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「大阪府警会見」
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「大阪府警会見」
事件から1週間後、大阪府警ホームページに「金将社長射殺事件」に関する記者会見が午後2時から行われると発表があった。
例のごとく、メディアプロダクト社員はこの1週間のスクープ記事販売配信の慰労会を兼ねて、ランチタイム営業の片づけの終わった午後1時半から向日葵寿司を借り切っての今年最初のスクープ記念パーティーが開かれることになっていた。
今回はスクープ協力者として、直、夏子、陽菜に金城司法書士事務所の森と副島も招かれている。
昼のワイドショー番組がかかる42インチの壁掛けテレビに向けて「V」の字に店内のテーブルは再配置され正面の一等席には、稀世と凛の席になっているが稀世の姿はそこにはない。その両横が太田と直の席になっていてその横に森と副島が座っている。直と副島は先に機嫌よくビールを飲み始めている。
帳場奥の新しい180リットルの水槽は内部で30センチ刻みで2つに区切られ左から「トラフグ」、「アワビ・サザエ」と「アオリイカ」が入れられている。その横は50センチ幅で「ズワイガニ」、そして一番右側には70センチ幅の枠で各種鮮魚が泳いでいる中に、60センチを超える巨体の黒い背の大型魚がじっと水槽の底に鎮座している。
高級食材が並ぶ水槽の前でねじり鉢巻き姿の三朗が次々と魚を捌き、船型に盛り付けていく後ろで、稀世がおしぼりやグラス、小皿などをお盆に乗せると夏子と陽菜に指示を出して運んでもらっている。
「稀世さんは、今日の主役の一人なんですから配膳なんかしないでいいですよ。あとは、なっちゃんと陽菜ちゃんに手伝ってもらいますからもう席に戻ってくださいよ。」
と気遣う三朗に稀世は微笑みを向けて囁いた。
「もうちょっとお手伝いさせてよ。この5日間はサブちゃんの顔も見られず、ずっと仕事してたんやから、少しでも近くに居たいんよ。記者会見が終わって飲み会が始まったら、グダグダになっちゃうし、サブちゃんはひたすら調理と配膳になってしまうやろ。だから、記者会見が始まるまでは一緒に居させて。」
「うーん、すっかりあの事件以降、稀世姉さんと三朗兄さん「ラブラブ」ですねぇ!「吊り橋効果」とかじゃなく、互いの命を守りあった絆ってすごいですよねー!もう本格的に恋人として交際し始めちゃいますか?ひゅーひゅー!」
「そうそう、陽菜チャンネルではモザイクかけてたんで視聴者さんは「抱擁」だけであの場で「チュー」してたとはだれも思ってないでしょうけど、「全世界配信」の「チュー」ですからねー!もう、近くにいるだけで私も「キュン死」しちゃいそうですよ!」
と夏子と陽菜から冷やかされると、稀世も三朗も真っ赤になった。
「おーい、稀世ちゃん、もう記者会見始まるみたいやから、配膳はあほの夏子と陽菜に任せてぼちぼち席に戻っておいでやー!」
店の奥の席から直が声をかけてきた。
「稀世さん、お手伝いありがとうございました。主役がいないと盛り上がりませんからどうぞ席に戻ってくださいね。」
三朗は優しく稀世のエプロンの腰の結び目をほどいた。
1時55分、昼の報道番組が切り替わり、番組タイトルが流れスタジオでタレントのMCとアシスタントの女子アナウンサーが「はい、みなさんこんにちは。今日は12年前の大事件「焼飯の金将社長射殺事件」の「黒幕」についての大阪府警の記者会見がこの後、午後2時から予定されています。まもなく会見が始まりますので番組が始まったところですが早速カメラを大阪府警に切り替えましょう。」のオープニングトークで画面が切り替わり画面の右上に「まもなく記者会見開始!「金将社長射殺の黒幕とは?」」のテロップが表示され、多くの報道陣が会見開始を待っている大阪府警の記者会見場の映像になった。
「今日も坂井がメインで事件の経緯を説明しよるんやろうけど、ここにいるみんなには「本当の裏側」も後で稀世ちゃんから発表があるから、「お上の発表」と「真実」の差を楽しんだってや!まさに「事実は小説より奇なり」ってなもんやで!」
太田がみんなを煽るとテレビ画面に「フラッシュにお気を付けください」のテロップが出ると同時に白く瞬く記者会見席に坂井を含め4人の大阪府警職員が入場してきた。
「本日は2013年12月19日、大阪府門真市で発生しました「焼飯の金将」4代目社長小西孝志氏射殺事件の実行犯中田由紀夫への指示役とその事件につながる経緯について記者会見を開かせていただきます。会見後、10分の休憩をはさみまして質疑応答を行います。
質疑のございます方はお配りした用紙に社名、氏名をご記入の上、1社1名質問は一つ記載の上、入り口の担当者にお渡しください。質問者は当方より指定の上、60分間の質疑応答を行いますので、会見中のご質問はご遠慮ください。」
と広報担当者からのお決まりのトークで会見は始まった。
12年前とは言え、東証一部上場企業の社長射殺というセンセーショナルな世間を騒がせた全国区の事件だったため国内外のメディアが集まった会見がスタートした。大阪府警本部長の警視監から当事件解決に際して「一般人」の協力があったことと、その中に未成年者と外国籍の者がいることと「特定反社」からの報復等の可能性も鑑み、一部は実名報道を控えてほしい旨が語られた。
続いてマイクは坂井に移り、1週間前の事件の経緯が語られ始めた。話は時を遡る形で進められた。
1週間前に「金将社長射殺事件」のドキュメンタリー番組制作を請け負ったあるメディア会社が打ち合わせをしていた門真市内の飲食店に4発の拳銃弾が撃ち込まれ、模擬爆発物が投げ込まれる事件が発生した。
その際、メディア関係者がGPSを実行犯の車に設置することに成功し、その車の置き場のビルを直撃訪問した。数名のスタッフは取材名目で実行犯グループのトップの個人所有のビルに通され、そこで神奈川県に本部を置く「反社」構成員とその関連・下部組織の「半グレグループ」構成員達に襲われた。
その襲撃の事実を持って大阪府警が殺人未遂、および傷害の現行犯として20余名の容疑者を逮捕した。
ビル内でも発砲事件は発生し、その銃を押収した。飲食店に発砲された弾丸とビル内で発砲された弾丸に残された「旋条痕」が2013年12月の故小西貴志氏射殺の際に使われたイタリア製25口径自動拳銃から発射された4発の銃弾と完全に一致したため、同一銃による犯行と確定した。
銃の持ち主は、メディア関係者1名に4発発砲し、すべて命中したものの事前に用意していた防具により受傷は避けられた旨が説明された。
拳銃の持ち主は1945年終戦時の中国吉林省での満蒙開拓団の未帰国邦人の在留日本人2世の中国国籍の「百々美麗」45歳と発表された。表の顔としては、現在、神奈川県横浜市を本社とする「食材商社」の株式会社百々商事の代表取締役である。裏の顔としては、「反社」の「橋任会」の2次団体の幹部組員を夫に持ち、いわゆる「半グレグループ」の「チャイニーズドラゴン」の横浜グループの幹部でもあった。
百々商事は食材輸入の建前の裏で、合成麻薬フェンタニルや新種アヘン等の薬物や海外製拳銃等を密輸入し関東を中心に販売する日本での元締め組織の一つである。百々美麗の来日は2014年末であり、ここ10年「反社」、「半グレグループ」を使い、闇収入を得ていた。
来日以前は遼寧省で2005年1月より25歳の若さで「大連焼飯的金将餐飲有限公司」の現地役員として実質的指揮を執ってきた。2005年に大連に進出した「焼飯の金将」のいわゆる「中国金将」6店舗の運営を任され、2014年10月に「同法人」が解散するまで実質的代表に就任していた。
「大連焼飯的金将餐飲有限公司」は「KFS」の100%子会社の株式会社キングダムの現地法人的役割で資本金や運転資金は「KFS」から出ていた。
同法人は「金将社長射殺事件」発生当初、KFSの不適正融資・投資・貸付の先とされていた「高杉雅樹」と当時KFS代表権を持つ「焼飯の金将」創業者故「佐藤麻紀」氏の実子である代表取締役社長の「佐藤孝雄」氏と代表取締役専務兼経理部長の「佐藤謹二」氏により立ち上げられており、金将の中国進出の際には、高杉氏と佐藤兄弟により不適正な取引が繰り返されていたとされる。
百々美麗の一族は大連では共産党の有力者であり、KFSの中国進出の際には高杉の口利きもあり、出店における許認可に大きな影響力を持った。
その結果、KFSは出店許認可の対価として百々一族に巨額の裏金を必要とした。百々一族は元々、関東軍相手の商社を営む日本商社であり8月15日の終戦後関東軍が撤退した後、大量の残留日本軍物資を隠匿することに成功した。
美麗の父は国民党軍につかず、共産党軍に味方し旧関東軍の残した軍事物資を現地マフィアとともに共産党に横流しし、1949年10月1日の毛沢東による中華人民共和国建国後も共産党側サポーターとなった。未帰国残留日本人であったが時勢柄「戸籍制度」が混乱した当時の中国でマフィアと養子縁組し、アンダーグランドの世界で幅を利かせていた。
美麗はその父と現地中国人の愛人である中国人の間に生まれた「末娘」で可愛がられて育った。血筋としては2分の1は日本人、2分の1は中国人という2世の立場を利用し、金将のビジネスにうまく食い込み、現地で大きな財を成した。
しかし、その隆盛期はそう長くは続かなかった。
一時は6店舗まで増えた「中国金将」であったが、2000年にそれまでの「打ち出の小槌」だった創業者の息子兄弟が代表権を奪われ、故小西貴志氏が4代目の社長となった。創業者息子兄弟が右腕として付き合っていた高杉雅樹との不適正な取引を絶縁するために小西が動き、2005年にキングダムは多額の不良債権とともに解散し、高杉との縁を切ろうとした。
役員除籍後の元代表者兄弟が一族の持つ大量の株式を背景に小西排除に動くも、関係会社のアサヒビールによる増資と「東証」と「大証」の合併による偶然勝ち得た「東証1部上場」で外部資金が流入し、創業者の佐藤一族の発言力は低下した。
2010年の尖閣諸島近海での中国漁船と日本の海上保安庁船衝突事故以降、中国全土で盛り上がった「排日」運動のあおりを受け、それまでも赤字を垂れ流すだけだった「中国金将」を小西と仲間の2人の取締役は切り捨てにかかった。
百々美麗にとって不幸だったのは、親日的だった遼寧省、大連市の共産党幹部が失職したことだった。「反日」を強く打ち出す新リーダーは「日本企業」である「中国金将」には冷たかった。
その結果、2014年に百々美麗は「中国金将」の席を失うことになるのだが、その方針は2011年の時点でほぼ決定していた。
百々は金将社内で力を失った創業者息子兄弟ではなく高杉を頼り、交渉を進めたが小西達新執行部の意志は強く、百々に近日中の「大連焼飯的金将餐飲有限公司」の解散を予告した。中国内に日本人の血が混ざる百々美麗を応援してくれるものは少なく、一族のバックボーンと高杉による不正融資等で業を進めていたビジネスモデルに、「反日」の嵐が吹き荒れ百々美麗にとっての明るい明日は見えなくなった。
それが百々美麗が当時の金将社長であった小西氏を殺害に至る経緯だったと坂井は原稿を読み上げた。記者席から「おーっ」という声が上がった。
百々美麗は高杉を通じよく知っていた、箱根センチュリーゴルフクラブの会員でよく顔を知る武闘派の「江戸川会」に直接殺害を依頼した。本来であれば、本人自ら小西を殺害したいところだったが殺人の教育を受けていない身であり、また、地元チャイニーズマフィアの殺し屋を使うことも考えたが土地勘のない大阪の街での犯行には不安が残ったことが「殺しの依頼」に「日本のプロ」を使うことだった。
ほぼ逆恨みであるがせめてもの「私怨」を込め、愛用の護身銃で小西の殺害を条件として付けたということが発表された。
約1時間にわたる、事件の経緯は、
「今回の事件後、百々美麗は青酸カリによる服毒自殺を図り、大阪府警が立ち入った際には死亡しており、今回のメディア関係者殺人未遂および傷害事件および2013年の故小西貴志氏殺人事件の教唆役として被疑者死亡の状況での立件、起訴としました。」
の言葉で、坂井はマイクをスタンドに戻した。
多数のフラッシュが焚かれ、テレビ画面が真っ白になる中、司会進行役の広報課の担当が締めくくった。
「では、会見発表は以上をもって終了させていただきます。10分の休憩をはさみ質疑応答に入りますので、ご質問のある方は所定の用紙に必要事項をご記入の上、入り口の担当者にお渡しください。」
テレビの画面はスタジオのMCのタレントとアシスタントの女子アナに切り替わり
「金将社長殺害の経緯にはこんな背景があったんですねぇ。驚きました。」
とコメントを残し、CMに入った。
事件から1週間後、大阪府警ホームページに「金将社長射殺事件」に関する記者会見が午後2時から行われると発表があった。
例のごとく、メディアプロダクト社員はこの1週間のスクープ記事販売配信の慰労会を兼ねて、ランチタイム営業の片づけの終わった午後1時半から向日葵寿司を借り切っての今年最初のスクープ記念パーティーが開かれることになっていた。
今回はスクープ協力者として、直、夏子、陽菜に金城司法書士事務所の森と副島も招かれている。
昼のワイドショー番組がかかる42インチの壁掛けテレビに向けて「V」の字に店内のテーブルは再配置され正面の一等席には、稀世と凛の席になっているが稀世の姿はそこにはない。その両横が太田と直の席になっていてその横に森と副島が座っている。直と副島は先に機嫌よくビールを飲み始めている。
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高級食材が並ぶ水槽の前でねじり鉢巻き姿の三朗が次々と魚を捌き、船型に盛り付けていく後ろで、稀世がおしぼりやグラス、小皿などをお盆に乗せると夏子と陽菜に指示を出して運んでもらっている。
「稀世さんは、今日の主役の一人なんですから配膳なんかしないでいいですよ。あとは、なっちゃんと陽菜ちゃんに手伝ってもらいますからもう席に戻ってくださいよ。」
と気遣う三朗に稀世は微笑みを向けて囁いた。
「もうちょっとお手伝いさせてよ。この5日間はサブちゃんの顔も見られず、ずっと仕事してたんやから、少しでも近くに居たいんよ。記者会見が終わって飲み会が始まったら、グダグダになっちゃうし、サブちゃんはひたすら調理と配膳になってしまうやろ。だから、記者会見が始まるまでは一緒に居させて。」
「うーん、すっかりあの事件以降、稀世姉さんと三朗兄さん「ラブラブ」ですねぇ!「吊り橋効果」とかじゃなく、互いの命を守りあった絆ってすごいですよねー!もう本格的に恋人として交際し始めちゃいますか?ひゅーひゅー!」
「そうそう、陽菜チャンネルではモザイクかけてたんで視聴者さんは「抱擁」だけであの場で「チュー」してたとはだれも思ってないでしょうけど、「全世界配信」の「チュー」ですからねー!もう、近くにいるだけで私も「キュン死」しちゃいそうですよ!」
と夏子と陽菜から冷やかされると、稀世も三朗も真っ赤になった。
「おーい、稀世ちゃん、もう記者会見始まるみたいやから、配膳はあほの夏子と陽菜に任せてぼちぼち席に戻っておいでやー!」
店の奥の席から直が声をかけてきた。
「稀世さん、お手伝いありがとうございました。主役がいないと盛り上がりませんからどうぞ席に戻ってくださいね。」
三朗は優しく稀世のエプロンの腰の結び目をほどいた。
1時55分、昼の報道番組が切り替わり、番組タイトルが流れスタジオでタレントのMCとアシスタントの女子アナウンサーが「はい、みなさんこんにちは。今日は12年前の大事件「焼飯の金将社長射殺事件」の「黒幕」についての大阪府警の記者会見がこの後、午後2時から予定されています。まもなく会見が始まりますので番組が始まったところですが早速カメラを大阪府警に切り替えましょう。」のオープニングトークで画面が切り替わり画面の右上に「まもなく記者会見開始!「金将社長射殺の黒幕とは?」」のテロップが表示され、多くの報道陣が会見開始を待っている大阪府警の記者会見場の映像になった。
「今日も坂井がメインで事件の経緯を説明しよるんやろうけど、ここにいるみんなには「本当の裏側」も後で稀世ちゃんから発表があるから、「お上の発表」と「真実」の差を楽しんだってや!まさに「事実は小説より奇なり」ってなもんやで!」
太田がみんなを煽るとテレビ画面に「フラッシュにお気を付けください」のテロップが出ると同時に白く瞬く記者会見席に坂井を含め4人の大阪府警職員が入場してきた。
「本日は2013年12月19日、大阪府門真市で発生しました「焼飯の金将」4代目社長小西孝志氏射殺事件の実行犯中田由紀夫への指示役とその事件につながる経緯について記者会見を開かせていただきます。会見後、10分の休憩をはさみまして質疑応答を行います。
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と広報担当者からのお決まりのトークで会見は始まった。
12年前とは言え、東証一部上場企業の社長射殺というセンセーショナルな世間を騒がせた全国区の事件だったため国内外のメディアが集まった会見がスタートした。大阪府警本部長の警視監から当事件解決に際して「一般人」の協力があったことと、その中に未成年者と外国籍の者がいることと「特定反社」からの報復等の可能性も鑑み、一部は実名報道を控えてほしい旨が語られた。
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銃の持ち主は、メディア関係者1名に4発発砲し、すべて命中したものの事前に用意していた防具により受傷は避けられた旨が説明された。
拳銃の持ち主は1945年終戦時の中国吉林省での満蒙開拓団の未帰国邦人の在留日本人2世の中国国籍の「百々美麗」45歳と発表された。表の顔としては、現在、神奈川県横浜市を本社とする「食材商社」の株式会社百々商事の代表取締役である。裏の顔としては、「反社」の「橋任会」の2次団体の幹部組員を夫に持ち、いわゆる「半グレグループ」の「チャイニーズドラゴン」の横浜グループの幹部でもあった。
百々商事は食材輸入の建前の裏で、合成麻薬フェンタニルや新種アヘン等の薬物や海外製拳銃等を密輸入し関東を中心に販売する日本での元締め組織の一つである。百々美麗の来日は2014年末であり、ここ10年「反社」、「半グレグループ」を使い、闇収入を得ていた。
来日以前は遼寧省で2005年1月より25歳の若さで「大連焼飯的金将餐飲有限公司」の現地役員として実質的指揮を執ってきた。2005年に大連に進出した「焼飯の金将」のいわゆる「中国金将」6店舗の運営を任され、2014年10月に「同法人」が解散するまで実質的代表に就任していた。
「大連焼飯的金将餐飲有限公司」は「KFS」の100%子会社の株式会社キングダムの現地法人的役割で資本金や運転資金は「KFS」から出ていた。
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百々美麗の一族は大連では共産党の有力者であり、KFSの中国進出の際には高杉の口利きもあり、出店における許認可に大きな影響力を持った。
その結果、KFSは出店許認可の対価として百々一族に巨額の裏金を必要とした。百々一族は元々、関東軍相手の商社を営む日本商社であり8月15日の終戦後関東軍が撤退した後、大量の残留日本軍物資を隠匿することに成功した。
美麗の父は国民党軍につかず、共産党軍に味方し旧関東軍の残した軍事物資を現地マフィアとともに共産党に横流しし、1949年10月1日の毛沢東による中華人民共和国建国後も共産党側サポーターとなった。未帰国残留日本人であったが時勢柄「戸籍制度」が混乱した当時の中国でマフィアと養子縁組し、アンダーグランドの世界で幅を利かせていた。
美麗はその父と現地中国人の愛人である中国人の間に生まれた「末娘」で可愛がられて育った。血筋としては2分の1は日本人、2分の1は中国人という2世の立場を利用し、金将のビジネスにうまく食い込み、現地で大きな財を成した。
しかし、その隆盛期はそう長くは続かなかった。
一時は6店舗まで増えた「中国金将」であったが、2000年にそれまでの「打ち出の小槌」だった創業者の息子兄弟が代表権を奪われ、故小西貴志氏が4代目の社長となった。創業者息子兄弟が右腕として付き合っていた高杉雅樹との不適正な取引を絶縁するために小西が動き、2005年にキングダムは多額の不良債権とともに解散し、高杉との縁を切ろうとした。
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その結果、2014年に百々美麗は「中国金将」の席を失うことになるのだが、その方針は2011年の時点でほぼ決定していた。
百々は金将社内で力を失った創業者息子兄弟ではなく高杉を頼り、交渉を進めたが小西達新執行部の意志は強く、百々に近日中の「大連焼飯的金将餐飲有限公司」の解散を予告した。中国内に日本人の血が混ざる百々美麗を応援してくれるものは少なく、一族のバックボーンと高杉による不正融資等で業を進めていたビジネスモデルに、「反日」の嵐が吹き荒れ百々美麗にとっての明るい明日は見えなくなった。
それが百々美麗が当時の金将社長であった小西氏を殺害に至る経緯だったと坂井は原稿を読み上げた。記者席から「おーっ」という声が上がった。
百々美麗は高杉を通じよく知っていた、箱根センチュリーゴルフクラブの会員でよく顔を知る武闘派の「江戸川会」に直接殺害を依頼した。本来であれば、本人自ら小西を殺害したいところだったが殺人の教育を受けていない身であり、また、地元チャイニーズマフィアの殺し屋を使うことも考えたが土地勘のない大阪の街での犯行には不安が残ったことが「殺しの依頼」に「日本のプロ」を使うことだった。
ほぼ逆恨みであるがせめてもの「私怨」を込め、愛用の護身銃で小西の殺害を条件として付けたということが発表された。
約1時間にわたる、事件の経緯は、
「今回の事件後、百々美麗は青酸カリによる服毒自殺を図り、大阪府警が立ち入った際には死亡しており、今回のメディア関係者殺人未遂および傷害事件および2013年の故小西貴志氏殺人事件の教唆役として被疑者死亡の状況での立件、起訴としました。」
の言葉で、坂井はマイクをスタンドに戻した。
多数のフラッシュが焚かれ、テレビ画面が真っ白になる中、司会進行役の広報課の担当が締めくくった。
「では、会見発表は以上をもって終了させていただきます。10分の休憩をはさみ質疑応答に入りますので、ご質問のある方は所定の用紙に必要事項をご記入の上、入り口の担当者にお渡しください。」
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キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
『80年を超越した恋~令和の世で再会した元特攻隊員の自衛官と元女子挺身隊の祖母を持つ女の子のシンクロニシティラブストーリー』
M‐赤井翼
現代文学
赤井です。今回は「恋愛小説」です(笑)。
舞台は令和7年と昭和20年の陸軍航空隊の特攻部隊の宿舎「赤糸旅館」です。
80年の時を経て2つの恋愛を描いていきます。
「特攻隊」という「難しい題材」を扱いますので、かなり真面目に資料集めをして制作しました。
「第20振武隊」という実在する部隊が出てきますが、基本的に事実に基づいた背景を活かした「フィクション」作品と思ってお読みください。
日本を護ってくれた「先人」に尊敬の念をもって書きましたので、ほとんどおふざけは有りません。
過去、一番真面目に書いた作品となりました。
ラストは結構ややこしいので前半からの「フラグ」を拾いながら読んでいただくと楽しんでもらえると思います。
全39チャプターですので最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
それでは「よろひこー」!
(⋈◍>◡<◍)。✧💖
追伸
まあ、堅苦しく読んで下さいとは言いませんがいつもと違って、ちょっと気持ちを引き締めて読んでもらいたいです。合掌。
(。-人-。)
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
『2次元の彼R《リターンズ》~天才理系女子(りけじょ)「里景如志(さとかげ・しし)のAI恋愛事情~』
あらお☆ひろ
現代文学
はじめまして。「あらお☆ひろ」です。
アルファポリスでのデビューになります。
一応、赤井翼先生の「弟子」です!公認です(笑)!
今作は赤井先生に作ってらった「プロット」と「セリフ入りチャプター」を元に執筆させてもらってます。
主人公は「グリグリメガネ」で男っ気の無い22歳の帰国子女で「コンピュータ専門学校」の「プログラミング講師」の女の子「里景如志(さとかげ・しし)」ちゃんです。
思いっきり「りけじょ」な如志ちゃんは、20歳で失恋を経験した後、「2次元」に逃げ込んだ女の子なんですが「ひょんなこと」で手に入れた「スーパーコンピュータ」との出会いで、人生が大きく変わります。
「生成AI」や「GPT」を取り上げているので「専門用語」もバシバシ出てきますが、そこは読み逃がしてもらっても大丈夫なように赤井先生がストーリーは作ってくれてます。
主人公の如志ちゃんの周りには「イケメン」くんも出てきます。
「2次元」VS「リアル」の対決もあります。
「H」なシーンは「風呂上がり」のシーンくらいです(笑)。
あと、赤井先生も良く書きますが「ラストはハッピーエンド」です!
ラスト前で大変な目に遭いますが、そこはで安心して読んでくださいね!
皆さんからの「ご意見」、「ご感想」お待ちしています!(あまり厳しいことは書かないでくださいね!ガラスのメンタルなもんで(笑)。)
では、「2次元の彼~」始まりまーす!
(⋈◍>◡<◍)。✧♡
(追伸、前半の挿絵は赤井翼先生に作ってもらいました。そこまでAI作画の「腕」が上がりませんでした(笑)。)
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