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「メディアクリエイトの仕事」
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「メディアクリエイトの仕事」
翌日の朝一番に、太田から稀世に電話がかかってきた。坂井から入った情報で近くのレンタルサーバー会社で大規模な顧客情報の流出事件があったとのことだった。夕方のニュースに間に合わせたいので出張取材中のメディアクリエイト契約の女性アナウンサーに変わって、インタビュアー役で来てほしいという事だった。
現地に走り、サーバー管理者に稀世がインタビューすると、データの流出は約1週間ほど前で巧妙にハッキングされていたため発覚しなかったと語られた。
「何がきっかけで流出が分かったんですか?」
と稀世が質問をすると、返事は予想外のものだった。
サーバー管理者が情報デモパッケージとして、自分自身の名前で架空の資産内容を入力したデータベースに即した内容で金融資産運用コンサルタントから営業の電話があった経緯が語られた。
「僕が架空で現金預金4億8000万ってデータを入れてたんですよ。そしたら、まさに「4億8000万」の現金資産を持ってる前提で資金運用の提案をしてこられて、データ流出がわかったって事ですわ。ケラケラケラ。」
取材の帰り、門真署の坂井と載田の所に顔を出すと「高級品」の「中古品買い取り業社」の買取顧客リストが流出した直後から外資系の小口金融商品の訪問営業に対するクレームが警察に多数寄せられていると坂井の口から語られた。
「データ流出ってどこに影響が出るかわかんないから難しいですよね。」
稀世が実直な感想を口にすると、載田が同意した。
「大阪でも、いや日本国中で「サイバー犯罪」が凄く増えてるんですよね。大手クレジット会社やインターネット検索サイトから流出したビッグデータは「海外ハッカー」によるハッキングが原因とされてます。
そしてそれら流出したビッグデータは「反社」や「海外マフィア」のニーズに合わせた形に加工されて、リストが売買されてるんですね。「オレオレ詐欺」しかり「投資詐欺」、「結婚詐欺」まで何でもござれですね。
思わぬところにそのデータが使われることもしばしばあります。特に日本の企業は情報に対するセキュリティー意識が低くて「海外マフィア」に目をつけられてます。
また「海外マフィア」は「情報」を有効活用するノウハウを持ってるんで「質」が悪いですね。
太田さんのところで作る番組で情報セキュリティー向上の必要性をうたってもらえると助かりますね。」
一通り、事件に関する情報交換を済ませると、太田が話を変えて、稀世の「CUWW」出場について話し出した。話の中で、主催者が従来のスポーツプロモーターでなく、アメリカのブックメーカーであることを話すと坂井の目の色が変わった。
「太田、そのブックメーカーって何て言うところや?」
たずねた坂井に太田に代わり稀世が手帳を取り出し会社名を読み上げた。
「えーっと、「セオドア・ルメイ・エンタープライズ」ってとこですね。WWEで頑張ってる元同僚の話によると、私のこと知ってるみたいでこの間なんかまりあさんの店に私の事を聞きに来たみたいなんですよ。明日にでも私の出場の契約書持って門真に来るみたいですね。
アメリカの大きな会社のCEOってことですけど、向こうの社長さんってフットワークが軽いんですね。」
坂井は太田を連れて少し離れたところで何やら耳打ちをしていたがその内容は稀世の耳には届かなかった。
載田がわざとらしく稀世に話をふった。
「安さんもブックメイクの対象になるんだったら、「馬券」買わせてもらいますから、頑張って勝ってくださいね!勝つ「馬」や「船」選ぶのは難しいですけど、安さんの「無敵の強さ」は僕は間近で見てきてますからね。ある意味インサイダーですよね。
安さんにかかれば「普通の女子レスラー」なんか敵じゃないでしょ。いっちょ、大儲けさせてください。カラカラカラ。」
まもなく、坂井は稀世の元に戻ることなく載田を呼び、署内に消えていった。稀世は戻ってきた太田に尋ねた。
「坂井さんと何の話やったんですか?急に坂井さん行っちゃいましたけど、何かあったんですか?」
太田は駐車場に向かって歩きながら稀世の横顔を見た。まじまじと稀世の顔を見つめてから前に視線を向けて呟いた。
「門真一の「持ってる女」で天から与えられた稀世ちゃんの「引き寄せ体質」が三度メディアクリエイト社に「天からの授かりもの」を引き寄せてくれるかもしれへんって話や!
やっぱり、今の稀世ちゃんは「レスラー」やなく「ジャーナリスト」ってことやな。今回は最初の「半愚連」や「やくざ」案件や、2回目の与党の重鎮政治家の悪事と違って、ワールドワイドな案件や!俺の「夢」やった「ピューリッツァー賞」も稀世ちゃんとおったら「現実」になるかもしれへんって話や。
つまり、メディアクリエイトの「本来の仕事」の話を坂井としてたってことや。これから忙しくなるで!頼むでわが社の女神!でも、レスラーに完全復帰だけは堪忍してくれよな。」
「もう、何言ってるのか全然わかんないですよ。なんとなくディスられてるような気もするんですけど…。まあ、今回のレスラー復帰はあくまでこの大会限定の事なんで、これからもずっと太田さんにお世話になるつもりでいますから、もう少しわかりやすく説明してもらえませんか?」
と注文をつけたが
「今はそこまで突っ込まんでええよ。あくまで稀世ちゃんは「自然体」のまま、「メディアクリエイト」の仕事に邁進してくれたらええってこっちゃ。頼むで稀世大明神!」
とはぐらかされて終わった。
「おまけ」
今日も「ひいちゃん」さんのイラストです。
「ひいちゃん」さん大人気です!
「パーカー」姿の「稀世ちゃん」なんですけどなんか「エロい」(笑)。
「カメラ」らしきものも描き込んでくれてます。
本当にいつもありがとうございます。
テラカワユス!
(⋈◍>◡<◍)。✧♡
翌日の朝一番に、太田から稀世に電話がかかってきた。坂井から入った情報で近くのレンタルサーバー会社で大規模な顧客情報の流出事件があったとのことだった。夕方のニュースに間に合わせたいので出張取材中のメディアクリエイト契約の女性アナウンサーに変わって、インタビュアー役で来てほしいという事だった。
現地に走り、サーバー管理者に稀世がインタビューすると、データの流出は約1週間ほど前で巧妙にハッキングされていたため発覚しなかったと語られた。
「何がきっかけで流出が分かったんですか?」
と稀世が質問をすると、返事は予想外のものだった。
サーバー管理者が情報デモパッケージとして、自分自身の名前で架空の資産内容を入力したデータベースに即した内容で金融資産運用コンサルタントから営業の電話があった経緯が語られた。
「僕が架空で現金預金4億8000万ってデータを入れてたんですよ。そしたら、まさに「4億8000万」の現金資産を持ってる前提で資金運用の提案をしてこられて、データ流出がわかったって事ですわ。ケラケラケラ。」
取材の帰り、門真署の坂井と載田の所に顔を出すと「高級品」の「中古品買い取り業社」の買取顧客リストが流出した直後から外資系の小口金融商品の訪問営業に対するクレームが警察に多数寄せられていると坂井の口から語られた。
「データ流出ってどこに影響が出るかわかんないから難しいですよね。」
稀世が実直な感想を口にすると、載田が同意した。
「大阪でも、いや日本国中で「サイバー犯罪」が凄く増えてるんですよね。大手クレジット会社やインターネット検索サイトから流出したビッグデータは「海外ハッカー」によるハッキングが原因とされてます。
そしてそれら流出したビッグデータは「反社」や「海外マフィア」のニーズに合わせた形に加工されて、リストが売買されてるんですね。「オレオレ詐欺」しかり「投資詐欺」、「結婚詐欺」まで何でもござれですね。
思わぬところにそのデータが使われることもしばしばあります。特に日本の企業は情報に対するセキュリティー意識が低くて「海外マフィア」に目をつけられてます。
また「海外マフィア」は「情報」を有効活用するノウハウを持ってるんで「質」が悪いですね。
太田さんのところで作る番組で情報セキュリティー向上の必要性をうたってもらえると助かりますね。」
一通り、事件に関する情報交換を済ませると、太田が話を変えて、稀世の「CUWW」出場について話し出した。話の中で、主催者が従来のスポーツプロモーターでなく、アメリカのブックメーカーであることを話すと坂井の目の色が変わった。
「太田、そのブックメーカーって何て言うところや?」
たずねた坂井に太田に代わり稀世が手帳を取り出し会社名を読み上げた。
「えーっと、「セオドア・ルメイ・エンタープライズ」ってとこですね。WWEで頑張ってる元同僚の話によると、私のこと知ってるみたいでこの間なんかまりあさんの店に私の事を聞きに来たみたいなんですよ。明日にでも私の出場の契約書持って門真に来るみたいですね。
アメリカの大きな会社のCEOってことですけど、向こうの社長さんってフットワークが軽いんですね。」
坂井は太田を連れて少し離れたところで何やら耳打ちをしていたがその内容は稀世の耳には届かなかった。
載田がわざとらしく稀世に話をふった。
「安さんもブックメイクの対象になるんだったら、「馬券」買わせてもらいますから、頑張って勝ってくださいね!勝つ「馬」や「船」選ぶのは難しいですけど、安さんの「無敵の強さ」は僕は間近で見てきてますからね。ある意味インサイダーですよね。
安さんにかかれば「普通の女子レスラー」なんか敵じゃないでしょ。いっちょ、大儲けさせてください。カラカラカラ。」
まもなく、坂井は稀世の元に戻ることなく載田を呼び、署内に消えていった。稀世は戻ってきた太田に尋ねた。
「坂井さんと何の話やったんですか?急に坂井さん行っちゃいましたけど、何かあったんですか?」
太田は駐車場に向かって歩きながら稀世の横顔を見た。まじまじと稀世の顔を見つめてから前に視線を向けて呟いた。
「門真一の「持ってる女」で天から与えられた稀世ちゃんの「引き寄せ体質」が三度メディアクリエイト社に「天からの授かりもの」を引き寄せてくれるかもしれへんって話や!
やっぱり、今の稀世ちゃんは「レスラー」やなく「ジャーナリスト」ってことやな。今回は最初の「半愚連」や「やくざ」案件や、2回目の与党の重鎮政治家の悪事と違って、ワールドワイドな案件や!俺の「夢」やった「ピューリッツァー賞」も稀世ちゃんとおったら「現実」になるかもしれへんって話や。
つまり、メディアクリエイトの「本来の仕事」の話を坂井としてたってことや。これから忙しくなるで!頼むでわが社の女神!でも、レスラーに完全復帰だけは堪忍してくれよな。」
「もう、何言ってるのか全然わかんないですよ。なんとなくディスられてるような気もするんですけど…。まあ、今回のレスラー復帰はあくまでこの大会限定の事なんで、これからもずっと太田さんにお世話になるつもりでいますから、もう少しわかりやすく説明してもらえませんか?」
と注文をつけたが
「今はそこまで突っ込まんでええよ。あくまで稀世ちゃんは「自然体」のまま、「メディアクリエイト」の仕事に邁進してくれたらええってこっちゃ。頼むで稀世大明神!」
とはぐらかされて終わった。
「おまけ」
今日も「ひいちゃん」さんのイラストです。
「ひいちゃん」さん大人気です!
「パーカー」姿の「稀世ちゃん」なんですけどなんか「エロい」(笑)。
「カメラ」らしきものも描き込んでくれてます。
本当にいつもありがとうございます。
テラカワユス!
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