『俺のマンガの原作者はかわいい浮遊霊小説家《ゴーストライター》』

M‐赤井翼

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「第2部「ヤングレボリューション」編」

「ホテル」

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「ホテル」

 羅須斗が再び寝室に入るのを確認して、礼が幸の耳元で囁いた。
「さっきの「角田総裁」やろ。私が知ってる角田由紀恵さんはまだ「編集長」の時でロングヘア―やってんけど、改めて見ると髪のメッシュを除くと、薄井さんにそっくりやねんな。もしかして羅須斗君、仕事の絡みや、今までの自分の言動から薄井さんに「手」を出されへんストレスを感じて角田総裁に走ったり、薄井さんへの「欲望」を抑えるために「ヘミシンク」で「瞑想」してるとか…。」
「えっ、先生が私のことを…。そ、そんなことあるわけないじゃないですか!今まで、「手」すら握ってくれたこと無いんですよ!」
と幸は真っ赤になって反論した。

 「羅須斗君、「草食系男子」って言う前に、超「真面目」やからな。ヤングレボリューションに移籍した際に編集長に「薄井さんに対するセクハラはやめてください。」って言うた手前…。ここ最近はずっと薄井さんと一緒やから知らんうちに…。私、応援するで。担当っていうだけやなく、羅須斗君の心も支える人になってほしいねん。」
「まさか、先生が私を…。」
礼が幸を正面から見据えて言うと、幸は照れて一言だけ返しただけで後は何も言えなくなってしまった。

 翌日、東京に戻ってからの幸の動きは、今までの2倍パワフルなものになっていた。編集会議で幸は大演説した。「「余命半年~」は100話以上ストーリーはできており、そのどれもが素晴らしいストーリーです。」と編集長にアピールした。
 最近の仕事は羅須斗にとって負荷がかかりすぎているので、アシスタントを編集部で段取りすることも提案し、自らも大阪に引っ越し、公私ともに羅須斗をフォローしていきたいと直訴した。
 編集長は、スイッチの入った幸の勢いにブレーキをかけることはできず、幸の要望を認める方針で話は進んだ。その中で編集長は「一つの課題」を幸に与え、その実践を約束させた。会議の最後に、12月23日に「余命半年~」の1巻が新人としては異例の20万部の初版印刷で出版が決まった。
 会議が終わると、編集部の廊下で幸はコミックスの発刊が決定したことを羅須斗に伝えた。「今から大阪に戻ります。今日は、3人でお祝いしましょう!」の言葉に編集長は「3人?」と思った。

 幸は新大阪の駅から梅田に出ると、有名百貨店の地下売り場でオードブルセットを買いこんだ。お祝いのシャンパンだけでなく、礼も香りを楽しめるように高級ブランデーもカゴに入れた。
 羅須斗のマンションに両腕いっぱいに手提げ袋をぶら下げて、幸がインターホンを押したのは午後9時だった。その日ばかりは、羅須斗も満面の笑顔と「ハグ」で幸を迎えた。
 お祝いの飲み会は楽しかった。ボルドー産の高級シャンパンで乾杯し、百貨店の和洋中揃ったオードブルに舌鼓を打った。礼の為に香り高い高級ブランデーを開け、一緒に銘酒の香りを楽しんだ。ふと気がつくと時計の針は午前0時を過ぎていた。羅須斗も幸もすっかり酔いが回り、特に幸は足どりもフラフラになっていた。

 「あー、終電も終わってしもたし、薄井さんはタクシーでホテルに送るわ。」
と羅須斗が言った時には、幸はうたた寝を始めかかっていた。礼が「今日くらいは泊めてあげたら?」と提案するが、羅須斗は少し考えて幸に言った。
「朝イチの寝ぼけ顔を俺に見られるんは嫌やろうし、薄井さん横になったらすぐにパンツ見えそうなスカートやから俺も困るわ。礼ちゃんが着替えさせたることもできへんからホテルに送るのが一番やろ。」
 羅須斗はアプリでビジネスホテルを予約し、タクシーを呼ぶと、5分でインターホンが鳴った。ヘロヘロの幸を背負うと「じゃあ、ホテルまで送ってくるわな。すぐ帰るし。」と言い残し、礼は一人部屋に残された。

 タクシーで約10分。門真市駅近くのビジネスホテルにタクシーは到着した。「薄井さん、駅前のホテルに着いたで。チェックインまでは俺がするから、部屋に入ったら風呂入って早く寝るんやで。」とタクシーから一緒に降りた。30分程、居眠りをしたせいか、目を覚ました幸は「あっ、すみません。ご迷惑をおかけしました。」とフロントにむかって歩こうとするが、足がもつれて転びそうになる。とっさに、後ろから腕を回し支えた羅須斗の手が豊満な幸の胸に触れた。「あっ、ごめん。」と羅須斗は真っ赤になって、幸をロビーのソファーに座らせると一人フロントにチェックインに向かった。
 フロントマンに「お連れのお客さん、相当酔われてるみたいですので、お部屋までは連れて行ってくださいね。くれぐれも、廊下やエレベーターの中で寝てしまうことの無いようにお願いします。」と言われたので、幸に肩を貸し部屋まで連れて行った。

 シングルルームの明かりをつけ、ベッドに幸を座らせると冷蔵庫のミネラルウォーターを出し、コップに注ぎゆっくりと幸に飲ませると、少し冷静になった幸が羅須斗の耳元で囁いた。
「あの、編集長から命令がありまして…、「稀世ちゃん」のシーズン2では、「お色気シーン」を入れるように言われてるんです。「かっこいい」稀世ちゃんだけでなく、「色っぽい」稀世ちゃんも描いてもらわないと、私、困っちゃうんですよ…。私が、崖淵先生にしてあげられることはこれくらいなんで…。先生、そこの鏡をしっかりと見てくださいね。」
 幸はグラスをサイドテーブルに置くと、「先生…」と呟くと羅須斗の首に両腕を回し、
唇を重ねた。「薄井さん、なにすんねん。あかんよこんな事…。」と羅須斗は、顔を離す。「ダメです。キスの時、大好きなサブちゃんとキスする稀世ちゃんがどんな表情をするのか、しっかりとそこの鏡を見てイメージを擦り込んでください。」
と再び両腕に力を入れ、羅須斗の顔を引き寄せゆっくりと唇を重ね、左右に小さく顔を動かしながら幸は羅須斗の唇を吸い続けた。
 
 翌朝、午前6時、羅須斗がフラフラになってマンションに帰ってきた。手には大学ノートを一冊持っているだけだった。
「もう、羅須斗君、朝帰りするなら最初にそう言ってよね。朝まで起きて待ってたんやで。薄井さんと朝まで飲んでたん?」
としかめっ面をしながら、礼が羅須斗に近づいた。
 予想していた「酒臭さ」はほとんどない。ただ幸の使っている香水の匂いがうっすらと漂うだけだった。
「さすがに30(歳)を前にして完全徹夜はしんどいわ…。もう、「おっぱい」も「おしり」もしばらくは見たないわ…。でも、この「ふらふら感」に「疲労感」はチャンスかもしれへん…。俺、今から3時間ほど休むから、礼ちゃん絶対に覗いたらあかんで…。」
の言葉を残し、羅須斗は一人で6畳の寝室に消えていった。部屋に入る前に羅須斗の腕から落ち、開いた状態で廊下に残った大学ノートには、飽満な胸と張りのあるお尻の下着姿のカットが十数点描かれていた。他のページに何が書かれているのか気になり、ページをめくりたかったが礼にはどうしようもない。
 (この胸やお尻って薄井さんのものってこと?飲んでたわけでなく、ホテルで一睡もせずふらふらになって帰ってきたってことは…。ついにしちゃったの…。)礼の胸が「ズキン」と鳴った。できないことは承知で十数分、礼は指先に神経を集中してノートのページめくりのチャレンジを繰り返すも、無駄に終わった。

 もやもやしたものが胸の中いっぱいに広がった礼の耳に、壁の向こうから「はふんっ!やったぁ!ついに初めてできたで!」、「こんな風にイクねんなぁ。」、「あー、あかん、10分持たへんなぁ。」、「それ、もう一回チャレンジや!」と羅須斗の声が聞こえた。
 その声を廊下で聞いた幸は一人廊下で呟いた。(あぁ、羅須斗君、夢の中でも薄井さんと「してる」んかな…。羅須斗君の初体験やから祝ってあげなあかんよな。まぁ、私じゃなんもしてあげられへんねんから仕方ないよな。羅須斗くん「卒業」おめでとう…。あれ、なんで私泣いてるんやろ…。)廊下に、本来つくはずのない水滴が落ちた。



今日のイラストは、「幸ちゃん」の「ぷちエロ」見たいという「チーム「みりおた」」の皆さんのリクエストに対応しましょう!
(〃▽〃)ポッ

ホテルでの「××××」(※××××の答えはまた明日(笑)!)シーンイメージです!































ちまみに、稀世ちゃんに未だかつてこんな色っぽいシーンは無い(笑)!
あくまで読者さん達への「忖度」です(笑)!
(⋈◍>◡<◍)。✧♡
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