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「デビルタイガー」
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「デビルタイガー」
稀世はメディアクリエイト社に帰ると、太田に今日の取材の報告を行った。太田は独自に「半愚連集団」や地元反社の下請け的に動く「闇バイト」について独自に調査をしていることが伝えられた。
机からいつも使ってるものでないスマホを取り出すと、最近名前が変わった世界最大のSNSのページを開いた。「#デビルタイガー」で検索をかけると、複数のツイートがあがっていた。
「昼過ぎに府警からデビルタイガーのことが発表される前からいろいろと書き込まれてるみたいやねん。古いもんは事件の翌日やな。まあ、「人殺し」とか「ろくでなし」みたいな書き込みがほとんどやけどな。
そんな書き込みの中で「デビルタイガーに「人殺し」を強制された。」、「(闇)バイトを断ったら実家に猫の死骸が送りつけられた。まさに外道!」、「金の為なら何でもござれの守銭奴。」、「半年前に仕事したことあるけど無報酬(怒)!」「あんな奴、野垂れ死んで当たり前!ざまあみろ(笑)!」など罵詈雑言が連なっていた。
そのほとんどは、本名を出さずに「ハンドルネーム」での書き込みであったが、大阪ローカルな事件に対して複数の書き込みがあったことがその影響力を感じさせた。
「ふーん、やっぱりデビルタイガーはごっつい「悪者」で、仲間に報酬金を渡さんと独り占めにしたことで恨みを買って殺されたってことなんですかねぇ?坂井さんから聞いた話やとデビルタイガーは他の男たちから「金払え」って詰められて、「博打ですってしもた。」って言い訳してたって現場で見たカップルの証言があったんですって。分け前を配らんと一人で博打ですってしもたら、そりゃ仲間も怒りますわね。」
稀世が、各ツイートを読んで呟くと、太田はスマホの画面を閉じ
「まあ、昔はこのサイトは本名晒しての「つぶやき」やったからよかったけど、今はもうそのルールも無茶苦茶や。ハンドルネームで投稿しよるやつは何でも書きたい放題やからな。「いいね」欲しさに、「有ること無いこと」書く奴もおるし、金もらって「ウソ」書きよるやつもおる。ましてや自分名義やない「飛ばし携帯」使ってるやつはやりたい放題や。稀世ちゃんはSNSを丸ごと信じたらあかんぞ。」
と何か「含み」を持たせたまま注意した。
稀世は、太田が何を言いたかったのか見当がつかず別の話題にふった。
「デスク、ところで「半愚連」って「やくざ」と何が違うんですか?」
との稀世の質問に太田は丁寧に答えた。
「半愚連」は「不良グループ」や「抗争系暴走族」などのリーダー格を中心に烏合の衆も含めたグループを母体とする新興の犯罪組織である。暴力団は「親分」、「子分」といった擬制的血縁関係で結びつけられた組織構造になっている。ここまで説明して、稀世が理解できてないことを感じ取った太田は説明を加えた。
暴力団は「暴力団対策法」の対象になるが、組織が確定されていない「半愚連」は同法は適用されない。その為、「暴力団」やその構成員などの「反社」への行動規制は「半愚連」では機能せず、その取り締まりに警察は苦労していると説明がなされた。
「ふーん、ちなみに「半愚連」の収入源って何なんですか?「押し込み強盗」や「オレオレ詐欺」みたいな「特殊詐欺」で食っていってるんですか?」
稀世が質問を入れると
「まあ、一口には言われへんけど、それら「集団窃盗」や「集団強盗」や「特殊詐欺」以外やと、繁華街なんかで「みかじめ料」を取ったり、「ぼったくりバー」や「デリヘル」の経営なんていうのも最近ではよく聞くな。
やくざは「みかじめ料」を取るにしても、他の「組」との「シマ」の取り決めもあるし、「相場」ってもんも決まってる。そこに、「シマ」関係なしに「半愚連」が入ってくるんやから、「やくざ」も「半愚連」には手を焼いてるわな。
「シマ」荒らされたんでお巡りさん取り締まってくださいって警察に泣きつくわけにいけへんし、「半愚連」は「本部」や「事務所」持てへんところがほとんどや。行きつけの「店」で連絡を取り合うし、明確な組織の「届」もあれへんからきっちりと組織を把握することもできへん。やっかいなこっちゃで…。」
と最後は諦め口調で太田は締めくくった。
「ふーん、警察で管理規制されないミニ反社みたいなもんなんですね。ちなみにどうやってデスクは調べてるんですか?」
と尋ねる稀世に再びスマホを取り出して日本最大手のSNSのページを開いた。アカウント名は「無職君」となっている。「これって、デスクのアカウント何ですか?「無職君」ってなんですの?」と問うと、闇バイトの誘いを引き出すためのアカウントで過去に「#高額バイト」や「#短期高収入」といったタグをつけて、金に困った若者のふりをして書き込みを行ったツイートの中で「デビルタイガー」を知ったと説明された。
「デスク、そんな嘘ついて書き込みして大丈夫なんですか?」と尋ねる稀世に「大丈夫や。あいつらはそこまでの頭はない。こっちが変に突っ込まへん限り大丈夫や。」と返し、闇バイト募集の手口を説明した。
「へーえ、うまいことやってるんですねー。そんで、「デビルタイガー」と他のグループの違いってなにかあるんですか?」
稀世に問われて太田は「せやなぁ、「デビルタイガー」はいうなれば「半愚連界のジンギスカン」やねん!」と答えた。稀世の頭に「?」マークがたくさん浮かんだ。
太田は稀世にデビルタイガーの仕組みを説明した。ほとんどの闇バイトが日当扱いや一回いくらの定額払いなのだが、デビルタイガーの報酬は半額制であることと、「殺人不要」がうたわれていると説明した。
しかし全く理解できていないといった顔の稀世に太田はジンギスカンがなぜ極東から東ヨーロッパまでの民族の壁を越えて支配できたのかという話を始めた。それまでは、侵略した先での「上がり」はそのほとんどを「王」が取り、それの「残りかす」が武将に配分されていたという歴史的な報酬制度について説明した。7割から8割を君主とその家族や取り巻き閣僚が搾取してしまうのがアジアでも東ヨーロッパでも当たり前だったのが、その配分方式を大きく変えたのが中世世界の覇者「チンギスハン」だったという。
いかなる場所であっても、「王」であるチンギスハン一族への上納金は20%とした。そして、10人の部下への配当率を80%と制定したのだった。わかりやすく言うと、現地司令官の将軍は、20%を「王」である「チンギスハン一族」に上納すれば、後の80%は自分たちに残る。司令官達は残りの80%を10人で割り、その中から20%の分担報酬の取ると10人の直属の部下に取り分としてその80%を渡す。部下はその部下にその80%を…というように、昇格すれば取得配分は大きくなるし常に自分が支配する軍団収入の20%がトップには残る仕組みになっている。
侵略をする前に「間者」を送り込んで、「チンギスハンの将軍は獲得利益の80%が報酬になる。いまの2割や3割とは断然違う。さらに民族不問だ。」と吹聴して回り、戦わずして敵の将軍を寝返らせ、クーデターを起こさせ所属の「王」を討たせたという。
さらに、兵への報酬は「職場放棄」をしない限りは「戦死したもの」や「今後闘えなくなったもの」にも払うという「死亡弔慰金」や「傷病手当」の制度を取り入れたため、脱走兵は減り、兵の質はあがり、忠誠心も高まったという。
ただし「裏切者」や「サボタージュ」については厳しい処罰も制定され、それまでの「烏合の衆」の軍隊から「統制の取れた」軍隊に変えたことにより無類の強さを誇ったという。
この制度を現代風に活用した報酬制度を「デビルタイガー」グループでは採っていると太田は稀世に説明をした。デビルタイガーの上納金は50%であり、他の半愚連グループと比べると破格の分配率だという事だった。
「ふーん、自分がしっかりと動く「下」を連れてくれば、自分はなんもせんでも50%が受け取れるし、各自が「下」を連れてくるから実行犯とトップの連携性は薄まるし、比例報酬が高まると思えば自ら主たる実行犯にも手を挙げるってことやねんな。」
と稀世は納得した。
さらに、基本的に「空き巣狙い」というものが「デビルタイガー」の「闇バイト」の募集条件だと太田の解説は続いた。
「稀世ちゃん、ちょっと先に今の日本の刑法について説明しとくわな。今の日本では「押し込み強盗」をした場合、殺せば「強盗殺人」で「強盗致傷罪」という刑法第240条に定められた罪になるんやな。
負傷させただけでも「無期」または「6年以上」の懲役、死亡させたら「死刑」か「無期」懲役や。刑法236条の「強盗罪」の加重類型やから刑法243条によって「未遂」でも処罰されるんや。まあ、武器を持っての押し込み強盗は基本的に人が居る前提で行きよるから、「強盗傷人罪」か「強盗殺人罪」が適用されるんや。」
「へー、凄い重い罪なんですね。でも、闇バイトなんかはほとんどが初犯というのか前歴無しの子達でしょ。執行猶予とかつくんじゃないんですか?」
稀世が根拠も無しに思うまま発言をした。
それに対して太田はノートパソコンを叩くとわかりやすく刑法について書かれた弁護士事務所のホームページを開き稀世に見せた。
「いやいや、執行猶予がつくのは「3年以下の懲役・禁固、50万円以下の罰金の言い渡しを受けた」時だけなんや。強盗殺人は最低が6年以上の懲役やから「執行猶予」にはなれへんねや。せやから、仮に逮捕されても「執行猶予」がつく「空き巣狙い」に特化した募集をしとんねん。」
「じゃあ、デビルタイガーは何が違うんですか?「押し込み強盗」や「殺人」もしてるってSNSで書き込まれてたじゃないですか?」
稀世が太田に問いかけた。太田は、淡々と解説を続けた。
「デビルタイガーの「闇バイト」募集の内容は基本は「空き巣狙い」や。普通の半グレの闇バイトの押し込み強盗は、「資産持ち」の家に押し込んで、住人を脅して金品を奪いよるんやな。いわゆる「あほ」が2、3人つるめばできる「即決」犯罪や。
デビルタイガーは、少し頭を使いよる。情報源は何かはわからへんねんけど、目をつけた「資産家」に対して「空き巣」しよんねん。事前に、いろいろと調査を重ねて金品の置き場なんかを調べたり、住人の留守になるルーチンを調べるんやろな。留守に入るから、探す方もゆっくりできるやろうし、空き巣狙いで「人を傷つけへん」から、捕まっても初犯なら執行猶予がつくっていう「闇バイト」の連中の気持ちの安心もある。
しかも、さっき言った、ジンギスカン方式の報酬分配やから、人を手配すれば自分は手を汚さんでも済む場合もあるし、ガッツリ稼ぎたいんやったら自分でやるってなもんや。」
稀世は腕を組んで考えた。
「仮に、「空き巣狙い」のつもりで行ったとしても、対象者の予定が急に変わって居合わせるってこともあるんとちゃうんとちゃいますか?」
太田に向けて再質問をした。
「そこがデビルタイガーのマニュアルはよくできてんねや。偶然、住人と居合わせても「殺したくないからおとなしくしてくれ!」って最初に言わすねんて。そんで、バールで足に「ゴツン」や。相手は死ぬことないから、それを証言すれば、「強盗致傷」の意思は無しってなもんやな。ほんま、悪い弁護士でもついてんのとちゃうかって計画性や。」
「ふーん、デスクはどうしてそれを知ってるんですか?」
「それはやな、あからさまに「闇バイト」の募集人やっとる下っ端と連絡を取り合って、闇バイトで得る報酬よりも大きい金額ちらつかしたったら、そりゃしゃべるしゃべる。強盗して5万円やったら、取材に応じて6万の方がええわな。さらに3万出したるっていうたらマニュアルまで出しよったで。ただ、デビルタイガーまではたどり着けへん。うまいこと上から下への命令系統ができてるわ。」
稀世は太田の話を興味深く聞き、メモを取った。ふと思いついたように稀世は太田に尋ねた。
「ところで下っ端はデビルタイガーに金を渡さんと逃げたりせえへんの?金持ってトンズラってありそうやと思うねんけど。」
「そこもしっかりと考えとんねんな。闇バイトの申し込み時点で免許証や学生証なんかの身分証を取り付けよんねん。そんで、デビルタイガーのうまいところは「手付金」名目で先に前金を支払いよんねん。
それで、身分証と口座で本人確認をしっかりしよんねんな。それから、実家に電話入れたりするみたいや。まあ、住所さえわかれば、1週間もあれば実家を調べることはできるわな。ちょこっと小遣いやったら戸籍追跡する弁護士も普通におるから難しい話やない。そりゃ、親に電話かかってきたらもう逃げようとか思われへんわな。」
「ふーん、凄い話なんですね…。てっきりもっとざっくりしたもんやと思ってました。ところで受け渡しはどないするんですか?まさか手渡しやないですよね?」
と、稀世は再び質問を投げつけた。
「せやな。デビルタイガーはそんなリスクは犯さへん。大概は「成果品」は「現金」だろうと「宝飾品」、「高級時計」なんかもバッグに入れて「置き」や。当然拾いに行くのも闇バイトやな。雇ったやつが順に上にあげてきよる。せやからデビルタイガーの元にはたどり着けへんって訳や。もしかしたら、過去の振り込め詐欺集団みたいに海外にいてるんかも知れへんな。」
太田は資料を稀世に渡すと「まあ、一回読んでみいや」と言い部屋を出ていった。
今日の稀世ちゃん。
しっかり資料を読み込んで取材しましょう!
稀世はメディアクリエイト社に帰ると、太田に今日の取材の報告を行った。太田は独自に「半愚連集団」や地元反社の下請け的に動く「闇バイト」について独自に調査をしていることが伝えられた。
机からいつも使ってるものでないスマホを取り出すと、最近名前が変わった世界最大のSNSのページを開いた。「#デビルタイガー」で検索をかけると、複数のツイートがあがっていた。
「昼過ぎに府警からデビルタイガーのことが発表される前からいろいろと書き込まれてるみたいやねん。古いもんは事件の翌日やな。まあ、「人殺し」とか「ろくでなし」みたいな書き込みがほとんどやけどな。
そんな書き込みの中で「デビルタイガーに「人殺し」を強制された。」、「(闇)バイトを断ったら実家に猫の死骸が送りつけられた。まさに外道!」、「金の為なら何でもござれの守銭奴。」、「半年前に仕事したことあるけど無報酬(怒)!」「あんな奴、野垂れ死んで当たり前!ざまあみろ(笑)!」など罵詈雑言が連なっていた。
そのほとんどは、本名を出さずに「ハンドルネーム」での書き込みであったが、大阪ローカルな事件に対して複数の書き込みがあったことがその影響力を感じさせた。
「ふーん、やっぱりデビルタイガーはごっつい「悪者」で、仲間に報酬金を渡さんと独り占めにしたことで恨みを買って殺されたってことなんですかねぇ?坂井さんから聞いた話やとデビルタイガーは他の男たちから「金払え」って詰められて、「博打ですってしもた。」って言い訳してたって現場で見たカップルの証言があったんですって。分け前を配らんと一人で博打ですってしもたら、そりゃ仲間も怒りますわね。」
稀世が、各ツイートを読んで呟くと、太田はスマホの画面を閉じ
「まあ、昔はこのサイトは本名晒しての「つぶやき」やったからよかったけど、今はもうそのルールも無茶苦茶や。ハンドルネームで投稿しよるやつは何でも書きたい放題やからな。「いいね」欲しさに、「有ること無いこと」書く奴もおるし、金もらって「ウソ」書きよるやつもおる。ましてや自分名義やない「飛ばし携帯」使ってるやつはやりたい放題や。稀世ちゃんはSNSを丸ごと信じたらあかんぞ。」
と何か「含み」を持たせたまま注意した。
稀世は、太田が何を言いたかったのか見当がつかず別の話題にふった。
「デスク、ところで「半愚連」って「やくざ」と何が違うんですか?」
との稀世の質問に太田は丁寧に答えた。
「半愚連」は「不良グループ」や「抗争系暴走族」などのリーダー格を中心に烏合の衆も含めたグループを母体とする新興の犯罪組織である。暴力団は「親分」、「子分」といった擬制的血縁関係で結びつけられた組織構造になっている。ここまで説明して、稀世が理解できてないことを感じ取った太田は説明を加えた。
暴力団は「暴力団対策法」の対象になるが、組織が確定されていない「半愚連」は同法は適用されない。その為、「暴力団」やその構成員などの「反社」への行動規制は「半愚連」では機能せず、その取り締まりに警察は苦労していると説明がなされた。
「ふーん、ちなみに「半愚連」の収入源って何なんですか?「押し込み強盗」や「オレオレ詐欺」みたいな「特殊詐欺」で食っていってるんですか?」
稀世が質問を入れると
「まあ、一口には言われへんけど、それら「集団窃盗」や「集団強盗」や「特殊詐欺」以外やと、繁華街なんかで「みかじめ料」を取ったり、「ぼったくりバー」や「デリヘル」の経営なんていうのも最近ではよく聞くな。
やくざは「みかじめ料」を取るにしても、他の「組」との「シマ」の取り決めもあるし、「相場」ってもんも決まってる。そこに、「シマ」関係なしに「半愚連」が入ってくるんやから、「やくざ」も「半愚連」には手を焼いてるわな。
「シマ」荒らされたんでお巡りさん取り締まってくださいって警察に泣きつくわけにいけへんし、「半愚連」は「本部」や「事務所」持てへんところがほとんどや。行きつけの「店」で連絡を取り合うし、明確な組織の「届」もあれへんからきっちりと組織を把握することもできへん。やっかいなこっちゃで…。」
と最後は諦め口調で太田は締めくくった。
「ふーん、警察で管理規制されないミニ反社みたいなもんなんですね。ちなみにどうやってデスクは調べてるんですか?」
と尋ねる稀世に再びスマホを取り出して日本最大手のSNSのページを開いた。アカウント名は「無職君」となっている。「これって、デスクのアカウント何ですか?「無職君」ってなんですの?」と問うと、闇バイトの誘いを引き出すためのアカウントで過去に「#高額バイト」や「#短期高収入」といったタグをつけて、金に困った若者のふりをして書き込みを行ったツイートの中で「デビルタイガー」を知ったと説明された。
「デスク、そんな嘘ついて書き込みして大丈夫なんですか?」と尋ねる稀世に「大丈夫や。あいつらはそこまでの頭はない。こっちが変に突っ込まへん限り大丈夫や。」と返し、闇バイト募集の手口を説明した。
「へーえ、うまいことやってるんですねー。そんで、「デビルタイガー」と他のグループの違いってなにかあるんですか?」
稀世に問われて太田は「せやなぁ、「デビルタイガー」はいうなれば「半愚連界のジンギスカン」やねん!」と答えた。稀世の頭に「?」マークがたくさん浮かんだ。
太田は稀世にデビルタイガーの仕組みを説明した。ほとんどの闇バイトが日当扱いや一回いくらの定額払いなのだが、デビルタイガーの報酬は半額制であることと、「殺人不要」がうたわれていると説明した。
しかし全く理解できていないといった顔の稀世に太田はジンギスカンがなぜ極東から東ヨーロッパまでの民族の壁を越えて支配できたのかという話を始めた。それまでは、侵略した先での「上がり」はそのほとんどを「王」が取り、それの「残りかす」が武将に配分されていたという歴史的な報酬制度について説明した。7割から8割を君主とその家族や取り巻き閣僚が搾取してしまうのがアジアでも東ヨーロッパでも当たり前だったのが、その配分方式を大きく変えたのが中世世界の覇者「チンギスハン」だったという。
いかなる場所であっても、「王」であるチンギスハン一族への上納金は20%とした。そして、10人の部下への配当率を80%と制定したのだった。わかりやすく言うと、現地司令官の将軍は、20%を「王」である「チンギスハン一族」に上納すれば、後の80%は自分たちに残る。司令官達は残りの80%を10人で割り、その中から20%の分担報酬の取ると10人の直属の部下に取り分としてその80%を渡す。部下はその部下にその80%を…というように、昇格すれば取得配分は大きくなるし常に自分が支配する軍団収入の20%がトップには残る仕組みになっている。
侵略をする前に「間者」を送り込んで、「チンギスハンの将軍は獲得利益の80%が報酬になる。いまの2割や3割とは断然違う。さらに民族不問だ。」と吹聴して回り、戦わずして敵の将軍を寝返らせ、クーデターを起こさせ所属の「王」を討たせたという。
さらに、兵への報酬は「職場放棄」をしない限りは「戦死したもの」や「今後闘えなくなったもの」にも払うという「死亡弔慰金」や「傷病手当」の制度を取り入れたため、脱走兵は減り、兵の質はあがり、忠誠心も高まったという。
ただし「裏切者」や「サボタージュ」については厳しい処罰も制定され、それまでの「烏合の衆」の軍隊から「統制の取れた」軍隊に変えたことにより無類の強さを誇ったという。
この制度を現代風に活用した報酬制度を「デビルタイガー」グループでは採っていると太田は稀世に説明をした。デビルタイガーの上納金は50%であり、他の半愚連グループと比べると破格の分配率だという事だった。
「ふーん、自分がしっかりと動く「下」を連れてくれば、自分はなんもせんでも50%が受け取れるし、各自が「下」を連れてくるから実行犯とトップの連携性は薄まるし、比例報酬が高まると思えば自ら主たる実行犯にも手を挙げるってことやねんな。」
と稀世は納得した。
さらに、基本的に「空き巣狙い」というものが「デビルタイガー」の「闇バイト」の募集条件だと太田の解説は続いた。
「稀世ちゃん、ちょっと先に今の日本の刑法について説明しとくわな。今の日本では「押し込み強盗」をした場合、殺せば「強盗殺人」で「強盗致傷罪」という刑法第240条に定められた罪になるんやな。
負傷させただけでも「無期」または「6年以上」の懲役、死亡させたら「死刑」か「無期」懲役や。刑法236条の「強盗罪」の加重類型やから刑法243条によって「未遂」でも処罰されるんや。まあ、武器を持っての押し込み強盗は基本的に人が居る前提で行きよるから、「強盗傷人罪」か「強盗殺人罪」が適用されるんや。」
「へー、凄い重い罪なんですね。でも、闇バイトなんかはほとんどが初犯というのか前歴無しの子達でしょ。執行猶予とかつくんじゃないんですか?」
稀世が根拠も無しに思うまま発言をした。
それに対して太田はノートパソコンを叩くとわかりやすく刑法について書かれた弁護士事務所のホームページを開き稀世に見せた。
「いやいや、執行猶予がつくのは「3年以下の懲役・禁固、50万円以下の罰金の言い渡しを受けた」時だけなんや。強盗殺人は最低が6年以上の懲役やから「執行猶予」にはなれへんねや。せやから、仮に逮捕されても「執行猶予」がつく「空き巣狙い」に特化した募集をしとんねん。」
「じゃあ、デビルタイガーは何が違うんですか?「押し込み強盗」や「殺人」もしてるってSNSで書き込まれてたじゃないですか?」
稀世が太田に問いかけた。太田は、淡々と解説を続けた。
「デビルタイガーの「闇バイト」募集の内容は基本は「空き巣狙い」や。普通の半グレの闇バイトの押し込み強盗は、「資産持ち」の家に押し込んで、住人を脅して金品を奪いよるんやな。いわゆる「あほ」が2、3人つるめばできる「即決」犯罪や。
デビルタイガーは、少し頭を使いよる。情報源は何かはわからへんねんけど、目をつけた「資産家」に対して「空き巣」しよんねん。事前に、いろいろと調査を重ねて金品の置き場なんかを調べたり、住人の留守になるルーチンを調べるんやろな。留守に入るから、探す方もゆっくりできるやろうし、空き巣狙いで「人を傷つけへん」から、捕まっても初犯なら執行猶予がつくっていう「闇バイト」の連中の気持ちの安心もある。
しかも、さっき言った、ジンギスカン方式の報酬分配やから、人を手配すれば自分は手を汚さんでも済む場合もあるし、ガッツリ稼ぎたいんやったら自分でやるってなもんや。」
稀世は腕を組んで考えた。
「仮に、「空き巣狙い」のつもりで行ったとしても、対象者の予定が急に変わって居合わせるってこともあるんとちゃうんとちゃいますか?」
太田に向けて再質問をした。
「そこがデビルタイガーのマニュアルはよくできてんねや。偶然、住人と居合わせても「殺したくないからおとなしくしてくれ!」って最初に言わすねんて。そんで、バールで足に「ゴツン」や。相手は死ぬことないから、それを証言すれば、「強盗致傷」の意思は無しってなもんやな。ほんま、悪い弁護士でもついてんのとちゃうかって計画性や。」
「ふーん、デスクはどうしてそれを知ってるんですか?」
「それはやな、あからさまに「闇バイト」の募集人やっとる下っ端と連絡を取り合って、闇バイトで得る報酬よりも大きい金額ちらつかしたったら、そりゃしゃべるしゃべる。強盗して5万円やったら、取材に応じて6万の方がええわな。さらに3万出したるっていうたらマニュアルまで出しよったで。ただ、デビルタイガーまではたどり着けへん。うまいこと上から下への命令系統ができてるわ。」
稀世は太田の話を興味深く聞き、メモを取った。ふと思いついたように稀世は太田に尋ねた。
「ところで下っ端はデビルタイガーに金を渡さんと逃げたりせえへんの?金持ってトンズラってありそうやと思うねんけど。」
「そこもしっかりと考えとんねんな。闇バイトの申し込み時点で免許証や学生証なんかの身分証を取り付けよんねん。そんで、デビルタイガーのうまいところは「手付金」名目で先に前金を支払いよんねん。
それで、身分証と口座で本人確認をしっかりしよんねんな。それから、実家に電話入れたりするみたいや。まあ、住所さえわかれば、1週間もあれば実家を調べることはできるわな。ちょこっと小遣いやったら戸籍追跡する弁護士も普通におるから難しい話やない。そりゃ、親に電話かかってきたらもう逃げようとか思われへんわな。」
「ふーん、凄い話なんですね…。てっきりもっとざっくりしたもんやと思ってました。ところで受け渡しはどないするんですか?まさか手渡しやないですよね?」
と、稀世は再び質問を投げつけた。
「せやな。デビルタイガーはそんなリスクは犯さへん。大概は「成果品」は「現金」だろうと「宝飾品」、「高級時計」なんかもバッグに入れて「置き」や。当然拾いに行くのも闇バイトやな。雇ったやつが順に上にあげてきよる。せやからデビルタイガーの元にはたどり着けへんって訳や。もしかしたら、過去の振り込め詐欺集団みたいに海外にいてるんかも知れへんな。」
太田は資料を稀世に渡すと「まあ、一回読んでみいや」と言い部屋を出ていった。
今日の稀世ちゃん。
しっかり資料を読み込んで取材しましょう!
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リング外では「稀世ちゃん」たち「ニコニコ商店街メンバー」も大暴れしますよー!
皆さんからのご意見、感想のメールも募集しまーす!
では、10月9日本編スタートです!
よーろーひーこー!
(⋈◍>◡<◍)。✧♡
突然覚醒した巫女の夏子が古代ユダヤのアーク探しに挑んだ五日間の物語~余命半年を宣告された嫁が…R《リターンズ》~
M‐赤井翼
現代文学
1年ぶりに復活の「余命半年を宣告された嫁が…」シリーズの第1弾!ニコニコ商店街・ニコニコポロレスのメンバーが再集結。稀世・三郎夫婦に3歳になったひまわりに直とまりあ。もちろん夏子&陽菜のコンビも健在。復帰第1弾の今作の主人公は「夏子」?淡路島イザナギ神社で知り合ったイケメン大使館員の「MK」も加わり10人の旅が始まる。ホテルの庭で偶然拾った二つの「古代ユダヤ支族の紋章の入った指輪」をきっかけに、古来ユダヤの巫女と化した夏子は「部屋荒らし」、「ひったくり」そして「追跡」と謎の外人に追われる!古代ユダヤの支族が日本に持ち込んだとされる「ソロモンの秘宝」と「アーク(聖櫃)」に入れられた「三種の神器」の隠し場所を夏子のお告げと客観的歴史事実を基にアークの追跡が始まる。もちろん最後は「ドンパチ」の格闘戦!7月1日までの集中連載で毎日更新の一騎掲載!アークと夏子とMKの恋の行方をお時間のある人はゆるーく一緒に見守ってあげてください!では、感想やイラストをメール募集しながら連載スタートでーす!(⋈◍>◡<◍)。✧♡
最強女戦士と化した夏子が100万ドル獲得に挑んだ二十日間の物語~余命半年を宣告された嫁が…R3《リターンズ3》
M‐赤井翼
現代文学
1年ぶりに復活の「余命半年を宣告された嫁が…」シリーズの第3弾!ニコニコ商店街・ニコニコプロレスのメンバーが再集結。稀世・三郎夫婦に3歳になったひまわりに直とまりあ。もちろん夏子&陽菜のコンビも健在。復帰第3弾の今作の主人公も「夏子」?夏子は稀世にかわって「ヒロイン」に定着できるのか?
今回の敵は「ウクライナのロシア軍」、「ソマリアの海賊」、「メキシカン・マフィア」と難敵ぞろい。アメリカの人気テレビ番組「目指せ!ミリオネラ!」にチャレンジすることになってしまった夏子と陽菜は稀世・直・舩阪・羽藤たちの協力を得て次々と「難題」にチャレンジ!
「ウクライナ」では「傭兵」としてロシア軍の情報・指令車の鹵獲に挑戦。「ソマリア」では「海賊退治」に加えて「クロマグロ」を求めてはえ縄漁へ。「メキシコ・トルカ」ではマフィア相手に誘拐された人たちの解放する「ネゴシエーター」をすることに。
もちろん最後はドンパチ!
夏子の今度の「恋」の相手は、なぜか夏子に一目ぼれしたサウジアラビア生まれのイケメンアメリカ人アシスタントディレクター!
シリーズ完結作として、「ハッピーエンド」?
皆さんからの感想やイラストをメール募集しながら連載スタートでーす!
8月28日の最終回までお付き合いいただけますと嬉しいです。
いただいた感想やイラストのメールは本編「おまけ」と「RBFC4-H(レッドバロンファンクラブ4-H)」で不定期で公開していきますよー!
ではよろしくお願いしまーす!(⋈◍>◡<◍)。✧♡
女神扱いを受ける夏子と伝説の怪異「令和のメリーさん」に挑んだ四日間の物語~余命半年を宣告された嫁が…R2《リターンズ2》
M‐赤井翼
現代文学
1年ぶりに復活の「余命半年を宣告された嫁が…」シリーズの第2弾!ニコニコ商店街・ニコニコポロレスのメンバーが再集結。稀世・三郎夫婦に3歳になったひまわりに直とまりあ。もちろん夏子&陽菜のコンビも健在。復帰第2弾の今作の主人公も「夏子」?夏子は稀世にかわって「ヒロイン」に定着できるのか?
今回の敵は」懐かしの怪異が令和の時代によみがえった「令和のメリーさん」!かつて「口裂け女」、「八尺様」と並んで「昭和の怪異トップ3」だった「メリーさん」がデジタルの時代に堂々復活!
そりゃ「貞子たん」だって「ビデオ」だったのが今じゃ「ネット」で増殖だもんね(笑)!「メリーさん」もアナログ電話からスマホにステージを変えて「呪い」をばらまきます!
女子高生の自殺者が頻発する門真の街を夏子達ニコニコ商店街のメンバーは救えるのか?7月27日までの集中連載で毎日更新の一騎掲載!「令和のメリーさん」との対決と「夏子の恋の行方」をお時間のある人はゆるーく一緒に見守ってあげてください!では、感想やイラストをメール募集しながら連載スタートでーす!
いただいた感想やイラストのメールは本編「おまけ」と「RBFC4-H(レッドバロンファンクラブ4-H)」で不定期で公開していきますよー!
ではよろしくお願いしまーす!(⋈◍>◡<◍)。✧♡
【完結】『ながらスマホで56歳のおっさん霊を憑依させざるを得なくなった23歳の女劇団員「音玄万沙《ねくろ・まんさ》」の物語』
M‐赤井翼
現代文学
赤井です。
突然ですが、いきなり書き下ろしの新連載です。
7月13日に「赤井先生、「JK心亜ちゃん」の興行が好評だったんで、既に発注してる「OL心亜ちゃん」の前にもう一本「霊もの」書いてほしいねんけど!別の脚本家の「本」がボツ喰らっちゃったみたいで監督さんから急に8月興行ネタを頼まれてしもたんよ。今回も製本配布するんで公開スタートは19日、稿了は8月9日で200ページね!連載はお盆前後で完結でよろひこー!」ってな感じで、突如、制作スタート!
毎度のことながらゴーストライターに「拒否権」はナッシング(笑)。
今作は、納品先の新エースの「OL心亜ちゃん」役の女の子に合わせての設定で23歳の新人脚本家の「音玄万沙《ねくろ・まんさ》」ちゃん!
変な名前でしょ?「ネクロマンサー」っていうのは「死者や霊をを用いた術(ネクロマンシー)を使う人」で「屍術師」なんて言われ方もしますね。
赤井の大好きな名作アニメ「ゾンビランドサガ」1stシーズンの主題歌「徒花ネクロマンシー」の「ネクロマンシー」ですね。
まあ、万沙ちゃんはゾンビを蘇らせて「佐賀を救う」わけでもないし、降霊術を使って「世直し」するようなキャラじゃない(笑)。
そんな仰々しい物じゃなく、普通の23歳の女の子です。
自らのながらスマホの自転車事故で死ぬ予定だったんだけど、ひょんなことで巻き込まれた無関係の56歳のおっちゃんが代わりに死んじゃいます。その場で万沙ちゃんは「死神」から「現世」での「懲役務」として、死んだおっちゃんと1年半の「肉体一時使用貸借契約」することになっちゃうんですねー!
元「よろずコンサルタント」の「副島大《そえじま・ひろし》」の霊を憑依させての生活が始まります。
まあ、クライアントさんの納品先が「社会派」の監督さんなんで、「ながらスマホ」、「ホストにはまる女子高生」、「ブラック企業の新卒」、「連帯保証人債務」、「賃貸住宅物件の原状回復」、「いろんな金融業者」等々、社会問題について書けるとこまで書いてみたいと思いますので「ゆるーく」お付き合いください。
今回も書き上げ前の連載になりますので「目次」無しでスタートです(笑)。
では、7月19日からよろひこー!(⋈◍>◡<◍)。✧💓
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