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プロローグ「悪徳ホスト商法は許せへんぞ!②」
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プロローグ「悪徳ホスト商法は許せへんぞ!②」
その後、葉真留は泣きながら経緯を話し続けた。現金で払えないならカードで払うか、キャッシングするか消費者金融で借りるかと責められたが、「親にばれたくない」一心でどれも拒否すると、「じゃあ風俗店で働いてでも返してもらおか。葉真留ちゃんやったらかわいいから本番まではせんでも「ファッションヘルス」でちょっと「マッサージ」でもしたらひと月で返せるやろ。」と言われたという。
「腐女子」の悲しさで「性風俗店」の「ファッションヘルス」もその「性的なサービス」も知識は無かった。「本番は無し」で「簡単なマッサージ」の言葉を鵜呑みにして、体験入店に連れていかれたところ、「真実」を知り逃げて来たとのことだった。
万沙の胸の中で泣きじゃくる葉真留を抱きしめながら心の中で呟いた。
「副島のおっちゃん、これってどうにかなれへんの?葉真留ちゃん、まだ19歳で未成年やし、お酒代を払わされるって違法行為になれへんの?」
「うーん、難しい案件やな?2022年4月1日から成人年齢が18歳に引き下げられてしもたからな。唯一、「逆転の目」があるとしたらきちんとした「言質」を取らんとあかんからな…。
どないする?おいちゃん的には「義を見て為さざりは勇無きなし」やし「乗りかかった舟」で何とかしたらんでもないけど、店に怒鳴り込むんは万沙ちゃんの「身体」やからな…。」
万沙は葉真留を慰めながら熟考して、いろんなパターンを考慮し、頭の中の声に問い直した。
「おっちゃん主導で交渉してもらうとして、勝算は何パーセント?50パーセント以上あるんやったら、私は葉真留ちゃんの為に動くよ。まあ、うちの監督、こういった社会問題ネタ好きやから、交渉成功の暁には次の「脚本」の題材になるかもしれへんしな。」
「じゃあ、ちょっと乱暴な手にはなるけど、やってみるか?劇団に行って、WEBカメラと無線マイク借りて来れるよな。あと監督にも協力してもらえると助かるけどな。」
の副島のふたつ返事で行動は決まった。
万沙は、副島の作戦を聞き一度スタジオに戻った。緒狩斗に事情を話し、必要な機材を借り受けた。緒狩斗は最初は少し心配そうだったか、話が進むにつれて少し悪ノリしてきた。
「オッケー!電話があったら俺は「マッサージ屋」を装って、音玄の上司やって事を伝えたらええんやな。それにしても「マッサージ屋」にそういう呼び方があるとは知らへんかったな。音玄、ほんまにお前23歳か?えらい、おっさん臭い時あるもんな。あっ、今おもろいこと思いついた。音玄、お迎えはうちの劇団員みんなで行ったるから任せとけよ。こんなエンディングもありやろ!」
1時間後、大きな伊達メガネをかけた万沙の姿は葉真留と共に梅田のホストクラブのVIPルームにあった。
「ところであんたが葉真留ちゃんの飲み代を肩代わりしてくれるってことでええんかな?あんたも若そうやけどそんな金持ってるんか?」
葉真留を嵌めたホストが万沙に確認を取った。
「まあ、そう慌てなや。何ちゅうても「69万5500円」は大金や。それにしても「シックスナインゴーゴー」で「ヘルスに行け」ってできすぎやなぁ。カラカラカラ。かわいい後輩のためとはいえ、わしかて右から左に「はいどうぞ!」っていう訳には行けへんわな。手持ちは70万しかあれへんから、納得したらこの場で払ったるがな。ちなみにわしは今日は「お初客」やねんから3000円でセット飲みさせてくれるんやろな。あっ、葉真留ちゃんは今日は客扱いちゃうから何も出さんでええで。まあ、あとでグダグダになるんも嫌やから、店長か副店長おったら立ち会わせたってや。」
若いホストがスマホをかけると、30代半ばの高級スーツにダイヤのちりばめられたロレックスを左腕にはめた男が入ってきた。万沙に渡された名刺には「支配人」の文字が見える。
「じゃあ、お話をお伺いしましょうか?まあ、月末の締めも近づいてますので穏便にお願いしますね。先にお飲み物をお持ちしましょう。VIPルームにおいてある酒でしたらなんでも。まあ、「ピンドン」や「ロマネコンティ」は置いてないですけどね。ケラケラケラ。何がよろしいですか?」
と支配人は震える葉真留を一瞥すると、向かいのソファーに腰を下ろした。万沙は臆することなく答えた。
「スピリタス。ダブル。いやWダブルのストレートで。あてはいらんで。」
若いホストが壁のラックから世界最強のウォッカと呼ばれるポーランド原産のアルコール度数96%のポルモスワルシャワスピリタスの500シーシーのボトルをウイスキーグラスに注いだ。VIPルームに消毒液のような香りが拡がった。
若い男は、支配人の指示でVIPルームの入り口のカギを閉めた。万沙は速攻で問いた。
「今、鍵かけましたね。」
「はい、飲んで暴れられて、ホールに出られても困りますから。」
しれっと支配人は答えた。
「ちなみにこの店は、払われへんようになった女の子は風俗に落とすんかい?」
質問をすると支配人は表情を変えずに答えた。
「いえ、精一杯気は遣わせてもらってますよ。もちろん、現金払いができなければ、金融機関の紹介もしますし、代理弁済も受け付けてます。しかし、葉真留ちゃんの場合には、借り入れも親に払ってもらうも嫌という事でしたし、ソープランドも嫌という事でしたので、「ヘルス」ならと精一杯譲歩したと思ってますけど。」
「飲んだもんは体売ってでも払うんは商取引の常識やろ?」
と若いホストが口を挟み、支配人に諫められた。
今日のおまけ
今日は怒る万沙ちゃん(※中身はおっちゃん)!
不安げな葉真留ちゃんもね!
その後、葉真留は泣きながら経緯を話し続けた。現金で払えないならカードで払うか、キャッシングするか消費者金融で借りるかと責められたが、「親にばれたくない」一心でどれも拒否すると、「じゃあ風俗店で働いてでも返してもらおか。葉真留ちゃんやったらかわいいから本番まではせんでも「ファッションヘルス」でちょっと「マッサージ」でもしたらひと月で返せるやろ。」と言われたという。
「腐女子」の悲しさで「性風俗店」の「ファッションヘルス」もその「性的なサービス」も知識は無かった。「本番は無し」で「簡単なマッサージ」の言葉を鵜呑みにして、体験入店に連れていかれたところ、「真実」を知り逃げて来たとのことだった。
万沙の胸の中で泣きじゃくる葉真留を抱きしめながら心の中で呟いた。
「副島のおっちゃん、これってどうにかなれへんの?葉真留ちゃん、まだ19歳で未成年やし、お酒代を払わされるって違法行為になれへんの?」
「うーん、難しい案件やな?2022年4月1日から成人年齢が18歳に引き下げられてしもたからな。唯一、「逆転の目」があるとしたらきちんとした「言質」を取らんとあかんからな…。
どないする?おいちゃん的には「義を見て為さざりは勇無きなし」やし「乗りかかった舟」で何とかしたらんでもないけど、店に怒鳴り込むんは万沙ちゃんの「身体」やからな…。」
万沙は葉真留を慰めながら熟考して、いろんなパターンを考慮し、頭の中の声に問い直した。
「おっちゃん主導で交渉してもらうとして、勝算は何パーセント?50パーセント以上あるんやったら、私は葉真留ちゃんの為に動くよ。まあ、うちの監督、こういった社会問題ネタ好きやから、交渉成功の暁には次の「脚本」の題材になるかもしれへんしな。」
「じゃあ、ちょっと乱暴な手にはなるけど、やってみるか?劇団に行って、WEBカメラと無線マイク借りて来れるよな。あと監督にも協力してもらえると助かるけどな。」
の副島のふたつ返事で行動は決まった。
万沙は、副島の作戦を聞き一度スタジオに戻った。緒狩斗に事情を話し、必要な機材を借り受けた。緒狩斗は最初は少し心配そうだったか、話が進むにつれて少し悪ノリしてきた。
「オッケー!電話があったら俺は「マッサージ屋」を装って、音玄の上司やって事を伝えたらええんやな。それにしても「マッサージ屋」にそういう呼び方があるとは知らへんかったな。音玄、ほんまにお前23歳か?えらい、おっさん臭い時あるもんな。あっ、今おもろいこと思いついた。音玄、お迎えはうちの劇団員みんなで行ったるから任せとけよ。こんなエンディングもありやろ!」
1時間後、大きな伊達メガネをかけた万沙の姿は葉真留と共に梅田のホストクラブのVIPルームにあった。
「ところであんたが葉真留ちゃんの飲み代を肩代わりしてくれるってことでええんかな?あんたも若そうやけどそんな金持ってるんか?」
葉真留を嵌めたホストが万沙に確認を取った。
「まあ、そう慌てなや。何ちゅうても「69万5500円」は大金や。それにしても「シックスナインゴーゴー」で「ヘルスに行け」ってできすぎやなぁ。カラカラカラ。かわいい後輩のためとはいえ、わしかて右から左に「はいどうぞ!」っていう訳には行けへんわな。手持ちは70万しかあれへんから、納得したらこの場で払ったるがな。ちなみにわしは今日は「お初客」やねんから3000円でセット飲みさせてくれるんやろな。あっ、葉真留ちゃんは今日は客扱いちゃうから何も出さんでええで。まあ、あとでグダグダになるんも嫌やから、店長か副店長おったら立ち会わせたってや。」
若いホストがスマホをかけると、30代半ばの高級スーツにダイヤのちりばめられたロレックスを左腕にはめた男が入ってきた。万沙に渡された名刺には「支配人」の文字が見える。
「じゃあ、お話をお伺いしましょうか?まあ、月末の締めも近づいてますので穏便にお願いしますね。先にお飲み物をお持ちしましょう。VIPルームにおいてある酒でしたらなんでも。まあ、「ピンドン」や「ロマネコンティ」は置いてないですけどね。ケラケラケラ。何がよろしいですか?」
と支配人は震える葉真留を一瞥すると、向かいのソファーに腰を下ろした。万沙は臆することなく答えた。
「スピリタス。ダブル。いやWダブルのストレートで。あてはいらんで。」
若いホストが壁のラックから世界最強のウォッカと呼ばれるポーランド原産のアルコール度数96%のポルモスワルシャワスピリタスの500シーシーのボトルをウイスキーグラスに注いだ。VIPルームに消毒液のような香りが拡がった。
若い男は、支配人の指示でVIPルームの入り口のカギを閉めた。万沙は速攻で問いた。
「今、鍵かけましたね。」
「はい、飲んで暴れられて、ホールに出られても困りますから。」
しれっと支配人は答えた。
「ちなみにこの店は、払われへんようになった女の子は風俗に落とすんかい?」
質問をすると支配人は表情を変えずに答えた。
「いえ、精一杯気は遣わせてもらってますよ。もちろん、現金払いができなければ、金融機関の紹介もしますし、代理弁済も受け付けてます。しかし、葉真留ちゃんの場合には、借り入れも親に払ってもらうも嫌という事でしたし、ソープランドも嫌という事でしたので、「ヘルス」ならと精一杯譲歩したと思ってますけど。」
「飲んだもんは体売ってでも払うんは商取引の常識やろ?」
と若いホストが口を挟み、支配人に諫められた。
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今日は怒る万沙ちゃん(※中身はおっちゃん)!
不安げな葉真留ちゃんもね!
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