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「破門やくざ」
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「破門やくざ」
二日後、午前8時から何度も宇都宮の持つ太田のスマホが鳴った。その着信は「キクタアキオ」のスマホからのものだった。坂井と太田の指示でその着信はことごとく無視した。宇都宮は空き巣狙いの対象のマンションの近くに停めたメディアクリエイトの車の中で太田と稀世と共にパソコンのモニターに集中していた。パソコンのモニターには、昨日のうちに仕掛けた対象者宅の玄関前、4階踊り場、1階集合ポスト前の映像が映し出されている。
前日のメッセージアプリでの最終連絡では宇都宮は3人の突入係と指定されており、大型のバールの持参を命じられていた。デビルタイガーの作戦開始の30分前、グループ通話の連絡が入り、太田はスマホを機内モードに設定し、こちらからは電波を発信しないようにして受信ボタンを押した。
「キクタアキオ」の携帯の持ち主は、グループ通話アプリで「独りのバイトが連絡とられへんから配置転換や。お前らも腰が引けて逃げ出すようなことがあってみい。地獄の底まで追っかけて、とことんしばいたるからな!」と憤慨した様子で、見張り役の一人を宇都宮の代わりに配置することを指示した。
「突入は予定通り10時。午前の郵便局の配達が終わり次第、侵入開始。全員グループ通話はオンにしたまま、受け取り係は1階裏でスクーターで待機する。1階の見張りは2名、4階下の踊り場の見張りは1人や。
3人の突入係は、これ見よがしに置かれたダミーの金庫は無視して、寝室の仏壇の引き出しに入った現金800万円と貴金属だけ奪い次第、裏の窓から下に放り投げろ。解散後は別行動。配当は、戦利品を確認の上翌日に配当を行う。」
という事が伝えられた。
参加メンバーから質問は一切出ず会話は終わった。
現場では、とても当日初めて会ったメンバーとは思えない統率で、7名の闇バイトが行動を開始した。太田のパソコンに闇バイト達の姿が映し出されている。現場の5階では、一人の男が鍵錠に特殊なノミを差し込むとバールの背を撃ち込むとあっさりとドアキーのカバーがはずれた。錠の中の2本のプラスねじを外すとあっさりとカギはハズレ、ドアノブが回った。続いて二人の男が部屋に突入するまで何の滞りも無いスムーズな連携だった。
「へー、鍵を開けて侵入まで1分か。こりゃ、やり込んでるか練習して来とんねやろな。」
車内で隠しカメラをパソコンでモニターしながら太田が感嘆の声を上げた。鍵を開ける係の者の作業はそこまでで一人階段を降り、1階に停めたバイクで走り去る姿がモニターには映っていたが、カメラと向きが合わずバイクのナンバーは確認できなかった。しかしヘルメットからはみ出した金髪と目立つステッカーが貼ってあったことから宇都宮は太田に「こいつとこのバイクおそらく近所で見たことありますわ。」と呟いた。
2名が室内に侵入した姿がカメラに映り、ドアが締められると太田は坂井に電話を入れた。まもなく、サイレンを鳴らさず2台のパトカーがマンションの前に侵入してきた。1階の見張りが気づく前に「キクタアキオ」の声でグループ通話が入った。
「パトカーや。単なる巡回かもしれへんが、作戦は中止。今すぐ各自逃げろ!」と指示すると1階の見張りは慌ててスクーターに跨り、パトカーの横を走り抜けていった。裏口で「成果品」が入ったバッグが落とされるのを待っていた待機していたバイクも走って逃げたようだ。
マンション5階への階段前に到着した2台のパトカーから6人の制服警官が飛び降りると、目的物件の1階から一気に上階へ駆け上がっていった。4階で待機していた見張りは3階で呼び止められ、職務質問に入った。更に、4人の警官は5階を目指した。5階のドア前のモニターにはカギが壊されたドアが映っている。4人の警官がインターホンを鳴らすが、応答する者は当然のごとくいない。何度もインターホンを押す警官の姿がモニターに映し出されている。
「すみませーん、警察の定期巡回です。鍵壊れてますけどお変わりありませんか?もしもーし、お留守ですかー?」
との警官の声がパソコンのスピーカーから響く。「入りますよー!失礼しまーす!」と4人の警官がドアを開け中に入った約5分後、バールと大きなバッグを持った二人連れが4人の警官に囲まれ、手錠をかけられうつむいて出てくる姿が映し出された。
「うーん、指揮役はどこで見てたんやろか。それにしても、見事な逃げっぷりやったな。まあ、2人が住居不法侵入の現行犯。職質された見張りの奴もスマホの履歴見られたら微罪にしても逮捕やろ…。これが、デビルタイガーの正体解明の第1歩になったらええと思っとったんやけど、捕まった奴は「闇バイト」の奴やろな。最初に鍵壊した奴と、指示してた「キクタ」は首謀格。1階の見張りしとった奴と、裏の「ブツ」の受け取り役は場数踏んでる感じやったな。あの逃げ足は間違いなく経験者やろ…。まあ、一気に解決とかそんなに甘いもんやないやろな。」
と太田が車内で呟いた。宇都宮は太田の横の助手席で何も言えずに太田のスマホを見ていると「キクタアキオ」がグループ通話から「脱会しました」とのメッセージが出た。
メディアプロダクト社内で朗報を待っていた稀世の元に、「確保は「闇バイト」3名のみの見込み。残念。」と太田からラインが届いた。
夕方、坂井がメディアプロダクトに現れた。「どうやった?」と尋ねる太田に、坂井は黙って首を横に振った。その様子を見て、宇都宮は何も言えず、一緒にいた稀世が控えめに尋ねた。
「結局、捕まえた3人はただの闇バイトだったんですか?上につながるヒントはあれへんかったんですか?」
「せやな。まあ、闇バイトの募集から作戦実行までの流れは捕まえた3人があっさりと「自白」して再確認できたけど、太田が掴んでたこと以上のことはわからへんかった。せっかく協力してくれたのに、すまんな。」
と坂井が太田、稀世、宇都宮に頭を下げた。
そこから、稀世の取材結果を坂井も混じって総合的に分析する会議に入った。客観的な状況証拠としては、まだまだ確実性が薄く、更なる調査が必要なのは明白であったが、現場での足跡の数が一人分少ない件は加藤の遺留品である靴の底面の写真から加藤の足跡が無かったことが確認されたことが分かった。
「安さんが想像するように、加藤は別の場所で2時間前に撲殺され、遺棄犯達により担がれ現場に遺体が運ばれ、カップルがいることを承知のうえで一芝居打ったことも現実的にあり得るという意見となった。
今日の顛末も含め、デビルタイガー事件の過去と経緯を4人で共有すると、稀世は坂井に「教えてほしいことがあるんですけど…。」と質問した。質問は2つだった。
「やくざって破門されるとどうなるんですか?」、「門真市駅東商店街にある中村不動産って反社やその企業舎弟やったりするんですか?」と続けて投げた質問に坂井は丁寧に答えた。
稀世は坂井の回答をメモに取り、追加でいくつか質問を加えた。
「稀世ちゃん、「破門」とか「企業舎弟」とかえらい具体的な質問やけど、何かつかんだんか?」
と太田が稀世に問うと
「いやぁ、まだ全然形になってへんのです…。なんかぼやーっとしたイメージだけなんですけどね。もう少し調べる時間をください。」
と答え、打ち合わせを終えると再び門真市駅東商店街に向かった。
稀世は夕方の商店街を一往復して古そうな居酒屋に入った。老夫婦が営む15席ほどの居酒屋でレモンサワーを頼むと、配膳に来た女将に「この近くに「焼肉みんなハッピー」って店ありましたよね。評判ってどうやったんですか?」と尋ねると、
「あー、典史君のやってたお店やね。優しい子やったね…。若いのに近所づきあいを大切にしてて、うちの店や、隣のスナックなんかで酔っぱらい客が喧嘩なんか始めたら、典史君がよう止めに来てくれたなぁ。
私らの事も、「おじちゃん」、「おばちゃん」やなくて、「「お父ちゃん」、「お母ちゃん」って呼ばせてもらってええですか?」ってよう馴染んでくれてたな。あと、こども食堂や近所の施設の子供らにご飯ごちそうしたりしてくれててな、いかつい見た目と違って、ほんまええ子やったで。
まあ、3年前に食中毒出してしもて、その時に客から言われて出してた「生レバー」や「生ユッケ」がばれてお店はおじゃんや。可哀そうに営業許可も取り消されてしもて、隣の商店街のぼったくりバーの用心棒みたいなことやらされてるって聞いたんやけどな…。それからはこっちにはすっかり顔出せへんようになってしもたんよ。」
と大阪のおばちゃんらしく、必要以上に答えてくれた。
「へー、そんな人やったんですか?なんか、小学校、中学校時代はやんちゃして暴れてたっていう人の話とはちょっとちゃいますね。すっかり私、手がつけられへん暴れん坊のイメージもってましたけど、そうじゃなかったんですか?」
稀世が再び質問を「典史君が暴れとったんは、あの子が悪いんとちゃうんよ。あの子はね…」と女将が言いかけると、大将が「こら、人の過去を勝手にしゃべんなや。ほれ、次の品が出来上がってんぞ。ピーチクパーチクおしゃべりしてんと仕事せんかい!」の一言でそれ以上聞き出すことはできなかった。
「ごちそうさまでした。」と店を出ると、雨が降り始めていた。時計は7時前を指している。(よっしゃ、雨が降りだしたら人の流れも止まるやろ。今晩は豪雨予報も出てるし…。もう一回行ってみるか。)と稀世は岡山翔のバーに向かった。
「あぁ、またあんたか?飽きもせんと今日も加藤のこと聞きに来たんか?」
「はい、昨日は途中でお客さん来ちゃいましたんで、続きをお伺いに来ました。」
とカウンター席に稀世は座った。
岡山は、面倒臭そうに稀世の座った席の前にコースターを置きながら尋ねた。
「昨日話したこと以上のもんはあれへんで。なんで加藤にこだわんねや?」
「はい、岡山さん含めて「ぼろくそ」言う人がいるかと思うと、「優しい」人だったっていう人もいるもんですからちょっと興味出ちゃいまして…。岡山さんの知ってる加藤さんについてもう少し教えてくださいよ。」
岡山は黙り込んだ。
「…何飲む?」
「じゃあバイオレットフィズでお願いします。」
岡山は稀世にカクテルを作るとそっとサーブした。「失礼するで。」と断りを入れたばこに火をつけ一服すると、岡山から加藤のことが語られだした。話は、「焼肉みんなハッピー」が営業停止になる前の事からだった。
「加藤の店は、まあ、それなりに安くて旨いってことでそこそこ繁盛しとったな。俺も何回か食いに行ったことがあるんやけど、1000円で腹は膨れるし、キムチやライスのおかわりもあってコスパは良かったな。
あと、小さい子供やジジイやババアにはサービスがあったみたいやったな。加藤のことをよく言うんは店の客くらいとちゃうんかいな。後は精一杯譲って、あの商店街の飲み屋で加藤に酔っぱらい客の処理をしてもろてたやつくらいとちゃうか?
そりゃ「みかじめ料」なしでやってくれるんやから、飲み屋の店主は経費が浮いてウハウハやわな。」
と毒を吐いた。
「岡山さん、あそこらへんって「共立組」のシマなんですよね?」と稀世が尋ねると、少し驚いた顔で岡山が答えた。
「へー、そこまで調べてるんや。じゃあ、俺が「共立組」に居ったっていうのも知ってるんか?じゃあ、あのことも当然知ってるんやな?」
岡山は稀世に今まで見せたことの無い表情を見せた。「元やくざ」をちらつかせたいとかではなく、「良き青春時代」を語るような、少し遠くを見るような、懐かしい様な目で稀世への視線も少し和らいだように感じた。
「えっ、岡山さんの所属って「共立組」やったんですか?」
稀世が手帳を開いて質問を投げかけると
「あちゃー、俺が先走ってしもたか…。まあ、やめたというか破門になった組に義理立てする必要はあれへんからええか…。」
少し照れくさそうに煙草を灰皿に押し付けた。
その瞬間、稀世のスマホが震えた。天気予報アプリのアラーム通知で、「門真市に35mm/hの強い雨の予報が出ています。ご注意ください。」と出ていた。岡山は、
「お姉ちゃんが雨雲を連れて来たやろ。とんだ「貧乏神」やのぉ…。もう、そないなったら客も来えへんやろうから、売上も上がらへん。「有料インタビュー」やったら受けたらんでもないで。」
と稀世の顔を覗き込む岡山の前で、稀世はカバンから取り出した財布を開いて中身を確認した。
「あの…、私、まだ入社半年で何の権限も無くて、デスクの承認とってない取材なんで…、2枚…、いや3枚でお願いします。」
と言って、なけなしの3万円をカウンターに並べ、財布の中に千円札が2枚しかないところを見せた。
「まあ、しゃあないな。お姉ちゃんの熱心さに免じで3枚でええよ。表の看板を「クローズ」にしておいで。」
岡山は不敵な笑みを浮かべた。
二日後、午前8時から何度も宇都宮の持つ太田のスマホが鳴った。その着信は「キクタアキオ」のスマホからのものだった。坂井と太田の指示でその着信はことごとく無視した。宇都宮は空き巣狙いの対象のマンションの近くに停めたメディアクリエイトの車の中で太田と稀世と共にパソコンのモニターに集中していた。パソコンのモニターには、昨日のうちに仕掛けた対象者宅の玄関前、4階踊り場、1階集合ポスト前の映像が映し出されている。
前日のメッセージアプリでの最終連絡では宇都宮は3人の突入係と指定されており、大型のバールの持参を命じられていた。デビルタイガーの作戦開始の30分前、グループ通話の連絡が入り、太田はスマホを機内モードに設定し、こちらからは電波を発信しないようにして受信ボタンを押した。
「キクタアキオ」の携帯の持ち主は、グループ通話アプリで「独りのバイトが連絡とられへんから配置転換や。お前らも腰が引けて逃げ出すようなことがあってみい。地獄の底まで追っかけて、とことんしばいたるからな!」と憤慨した様子で、見張り役の一人を宇都宮の代わりに配置することを指示した。
「突入は予定通り10時。午前の郵便局の配達が終わり次第、侵入開始。全員グループ通話はオンにしたまま、受け取り係は1階裏でスクーターで待機する。1階の見張りは2名、4階下の踊り場の見張りは1人や。
3人の突入係は、これ見よがしに置かれたダミーの金庫は無視して、寝室の仏壇の引き出しに入った現金800万円と貴金属だけ奪い次第、裏の窓から下に放り投げろ。解散後は別行動。配当は、戦利品を確認の上翌日に配当を行う。」
という事が伝えられた。
参加メンバーから質問は一切出ず会話は終わった。
現場では、とても当日初めて会ったメンバーとは思えない統率で、7名の闇バイトが行動を開始した。太田のパソコンに闇バイト達の姿が映し出されている。現場の5階では、一人の男が鍵錠に特殊なノミを差し込むとバールの背を撃ち込むとあっさりとドアキーのカバーがはずれた。錠の中の2本のプラスねじを外すとあっさりとカギはハズレ、ドアノブが回った。続いて二人の男が部屋に突入するまで何の滞りも無いスムーズな連携だった。
「へー、鍵を開けて侵入まで1分か。こりゃ、やり込んでるか練習して来とんねやろな。」
車内で隠しカメラをパソコンでモニターしながら太田が感嘆の声を上げた。鍵を開ける係の者の作業はそこまでで一人階段を降り、1階に停めたバイクで走り去る姿がモニターには映っていたが、カメラと向きが合わずバイクのナンバーは確認できなかった。しかしヘルメットからはみ出した金髪と目立つステッカーが貼ってあったことから宇都宮は太田に「こいつとこのバイクおそらく近所で見たことありますわ。」と呟いた。
2名が室内に侵入した姿がカメラに映り、ドアが締められると太田は坂井に電話を入れた。まもなく、サイレンを鳴らさず2台のパトカーがマンションの前に侵入してきた。1階の見張りが気づく前に「キクタアキオ」の声でグループ通話が入った。
「パトカーや。単なる巡回かもしれへんが、作戦は中止。今すぐ各自逃げろ!」と指示すると1階の見張りは慌ててスクーターに跨り、パトカーの横を走り抜けていった。裏口で「成果品」が入ったバッグが落とされるのを待っていた待機していたバイクも走って逃げたようだ。
マンション5階への階段前に到着した2台のパトカーから6人の制服警官が飛び降りると、目的物件の1階から一気に上階へ駆け上がっていった。4階で待機していた見張りは3階で呼び止められ、職務質問に入った。更に、4人の警官は5階を目指した。5階のドア前のモニターにはカギが壊されたドアが映っている。4人の警官がインターホンを鳴らすが、応答する者は当然のごとくいない。何度もインターホンを押す警官の姿がモニターに映し出されている。
「すみませーん、警察の定期巡回です。鍵壊れてますけどお変わりありませんか?もしもーし、お留守ですかー?」
との警官の声がパソコンのスピーカーから響く。「入りますよー!失礼しまーす!」と4人の警官がドアを開け中に入った約5分後、バールと大きなバッグを持った二人連れが4人の警官に囲まれ、手錠をかけられうつむいて出てくる姿が映し出された。
「うーん、指揮役はどこで見てたんやろか。それにしても、見事な逃げっぷりやったな。まあ、2人が住居不法侵入の現行犯。職質された見張りの奴もスマホの履歴見られたら微罪にしても逮捕やろ…。これが、デビルタイガーの正体解明の第1歩になったらええと思っとったんやけど、捕まった奴は「闇バイト」の奴やろな。最初に鍵壊した奴と、指示してた「キクタ」は首謀格。1階の見張りしとった奴と、裏の「ブツ」の受け取り役は場数踏んでる感じやったな。あの逃げ足は間違いなく経験者やろ…。まあ、一気に解決とかそんなに甘いもんやないやろな。」
と太田が車内で呟いた。宇都宮は太田の横の助手席で何も言えずに太田のスマホを見ていると「キクタアキオ」がグループ通話から「脱会しました」とのメッセージが出た。
メディアプロダクト社内で朗報を待っていた稀世の元に、「確保は「闇バイト」3名のみの見込み。残念。」と太田からラインが届いた。
夕方、坂井がメディアプロダクトに現れた。「どうやった?」と尋ねる太田に、坂井は黙って首を横に振った。その様子を見て、宇都宮は何も言えず、一緒にいた稀世が控えめに尋ねた。
「結局、捕まえた3人はただの闇バイトだったんですか?上につながるヒントはあれへんかったんですか?」
「せやな。まあ、闇バイトの募集から作戦実行までの流れは捕まえた3人があっさりと「自白」して再確認できたけど、太田が掴んでたこと以上のことはわからへんかった。せっかく協力してくれたのに、すまんな。」
と坂井が太田、稀世、宇都宮に頭を下げた。
そこから、稀世の取材結果を坂井も混じって総合的に分析する会議に入った。客観的な状況証拠としては、まだまだ確実性が薄く、更なる調査が必要なのは明白であったが、現場での足跡の数が一人分少ない件は加藤の遺留品である靴の底面の写真から加藤の足跡が無かったことが確認されたことが分かった。
「安さんが想像するように、加藤は別の場所で2時間前に撲殺され、遺棄犯達により担がれ現場に遺体が運ばれ、カップルがいることを承知のうえで一芝居打ったことも現実的にあり得るという意見となった。
今日の顛末も含め、デビルタイガー事件の過去と経緯を4人で共有すると、稀世は坂井に「教えてほしいことがあるんですけど…。」と質問した。質問は2つだった。
「やくざって破門されるとどうなるんですか?」、「門真市駅東商店街にある中村不動産って反社やその企業舎弟やったりするんですか?」と続けて投げた質問に坂井は丁寧に答えた。
稀世は坂井の回答をメモに取り、追加でいくつか質問を加えた。
「稀世ちゃん、「破門」とか「企業舎弟」とかえらい具体的な質問やけど、何かつかんだんか?」
と太田が稀世に問うと
「いやぁ、まだ全然形になってへんのです…。なんかぼやーっとしたイメージだけなんですけどね。もう少し調べる時間をください。」
と答え、打ち合わせを終えると再び門真市駅東商店街に向かった。
稀世は夕方の商店街を一往復して古そうな居酒屋に入った。老夫婦が営む15席ほどの居酒屋でレモンサワーを頼むと、配膳に来た女将に「この近くに「焼肉みんなハッピー」って店ありましたよね。評判ってどうやったんですか?」と尋ねると、
「あー、典史君のやってたお店やね。優しい子やったね…。若いのに近所づきあいを大切にしてて、うちの店や、隣のスナックなんかで酔っぱらい客が喧嘩なんか始めたら、典史君がよう止めに来てくれたなぁ。
私らの事も、「おじちゃん」、「おばちゃん」やなくて、「「お父ちゃん」、「お母ちゃん」って呼ばせてもらってええですか?」ってよう馴染んでくれてたな。あと、こども食堂や近所の施設の子供らにご飯ごちそうしたりしてくれててな、いかつい見た目と違って、ほんまええ子やったで。
まあ、3年前に食中毒出してしもて、その時に客から言われて出してた「生レバー」や「生ユッケ」がばれてお店はおじゃんや。可哀そうに営業許可も取り消されてしもて、隣の商店街のぼったくりバーの用心棒みたいなことやらされてるって聞いたんやけどな…。それからはこっちにはすっかり顔出せへんようになってしもたんよ。」
と大阪のおばちゃんらしく、必要以上に答えてくれた。
「へー、そんな人やったんですか?なんか、小学校、中学校時代はやんちゃして暴れてたっていう人の話とはちょっとちゃいますね。すっかり私、手がつけられへん暴れん坊のイメージもってましたけど、そうじゃなかったんですか?」
稀世が再び質問を「典史君が暴れとったんは、あの子が悪いんとちゃうんよ。あの子はね…」と女将が言いかけると、大将が「こら、人の過去を勝手にしゃべんなや。ほれ、次の品が出来上がってんぞ。ピーチクパーチクおしゃべりしてんと仕事せんかい!」の一言でそれ以上聞き出すことはできなかった。
「ごちそうさまでした。」と店を出ると、雨が降り始めていた。時計は7時前を指している。(よっしゃ、雨が降りだしたら人の流れも止まるやろ。今晩は豪雨予報も出てるし…。もう一回行ってみるか。)と稀世は岡山翔のバーに向かった。
「あぁ、またあんたか?飽きもせんと今日も加藤のこと聞きに来たんか?」
「はい、昨日は途中でお客さん来ちゃいましたんで、続きをお伺いに来ました。」
とカウンター席に稀世は座った。
岡山は、面倒臭そうに稀世の座った席の前にコースターを置きながら尋ねた。
「昨日話したこと以上のもんはあれへんで。なんで加藤にこだわんねや?」
「はい、岡山さん含めて「ぼろくそ」言う人がいるかと思うと、「優しい」人だったっていう人もいるもんですからちょっと興味出ちゃいまして…。岡山さんの知ってる加藤さんについてもう少し教えてくださいよ。」
岡山は黙り込んだ。
「…何飲む?」
「じゃあバイオレットフィズでお願いします。」
岡山は稀世にカクテルを作るとそっとサーブした。「失礼するで。」と断りを入れたばこに火をつけ一服すると、岡山から加藤のことが語られだした。話は、「焼肉みんなハッピー」が営業停止になる前の事からだった。
「加藤の店は、まあ、それなりに安くて旨いってことでそこそこ繁盛しとったな。俺も何回か食いに行ったことがあるんやけど、1000円で腹は膨れるし、キムチやライスのおかわりもあってコスパは良かったな。
あと、小さい子供やジジイやババアにはサービスがあったみたいやったな。加藤のことをよく言うんは店の客くらいとちゃうんかいな。後は精一杯譲って、あの商店街の飲み屋で加藤に酔っぱらい客の処理をしてもろてたやつくらいとちゃうか?
そりゃ「みかじめ料」なしでやってくれるんやから、飲み屋の店主は経費が浮いてウハウハやわな。」
と毒を吐いた。
「岡山さん、あそこらへんって「共立組」のシマなんですよね?」と稀世が尋ねると、少し驚いた顔で岡山が答えた。
「へー、そこまで調べてるんや。じゃあ、俺が「共立組」に居ったっていうのも知ってるんか?じゃあ、あのことも当然知ってるんやな?」
岡山は稀世に今まで見せたことの無い表情を見せた。「元やくざ」をちらつかせたいとかではなく、「良き青春時代」を語るような、少し遠くを見るような、懐かしい様な目で稀世への視線も少し和らいだように感じた。
「えっ、岡山さんの所属って「共立組」やったんですか?」
稀世が手帳を開いて質問を投げかけると
「あちゃー、俺が先走ってしもたか…。まあ、やめたというか破門になった組に義理立てする必要はあれへんからええか…。」
少し照れくさそうに煙草を灰皿に押し付けた。
その瞬間、稀世のスマホが震えた。天気予報アプリのアラーム通知で、「門真市に35mm/hの強い雨の予報が出ています。ご注意ください。」と出ていた。岡山は、
「お姉ちゃんが雨雲を連れて来たやろ。とんだ「貧乏神」やのぉ…。もう、そないなったら客も来えへんやろうから、売上も上がらへん。「有料インタビュー」やったら受けたらんでもないで。」
と稀世の顔を覗き込む岡山の前で、稀世はカバンから取り出した財布を開いて中身を確認した。
「あの…、私、まだ入社半年で何の権限も無くて、デスクの承認とってない取材なんで…、2枚…、いや3枚でお願いします。」
と言って、なけなしの3万円をカウンターに並べ、財布の中に千円札が2枚しかないところを見せた。
「まあ、しゃあないな。お姉ちゃんの熱心さに免じで3枚でええよ。表の看板を「クローズ」にしておいで。」
岡山は不敵な笑みを浮かべた。
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M‐赤井翼
現代文学
1年ぶりに復活の「余命半年を宣告された嫁が…」シリーズの第1弾!ニコニコ商店街・ニコニコポロレスのメンバーが再集結。稀世・三郎夫婦に3歳になったひまわりに直とまりあ。もちろん夏子&陽菜のコンビも健在。復帰第1弾の今作の主人公は「夏子」?淡路島イザナギ神社で知り合ったイケメン大使館員の「MK」も加わり10人の旅が始まる。ホテルの庭で偶然拾った二つの「古代ユダヤ支族の紋章の入った指輪」をきっかけに、古来ユダヤの巫女と化した夏子は「部屋荒らし」、「ひったくり」そして「追跡」と謎の外人に追われる!古代ユダヤの支族が日本に持ち込んだとされる「ソロモンの秘宝」と「アーク(聖櫃)」に入れられた「三種の神器」の隠し場所を夏子のお告げと客観的歴史事実を基にアークの追跡が始まる。もちろん最後は「ドンパチ」の格闘戦!7月1日までの集中連載で毎日更新の一騎掲載!アークと夏子とMKの恋の行方をお時間のある人はゆるーく一緒に見守ってあげてください!では、感想やイラストをメール募集しながら連載スタートでーす!(⋈◍>◡<◍)。✧♡
最強女戦士と化した夏子が100万ドル獲得に挑んだ二十日間の物語~余命半年を宣告された嫁が…R3《リターンズ3》
M‐赤井翼
現代文学
1年ぶりに復活の「余命半年を宣告された嫁が…」シリーズの第3弾!ニコニコ商店街・ニコニコプロレスのメンバーが再集結。稀世・三郎夫婦に3歳になったひまわりに直とまりあ。もちろん夏子&陽菜のコンビも健在。復帰第3弾の今作の主人公も「夏子」?夏子は稀世にかわって「ヒロイン」に定着できるのか?
今回の敵は「ウクライナのロシア軍」、「ソマリアの海賊」、「メキシカン・マフィア」と難敵ぞろい。アメリカの人気テレビ番組「目指せ!ミリオネラ!」にチャレンジすることになってしまった夏子と陽菜は稀世・直・舩阪・羽藤たちの協力を得て次々と「難題」にチャレンジ!
「ウクライナ」では「傭兵」としてロシア軍の情報・指令車の鹵獲に挑戦。「ソマリア」では「海賊退治」に加えて「クロマグロ」を求めてはえ縄漁へ。「メキシコ・トルカ」ではマフィア相手に誘拐された人たちの解放する「ネゴシエーター」をすることに。
もちろん最後はドンパチ!
夏子の今度の「恋」の相手は、なぜか夏子に一目ぼれしたサウジアラビア生まれのイケメンアメリカ人アシスタントディレクター!
シリーズ完結作として、「ハッピーエンド」?
皆さんからの感想やイラストをメール募集しながら連載スタートでーす!
8月28日の最終回までお付き合いいただけますと嬉しいです。
いただいた感想やイラストのメールは本編「おまけ」と「RBFC4-H(レッドバロンファンクラブ4-H)」で不定期で公開していきますよー!
ではよろしくお願いしまーす!(⋈◍>◡<◍)。✧♡
女神扱いを受ける夏子と伝説の怪異「令和のメリーさん」に挑んだ四日間の物語~余命半年を宣告された嫁が…R2《リターンズ2》
M‐赤井翼
現代文学
1年ぶりに復活の「余命半年を宣告された嫁が…」シリーズの第2弾!ニコニコ商店街・ニコニコポロレスのメンバーが再集結。稀世・三郎夫婦に3歳になったひまわりに直とまりあ。もちろん夏子&陽菜のコンビも健在。復帰第2弾の今作の主人公も「夏子」?夏子は稀世にかわって「ヒロイン」に定着できるのか?
今回の敵は」懐かしの怪異が令和の時代によみがえった「令和のメリーさん」!かつて「口裂け女」、「八尺様」と並んで「昭和の怪異トップ3」だった「メリーさん」がデジタルの時代に堂々復活!
そりゃ「貞子たん」だって「ビデオ」だったのが今じゃ「ネット」で増殖だもんね(笑)!「メリーさん」もアナログ電話からスマホにステージを変えて「呪い」をばらまきます!
女子高生の自殺者が頻発する門真の街を夏子達ニコニコ商店街のメンバーは救えるのか?7月27日までの集中連載で毎日更新の一騎掲載!「令和のメリーさん」との対決と「夏子の恋の行方」をお時間のある人はゆるーく一緒に見守ってあげてください!では、感想やイラストをメール募集しながら連載スタートでーす!
いただいた感想やイラストのメールは本編「おまけ」と「RBFC4-H(レッドバロンファンクラブ4-H)」で不定期で公開していきますよー!
ではよろしくお願いしまーす!(⋈◍>◡<◍)。✧♡
【完結】『ながらスマホで56歳のおっさん霊を憑依させざるを得なくなった23歳の女劇団員「音玄万沙《ねくろ・まんさ》」の物語』
M‐赤井翼
現代文学
赤井です。
突然ですが、いきなり書き下ろしの新連載です。
7月13日に「赤井先生、「JK心亜ちゃん」の興行が好評だったんで、既に発注してる「OL心亜ちゃん」の前にもう一本「霊もの」書いてほしいねんけど!別の脚本家の「本」がボツ喰らっちゃったみたいで監督さんから急に8月興行ネタを頼まれてしもたんよ。今回も製本配布するんで公開スタートは19日、稿了は8月9日で200ページね!連載はお盆前後で完結でよろひこー!」ってな感じで、突如、制作スタート!
毎度のことながらゴーストライターに「拒否権」はナッシング(笑)。
今作は、納品先の新エースの「OL心亜ちゃん」役の女の子に合わせての設定で23歳の新人脚本家の「音玄万沙《ねくろ・まんさ》」ちゃん!
変な名前でしょ?「ネクロマンサー」っていうのは「死者や霊をを用いた術(ネクロマンシー)を使う人」で「屍術師」なんて言われ方もしますね。
赤井の大好きな名作アニメ「ゾンビランドサガ」1stシーズンの主題歌「徒花ネクロマンシー」の「ネクロマンシー」ですね。
まあ、万沙ちゃんはゾンビを蘇らせて「佐賀を救う」わけでもないし、降霊術を使って「世直し」するようなキャラじゃない(笑)。
そんな仰々しい物じゃなく、普通の23歳の女の子です。
自らのながらスマホの自転車事故で死ぬ予定だったんだけど、ひょんなことで巻き込まれた無関係の56歳のおっちゃんが代わりに死んじゃいます。その場で万沙ちゃんは「死神」から「現世」での「懲役務」として、死んだおっちゃんと1年半の「肉体一時使用貸借契約」することになっちゃうんですねー!
元「よろずコンサルタント」の「副島大《そえじま・ひろし》」の霊を憑依させての生活が始まります。
まあ、クライアントさんの納品先が「社会派」の監督さんなんで、「ながらスマホ」、「ホストにはまる女子高生」、「ブラック企業の新卒」、「連帯保証人債務」、「賃貸住宅物件の原状回復」、「いろんな金融業者」等々、社会問題について書けるとこまで書いてみたいと思いますので「ゆるーく」お付き合いください。
今回も書き上げ前の連載になりますので「目次」無しでスタートです(笑)。
では、7月19日からよろひこー!(⋈◍>◡<◍)。✧💓
【殺し屋時代前編公開中!】『最後に笑えりゃ勝ちなのよ2nd ~5つ星評価のよろずサービス「まかせて屋」の「元殺し屋」の女主任の物語~』
M‐赤井翼
現代文学
「コア読者の皆さん」「旧ドク」の方々!
お待たせしました!「さいわら2nd」いよいよ公開です
もちろん新規の読者さんもウエルカムです!
(。-人-。)
「マジ?」って言われるのを覚悟で最初に書きます。
前回の「さいわら」とは別の女性が主人公の「セミドキュメンタリー作品」です。
前作の「(通称)秋田ちゃん」に負けず劣らずの「過激な人生」を送ってきた「元殺し屋」の女の子の話です。
渡米をきっかけに、「オリンピック」出場を夢見る普通の女子高生が、ある日突然、やむにやまれぬ事情で、この先4度戸籍を全くの「他人」と入れ替え生きていくことになります。
手始めにロサンゼルスのマフィアの娘となり「対人狙撃手」としての人生を送ることになります。
その後、命を危険にさらす毎日を過ごし、ロシアンマフィアに「養父」を殺され上海に渡ります。
そこでも「中国籍」の「暗殺者」としてハードな任務をこなしていきます。
しかし、上海も安住の地ではなく、生まれ故郷の日本の門真市に戻り「何でも屋」を営む「実の兄」と再会し、新たな人生を歩み始まる中、かつての暗殺者としての「技術」と「知識」を活かした「門真のウルトラマン」としての人生が始まります。
そして、彼女が手にする「5つ目の戸籍」…。
「赤井、ついに「バカ」になっちゃったの?」
と言わずに、奇特な人生を送った「蘭ちゃん(※人生4つ目の門真に戻ってきてからの名前です)」を応援してあげてください。
(※今、うちの仕事を手伝ってくれている彼女も皆さんの反応を楽しみにしています(笑)!)
では、全31チャプター!
「えぐいシーン」や「残酷なシーン」は極力排除していますので「ゆるーく」お付き合いいただけましたら幸いです!
よーろーひーこー!
(⋈◍>◡<◍)。✧♡
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