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「万丈羽蘭《ばんじょう・はらん》」

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万丈羽蘭ばんじょう・はらん

 「万丈羽蘭ばんじょう・はらん」、これが後に3度の「戸籍改変」し、大阪府門真市の困ったときの最後の「駆け込み寺」と言われる何でも屋の「株式会社まかして屋」主任「羽藤蘭はとう・らん」の最初に授かった名前である。
 万丈ばんじょうという苗字は日本全国で約50件程の珍しい名字で、主として北海道根室市に多いことから北海道由来の「家」と言われることが多い。北海道を除けば「神奈川県相模原市」と「富山県」に10件程あるらしい。

 「ばんじょう」または「まんじょう」と読む珍しい名字は「名字占い」では「男女」ともにゲンの良い「大吉」姓とされているが、「羽藤蘭」の人生は「大吉」とは対極にあたる、「大大凶」の「人生のヤマ・・」を3度超えることになるとは、17歳の誕生日までは知る由もなかった。
 
 神奈川県相模原市生まれの父「万丈雄拓ばんじょう・おたく」は関東地方の中堅理系大学を卒業し、バブル崩壊後の1993年から2005年の就職氷河期と言われる中、「理系学部出身の技術者」という事で就職活動に困ることなく、日本最大手の家電メーカーに就職しそれを機に勤務先の「商品開発部」のある大阪の門真工場の近くに生活の拠点を移すことになった。

 就職氷河期の採用という事で「同期入社」の社員は少なく、持って生まれた「ヲタク」的な「探求心」と「追及心」で次々と新たな発想を具現化し入社1年目から「商品開発部」のエースとして頭角を現した。
 順風漫帆で社内では新規事業開発グループに抜擢され、勤務2年目の24歳で社内結婚し翌年に長男「洋孝ひろたか」を授かり、その5年後、30歳で長女「羽蘭はらん」が生まれた。

 「羽蘭」という名は、「雄拓」が好きだったアニメマンガの主人公から文字を変えてつけたのだが、妻は眉間にしわをよせ「あなた、「波乱万丈」って女の子の名前としてはどうなの?」とクレームをつけたが、「鳥のように羽ばたいて欲しいし、蘭の花のように可憐に育って欲しいという意味だし、姓名判断では「総格31」は「大大吉」で強運の名前なんだよ。まあ、外国にでも行かない限り「ばんじょう・はらん」であって「はらん・ばんじょう」ではないから気にすることは無いよ。」と強引に押し切った経緯があった。

 子煩悩の雄拓は二人の兄妹をかわいがり、2人の子供はまっすぐ素直に育っていった。面倒見が良く、真面目な性格の洋孝は妹の羽蘭をかわいがり、羽蘭も洋孝に大変懐いていた。
 その結果、羽蘭の趣味は兄の洋孝に引きずられ、「女の子」らしくないジャンルにはまり込んだ。
 洋孝は「ハードボイルド」もののコミックが好きで、「さいとうたかを」氏の「ゴルゴ13」シリーズ、「新谷かおる」氏の「砂の薔薇」、「北条司」氏の「シティーハンター」、「エンジェルハート」等を当時小学校高学年だった妹の羽蘭にも勧めた。
 「ゴルゴ13」は「政治色」が強く、「ちょっと難しいから無理!」と2巻でギブアップしたが、女性キャラが主人公の「砂の薔薇」と「エンジェルハート」は好んでよく読んだ。

 「お兄ちゃん、この元モデルさんで「C・A・Tカウンター・アタック・テロリズム社」のスナイパーやってる「デライラ・カンクネン」さんは凄くクールで美人だし、元殺し屋のスイーパーの「香螢」ちゃんってかわいくていいね。
 でも、実際の世の中にはこんな女の人って絶対いないよね。お兄ちゃんはどう思う?」
と無邪気に尋ねる羽蘭に
「いや、あり得る話やと思うで。昔のロシアには「リュドミラ・バウリチェンコ」っていう第2次世界大戦で300人以上のドイツ兵を狙撃した凄い女性スナイパーが実在してたし、今では「女性SP」や「女性スナイパー」も居るみたいやからな。羽蘭も漫画の中の世界みたいに「女戦士」や「女殺し屋」目指してみるか?カラカラカラ。」
とふざけた会話をしていたが、数年後によもやの本物の「殺し屋」になるとは思いもしなかった。

やさしい父母と仲良しの兄との4人家族での幸せな生活は毎日が楽しかった。そんな中、万丈家を最初に襲った不幸は母の入院だった。「洋孝」19歳、「羽蘭」14歳の夏に母が脳溢血で倒れ意識を失った。10カ月の入院の末、最後の別れの言葉を交わすことなく亡くなった。
母の死がその後の雄拓と羽蘭の人生を大きく変えるきっかけになった。その発端が、雄拓の海外事業所への転勤の話だった。
「洋孝、羽蘭…、お父さんな、お母さんが亡くなって「独身」扱いってことで会社からアメリカの現地法人の開発責任者としてロサンゼルスへの転勤の話がでてるんだ。子供がいるから困るって言ったんだけど、会社からは「行かないなら「席」は無くなるよ。」ってな感じで、「ノー」の返事はできない命令みたいなもんなんだ。
 お父さんが単身赴任で行くことも含めて、万丈家としてどうするのがいいのか2人の意見を聞かせて欲しい。」
と雄拓が2人に意見を求めた。

 洋孝は、大学2年の夏でインターン等の就職活動が始まるので、日本に留まることを希望し、雄拓が単身赴任するという事であれば羽蘭の面倒は自分が見ると言った。
 その瞬間、雄拓が寂しい表情を見せたのを羽蘭は見逃さなかった。
「お父さん、私はアメリカに行ってもいいよ。お父さん一人じゃ「ごはん」や「洗濯」とかできないでしょ?お兄ちゃんは器用で、この1年「家事全般」をやってくれてたし、もう大人だから一人でも大丈夫よね。」
 優しく雄拓を気遣った羽蘭の一言で万丈家の意見はまとまり、羽蘭のアメリカでの高校の新学期にあたる9月初旬を目途に雄拓と羽蘭の2人の渡米で話は進んだ。会社から9月3日の入学式に合わせ、1週間前の8月28日赴任の辞令がすぐに出た。

 8月25日午後5時、関西国際空港に見送りに来た洋孝と兄妹の関係で直接会話を交わすことが最後になるとは、羽蘭も洋孝も全く思っていなかったので、
「お兄ちゃん、一人暮らしと就職活動頑張ってね!私もアメリカンスクールライフを満喫してくるわな。
じゃあ、帰ってくるときは「帰国子女」のめっちゃ良い女になって帰ってきて、お兄ちゃんをびっくりさせたるからねー!ケラケラケラ。バイバーイ!」
「あぁ、スーパーレディーになって帰っておいで!楽しみに待ってるわ!カラカラカラ。」
と、握手を交わし冗談を混じえての明るい会話を最後に握手を交わすと洋孝の見送りを受けながら羽蘭は搭乗ゲートをくぐり機上の人となった。


「おまけ」











※「万丈羽欄」時代の家族
そして「羽欄ちゃん」と「洋孝」
生成プロンプトは4枚目は「たい焼き」、5枚目は「クレープ」です(笑)。
まあ、「寿司」よりはまし(笑)。
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