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第4章「宇宙艦隊地球襲来編」
「降伏勧告」
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「降伏勧告」
2月18日午前5時、いつも通りチャプローはピヨと起きて朝の炊き出しの準備に入ろうと火を起こしていたところに誠子が慌てた様子でかまどのある調理場に駆け込んできた。
「ピヨちゃん、チャプロー君!えらいことになってるのよ。とにかくマリーアさんを連れて事務室に来て!」
ピヨは食事の準備をチャプローに任せ、千里浜に打ち上げられた流木の薪拾いから帰ってきて整理をしているマリーアを呼びに行った。
事務室にマリーアとピヨが入ると、誠子と蟹夫が難しい顔をしてテレビニュースの画面に集中していた。画面の右上には「多元中継」、「生中継中」、「ニューヨーク国際連合本部ビル前」とテロップが出ている。
日本人女性レポーターが指さす方向にニューヨーク州マンハッタン東辺のタートルベイにある加盟国193本の旗と国際連合紋章を象った国際連合旗の合計194本の旗がビル正面に並ぶ地上39階の有名な国際連合本部ビルの上空に羽咋にも表れた大型の宇宙船とその周辺を囲む戦闘艦隊が映し出されている。
「ニューヨーク支局特派員の「大地野虹」です。今から1時間前、現地時間2月17日午後3時、突如として現れた日本の石川県羽咋市に現れたものと同系のUFO艦隊がニューヨークに現れ、元ポルトガル首相のアントニオ・グラーデス国連事務総長との面談を求めています。
国連安全保障理事会が招集されましたが、先日の日本の航空自衛隊、アメリカ海軍の攻撃が全く効果が得られなかったことを鑑み、軍備による排除を試みるのか、話し合いに応じるのかの結論は出ていません。」
とカメラに向かって話すと、テレビ画面は見慣れた日本の国会議事堂に切り替わった。
国会議事堂前で白い作業用ヘルメットを被った男性リポーターが興奮気味に話す。
「レポーターの「能登海鮮舩盛」です。こちら、中央区永田町の国会議事堂前です。今朝、4時に現れたUFOから首相に向けて連絡が入った模様です。内容については未だ発表はありませんがUFO側から何がしらの要求がなされたものと思われます。
「聞く力」を自らの持ち味と言われる首相がどのような対応を取るのかに注目が集まっています。」
次に映し出されたのは、ひと月少し前にCOSMO‘sの5人が「復興特使」の任命を受けた金沢市の石川県庁だった。
「おはようございます。「葦湯由楽里」です。皆さん、先日羽咋上空に現れた宇宙船団のうち1隻が石川県庁上空に移動し、県知事に対し面会を要求したようです。
詳細は未だ不明ですが、急遽、朝7時に県知事が記者会見を開くと発表がありました。当放送局ではニューヨーク、東京、そして石川に現れたUFOが「復興特使」の「COSMO‘s」に関係あるのではという推測に基づき取材に入る予定です。
放送予定を変更しまして、突如現れたUFO艦隊と「COSMO‘s」の関連についての特集番組に切り替えたいと思います。」
と日曜朝の番組を差し替えて放送を行う旨が伝えられた。
蟹夫がマリーアに最初に尋ねた。
「マリーアさん、あのUFO船団はマリーアさん達の星、ニコニーコ星のものなんですか?この3日間、これといった行動を起こしていなかったのが3日目にして動き出したのにはどういう意味があるのでしょうか?」
マリーアは、いたって冷静に「答える言葉」を選んだ。
「はい、私達の星の艦隊で間違いないと思います。おそらく、この3日間は、地球における軍隊の「戦略分析」…、そしてこれからの交渉に際して「言語分析」をしていたものと思われます。
私たちにコンタクトを取らずに、こういった対応を取った理由はわかりません。ただ、過去の私の経験から行くと、最短の交渉の為に地球における意思決定の責任者と直接交渉を求めているのだと思います。
その結果、地球のトップとして国連事務総長、日本のトップとして首相、石川県のトップとして県知事が指名を受けたんだと思います。それ以上のことは、わかりかねます。」
いつものように、本来の本星連絡船とのランデブー地点として指定された千里浜にはナチュコとピナを送り、マリーアとピヨが朝の配食準備を終えたチャプローとコスモアイル羽咋の事務室に残ることとした。
午前6時38分の日の出を迎えてもコンタクトが無かったと戻ってきたナチュコとピナも事務室に集まり、蟹夫、誠子、ライス、アイース達と午前7時からの石川県知事の記者会見を待った。
午前7時、UFO船団来襲事件一色になった地上波テレビをNHK総合、北陸放送、石川テレビ放送、テレビ金沢、北陸朝日放送の複数の番組で受信して、知事の登場を見守った。
「あっ、出てきたで!」ナチュコが叫ぶと5つの番組はアングルの違いはあるものの、元プロレスラーの知事のがっしりとした体が映し出された。
知事はハンカチで汗を拭きつつ、震える声で7本のマイクが並ぶ演台の前に立ち、宇宙船からの通達事項を口にした。
「まず、宇宙船側の特使から求められたものは3点です。現在、我が石川県の「復興特使」の「COSMO‘s」の5人の「即時解放および返還」。そして「COSMO’sの5人に対する強制的奴隷労働に対する謝罪と賠償」。最後にニコニーコ星艦隊に対する「全面的な無条件降伏勧告」でした。」
一気にざわめく記者たちから、秩序の無い質問と怒号が飛んだ。
「「強制的奴隷労働」ってどういうことですか?」
「謝罪と賠償に対する具体的要求があったんですか?」
「無条件降伏勧告ってどういう意味ですか?」
「「COSMO‘s」とは連絡はついているんですか?」
数局のテレビ番組は「ニューヨーク」と「永田町」に切り替わった。国連事務総長と日本の内閣総理大臣が受けた要求内容も石川県知事の話と同様で、「情報が少なく即答はしかねる。再度の交渉の場を持ってほしい。」と言うにとどまったという、すっきりとしない記者会見が開かれただけだった。
放送が一息つくと同時に、コスモアイル羽咋の電話回線全てに電話がかかり、途切れることは無かった。
2月18日午前5時、いつも通りチャプローはピヨと起きて朝の炊き出しの準備に入ろうと火を起こしていたところに誠子が慌てた様子でかまどのある調理場に駆け込んできた。
「ピヨちゃん、チャプロー君!えらいことになってるのよ。とにかくマリーアさんを連れて事務室に来て!」
ピヨは食事の準備をチャプローに任せ、千里浜に打ち上げられた流木の薪拾いから帰ってきて整理をしているマリーアを呼びに行った。
事務室にマリーアとピヨが入ると、誠子と蟹夫が難しい顔をしてテレビニュースの画面に集中していた。画面の右上には「多元中継」、「生中継中」、「ニューヨーク国際連合本部ビル前」とテロップが出ている。
日本人女性レポーターが指さす方向にニューヨーク州マンハッタン東辺のタートルベイにある加盟国193本の旗と国際連合紋章を象った国際連合旗の合計194本の旗がビル正面に並ぶ地上39階の有名な国際連合本部ビルの上空に羽咋にも表れた大型の宇宙船とその周辺を囲む戦闘艦隊が映し出されている。
「ニューヨーク支局特派員の「大地野虹」です。今から1時間前、現地時間2月17日午後3時、突如として現れた日本の石川県羽咋市に現れたものと同系のUFO艦隊がニューヨークに現れ、元ポルトガル首相のアントニオ・グラーデス国連事務総長との面談を求めています。
国連安全保障理事会が招集されましたが、先日の日本の航空自衛隊、アメリカ海軍の攻撃が全く効果が得られなかったことを鑑み、軍備による排除を試みるのか、話し合いに応じるのかの結論は出ていません。」
とカメラに向かって話すと、テレビ画面は見慣れた日本の国会議事堂に切り替わった。
国会議事堂前で白い作業用ヘルメットを被った男性リポーターが興奮気味に話す。
「レポーターの「能登海鮮舩盛」です。こちら、中央区永田町の国会議事堂前です。今朝、4時に現れたUFOから首相に向けて連絡が入った模様です。内容については未だ発表はありませんがUFO側から何がしらの要求がなされたものと思われます。
「聞く力」を自らの持ち味と言われる首相がどのような対応を取るのかに注目が集まっています。」
次に映し出されたのは、ひと月少し前にCOSMO‘sの5人が「復興特使」の任命を受けた金沢市の石川県庁だった。
「おはようございます。「葦湯由楽里」です。皆さん、先日羽咋上空に現れた宇宙船団のうち1隻が石川県庁上空に移動し、県知事に対し面会を要求したようです。
詳細は未だ不明ですが、急遽、朝7時に県知事が記者会見を開くと発表がありました。当放送局ではニューヨーク、東京、そして石川に現れたUFOが「復興特使」の「COSMO‘s」に関係あるのではという推測に基づき取材に入る予定です。
放送予定を変更しまして、突如現れたUFO艦隊と「COSMO‘s」の関連についての特集番組に切り替えたいと思います。」
と日曜朝の番組を差し替えて放送を行う旨が伝えられた。
蟹夫がマリーアに最初に尋ねた。
「マリーアさん、あのUFO船団はマリーアさん達の星、ニコニーコ星のものなんですか?この3日間、これといった行動を起こしていなかったのが3日目にして動き出したのにはどういう意味があるのでしょうか?」
マリーアは、いたって冷静に「答える言葉」を選んだ。
「はい、私達の星の艦隊で間違いないと思います。おそらく、この3日間は、地球における軍隊の「戦略分析」…、そしてこれからの交渉に際して「言語分析」をしていたものと思われます。
私たちにコンタクトを取らずに、こういった対応を取った理由はわかりません。ただ、過去の私の経験から行くと、最短の交渉の為に地球における意思決定の責任者と直接交渉を求めているのだと思います。
その結果、地球のトップとして国連事務総長、日本のトップとして首相、石川県のトップとして県知事が指名を受けたんだと思います。それ以上のことは、わかりかねます。」
いつものように、本来の本星連絡船とのランデブー地点として指定された千里浜にはナチュコとピナを送り、マリーアとピヨが朝の配食準備を終えたチャプローとコスモアイル羽咋の事務室に残ることとした。
午前6時38分の日の出を迎えてもコンタクトが無かったと戻ってきたナチュコとピナも事務室に集まり、蟹夫、誠子、ライス、アイース達と午前7時からの石川県知事の記者会見を待った。
午前7時、UFO船団来襲事件一色になった地上波テレビをNHK総合、北陸放送、石川テレビ放送、テレビ金沢、北陸朝日放送の複数の番組で受信して、知事の登場を見守った。
「あっ、出てきたで!」ナチュコが叫ぶと5つの番組はアングルの違いはあるものの、元プロレスラーの知事のがっしりとした体が映し出された。
知事はハンカチで汗を拭きつつ、震える声で7本のマイクが並ぶ演台の前に立ち、宇宙船からの通達事項を口にした。
「まず、宇宙船側の特使から求められたものは3点です。現在、我が石川県の「復興特使」の「COSMO‘s」の5人の「即時解放および返還」。そして「COSMO’sの5人に対する強制的奴隷労働に対する謝罪と賠償」。最後にニコニーコ星艦隊に対する「全面的な無条件降伏勧告」でした。」
一気にざわめく記者たちから、秩序の無い質問と怒号が飛んだ。
「「強制的奴隷労働」ってどういうことですか?」
「謝罪と賠償に対する具体的要求があったんですか?」
「無条件降伏勧告ってどういう意味ですか?」
「「COSMO‘s」とは連絡はついているんですか?」
数局のテレビ番組は「ニューヨーク」と「永田町」に切り替わった。国連事務総長と日本の内閣総理大臣が受けた要求内容も石川県知事の話と同様で、「情報が少なく即答はしかねる。再度の交渉の場を持ってほしい。」と言うにとどまったという、すっきりとしない記者会見が開かれただけだった。
放送が一息つくと同時に、コスモアイル羽咋の電話回線全てに電話がかかり、途切れることは無かった。
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