『ながらスマホで56歳のおっさん霊を憑依させざるを得なくなった23歳の女劇団員「音玄万沙《ねくろ・まんさ》」の物語』

M‐赤井翼

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第5話「年利28%!この金利、「高い」か「安い」か?②」

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第5話「年利28%!この金利、「高い」か「安い」か?②」

 「監督さん、ここのおっちゃんが店じまいするっていうのは、赤字とかが理由とちゃうんでしょ。一般的に、商業物件の賃貸に関しては住宅物件と違って初期費用がめちゃくちゃ高いんですよ。住宅物件やったら「ゼロゼロ物件」っていうて「敷金、礼金ゼロ」なんていうものもたくさんあるんやけど、商業物件では入居初期費用だけで家賃半年分くらい必要な物件がざらなんですわ。
 また、設備什器の移転費用や、内装や客席の造作物なんかも合わせるとやっぱり数百万かかるんが普通なんですわな。まだ若けりゃ、銀行もこれだけの実績があれば融資してくれるんやろうけど、飲食店の賃貸物件は「担保」になるもんがあれへんから、そこがネックなんやと思いますわ…。まあ、よくある話ですわな。」
と副島が言うと、万沙が呟いた。
「居ぬき物件とかで安く出てる物件もあるんとちゃうの?ラーメン屋って5年のうちに半分は潰れるっていうからそんなところやったら安くで移れるんとちゃうの?」

 緒狩斗も「そうですよ。副島さんの事務所でそんな「物件」持ってる不動産屋を紹介してもらえませんか?」と万沙に同調した。
「うーん、おいちゃんは「潰れた同業者」の物件に入ることは勧めへんな。「潰れる店」にはなにかしら「原因」があるんや。それは、「味」や「経営手法」といったものだけでなく、上手に言われへんけど「オカルト的」な「原因」もあると思ってる。
 何べん、オーナーが変わってもすぐに潰れてしまう「店」ってこの近くでもようさんあるやろ?」
 副島が小さな声で緒狩斗と万沙に向けて言うと、カウンターの中で店主が言った。
「そうなんですよ。この店は、先々代が流行らせて、私で3代目です。先々代がラーメン屋を開く前も、よく流行ってた飲食店やったと聞いてます。この店の常連さんからも「風水」的にここが向いてるとか、「座敷童」を見たとか、「人を呼び込む「気」の流れがあるなんて言われてきましたからね。」

 閉店時間の午後11時を直前にして、残りの客は万沙と緒狩斗だけになった。緒狩斗は店主に改めて尋ねた。
「おっちゃん、ほんまに店辞めてしまうんか?これからどないすんの?」
 店主は、少し困った顔をして片付けをしながら返事をした。
「そりゃ、体が元気なうちは続けたいわな。国民年金だけでは、家賃払ったらそれで終わりやしな。コロコロの2年間で貯金は食いつぶしてしもたし、これからはシルバー人材センターか警備員でもぼちぼちやって暮らすかな…。
 まあ、知り合いが腰いわせてしもて、店を閉めるっていうからそこを買い取って商売続けへんかって話もあるんやけど、「ちょっとまとまった金がいる。」って銀行や信金もあたったんやけどさすがに65歳ではなぁ…。過去3年の確定申告書が必要って言われたら、コロコロの間の「ゼロゼロ借入」の返済中やって言うたらどこも「稟議が通りませんでした。」でおしまいやったわ。
 挙句の果てに、「カードローンやったら、娘を保証人につけたら99万円までやったら融通します。」やとさ。」

 万沙が「借りられる先があるんやったら貸してもろたらええんとちゃうの?それにしても「100万」やなくてなんで「99万」なん?」と尋ねた。
「それは、2010年に改正された「貸金業法」で借入金額10万未満までは年利20%まで、10万から100万未満は18%、100万以上は15%ってなってるんや。99万円貸し付ければ、ざっくり金利は18万弱が入る美味しい契約やわな。最後は保証人の娘さんから回収できるからな。余談やけど、今、ようコマーシャルしてる「借金の過払い金返還」っていうのは、2010年6月以前は出資法の29.2%が貸付上限やったからな、法定金利との差額を取り返しましょうっていう話や。」
と万沙の口からでる「ひとりやり取り」に店主は不思議な顔をした。

 「ぎょへー、銀行預金金利が0.00なんぼやのに、29.2%って凄いな!100万借りたら30万が金利ってことやろ。」
万沙が改めて声をあげると、店主が自分のグラスにも冷酒を注ぐと一口飲み、
「お姉ちゃん、わしら個人事業主の商売人は年間30%でも全然当たり前やったんや。昔は、無担保、無保証人で借りれたからな。
 今回、18%でも借りるんを躊躇してるんは、保証人の問題なんや。無保証人やったら、わしが被ったら終いの話やけど、嫁いだ娘らに迷惑かけるんは避けたいからな。まだ、コロコロ前やったらわしも還暦迎えたところやったし「運転資金」としてサラ金やカードローンの世話になるところやったけどな。」
と諭すように呟いた。

 緒狩斗が万沙の中の副島に視線を向けて「何とかならないもんですかねぇ?」と目で訴えかけた。副島は万沙に「できるだけ「万沙ちゃん」っぽく話すからちょっと黙っとってな。」と心の中で断りを入れると、店主に向けて問いかけた。
 知り合いの店を借りる、または買い取る条件。店の営業日と営業時間と場所。現在の店の売上と原材料費に今年度の確定申告利益額。次々と副島は店主に尋ねると、ノートに書き込んでいった。
 店主の知り合いの店の立地をグーグルアースで検索し近隣の駐車場や競合店の有無を調べ、営業時の店の口コミをチェックした。

  「ちょっと失礼します。」と席を外し、店の外に出ると1本の電話を入れて、戻ってきて店主に質問をぶつけた。
「知り合いの求める店舗使用料の一時金なんかの交渉ができれば、「エンゼル出資」を取り付けますけど、交渉役を任せてもらう事は出来ますか?
 あと、現状、月金の週5日営業ってことですけど、残り2日の店の使用権を転貸借で第三者譲渡することは可能ですか?
 もう一つ、将来、店主さんが勇退する際の後継者候補をこちらでご紹介させてもらう事は問題ありますか?」

 副島の質問に対し、店主は以下の内容で答えた。候補店舗所有者は知り合いといっても、「濃い」関係ではないので、交渉事はしてもらえると助かるという。エンゼル出資の利率は無保証人条件の28%であればOK。土日は条件さえあえばもともと「休み」なので自由にしてもらって構わない。後継者はいないので自分が勇退したのち、後継者の作った債務を負うことが無ければかまわないとの返事だった。
「わかりました。明日の土曜日は、この店はお休みですよね。候補店舗の現状確認と、交渉に入らせてもらいます。そこは「わし」…、いや「私」ではなく、金城司法書士事務所の森先生に代行交渉に入ってもらいますので同行願いますね。
 それ以外にも一人会って欲しい人がいますので、3時間程お時間を空けておいていただけますようお願いします。」
と副島が店主に伝えると、(ちょっとちょっと、副島のおっちゃん!18%でも高いのに金利28%ってなによ!昔のサラ金並みやん。私、おっちゃんの事「弱者の味方」のええ人やと思ってたけど、「おじいちゃん」相手に「ぼったくる」つもりなん!見損なったで!)と心の中で万沙が叫んだ。



「今日のおまけ」

昨日、「ラーメンを食べる万沙ちゃん」のイラストをあげたからか、
「赤井先生はどこのラーメンが好きですか?」
とのメールが3通来てました。

ちなみに、赤井は表であまりラーメンを食べません。
だから最近の「流行りのラーメン屋さん」は全然わかりません。
「天下一品」か「京都王将のこってりラーメンor辛玉ラーメン」くらいですね。
地味な回答でごめんなさい。

さて、今日のイラストは本編に全く無関係です(笑)。
「ひいちゃん」さんの「お疲れ「生」です!」に影響を受けてのチーム「みりおた」の皆さんのリクエストで
「水着で「お疲れ「生」です!の万沙ちゃん」
です。





「ひいちゃん」さんほど、「色気」が無くてごめんなさい。
(。-人-。) ゴメンネ


あとは
「もぐもぐ万沙ちゃん(笑)」





AI作画で何かを食べさせるのって難しい。
なにかコツがあるんでしょうかねー?
では、明日もよろひこー!
(⋈◍>◡<◍)。✧♡
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