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第4話(閑話回)「憑依した副島の1年半の予定とは②」

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第4話(閑話回)「憑依した副島の1年半の予定とは②」

 いきなり副島が万沙にむかって怒鳴りつけた。
「あほっ!万沙ちゃん、江戸時代の「身分制度」を歴史の授業で学んだやろ!徳川家が定めた身分序列は「士農工商」や!「商人」は一番下や!これは「大坂」への悪意の現れ以外の何物でもないやろ!」
と叫ぶ副島の意見に緒狩斗は笑顔で頷いていた。
「そっか、そう言われたら腹立ってくるよな。」
万沙が同調すると、更に副島は持論を展開した。

 1619年設置の京街道(※名称は諸説あり。大阪では「大坂街道」と呼ぶ。)の宿場で「東海道五十三次」で終点とされる「京師けいし(※京都三条)」の前の最終宿場の「大津宿」から、「伏見宿」、「淀宿」、「枚方宿」、そして「守口宿」の4つの「宿場」を経由し、「高麗橋(※現在の大阪の京橋)」を終着点とする全59宿場町の「東海道五十七次」の名称が江戸時代には一般的に用いられていた。(※諸説あり)
追加で1802年から1814年まで刊行された十返舎一九の「弥次喜多道中」の別称で有名な「東海道中膝栗毛」でも「弥次さん」、「喜多さん」が第八編の上中下巻で「大坂見物」で話を締めていることが語られた。
「へー、京橋が東海道の最終点やったんや。そんなこと全然知らんかったわ。でも世間様は京都ゴールの「五十三次」と思ってるわな。なんでなん?」
と万沙は再び疑問を投げかけた。

 副島が言うには、当時の大阪は江戸よりも活気にあふれ、モノも「潤沢」にあったため、江戸市民が大阪に興味を持たぬよう「東海道」の終点は「京師(※いまの「京都」)であることをイメージづけようと、当時の人気浮世絵師に「京」止まりの浮世絵版画を大量に刷らせたとのことだった。副島は熱燗をおちょこからビールグラスに入れ替えると一気にあおった。
「1690年の菱川師宣の「東海道文間図会」に始まって、1808年完成の喜多川歌麿の「美人一代五十三次」、1818年完成の葛飾北斎の「春興五十三之内」、1834年の歌川広重の「東海道五拾三次之内」もみんな始点の「日本橋」からゴールの「京師」までの55枚の絵でお終い!枚方も守口も京橋も「無視」!
 そんな背景もあって関東の旅行者はみんな京都で折り返すから、ある意味「大阪」は西日本人だけで「純粋培養」されたんかもしれへんけどな。」

 さらに副島のトークはヒートアップしていった。
「戦後のマッカーサーも同じや。1941年のフィリピン戦線で「関西弁」で勇敢に突っ込んでくる旧日本陸軍の兵隊にビビってしもて、戦後の占領下の日本で「大阪本社」の会社をみんな分解して、GHQの目がよく届くように多くの会社を「東京本社」にしてまいよったんや(※諸説あり)。
 終戦前後でポツダム宣言受諾の元海軍大将の「鈴木貫太郎」、英語力抜群で憲法改正に取り組んだ「幣原喜重郎」と昭和天皇から頭下げられて大阪から総理大臣が2人も出たのに、すぐに潰されたわな。マッカーサーのマブダチの「吉田茂」に置き換えられた後は「大阪人総理」はナッシングや!これを「アメリカ」の陰謀と言わず何というかや!」

 その後も、「大阪」に関わる緒狩斗の質問に対し、副島はてきぱきと答えていく。日本最初の「天孫降臨」は「一般的」に伝わる「高天原」の「ニニギノミコト」ではなく、その兄の「ニギヤハヒノミコト」が交野市の磐船神社に「天の磐船」で降りてきて、大阪を中心に「物部氏」を配下に「畿内」を治めた。
「神武天皇」の東征で国を譲るまでを考えると、最初の日本の「首都」は現在の「大阪」であるという説は緒狩斗を納得させた。前のめりになる緒狩斗が追加の日本酒を注ぐと副島は更に持論を続けた。

 「諸説あって、誤解を生むことを承知で言わせてもらうと、いまの「皇族」の直系先祖にあたる第26代「継体天皇」は枚方市の樟葉に「都」を開き、墓陵は皆が入れる開かれた「前方後円墳」の「今城塚古墳」で高槻市にある。そんな、大事なことを「大阪人」が知ってないのはおかしいやろ?
 堺の世界最大の墓陵の主でもある「仁徳天皇」の「善行」についても知らん人が多すぎる。そんな、「大阪」のことをみんなに知ってもらいたかったんよ。
 「プリンセストヨトミ」や「さらば愛しの大統領」よりも前に「大阪独立」をおいちゃんらは考えてたんやで。
 まあ、「独立」は「夢の夢」としても、「大阪」への「首都移転」も含めて、今はタレントにならはった弁護士の元「大阪府知事」が「大阪都構想」を持ち出す10年以上前から、「大阪都構想」、いや「大阪首都構想」を考えてたんや。
 まずは大阪市を特別区に再編成したら、隣接する「市」を1年ごとに順番に「住民投票」して、守口、門真、寝屋川、高槻、そして枚方迄を5年かけて特別区に組み込んで東京に負けへん「都」にするんやな。「府」から「都」に代われば、本来は「国税」の消費税の「都」での使用枠は広がるし、「経済特区」化も予算をしっかり組んで東京に持っていかれた「本社」を取り返したるつもりなんや!」
ととんでもないことを言い出した。

 2025年7月5日に来るかもしれないと噂の東南海トラフ地震(※フィリピン沖海底火山地震)等の大規模自然災害リスクの関東圏と関西圏の違いを説明することで、海外からの大きな投資を「大阪」、そして「関西」に呼び込むことが必要だという。
「投資した会社が震災等でぽしゃったら投資家は困るやろ。大きな活火山も無く、太平洋でなく瀬戸内海に面した大阪の街は津波の被害も少なくて済む。新たな首都としては「最適」な街なんや!
そのためには、「食い倒れ」以外の大阪の魅力を世界に向けて発信せなあかん!そこで大事なんが「大阪万博」と「IR構想」やな!」

そこから大阪を世界に知らしめた1970年の「大阪万博」の話に進んだ。
「あっ、「20世紀少年」で読んだことある!2010年の上海万博で抜かれるまで大阪万博の来場者6400万人がギネス記録やったんやろ?」
 万沙が興味を示すと、副島は万沙に質問した。
「万沙ちゃんが生まれる前の話やのによう知ってるな。ちなみに「予算」の話と「工期遅れ」ばっかりが言われる来年の万博の「来場者目標」って知ってるか?」
 「わからへん。」と答えると、緒狩斗が助け船を出してくれた。
「確か、チケット販売で2300万人。来場者目標数は2820万人ってことでしたよね。そこも副島さん絡んではるんですか?」

 副島は黙って頷いた。あくまで「サポートアドバイザー」的な立場であると断ったうえで言い切った。
「木造の屋根が「高価すぎる」とか、計画時と予算が違いすぎるとか言うてんと、ようさんの人に海外から来てもろて、よおさん「金」落としてもろたらええだけの話やろ?前回の万博で6400万人。上海で7300万人や。「1億人」の客が見に来てくれたら、十分元取れるんとちゃうの?
 その為には第1に客を呼べる魅力的な「見せ物」!第2に客を滞りなく運べる「交通手段」や!そこでいろいろとアドバイスする仕事をしてるんやけど、「邪魔する」もんが多すぎるねん。
 「イケメン知事」も「さわやか新米市長」も可哀そうになるわな。テレビも新聞も他の政党の議員も足引っ張ることしかいいよれへんもんな。少なくとも、関西のテレビ局、制作会社は否定的な事しか言えへん奴は「テレビに出すな!」って言いたいわ。」



「今日のおまけ」

はい、「大阪人の愚痴」2日目!
興味ない人は明日まで読み飛ばしてください(笑)。

本編で書ききれなかった「ミス花子」氏(※男性歌手です)の「好っきやねん」をBGMに書いてました(笑)。
ユーチューブでも聞けますので、興味のある人は聞いてみてください!
赤井的には「最強大阪ソング」です(笑)。
あゝ、あと「稀世ちゃんの入場曲」の設定にしてた「大阪ふぁんくらぶ」もめっちゃ好き。

まあ、これに対抗できるご当地ソングは「つぼいのりお」氏の「名古屋ソング」で「名古屋はええで」くらいですね(笑)。

あと書いておかなきゃいけないのが
「弥次喜多」
と言えば、
映画「真夜中の弥次さん喜多さん」ですよねー!

天才「宮藤官九郎」氏の監督、脚本で元TOKIOの長瀬智也さんが弥次さん、中村七之助さんが喜多さん役!
2人は「ゲイ」(笑)!
凄い設定です!
長瀬さんの運転するカスタムハーレーでタンデムしてお伊勢さんへ「てめえ探し」の旅に出るっていう凄い設定です。
もう、これが面白くないわけがない!
十返舎一九が見たら、絶対に喜ぶ映画です!
赤井の中での「時代劇」映画としては、「戦国自衛隊」の次にランク付けしてもいいくらい!
興味のある人は是非ともご覧ください(笑)!

今日のイラストも「監督」!




そして、前に書きましたがなぜか「ストロー」らしきものがやたら出てくる「生ビール」&ちょっと行儀悪い万沙ちゃん(おっちゃん)!





なにゆえ「ストロー」?
さて、明日は「大阪万博」来場者1億人プランの公開です(笑)!
ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ
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