『焼飯の金将社長射殺事件の黒幕を追え!~元女子プロレスラー新人記者「安稀世」のスクープ日誌VOL.4』

M‐赤井翼

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「謎の電話」

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「謎の電話」

 飲みながらの会議は4時間にわたり続いた。会議室は大いに盛り上がり、次々と酒瓶は空き、繰り返しウーバーイーツがメディアクリエイトを訪れた。夏子と陽菜はノンアルコールであるが、ここ数日のネット検索の疲れが出たのか、ソファーで二人並んで寝入っている。
「よっしゃ、今年最初の「大スクープ」の匂いがしてきたで!じゃあ、今日は俺のおごりで「BARまりあ」で先行「スクープ祝い」と洒落こもうか!」
とご機嫌な太田の声掛けで、12時を前に「河岸かし」を変えることにした。

 坂井と太田、森と副島が先に来たタクシーでニコニコ商店街に向かって行った。稀世は直、載田と一緒に会議室の空き瓶やグラス、紙コップ、空き缶を片付けていった。
 夏子と陽菜は凜が仮眠室から持ち出した使い古された毛布を掛けてすやすやと眠っている。ほぼ片付けが済み、寝ている夏子と陽菜を起こし、タクシーで先に送ることになった。
 5分程でタクシーが到着したので稀世が表に出ると、妙にまぶしい単光のライトが目に入った。ライトの位置が乗用車の高さではない事とライトが一つであることが分かり稀世は直感的に「夕方」に遭遇したバイクであるような気がした。
「ちょっと、あんた!」
とバイクに向けて駆けだすと、稀世に気付いたバイクはアクセルを吹かし、Uターンして消え去った。テールランプの下にナンバーがついていなかったことから、「あの時」のバイクであると確信した。
意識のはっきりしている陽菜にタクシーチケットを渡し、寝ぼけた夏子をタクシーに乗せると、稀世は会議室に戻り、食べ残したおかずを皿にまとめて冷蔵庫に片付けた。

 粗方あらかたの片付けが終わり、4人が乗るためのタクシーを呼び出すと会議室の壁掛け式固定電話が鳴った。
「しもた、夜8時に留守電をセットするのを忘れてたわ。どうせ、太田さんの「まだかー?」って電話やと思うし、それ以外の電話やったら、明日の9時以降にかけ直して下さいって言うといて。」
と稀世は凜に頼むと、事務室に留守番電話の設定に行った。
凜は扱い慣れないビジネスホンだったので回線ボタンの下にある「スピーカーボタン」を誤って押してしまった。
「あ、あんた「安」、「安稀世」か?」
 いきなりのぶっきらぼうな言い方に、太田ではないと思ったが凜は
「すみません。アルバイトの「林凜りん・りん」と申します。「安」はただいま席を外しています。」
と普段通りに答えると、「アルバイトって?」と柔らかくなった口調で尋ねられたので、条件反射で
「東大阪産業大学の留学生で3回生です。ここでアルバイトさせてもらってます。」
とありのままに答えてしまった。
「あほっ、うかつに名乗るな!早よ切れ!」
と直が着信回線ボタンを切ろうとするとスピーカーの向こうから「「リン」、そこにいちゃだめだ。すぐにそこは辞めろ。今すぐだぞ…。」とだけ言い残し電話は切れた。何か不審なニオイを感じた載田がすぐにリダイヤルボタンを押したが、
「非通知着信にはリダイヤルできません。」
と受話器からは機械音声が流れるだけだった。
 凜は(今の電話の相手って、私の名前を呼んでたわよね…。いきなり「辞めろ」って、いったい誰が…。)と自分に向けられた言葉の真意が理解できず電話の前で立ちつくし、直と載田は電話の主が誰だったのかを眉間にしわを寄せて考え込んだ。

 そこに事務室で留守番電話設定を済ませた稀世が戻ってきた。
「あー、おまたせー!あれ、みんな何怖い顔してんの?ちょっと留守電セットし忘れただけやん。そんなに怒らんといてよ…。」
と稀世は状況がつかめず、みんなに頭を下げた。
 その時、「おーい、まだか?もう始めるで~!」と太田から稀世のスマホに催促の電話がかかってきたので、その電話の件について話すことなく、4人は到着したタクシーに乗り込んだ。

 「BARまりあ」での2次会はご機嫌な太田を中心に盛り上がり、夜明け前の朝4時の解散となった。
「あぁ、帰ってもシャワーと1時間程の仮眠くらいしかできへんな…。それにしても、太田さんのはしゃぎっぷりは凄かったよな。太田さん的には「お金になるスクープ」の匂いがしまくってるんやろな…。」
と独り言を呟きながら稀世がマンションに帰ると部屋のドアが半開きになっていた。(あれ、もしかして昨日、カギ閉めるの忘れて出社してたんやろか?)と思いながら、ドアを開けるとそれは「間違い」だとすぐに分かった。2Kの部屋が荒らされていたのだった。
「えっ、「空き巣」?」

 独り言を発しながら稀世は人の気配を探ったが、部屋の中からは物音ひとつせず、暗闇の中に灯りひとつ見えない。
 注意しながら玄関の照明スイッチを入れるとパソコンデスク周辺と、寝室のタンスが集中的に荒らされていた。ノートパソコンは持ち出しており、現在の取材データの入ったUSBメモリーはキーホルダーに付けていたので、無くなっていたのは今は使っていないニコニコプロレス時代の試合のDVDディスクやデジカメのSDカードを入れていたメディアボックスくらいだった。
 預金通帳と印鑑やへそくりの現金封筒は無事だった。下着類の入った衣装ケースは手付かずだったことから「モノ取り」や「下着泥棒」や「強姦」目当てではなく「特定の物・・・・」を狙って侵入してきたことは明確だった。

 (警察を呼ぶにしても、シャワー浴びて着替えを済まして、徹夜明けの顔にメイクし直してからやないとな…。)と思っていると、直から着信があった。直の家も同様に空き巣狙いの被害に遭ったとのことだった。被害品は無い点は稀世と同様だった。
「直さん、周りに怪しいやつは居れへん?今からすぐそっちに行くわ!」
とだけ言うと、メイクも直さず自分の部屋の被害届は後回しにして直の店舗兼住宅のあるニコニコ商店街にとんぼ返りとなった。


「おまけ」

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