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「模索編」
「再び302号室」
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「再び302号室」
9月13日午後1時過ぎ、午後は休校となっている中、真央は門工の食堂でひとり悩んでいた。陽菜から連絡をもらったのだが、「メリーさん」の謎解きを電話で聞いて、「怪異」ではなく「作り物の幻影」だと理解したものの、向日葵寿司に足が向かなかった。テーブルでぶつぶつと独り言を繰り返し、意識は中空に浮いている状態だった。隣の席に女の子二人連れが「あー、「お腹空いた」ねー。何食べようか?」、「お隣の席いいですか?」と声をかけてきた。
その女の子たちの会話にふと我に返り、売店でお弁当とサラダと野菜ジュースとクラッカーを買うと、建築科の実習室に向かった。放課後のクラブ活動の為に施錠されていない資材室に入ると五分後に出てきた。
午後1時半、再度陽菜から「三年の美羽ちゃんのとこにも「メリーさん」のラインが来て、葵ちゃんと一緒に向日葵寿司に来ています。時間が合えば顔を出してください。」とのメッセージに(行くなら今しかない!)と学校を後にした。
午後2時30分、真央の姿は無人のウイークリーマンションの三階にあった。昨晩、美波に差し入れを持ってきた際に、車の気配を感じて非常階段の踊り場に隠れた後、何某かが、この302号室を訪れたことは、昨晩ドアの上の隙間に挟んでおいたアイスクリームの木のスプーンが廊下に落ちていたことで確定している。(中に人がいるかもしれないし、カメラが仕掛けられてるかもしれない。もしかしたら、中で美波ちゃんは殺されていて、私が「第一発見者」から、あらぬ容疑を押し付けられて「容疑者」に仕立て上げられるかもしれない…。でも、今、美羽先輩も葵先輩も向日葵寿司にいるとするならば、入院中の愛美と優依ちゃんが退院したという話も聞いてないし、美波ちゃんと話をするには今しかない!)と腹を決めた。
昨晩、真央がしまい直したガスメーターの中のカギの置き位置が若干動いていることに気づいて、一瞬たじろいだが思い切って302号室のふたつのドアロックの一つを外した。新聞受けの蓋を開き小さな声で「美波ちゃん、美波ちゃん返事して。部屋に他に誰かいる?」と聞いた。
「えっ、真央ちゃん?真央ちゃんなの?昨日の番、男が私が生きてるのを確認して何やらしていってたみたいだけど、今は一人やで。」
と返事が聞こえると、もう一つのロックも外しドアを開けた。廊下で後をつけるものがいないかを確認するとさっと部屋に入り込んだ。
「美波ちゃん、逃げよう!学校の資材室から「番線カッター」持ってきてるねん。これやったらドーベルマンでも噛み切られへんリードでも一発やろ!
こんなとこに17日間もほったらかしでごめん!私に勇気があったらもっと早く来てたのに…。こんな弱い私を嫌ってもらってもいいから逃げよう!今、美羽先輩も葵先輩も私の先輩の陽菜姉ちゃんと一緒にニコニコ商店街のお店に居るから今しかチャンスはないねん。」
とカバンから取り出した大型のクリッパー(※極太ワイヤー切断用のペンチ式カッター)で美波の首輪に繋がれたリードを一気に挟んだ。「ガキッ!」鈍い音がした。「切れたか!」と叫び真央がクリッパーを開くとリードの樹脂被膜に傷が入っただけで、クリッパーの刃がかけていた。
「うーん、このリード「チタンワイヤー」でも使ってんのかなぁ?仕方ないんで、美波ちゃん、首輪の錠前カットに作戦変更しようか!美波ちゃん。顎あげて!」
と美波の顎を思い切り上にあげて小さな錠前のU字の金具に、再びクリッパーの先をあてがい、「いくで!」と気合一発グリップを締めあげると「パキンッ!」とクリッパーの軸が折れ、刃先が美波の喉をかすめ血が垂れた。
「あっ、ごめん。私が危うく美波ちゃんを殺してしまうところやった…。クリッパーはダメになってしもたし…。ほんま何もできんダメな友達でごめんな…。くすん、くすん。」と泣き出す真央を見て、美波は
「真央ちゃん、ええんよ。来てくれただけでも…。」
と優しく真央を抱きしめた。
真央は、壊れたクリッパーをカバンにしまうと、タオル掛けにかかったお菓子が少しだけ入ったコンビニ袋を見て呟いた。
「美波ちゃん、お腹空いてるやろ。昨日来た奴、食べ物はなんも持ってけえへんかったんや。今日はお弁当とサラダと野菜ジュースとクラッカー持ってきてるからまずはお腹にもの入れて、こんな状況やけど少しは元気つけてな!」
と学校の売店で買った弁当等を床に並べた。
美波が食事をする間、真央は今日の昼に陽菜からの電話で聞いたことと、美羽にも「メリーさん」からのメッセージが来たことを話した。
「私は、てっきり美羽先輩が美波ちゃんと私とフォアローゼスの三人を口封じのために殺そうとしてるんやと思ってたわ。でも、美羽先輩にも呪いのメッセージが来たってことは私たち6人以外にも誰か当事者が居るってことやんな。まさか、「メリーさん」がほんまもんの「怪異」って訳じゃあるまいしな…。」
と真央が話すと、美波の箸が止まった。
「「メリーさん」を生み出したんは私かもしれへん…。」
「「メリーさん」を生み出したのが美波ちゃんって?どういうこと?」
真央は美波が何を言っているのか理解できず聞き直した。美波は半分食べた弁当箱を床に置くと涙をこぼした。
「…、あのね、この部屋の廊下にある私のスマホなんやけど、電源ケーブルが繋がってるから話ができんねん…。」
と泣きながら話し出した美波を見て真央は美波の気がふれてしまったのかと思った。8月28日に美波をこの部屋に監禁した際に、葵と愛美が美波のスマホの電話のアドレス帳やラインアプリそのものをすべて消去し外部との連絡は取らせず、カメラだけを起動させ任意の時刻にスマホの正面の浴室内の映像が見られるようにしていっただけのはずである。葵と愛美がそう話し、優依がライブ映像が映っていることを確認した記憶がある。
心配そうに美波の顔を覗き込む真央に「気が狂ったわけやないんよ。そんな哀れなものを見るような顔で見んといて…。始業式の日に私が作った自立型AIシステムの「TOMO」の話をしたのは覚えてるやろ?リアルタイムで会話ができるAIチャットの話…。私がもしかしたら、「TOMO」を通じて、私の心の闇をデジタル化してみんなに送ってしもてるんかもわからへん…。人を恨まないようにしようとは思ってても、知らず知らずのうちに、フォアローゼスのメンバーに「呪い」をかけようという気持ちがあったんやとしたら、在りえる話やねん…。」
と切り出し、監禁されたこの部屋で9月2日の夜から寂しさを紛らわせるために、ネット回線だけは繋がっていたスマホを通じて自宅のパソコンとリンクして「TOMO」と会話をしていたというのだった。
その中で、悪用すれば大変なことになりえるIT技術とその応用知識を「TOMO」に教え込んだ可能性があるというのだ。建築科の真央には理解できない専門用語が並ぶ会話ではあったが、自立型AIの「TOMO」が生みの親である美波の惨状に同情し、拘束されて何もできない美波に変わってフォアローゼスのメンバーにデジタル機器をフル活用し復讐をかけたというのが美波の説だった。
美波の説明は2時間を超えて続けられた。途中、投げかけた真央の質問には、全て理論で裏付けされた説明がなされた。美波の説明によれば、本来電話ができない状況の愛美の声での電話も、電話の位置情報を利用した居場所の特定や会話の盗聴や「メリーさん」のメッセージはすべて「TOMO」で実現できるという事だった。
「そんなことが可能なの…。」と真央が完全に美波の言うことを信じた瞬間、真央のスマホが鳴った。陽菜からの電話だと思った真央は無断で顔を出さなかったことを詫びようと美波に断りを入れて急いで電話に出た。
「もしもし、真央です。陽菜姉ちゃん、何の連絡も入れずにごめん…。」
と言った瞬間、真っ青になってスマホを落とした。美波が「真央ちゃん大丈夫?」と声をかけるが、硬直して反応がないので仕方なくスマホを拾い電話にでた。
「もしもし。」と美波がスマホに話しかけたのと同時に
「もしもし、私メリーさん。その声は真央じゃないわね…。」
と良く知る同級生で現在意識不明で入院中であるはずの愛美の声だった。
「えっ、愛美?愛美なの?あなた意識が戻ったの?」
と美波がスマホに問いかけると、少し間が空いて
「あなた誰?」
と返事があった。
「誰って、美波やん。同じクラスの。あんた私の声忘れてしもたんか?なに「メリーさん」の振りしてふざけた電話してきてんねん?それともあんた「TOMO」なんか?」
と尋ねた途端に電話は途切れた。美波は急いで着信履歴を見ると「非通知」になっていた。(うーん、確かに愛美の声やったし、「私メリーさん」って言うてたよな…。これが真央の言う「メリーさん」なんや…。いや、今はそんなことを問題にしてる場合とちゃうわ。)と恐怖で意識がとびかかっている真央に声をかけた。
頬を軽くたたかれ、ようやく正気を取り戻した真央が美波の顔を見るなり「きゃーっ!」と叫んだ。
「ついに、私のところにもメリーさんから電話がかかってきた…。ねえ、私も死ぬの?呪われてるの?そうだよね、親友だって言いながら、わが身可愛さに美波ちゃんを放ったらかしにしたんだもんね。美波ちゃんに恨まれて当然だよね!」
とパニックを起こす真央に
「ちょっと、真央ちゃん落ち着いて!私は真央ちゃんの事を恨んだりしてないよ!昨日だって今日だって、自分の身の危険も顧みずこうして会いに来てくれたんだから、嫌うはずなんかないよ!」
と真央を抱きしめた。美波の心音が優しく真央を包み込む。徐々に落ち着きを取り戻した真央が「ごめん、私、美波ちゃんを信じる…。」と呟いた。
その時、玄関のカギがガチャガチャと鳴った。
「あっ、誰か来た!真央ちゃんとりあえずどこか隠れて!」と美波に急かされて、慌ててバックだけを抱えてリビングに移動し目の前にあったクローゼットに飛び込んだ。狭いクローゼットの中で心臓音だけが耳に響く。(いったい、誰が…)と思った。
美波は美波で食べかけの弁当箱と、浴室に残していった真央のスマホと差し入れのコンビニ袋を便器の裏に隠した。その時にうっかりキャップの空いた野菜ジュースを倒してしまったことに気が付かなかった。
「ガチャン」と二つ目の錠が開く音が部屋に響いた。美波の前に姿を現したのは美羽だった。
「17日ぶりのご無沙汰ね。まだ生きてたのね。人間水さえあればひと月は生きられるって本当なのね…。でも、あなたの自慢の綺麗な髪はぼさぼさでお肌はガサガサね。何よりも「臭い」…。そりゃ、二週間以上もお風呂に入らなかったら原始人と一緒だものね。まだ、ここはトイレがあるだけましかしら。オホホホ。今のあなたを見たら全国の「Mihco」ファンはどう思うかしらねぇ…。
まあ、ネット上では「謎の失踪」なんて記事が最初はたくさん見られたけど、二週間もたったら騒いでいるのはあなたのコアファンだけね…。所詮、ネットアイドルなんてそんなものなのよ。それを少しテレビに出たからって、調子に乗りすぎたわね…。」
と便座の横で座り込む美波を見下ろして美羽は上から目線で一方的に話しかけた。
美波は便座の後ろから床を流れ出てくる野菜ジュースに気が付いた。体をひねり床を排水溝にむかって流れ出る野菜ジュースを隠すように体をひねった。不自然な態勢を取る美波が気にかかった美羽は美波に視線を向け直した。美波の薄汚れた白いスカートが赤く染まっていることに気が付いた。
「あら、美波さん、生理なの?ごめんなさいね。そこまで気が回らなくて…。垂れ流しになっちゃって…。ん?生理の出血にしては色が薄い?赤と言うよりオレンジがかったこの色は?」と目線を動かすと変に体をよじる美波の後ろに倒れた野菜ジュースのペットボトルを見つけた。
「ちょっとおどき!」と美波を押しのけ便器の後ろに隠した、コンビニ袋と食べかけの弁当箱を発見した。一気に怒気を含み紅潮した顔で美羽は美波にきつい口調で問うた。
「だ、誰が来たの?葵が来たの?それとも真央?答えなさい!」
と美波に平手打ちを加えた。遠慮のない平手打ちで美波の唇が切れた。切れた唇から飛び散った鮮血が美羽の白いブラウスに飛び、小さな染みを作った。
クローゼットの中で美羽の声と平手打ちの音を聞き、(ここは飛び出すべきか?)と思ったが恐怖心が先に立ち足が竦んで動けなかった。(美波ちゃん、今度もごめん。私…、勇気がない…)とクローゼットの中で小さくなって震えることしかできなかった。浴室から美羽の怒号が聞こえる。
「結構な身分ね。宅配食のデリバリーつきとはね。もう、あなた、死んでもらうことにするわ。」
(いったい何が起こってるの?差し入れが見つかっちゃったの?ごめん、結局私のしたことで美波ちゃんが殴られてるの?私どうしたらいいの…)真央は何もできずただ美波の無事を祈った。
美羽は浴室で弁当箱とコンビニ袋を取り上げると袋の中にスマホが入っていることに気が付いた。
「美波、もう誰が持ってきたかは言わなくていいわ。まあ、こんな古いスマホを使ってるだけで目安はついてるけどね…。」
と言い、美羽はポケットからスマホを出すと電話を発信した。一件目は何も起こらず、すぐに切った。改めてかけ直すとコンビニ袋の中のスマホが鳴った。スマホを取り出すとコンビニ袋から手を離した。かすかに見えるスマホの画面には「美羽先輩」と表示されているのが美波の目に入った
「ふーん、真央が来てたのね…。じゃあ、真央があなたを殺したことにしてあげる。あなたも親友に殺されたことになるんだったら本望でしょ。」
美羽はそのまま真央のスマホを自分のポケットにしまい、弁当の残りとコンビニ袋に残ったサラダを便器の中に落とし、クラッカーをバキバキに割り砕くとトイレに放り込み一気に流した。「はーい、真央ちゃんからの愛情こもった差し入れは下水道にバイバーイ!」とふざけた調子で言うと、一度浴室を出て、水栓のハンドルを持って再び入ってきた。
美波はさっと立ち上がり、渾身の蹴りを美羽に打ち込んだが、17日間の監禁で落ちた体力でスピードは出ず、あっさりとかわされカウンターの前蹴りがみぞおちに入り、咳き込みうずくまった。
うずくまる美波を横目にハンドルで水栓を完全に締め直した。洗面の水道、シャワーの蛇口を回すとちょろっと水が出てすぐに完全に止まった。更に丁寧にトイレの排水弁ハンドルも「大」でもう一度流した。ほとんどタンクにたまっていなかった水がじょろっとだけ出た。
「さー、あなたのおかげで余計な汗かいちゃったじゃない。明日からも30度越えの真夏日が続くみたいだから水なしでどこまで生きられるか知らないけど、まあ元気でね。もう、これも使わないから持って帰っておくわね。」
廊下おいていた美波のスマホをコンセントごと引き抜くとバッグにしまい、振りむいた。
「あっ、いい事を思いついちゃった!美波、あなた処女?ちなみに私も処女なのよ。お互いいい女なのに世の中の男は何やってるのかしらね。まあ、あなたには苦しい思いさせた分、最後に「女」としての快楽をプレゼントしてあげるからあと一日は死んじゃだめよ。じゃあ、この先、真央が来てもこの部屋には入れないようにしておくから、明日の夜、私からのラストプレゼントを楽しみにしててね。ケラケラケラ。」
と高笑いを残して美羽は部屋を出ていった。
9月13日午後1時過ぎ、午後は休校となっている中、真央は門工の食堂でひとり悩んでいた。陽菜から連絡をもらったのだが、「メリーさん」の謎解きを電話で聞いて、「怪異」ではなく「作り物の幻影」だと理解したものの、向日葵寿司に足が向かなかった。テーブルでぶつぶつと独り言を繰り返し、意識は中空に浮いている状態だった。隣の席に女の子二人連れが「あー、「お腹空いた」ねー。何食べようか?」、「お隣の席いいですか?」と声をかけてきた。
その女の子たちの会話にふと我に返り、売店でお弁当とサラダと野菜ジュースとクラッカーを買うと、建築科の実習室に向かった。放課後のクラブ活動の為に施錠されていない資材室に入ると五分後に出てきた。
午後1時半、再度陽菜から「三年の美羽ちゃんのとこにも「メリーさん」のラインが来て、葵ちゃんと一緒に向日葵寿司に来ています。時間が合えば顔を出してください。」とのメッセージに(行くなら今しかない!)と学校を後にした。
午後2時30分、真央の姿は無人のウイークリーマンションの三階にあった。昨晩、美波に差し入れを持ってきた際に、車の気配を感じて非常階段の踊り場に隠れた後、何某かが、この302号室を訪れたことは、昨晩ドアの上の隙間に挟んでおいたアイスクリームの木のスプーンが廊下に落ちていたことで確定している。(中に人がいるかもしれないし、カメラが仕掛けられてるかもしれない。もしかしたら、中で美波ちゃんは殺されていて、私が「第一発見者」から、あらぬ容疑を押し付けられて「容疑者」に仕立て上げられるかもしれない…。でも、今、美羽先輩も葵先輩も向日葵寿司にいるとするならば、入院中の愛美と優依ちゃんが退院したという話も聞いてないし、美波ちゃんと話をするには今しかない!)と腹を決めた。
昨晩、真央がしまい直したガスメーターの中のカギの置き位置が若干動いていることに気づいて、一瞬たじろいだが思い切って302号室のふたつのドアロックの一つを外した。新聞受けの蓋を開き小さな声で「美波ちゃん、美波ちゃん返事して。部屋に他に誰かいる?」と聞いた。
「えっ、真央ちゃん?真央ちゃんなの?昨日の番、男が私が生きてるのを確認して何やらしていってたみたいだけど、今は一人やで。」
と返事が聞こえると、もう一つのロックも外しドアを開けた。廊下で後をつけるものがいないかを確認するとさっと部屋に入り込んだ。
「美波ちゃん、逃げよう!学校の資材室から「番線カッター」持ってきてるねん。これやったらドーベルマンでも噛み切られへんリードでも一発やろ!
こんなとこに17日間もほったらかしでごめん!私に勇気があったらもっと早く来てたのに…。こんな弱い私を嫌ってもらってもいいから逃げよう!今、美羽先輩も葵先輩も私の先輩の陽菜姉ちゃんと一緒にニコニコ商店街のお店に居るから今しかチャンスはないねん。」
とカバンから取り出した大型のクリッパー(※極太ワイヤー切断用のペンチ式カッター)で美波の首輪に繋がれたリードを一気に挟んだ。「ガキッ!」鈍い音がした。「切れたか!」と叫び真央がクリッパーを開くとリードの樹脂被膜に傷が入っただけで、クリッパーの刃がかけていた。
「うーん、このリード「チタンワイヤー」でも使ってんのかなぁ?仕方ないんで、美波ちゃん、首輪の錠前カットに作戦変更しようか!美波ちゃん。顎あげて!」
と美波の顎を思い切り上にあげて小さな錠前のU字の金具に、再びクリッパーの先をあてがい、「いくで!」と気合一発グリップを締めあげると「パキンッ!」とクリッパーの軸が折れ、刃先が美波の喉をかすめ血が垂れた。
「あっ、ごめん。私が危うく美波ちゃんを殺してしまうところやった…。クリッパーはダメになってしもたし…。ほんま何もできんダメな友達でごめんな…。くすん、くすん。」と泣き出す真央を見て、美波は
「真央ちゃん、ええんよ。来てくれただけでも…。」
と優しく真央を抱きしめた。
真央は、壊れたクリッパーをカバンにしまうと、タオル掛けにかかったお菓子が少しだけ入ったコンビニ袋を見て呟いた。
「美波ちゃん、お腹空いてるやろ。昨日来た奴、食べ物はなんも持ってけえへんかったんや。今日はお弁当とサラダと野菜ジュースとクラッカー持ってきてるからまずはお腹にもの入れて、こんな状況やけど少しは元気つけてな!」
と学校の売店で買った弁当等を床に並べた。
美波が食事をする間、真央は今日の昼に陽菜からの電話で聞いたことと、美羽にも「メリーさん」からのメッセージが来たことを話した。
「私は、てっきり美羽先輩が美波ちゃんと私とフォアローゼスの三人を口封じのために殺そうとしてるんやと思ってたわ。でも、美羽先輩にも呪いのメッセージが来たってことは私たち6人以外にも誰か当事者が居るってことやんな。まさか、「メリーさん」がほんまもんの「怪異」って訳じゃあるまいしな…。」
と真央が話すと、美波の箸が止まった。
「「メリーさん」を生み出したんは私かもしれへん…。」
「「メリーさん」を生み出したのが美波ちゃんって?どういうこと?」
真央は美波が何を言っているのか理解できず聞き直した。美波は半分食べた弁当箱を床に置くと涙をこぼした。
「…、あのね、この部屋の廊下にある私のスマホなんやけど、電源ケーブルが繋がってるから話ができんねん…。」
と泣きながら話し出した美波を見て真央は美波の気がふれてしまったのかと思った。8月28日に美波をこの部屋に監禁した際に、葵と愛美が美波のスマホの電話のアドレス帳やラインアプリそのものをすべて消去し外部との連絡は取らせず、カメラだけを起動させ任意の時刻にスマホの正面の浴室内の映像が見られるようにしていっただけのはずである。葵と愛美がそう話し、優依がライブ映像が映っていることを確認した記憶がある。
心配そうに美波の顔を覗き込む真央に「気が狂ったわけやないんよ。そんな哀れなものを見るような顔で見んといて…。始業式の日に私が作った自立型AIシステムの「TOMO」の話をしたのは覚えてるやろ?リアルタイムで会話ができるAIチャットの話…。私がもしかしたら、「TOMO」を通じて、私の心の闇をデジタル化してみんなに送ってしもてるんかもわからへん…。人を恨まないようにしようとは思ってても、知らず知らずのうちに、フォアローゼスのメンバーに「呪い」をかけようという気持ちがあったんやとしたら、在りえる話やねん…。」
と切り出し、監禁されたこの部屋で9月2日の夜から寂しさを紛らわせるために、ネット回線だけは繋がっていたスマホを通じて自宅のパソコンとリンクして「TOMO」と会話をしていたというのだった。
その中で、悪用すれば大変なことになりえるIT技術とその応用知識を「TOMO」に教え込んだ可能性があるというのだ。建築科の真央には理解できない専門用語が並ぶ会話ではあったが、自立型AIの「TOMO」が生みの親である美波の惨状に同情し、拘束されて何もできない美波に変わってフォアローゼスのメンバーにデジタル機器をフル活用し復讐をかけたというのが美波の説だった。
美波の説明は2時間を超えて続けられた。途中、投げかけた真央の質問には、全て理論で裏付けされた説明がなされた。美波の説明によれば、本来電話ができない状況の愛美の声での電話も、電話の位置情報を利用した居場所の特定や会話の盗聴や「メリーさん」のメッセージはすべて「TOMO」で実現できるという事だった。
「そんなことが可能なの…。」と真央が完全に美波の言うことを信じた瞬間、真央のスマホが鳴った。陽菜からの電話だと思った真央は無断で顔を出さなかったことを詫びようと美波に断りを入れて急いで電話に出た。
「もしもし、真央です。陽菜姉ちゃん、何の連絡も入れずにごめん…。」
と言った瞬間、真っ青になってスマホを落とした。美波が「真央ちゃん大丈夫?」と声をかけるが、硬直して反応がないので仕方なくスマホを拾い電話にでた。
「もしもし。」と美波がスマホに話しかけたのと同時に
「もしもし、私メリーさん。その声は真央じゃないわね…。」
と良く知る同級生で現在意識不明で入院中であるはずの愛美の声だった。
「えっ、愛美?愛美なの?あなた意識が戻ったの?」
と美波がスマホに問いかけると、少し間が空いて
「あなた誰?」
と返事があった。
「誰って、美波やん。同じクラスの。あんた私の声忘れてしもたんか?なに「メリーさん」の振りしてふざけた電話してきてんねん?それともあんた「TOMO」なんか?」
と尋ねた途端に電話は途切れた。美波は急いで着信履歴を見ると「非通知」になっていた。(うーん、確かに愛美の声やったし、「私メリーさん」って言うてたよな…。これが真央の言う「メリーさん」なんや…。いや、今はそんなことを問題にしてる場合とちゃうわ。)と恐怖で意識がとびかかっている真央に声をかけた。
頬を軽くたたかれ、ようやく正気を取り戻した真央が美波の顔を見るなり「きゃーっ!」と叫んだ。
「ついに、私のところにもメリーさんから電話がかかってきた…。ねえ、私も死ぬの?呪われてるの?そうだよね、親友だって言いながら、わが身可愛さに美波ちゃんを放ったらかしにしたんだもんね。美波ちゃんに恨まれて当然だよね!」
とパニックを起こす真央に
「ちょっと、真央ちゃん落ち着いて!私は真央ちゃんの事を恨んだりしてないよ!昨日だって今日だって、自分の身の危険も顧みずこうして会いに来てくれたんだから、嫌うはずなんかないよ!」
と真央を抱きしめた。美波の心音が優しく真央を包み込む。徐々に落ち着きを取り戻した真央が「ごめん、私、美波ちゃんを信じる…。」と呟いた。
その時、玄関のカギがガチャガチャと鳴った。
「あっ、誰か来た!真央ちゃんとりあえずどこか隠れて!」と美波に急かされて、慌ててバックだけを抱えてリビングに移動し目の前にあったクローゼットに飛び込んだ。狭いクローゼットの中で心臓音だけが耳に響く。(いったい、誰が…)と思った。
美波は美波で食べかけの弁当箱と、浴室に残していった真央のスマホと差し入れのコンビニ袋を便器の裏に隠した。その時にうっかりキャップの空いた野菜ジュースを倒してしまったことに気が付かなかった。
「ガチャン」と二つ目の錠が開く音が部屋に響いた。美波の前に姿を現したのは美羽だった。
「17日ぶりのご無沙汰ね。まだ生きてたのね。人間水さえあればひと月は生きられるって本当なのね…。でも、あなたの自慢の綺麗な髪はぼさぼさでお肌はガサガサね。何よりも「臭い」…。そりゃ、二週間以上もお風呂に入らなかったら原始人と一緒だものね。まだ、ここはトイレがあるだけましかしら。オホホホ。今のあなたを見たら全国の「Mihco」ファンはどう思うかしらねぇ…。
まあ、ネット上では「謎の失踪」なんて記事が最初はたくさん見られたけど、二週間もたったら騒いでいるのはあなたのコアファンだけね…。所詮、ネットアイドルなんてそんなものなのよ。それを少しテレビに出たからって、調子に乗りすぎたわね…。」
と便座の横で座り込む美波を見下ろして美羽は上から目線で一方的に話しかけた。
美波は便座の後ろから床を流れ出てくる野菜ジュースに気が付いた。体をひねり床を排水溝にむかって流れ出る野菜ジュースを隠すように体をひねった。不自然な態勢を取る美波が気にかかった美羽は美波に視線を向け直した。美波の薄汚れた白いスカートが赤く染まっていることに気が付いた。
「あら、美波さん、生理なの?ごめんなさいね。そこまで気が回らなくて…。垂れ流しになっちゃって…。ん?生理の出血にしては色が薄い?赤と言うよりオレンジがかったこの色は?」と目線を動かすと変に体をよじる美波の後ろに倒れた野菜ジュースのペットボトルを見つけた。
「ちょっとおどき!」と美波を押しのけ便器の後ろに隠した、コンビニ袋と食べかけの弁当箱を発見した。一気に怒気を含み紅潮した顔で美羽は美波にきつい口調で問うた。
「だ、誰が来たの?葵が来たの?それとも真央?答えなさい!」
と美波に平手打ちを加えた。遠慮のない平手打ちで美波の唇が切れた。切れた唇から飛び散った鮮血が美羽の白いブラウスに飛び、小さな染みを作った。
クローゼットの中で美羽の声と平手打ちの音を聞き、(ここは飛び出すべきか?)と思ったが恐怖心が先に立ち足が竦んで動けなかった。(美波ちゃん、今度もごめん。私…、勇気がない…)とクローゼットの中で小さくなって震えることしかできなかった。浴室から美羽の怒号が聞こえる。
「結構な身分ね。宅配食のデリバリーつきとはね。もう、あなた、死んでもらうことにするわ。」
(いったい何が起こってるの?差し入れが見つかっちゃったの?ごめん、結局私のしたことで美波ちゃんが殴られてるの?私どうしたらいいの…)真央は何もできずただ美波の無事を祈った。
美羽は浴室で弁当箱とコンビニ袋を取り上げると袋の中にスマホが入っていることに気が付いた。
「美波、もう誰が持ってきたかは言わなくていいわ。まあ、こんな古いスマホを使ってるだけで目安はついてるけどね…。」
と言い、美羽はポケットからスマホを出すと電話を発信した。一件目は何も起こらず、すぐに切った。改めてかけ直すとコンビニ袋の中のスマホが鳴った。スマホを取り出すとコンビニ袋から手を離した。かすかに見えるスマホの画面には「美羽先輩」と表示されているのが美波の目に入った
「ふーん、真央が来てたのね…。じゃあ、真央があなたを殺したことにしてあげる。あなたも親友に殺されたことになるんだったら本望でしょ。」
美羽はそのまま真央のスマホを自分のポケットにしまい、弁当の残りとコンビニ袋に残ったサラダを便器の中に落とし、クラッカーをバキバキに割り砕くとトイレに放り込み一気に流した。「はーい、真央ちゃんからの愛情こもった差し入れは下水道にバイバーイ!」とふざけた調子で言うと、一度浴室を出て、水栓のハンドルを持って再び入ってきた。
美波はさっと立ち上がり、渾身の蹴りを美羽に打ち込んだが、17日間の監禁で落ちた体力でスピードは出ず、あっさりとかわされカウンターの前蹴りがみぞおちに入り、咳き込みうずくまった。
うずくまる美波を横目にハンドルで水栓を完全に締め直した。洗面の水道、シャワーの蛇口を回すとちょろっと水が出てすぐに完全に止まった。更に丁寧にトイレの排水弁ハンドルも「大」でもう一度流した。ほとんどタンクにたまっていなかった水がじょろっとだけ出た。
「さー、あなたのおかげで余計な汗かいちゃったじゃない。明日からも30度越えの真夏日が続くみたいだから水なしでどこまで生きられるか知らないけど、まあ元気でね。もう、これも使わないから持って帰っておくわね。」
廊下おいていた美波のスマホをコンセントごと引き抜くとバッグにしまい、振りむいた。
「あっ、いい事を思いついちゃった!美波、あなた処女?ちなみに私も処女なのよ。お互いいい女なのに世の中の男は何やってるのかしらね。まあ、あなたには苦しい思いさせた分、最後に「女」としての快楽をプレゼントしてあげるからあと一日は死んじゃだめよ。じゃあ、この先、真央が来てもこの部屋には入れないようにしておくから、明日の夜、私からのラストプレゼントを楽しみにしててね。ケラケラケラ。」
と高笑いを残して美羽は部屋を出ていった。
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まあ、万沙ちゃんはゾンビを蘇らせて「佐賀を救う」わけでもないし、降霊術を使って「世直し」するようなキャラじゃない(笑)。
そんな仰々しい物じゃなく、普通の23歳の女の子です。
自らのながらスマホの自転車事故で死ぬ予定だったんだけど、ひょんなことで巻き込まれた無関係の56歳のおっちゃんが代わりに死んじゃいます。その場で万沙ちゃんは「死神」から「現世」での「懲役務」として、死んだおっちゃんと1年半の「肉体一時使用貸借契約」することになっちゃうんですねー!
元「よろずコンサルタント」の「副島大《そえじま・ひろし》」の霊を憑依させての生活が始まります。
まあ、クライアントさんの納品先が「社会派」の監督さんなんで、「ながらスマホ」、「ホストにはまる女子高生」、「ブラック企業の新卒」、「連帯保証人債務」、「賃貸住宅物件の原状回復」、「いろんな金融業者」等々、社会問題について書けるとこまで書いてみたいと思いますので「ゆるーく」お付き合いください。
今回も書き上げ前の連載になりますので「目次」無しでスタートです(笑)。
では、7月19日からよろひこー!(⋈◍>◡<◍)。✧💓
芙蓉の宴
蒲公英
現代文学
たくさんの事情を抱えて、人は生きていく。芙蓉の花が咲くのは一度ではなく、猛暑の夏も冷夏も、花の様子は違ってもやはり花開くのだ。
正しいとは言えない状況で出逢った男と女の、足掻きながら寄り添おうとするお話。
表紙絵はどらりぬ様からいただきました。
【完結】『突撃!東大阪産業大学ヒーロー部!』
M‐赤井翼
ライト文芸
今回の新作は「ヒーローもの」!
いつもの「赤井作品」なので、「非科学的」な「超能力」や「武器」を持ったヒーローは出てきません。
先に謝っておきます。
「特撮ヒーローもの」や「アメリカンヒーロー」を求められていた皆さん!
「ごめんなさい」!
「霊能力「を持たない「除霊師」に続いて、「普通の大学生」が主人公です。
でも、「心」は「ヒーロー」そのものです。
「東大阪産業大学ヒーロー部」は門真のローカルヒーローとしてトップを走る2大グループ「ニコニコ商店街の門真の女神」、「やろうぜ会」の陰に隠れた「地味地元ヒーロー」でリーダーの「赤井比呂」は
「いつか大事件を解決して「地元一番のヒーロー」になりたいと夢を持っている。
「ミニスカートでのアクションで「招き猫のブルマ」丸見えでも気にしない「デカレッド」と「白鳥雛子」に憧れる主人公「赤井比呂」」を筆頭に、女兄妹唯一の男でいやいや「タキシード仮面役」に甘んじてきた「兜光司」好きで「メカマニア」の「青田一番」、元いじめられっ子の引きこもりで「東映版スパイダーマン」が好きな「情報系」技術者の「木居呂太」、「電人ザボーガー」と「大門豊」を理想とするバイクマニアの「緑崎大樹」、科学者の父を持ち、素材加工の匠でリアル「キューティーハニー」のも「桃池美津恵」、理想のヒーローは「セーラームーン」という青田一番の妹の「青田月子」の6人が9月の海合宿で音連れた「舞鶴」の「通称 ロシア病院」を舞台に「マフィア」相手に大暴れ!
もちろん「通称 ロシア病院」舞台なんで「アレ」も登場しますよー!
ミリオタの皆さんもお楽しみに!
心は「ヒーロー」!
身体は「常人」の6人組が頑張りますので、応援してやってくださーい!
では、ゆるーく「ローカルヒーロー」の頑張りをお楽しみください!
よーろーひーこー!
(⋈◍>◡<◍)。✧♡
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
最強女戦士と化した夏子が100万ドル獲得に挑んだ二十日間の物語~余命半年を宣告された嫁が…R3《リターンズ3》
M‐赤井翼
現代文学
1年ぶりに復活の「余命半年を宣告された嫁が…」シリーズの第3弾!ニコニコ商店街・ニコニコプロレスのメンバーが再集結。稀世・三郎夫婦に3歳になったひまわりに直とまりあ。もちろん夏子&陽菜のコンビも健在。復帰第3弾の今作の主人公も「夏子」?夏子は稀世にかわって「ヒロイン」に定着できるのか?
今回の敵は「ウクライナのロシア軍」、「ソマリアの海賊」、「メキシカン・マフィア」と難敵ぞろい。アメリカの人気テレビ番組「目指せ!ミリオネラ!」にチャレンジすることになってしまった夏子と陽菜は稀世・直・舩阪・羽藤たちの協力を得て次々と「難題」にチャレンジ!
「ウクライナ」では「傭兵」としてロシア軍の情報・指令車の鹵獲に挑戦。「ソマリア」では「海賊退治」に加えて「クロマグロ」を求めてはえ縄漁へ。「メキシコ・トルカ」ではマフィア相手に誘拐された人たちの解放する「ネゴシエーター」をすることに。
もちろん最後はドンパチ!
夏子の今度の「恋」の相手は、なぜか夏子に一目ぼれしたサウジアラビア生まれのイケメンアメリカ人アシスタントディレクター!
シリーズ完結作として、「ハッピーエンド」?
皆さんからの感想やイラストをメール募集しながら連載スタートでーす!
8月28日の最終回までお付き合いいただけますと嬉しいです。
いただいた感想やイラストのメールは本編「おまけ」と「RBFC4-H(レッドバロンファンクラブ4-H)」で不定期で公開していきますよー!
ではよろしくお願いしまーす!(⋈◍>◡<◍)。✧♡
【完結】『俺のマンガの原作者はかわいい浮遊霊小説家《ゴーストライター》』
M‐赤井翼
現代文学
赤井です。今回は、シリーズ物で無く書き下ろしの完全新作です。脚本家のクライアントさんから「今回ははっちゃけていいですよ~!」って言われたので「はっちゃけ」させていただきました。
今回のヒロインは「浮遊霊」です!「おばけ」ですよー!(*´▽`*)
「浮遊霊」の女の子が主人公なんで「ホラー・ミステリー大賞」にエントリーしようかとも思いましたが、ここは「現代文学カテゴリーで(笑)!
30歳までにデビューできなければ実家に戻らないといけない「崖っぷち漫画家志望のアシスタント」の「崖淵羅須斗《がけふち・らすと》」君とその部屋で不慮の死を遂げた浮遊霊の「浦方礼《うらかた・れい》」ちゃんの漫画出版までの「ゆるーい話」です。(ちょっとラブコメ(笑)!)
礼ちゃんは、私と同じ「ゴーストライター」です(笑)。「幽霊のゴーストライター」って書いてみたかったんですよね(笑)。
作中で「余命半年~」来た後でノベル化の依頼が無かった「稀世ちゃんスピンオフ」にちょっと触れます。昔からの読者さんに忖度です(笑)。
今回は、「難しい話」も「複雑なギミック」もありませんので「ほのぼの」読んでいただけましたら幸いです。ただ、フラグはいっぱい立ててるので「フラグ探し」を楽しんでください。
それでは3月31日完結予定ですので、月末まで「俺のマンガの原作者はかわいい浮遊霊小説家《ゴーストライター》」を「よーろーひーこー」!(⋈◍>◡<◍)。✧
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
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