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「こども食堂」
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「こども食堂」
今日のこども食堂は向日葵寿司が当番だった。夕方5時の配食を前に、調理場の中で忙しく三朗が巻き寿司といなり寿司の準備をしているのをビデオカメラを担いだ太田が追い、稀世がマイクを向ける。
あらかじめ決められたシナリオではあるが、三朗の口からこども食堂と市民サロンの高齢者配食の現実が語られていく。
寄付金減少による資金の枯渇に加え、ここ2年の食材、水光熱費の高騰に加え、この夏からの米価格の「爆上げ」ともいえる状況で寿司の配食が置かれた厳しい現状を訴えていく。
時刻は4時40分を迎え、巻き寿司といなり寿司の入った配食用のパッケージをプラスチック製のバッカンに積み並べると、カウンター越しのインタビューは終わった。
稀世はマイクを片付けると2段積みのバッカンを軽々と持ち上げて三朗に言った。
「じゃあ、サブちゃん西沢米穀特設リング会場での配食風景撮影まで付き合ってな。それが終わったら晩御飯を太田さんとごちそうにならせてもらうわ。」
午後5時、西沢米穀特設リング会場には高齢者配食当番の子供たちが既に配達の準備に入っていた。直から配達表とエコバックを受け取り、上級生と下級生のコンビで届いた寿司のパックを必要個数バックに詰めると「行ってきまーす!」と元気な声を上げて高齢者宅に配食に向かうシーンを太田がカメラで追った。
ニコニコ商店街のこども食堂は、4歳以上の子供は高齢者配食や街や公園などの掃除などボランティアが義務付けられており、その対価として無料で食事がとれるというシステムになっている。
最後の配達係が戻ってくると、子供たちの会食が始まる。
「三朗お兄ちゃんのお寿司美味しいね!」
「私はたけのこご飯のおいなりさんが大好き―!」
と笑顔で巻きずしといなり寿司を食べる子供を見ていると、三朗が自腹を切ってでも配食を続ける気持ちが稀世にも伝わった。
「じゃあ、稀世さん、直さん、最後の子供が食べに来るまでお世話の方、お願いしますね。僕は店の準備がありますので先に戻らせてもらいます。」
と5時半に三朗がこども食堂の会場を後にすると、ニコニコプロレスの事務室からまりあが出て来て稀世に声をかけた。
「おっ、稀世!今日はサブちゃんとこが配食担当やったんやな。ええ取材ができたか?ようさん寄付が集まったらええのにな。」
そこに夏子と陽菜が駆け足で飛び込んできた。夏子の手には1枚のチラシが見える。
「稀世姉さん、まりあさん、これ見ましたか?今日、陽菜ちゃんと難波行ってて、エディオンアリーナ大阪の前でもらったチラシなんですけど!凄い内容なんで見てくださいよ!」
「そうそう、女子プロレス日本一決定戦!優勝賞金なんと3000万円!2位でも1000万ですよ!稀世姉さんって無敵の強さやったんでしょ。こりゃ出るっきゃないってなっちゃんと言って、難波で遊ぶのやめて速攻で戻ってきたんですよー!」
夏子と陽菜が息を切らせてチラシを稀世に手渡した。
直が横からひょいとチラシを取り上げると、チラシにある「CUWW」の文字に気付き、まりあに言った。
「これって、この間、参戦招待が来てたっていう大会とちゃうんか?具体的に大会開催に向けて動いてる案件やったんや。」
「そうみたいですね。まあ、うちからは全国規模の大会に出せる若手選手は居れへんから、放っておいたんですけどチラシまでできてるんやったらほんまにやるんでしょうね。へー、来月7日から開催なんですね。」
まりあは直の横でチラシを覗き込んだ。
直はチラシを裏返すと主催者を指でなぞった。
「まりあちゃん、この主催者の「セオドア・ルメイ・エンタープライズ」ってなんや?聞いたことも無い名前やけど、アメリカのプロモーターかなんかか?」
まりあは腕を組んで頭をひねった。アメリカのプロレス関係のプロモーターで思い当たる名前はないが、何か頭に引っかかるような気がしてならない。
「セオドア・ルメイ…。なんか最近聞いたことがあるような気はするんやけど思い出されへんなぁ。ごめん、直さん、わからへんわ。」
と二人で話して込んでいる間、夏子と陽菜は稀世の手を取り、根拠もなく「優勝」できると決めつけてはしゃいでいる。
「稀世姉さん、出場しましょうよ!たった4試合勝つだけで3000万円ですよ!私と陽菜ちゃんに「情報提供料」で1000万払ってもまだ2000万円ありますよ!」
「そうそう、2000万あったら「こども食堂」でも焼き肉や握り寿司も出してやれますやん!なっちゃんと私設応援団作りますんで、「パパッ」と優勝してきてくださいよ!」
(確かに、賞金が入れば「こども食堂」や「市民サロン」に還元できるし、サブちゃんやがんちゃん達が自腹を切ってまで苦労することは無くなるわな…。4日間のことやったら太田さんも許してくれるかな?)と夏子と陽菜に意識を引っ張られていた稀世は1年半前のWWEに参戦した時の高揚感が蘇ってきていた。
その時、直のスマホが鳴った。直は電話に出ると会話に入った。
「よお、粋華!久しぶりやな。どないしたんや?今、稀世ちゃんとまりあちゃんと一緒やねん。」
「なに、今、関空に居るんか。今からこっちに来るんやったら一緒に向日葵寿司で寿司でも食うか。」
「えっ、稀世ちゃんをスカウトってどういう意味や?電話じゃよくわからんからタクシー飛ばしてすぐに来い!じゃあ、向日葵寿司でな。」
と稀世とまりあに聞こえるように話すと電話を切って言った。
「今の電話、粋華やってんけど、稀世ちゃんをその「CUWW」に参加させるよう説得するために大阪に帰ってきたんやとさ。」
「おまけ」
今日は「サブちゃん」!
といってもまともなのは「1枚」だけ!
なんとなく「寿司」っぽいものは出るようになってきました(笑)。
「あらお☆ひろ」先生が「このNGサブちゃんウケるんでアップしちゃいましょう!」というので
後はNGイラストを晒しちゃいましょう!
「黒髪短髪の寿司職人」ってプロンプトで生成してるんですけどねぇ…(´-∀-`;)
AIくんの中では「黒髪」も「短髪」も私と価値基準が違い過ぎる(笑)!
以下「NGサブちゃん」(笑)!
うーん、使いこなせてないですね…。
(´・ω・`)ショボーン
今日のこども食堂は向日葵寿司が当番だった。夕方5時の配食を前に、調理場の中で忙しく三朗が巻き寿司といなり寿司の準備をしているのをビデオカメラを担いだ太田が追い、稀世がマイクを向ける。
あらかじめ決められたシナリオではあるが、三朗の口からこども食堂と市民サロンの高齢者配食の現実が語られていく。
寄付金減少による資金の枯渇に加え、ここ2年の食材、水光熱費の高騰に加え、この夏からの米価格の「爆上げ」ともいえる状況で寿司の配食が置かれた厳しい現状を訴えていく。
時刻は4時40分を迎え、巻き寿司といなり寿司の入った配食用のパッケージをプラスチック製のバッカンに積み並べると、カウンター越しのインタビューは終わった。
稀世はマイクを片付けると2段積みのバッカンを軽々と持ち上げて三朗に言った。
「じゃあ、サブちゃん西沢米穀特設リング会場での配食風景撮影まで付き合ってな。それが終わったら晩御飯を太田さんとごちそうにならせてもらうわ。」
午後5時、西沢米穀特設リング会場には高齢者配食当番の子供たちが既に配達の準備に入っていた。直から配達表とエコバックを受け取り、上級生と下級生のコンビで届いた寿司のパックを必要個数バックに詰めると「行ってきまーす!」と元気な声を上げて高齢者宅に配食に向かうシーンを太田がカメラで追った。
ニコニコ商店街のこども食堂は、4歳以上の子供は高齢者配食や街や公園などの掃除などボランティアが義務付けられており、その対価として無料で食事がとれるというシステムになっている。
最後の配達係が戻ってくると、子供たちの会食が始まる。
「三朗お兄ちゃんのお寿司美味しいね!」
「私はたけのこご飯のおいなりさんが大好き―!」
と笑顔で巻きずしといなり寿司を食べる子供を見ていると、三朗が自腹を切ってでも配食を続ける気持ちが稀世にも伝わった。
「じゃあ、稀世さん、直さん、最後の子供が食べに来るまでお世話の方、お願いしますね。僕は店の準備がありますので先に戻らせてもらいます。」
と5時半に三朗がこども食堂の会場を後にすると、ニコニコプロレスの事務室からまりあが出て来て稀世に声をかけた。
「おっ、稀世!今日はサブちゃんとこが配食担当やったんやな。ええ取材ができたか?ようさん寄付が集まったらええのにな。」
そこに夏子と陽菜が駆け足で飛び込んできた。夏子の手には1枚のチラシが見える。
「稀世姉さん、まりあさん、これ見ましたか?今日、陽菜ちゃんと難波行ってて、エディオンアリーナ大阪の前でもらったチラシなんですけど!凄い内容なんで見てくださいよ!」
「そうそう、女子プロレス日本一決定戦!優勝賞金なんと3000万円!2位でも1000万ですよ!稀世姉さんって無敵の強さやったんでしょ。こりゃ出るっきゃないってなっちゃんと言って、難波で遊ぶのやめて速攻で戻ってきたんですよー!」
夏子と陽菜が息を切らせてチラシを稀世に手渡した。
直が横からひょいとチラシを取り上げると、チラシにある「CUWW」の文字に気付き、まりあに言った。
「これって、この間、参戦招待が来てたっていう大会とちゃうんか?具体的に大会開催に向けて動いてる案件やったんや。」
「そうみたいですね。まあ、うちからは全国規模の大会に出せる若手選手は居れへんから、放っておいたんですけどチラシまでできてるんやったらほんまにやるんでしょうね。へー、来月7日から開催なんですね。」
まりあは直の横でチラシを覗き込んだ。
直はチラシを裏返すと主催者を指でなぞった。
「まりあちゃん、この主催者の「セオドア・ルメイ・エンタープライズ」ってなんや?聞いたことも無い名前やけど、アメリカのプロモーターかなんかか?」
まりあは腕を組んで頭をひねった。アメリカのプロレス関係のプロモーターで思い当たる名前はないが、何か頭に引っかかるような気がしてならない。
「セオドア・ルメイ…。なんか最近聞いたことがあるような気はするんやけど思い出されへんなぁ。ごめん、直さん、わからへんわ。」
と二人で話して込んでいる間、夏子と陽菜は稀世の手を取り、根拠もなく「優勝」できると決めつけてはしゃいでいる。
「稀世姉さん、出場しましょうよ!たった4試合勝つだけで3000万円ですよ!私と陽菜ちゃんに「情報提供料」で1000万払ってもまだ2000万円ありますよ!」
「そうそう、2000万あったら「こども食堂」でも焼き肉や握り寿司も出してやれますやん!なっちゃんと私設応援団作りますんで、「パパッ」と優勝してきてくださいよ!」
(確かに、賞金が入れば「こども食堂」や「市民サロン」に還元できるし、サブちゃんやがんちゃん達が自腹を切ってまで苦労することは無くなるわな…。4日間のことやったら太田さんも許してくれるかな?)と夏子と陽菜に意識を引っ張られていた稀世は1年半前のWWEに参戦した時の高揚感が蘇ってきていた。
その時、直のスマホが鳴った。直は電話に出ると会話に入った。
「よお、粋華!久しぶりやな。どないしたんや?今、稀世ちゃんとまりあちゃんと一緒やねん。」
「なに、今、関空に居るんか。今からこっちに来るんやったら一緒に向日葵寿司で寿司でも食うか。」
「えっ、稀世ちゃんをスカウトってどういう意味や?電話じゃよくわからんからタクシー飛ばしてすぐに来い!じゃあ、向日葵寿司でな。」
と稀世とまりあに聞こえるように話すと電話を切って言った。
「今の電話、粋華やってんけど、稀世ちゃんをその「CUWW」に参加させるよう説得するために大阪に帰ってきたんやとさ。」
「おまけ」
今日は「サブちゃん」!
といってもまともなのは「1枚」だけ!
なんとなく「寿司」っぽいものは出るようになってきました(笑)。
「あらお☆ひろ」先生が「このNGサブちゃんウケるんでアップしちゃいましょう!」というので
後はNGイラストを晒しちゃいましょう!
「黒髪短髪の寿司職人」ってプロンプトで生成してるんですけどねぇ…(´-∀-`;)
AIくんの中では「黒髪」も「短髪」も私と価値基準が違い過ぎる(笑)!
以下「NGサブちゃん」(笑)!
うーん、使いこなせてないですね…。
(´・ω・`)ショボーン
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