。」
と言うと、副島は何やらメモを取りながら、再度、部辣区に質問をした。
「ちなみに、部辣区さんの会社って人事部ってあるんかな?何人くらいの会社なん?同じような職種は何人おんの?「就業規則」って読んだことあんのかな?あと、労基署の担当は若かったか?それともベテランそうやった?」
(ん、「就業規則」ってなんやったっけ?なんか聞いたことがあるような言葉やねんけど。あと、労基署の担当が「若い」とか「ベテラン」ってなんか関係あんの?私自身も調べたけど「寄り道」中の事故は「通勤災害」にならへんってネットでも書いてあったで…?)万沙が思っている間に、欣夢が万沙の中の副島に答えていた。
「人事部はあります。責任者は人事部長です。社員は全部で60名くらいです。30名ほどが僕と同じような若い「SE」です。「就業規則」は見たことは無いです。あと、「労基署」の担当は電話で話しただけなんですけど、何度も途中で保留して他の人にアドバイス求めてた感じなんで若い人だと思います。」
応接室の時計は午前0時を示していた。
「おっしゃ、だいたい分かった。部辣区さんは、明日は「発熱」で会社は「休み」や。今日はもう遅いから「うち」に泊まっていき。なんやったらちょっと飲むか?まあ、高い酒は何もあれへんけどな。
おいちゃん…、いや「私」もちょっと飲みたいし、「戦の前の宴」ってなもんかな。ところで兄ちゃんは飲める口か?」
突然の副島が憑依した「万沙」のオヤジ言葉での誘いに、「そんな、ご迷惑じゃないですか…?ちなみに「ここ」って音玄さんの「家」なんですか?」と控えめに断るも、のどの渇きが限界に来ていた副島が先にカップ酒を開けていた。
「かまへん、かまへん。過労が積み重なってる中、帰り道でバイクの事故起こしたらそれこそ「労災」になれへんからな。飲むんは「ビール」か?それとも「チューハイ」か?安物の「日本酒」と「バーボン」もあるで!」
「今日のおまけ」
昨日のイラストの「欣夢くん」、予想外に受けが良かったですね(笑)。
女性読者の「嗜好」がよくわからない、「おじさん」です(笑)。
まあ、反応よかったんでイラスト追加!
こんな感じでよろしかったでしょうか?
前作の「遊穂くん」も「草食系男子」をイメージしてたんですけど、「黒髪」の「新卒社員」の方が受けが良かったようです(笑)。
「日々勉強」
ですね(笑)。
そして、万沙ちゃんは「旧ドク」の男性読者に思いっきり「忖度」します!
「海の万沙ちゃん」!
今日のところはこんな感じで!
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