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「模索編」
「春田美羽《はるたみう》」
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「春田美羽」
陽菜は夏子と連絡を取り合い、今日のランチも向日葵寿司で集合という事にした。おそらく来るであろう直と興味を持って首を突っ込んでくる稀世の分も資料をプリントアウトした。朝、8時半に葵に電話を入れ、昨晩の暴言を詫びた。腰低く、詫びる陽菜に恐縮したのか、葵の態度は一気に軟化した。葵は少なくとも愛美の入院する病院には電話を入れていないことが分かった。
陽菜は少し心がとがめたが、愛美の母親を名を騙り、愛美が飛び降りた9月9日午前8時以降に愛美の入院状況に関する問い合わせの電話連絡について確認した。すると、9日出勤の医療事務課の職員から意外な返事があった。
「お問い合わせのお電話はご主人じゃないんですか?男の人でしたよ。確か、お昼休みの後でしたから、午後1時以降だったと思うんですけど、「愛美さんの父です」と言って、容体を確認されましたけど。」
と言われ、疑問点が増えた。(えっ、今まで「男」は出てけえへんかったよな…。うーん、ここでまた新キャラの登場か?)陽菜は頭を悩ませたが、ランチタイムまでに何の仮説も出てこなかった。
午前10時50分、おそらく開店前にいろいろと聞きたいことがあるであろう稀世のために少し早めに陽菜は向日葵寿司に入った。予想通り、稀世は直を先に呼んで待っていた。「なっちゃんが来てから話は始めるわな。」と言ったが、稀世に急かされ、先にプリントを稀世と直に手渡した。
「ふーん、よくまとまってるやん。今の問題点は、「本人でない本人の声からの電話」と病院にかかってきたっていう「男」の電話やな。
「裏アカ」も誰かひとり確定すると、次々と「ピース」がはまり込む気がするけど、最初の一つがわからへんねんな…。」
と稀世は持ち前の直感で事態を理解して、夏子と陽菜に尋ねた。
「ところでなっちゃんと陽菜ちゃんは「mabudachi」と「kare」って使って見たことあんの?結局は、自殺未遂者の共通点は、その二つのヒットアプリとクローンとスパイアプリの四つが揃って初めて「メリーさん」が出るってことやないの?まずは葵ちゃんにその四つが入ってるか確認してみたら?」
陽菜は葵に電話をして、葵のスマホに「mabudachi」と「kare」がインストールしていることを確認した。「Dr.FONE」については、愛美から「個人情報を護るアプリだから入れといたほうがいいらしいですよ。」と勧められてインストールしたとのことだった。一度電話を切り、ストレージのアプリ情報を見てもらったところ「mSpy」は知らないうちにインストールされていたとのことだった。それを知った稀世は
「おそらく、「mSpy」で三人の動向を探って、「Dr.FONE」でメリーさんを装ってラインやメールを入れてたってことやな。後は、かけられるはずのない人の声でかけてきたっていう電話やな…。」
と呟いたとき、夏子が声をあげた。
「稀世姉さん、これや!「kare」の音声合成装置や!今、いろいろ試してみたんやけど、「アイドルの伊集院拓海君みたいな声」って「kare」を設定したら、そのまんまの声で話しよる!「私の物まねしてみて!」って言ったら、私の声でしゃべりよんねん。これで愛美ちゃんや葵ちゃんの声を作ったんとちゃうか?」
夏子の発見で一気に事が進むように思えたが、確信には至らなかった。一方的に話すだけなら音声合成技術で可能なのだろうが会話となるとそうはいかない。そこで再度、葵に愛美からの電話がどうだったかを確認したが記憶があいまいではっきりとはわからなかった。夏子が悠斗に技術的な部分を確認するがどうも歯切れが悪い。
「悠斗君、どないしたん?VRゲームでもAIが会話してるんやろ?その技術を使えば自由に話せるんとちゃうの?」
と夏子が突っ込むと、「僕はストーリーと画像担当なので、そこらへんはどうも…・と言ったきり黙り込んでしまった。
ずっと陽菜がまとめてプリントした優依の裏アカウントの愛美との交信記録を読んでいた直が
「わしはSNSいうのはようわからんのやけど優依ちゃんからのメッセージで「金柑」と「地羅」って言葉が何回か出てくるんやけど、どうも文脈にそぐわへんねんけどなんや?この文字が出てくるときに、例の「28」いうのも出てくるわな。あと「DM」って人のイニシャルか?何か「聞く」とか「尋ねる」って言葉に繋がる感じがするんやけど…。」
と呟いた。
陽菜と夏子は稀世と一緒にそのページを読み返した。
「「金柑」や「地羅」の「錠剤」ってどうなんのか「DM」に聞いてみるわ?ってあるわな…。「金柑」の「錠剤」って、タブレット菓子みたいなもんか?それにしたら「地羅」って言葉は聞いたことが無いよな。イニシャルは「DM」に該当する人物も思いつけへんけど、優依ちゃんはやたら「DM」を頼ってるよな。うーん、私らの時にはやった「ちょべりば」とか「ちょばぶー」みたいな略号か、今のJK用語かなんかか?さすがに卒業して11年の平成JKやった私にはピンとくるもんが無いなぁ…。」
と稀世が言うと、陽菜が真顔で尋ねた。
「「ちょべりば」と「ちょばぶー」ってなんですか?」
稀世は、(5歳違いでも伝われへんのか…。そりゃ年を取るわけやわ…。)と思いながら、
「「ちょべりば」は「超ベリーバッド」。「ちょばぶー」は「超バッドブルー」の略やな。私らの中学のころからしばらくは使ってたんやけど、今は聞くことあれへんもんな。陽菜ちゃんもなっちゃんもニコニコプロレスに入ったころよく「ぴえん」とか言うてたやろ?そんな感じのJK用語とちゃうんかな?」
と聞くと、陽菜が何か気づいたようにスマホをいじりだした。
しばらくググると「大阪JKなんちゃって業界人」というページがあった。バブル期の東京のテレビ局の業界くんが、「銀座」を「ザギン」と言ったり「寿司」を「しーすー」と逆さまにした言葉をもじって隠語にするものという事だった。
その中で陽菜は「引きマンの錠剤は?」と言う言葉を思い出したのだ。リサイクルショップニコニコでコスメ商品の万引きをした13歳の女子中学生を捕まえた時に、
「おばさーん、私ら中一やから「引きマン」の「錠剤」は「動詞」ですむから「殺系」呼んでも無駄やで!」
と「おばさん」扱いに加えて、訳の分からないことを言われカチンと来て、軽くしばいて、説明させたことがあったというのだ。
「「引きマン」は「万引き」。「錠剤」は「罪状」。「動詞」は「指導」。「殺系」は「警察」と逆に言うんやったら…」
とノートに「金柑」、「錠剤」、「DM」と書き込むと最初に「錠剤」の横に「罪状」と書き、スマホのメモアプリで「かんきん」と打ち、ノートの「金柑」の文字の横に変換予測の熟語を書き連ねた。「換金」、「官金」、「監禁」と書き込み「監禁」に丸を付けた。
「地羅」の横に「裸地」、「埒」と書き込んだ後「これや!」と叫んで「拉致」と書き込んだ。
「なっちゃん、稀世姉さん、直さん、見てや!「監禁と拉致の罪状はどうなのか「MD」に聞いてみるわ?」やわ!
「あー、そういえば門工の一年生がうちに来た時も「しーすーのランチ」って言うてたな。それは陽菜ちゃんの推理が当たってるとするならば、彼女らが相談するっていうたら…。」
「あっ、陽菜ちゃん、稀世姉さん!「MD」は「mabudachi」やな!人名は「短縮」系なんや!愛美ちゃんと優依ちゃんは「mabudachi」と「kare」のユーザーやったから、きっと「mabudachi」に相談してたんや!」
陽菜の発見に夏子が即反応した。
夏子は即、「mabudachi」に「女子高校生です。友達を拉致監禁した場合どんな罪状になりますか?」と入力した。すると2秒後に「mabudachi」からの回答が来た。
「拉致・監禁の被害者が成人の場合であれば、営利目的や人質目的等があった場合にのみ処罰は限定されますが、未成年の場合は目的のいかんにより処罰されます。処罰内容は「3か月以上7年以下の懲役です。被害者が慰謝料等の民事裁判を起こした場合には、まず執行猶予が付くことはありません。仮に「民事で和解」したとしても不起訴はあり得ません。今の状態で拉致監禁状態から開放して自首したとしても必然的に「NATSUKO」さんは、刑事裁判で高い確率で有罪判決を受けることになります。仮に被害者が死亡した場合には間違いなく長期実刑を受けることになるでしょう。何があったのか知りませんが、安易に「拉致監禁」などしないようにしましょう。しかし、どうしても「それ」を考えるのであれば別途相談承ります。」
「mabudachi」からの返答を読み上げると直が憤慨した。
「なんやこれ!最初は丁寧に対応してるように見せかけて最後はなんやねん。「どうしても「それ」を考えるのであれば別途相談承ります。」やとー!けったくそ悪い!夏子、そんなもん消してしまえ!」
その言葉を陽菜が遮った。直を抑えつつ陽菜は夏子に
「なっちゃん、「mabudachi」に続けて、拉致の実行方法について再度問いかけて!」
と言うと、夏子は「どうしても許せないやつがいます。拉致監禁の最善方法を教えてください。」と入力した。 すると2秒後にとんでもない返事が来た。
その内容は、「殺意の否認」の逃げ道に始まり、「完全犯罪」を行う為の手法に、グループで実行する際の「秘密共有」の方法から仲間の「口封じ」の仕方まで事細かに書かれていた。
その内容に稀世たちは驚愕した。その中で悠斗は、夏子に「ちょっと出かけます。夕方には帰りますので。」と言い残すと走って向日葵寿司を飛び出していった。
夏子も店を飛び出て悠斗を追ったが、駅の方に走り去る悠斗には追い付けずすぐに見失ってしまった。(あの慌てようっていったいなんやろ?なんか、さっきから様子がおかしかったから、気になるなぁ…。)と思い、「時間できたら電話ください。」とラインにメッセージを残した。
夏子が向日葵寿司に戻ると、陽菜が葵と真央に電話をして事の次第を伝えてすぐに向日葵寿司に来るように要請した。葵は30分後に来て、自らスマホを陽菜に手渡し、「mabudachi」や「Dr.FONE」がダウンロードされていることを確認した。
さらに、夏子がアドレス帳を確認した。そこで、今朝、悠斗と謎解きをした「メリーさん」からの着信ギミックも仕掛けられていることが分かった。夏子は「メリーさん」で着信する電話番号を突き止めた。その番号は、葵のアドレス帳のトップに登録されていたが、相手番号の呼び出し検索で「めりーさん」や「メリーさん」と入れても出てこないことも分かった。しかもその電話番号は愛美の名前での着信番号と一致していることも判明した。そして、それらの番号は愛美と優依のスマホにもトップに登録されていた。
「なっちゃん、これってどういうことなん?」
と稀世が首をかしげて質問をすると
「アドレス帳の検索順位ってフリガナ欄で決まるんやけど、「記号・数字」、そして「日本語文字」最後に「英語」表記の順に並ぶんよ。だから、氏名に「メリーさん」と入れて「読み仮名」に「.」だけ入れておくと全体名簿の最上位に表記名「メリーさん」、読み方「.」が入るんで、いくら「メリーさん」や「めりーさん」って検索をかけても表記されへんねんな。「mSpy」でアドレス帳に書き加えたら、「メリーさん」からの着信回線の出来上がりってわけ!当然、ラインも「メリーさん」の発信先がスマホであれば、スマホ同士の友達申請は自動で承認する設定もできるし、「承認」を遠隔操作でできるようにしてしまうのも可能ってことなんです。
せやから「メリーさん」は「怪異」なんかやなくて、誰かが操ってる「デジタル」なんで「呪い」や「霊現象」なんかやないんですよ!」
と夏子が答えた。
「夏子ががそれに気づいたんか?凄いやないか!ちょっと見直したで!」
と直が珍しく褒めたことに対して「これに気づいたんは、私やなくて悠斗やねん。」と正直に答えた。
「ところで、その悠斗君はどこに行ったんや?えらい慌てて出て行ったけど。」
の直の問いには何も答えられなかった。(もしかして、一連の事件に悠斗が絡んでる…?まさか、今回の事件は悠斗が?)と不意に最悪の想像が頭に浮かんだが、夏子は首を振って自らの想像を全否定した。
夏子の説明が一息つくと、葵のスマホが鳴った。陽菜が画面を確認するとラインの着信で「美羽」と出ていた。「メリーさん」からのメッセージと思って身構えた全員が弛緩した。しかし陽菜が葵にスマホを手渡し、葵がラインを開いた瞬間、全員が凍りついた。
「私のところにも「メリーさん」からラインが来ました。転送しますので、見てください。今すぐ会いたいのですがどこにいますか?」という美羽からのメッセージの後に、転送されたと思われる「メリーさん」からのメッセージが添えられていた。
「次はお前の番だ。私は死んでもお前たち五人を許さない。私が死ぬまでに必ず地獄に引きずり込んでやるからな。」
そのメッセージを見て陽菜と夏子は驚いた。皆には言っていないが二人はフォアローゼスの唯一被害を受けていないトップの「美羽」こそが状況証拠から見て「黒幕」だと思っていたのだったが、その推測が根底から崩れ去った。
葵はその場でへたり込んでしまった。直が葵に「この美羽いう子はフォアローゼスの仲間やな。この子にも「メリーさん」が来たってことなんか?」と確認すると震えて頷くことしかでなかった。続いて、再び葵のスマホが鳴った、今度の着信は「メリーさん」となっている。「葵ちゃん、開くで!ええな!」と陽菜がラインを開くと「第三者に絡むなと言ったはずが、お前は約束を破った。美羽が死ぬのはお前のせいだ。」とメッセージが届いていた。それ以前にも「以下は未読メッセージです。」のコメントの下に「メリーさん」からのラインが二十通以上あり、その内容は巧妙に葵の心をむしばみ再度の「自殺」に導く「悪意」に満ちたものであり、中には「「愛美」と「優依」があなた(※葵の事)の身を滅ぼす「証言」をする前にどうすればよいのか考える事ね。」と意味深なメッセージもあった。
葵は美羽に「今は、ニコニコ商店街の向日葵寿司にいます。」とメッセージを返すのが精一杯だった。
直が「拉致」、「監禁」について問いかけるがそこは頑として答えないのは一貫していた。いずれにしても、「怪異」は「何者かによってつくられたまやかし」であり、そこに「mabudachi」が絡んでいるであろうとの想像で話は止まった。
約1時間ほど葵を交えて話し合っている間に美羽が到着した。そこから美羽も交えて現状の「メリーさん」の分析状況について話された。陽菜が美羽のスマホをチェックすると他の三人のフォアローゼスと同じように「mabudachi」や「Dr.FONE」の4つのアプリが入り、アドレス帳のトップには「フリガナ」が「.」の「メリーさん」の名前が登録されていた。
学校の昼休みに突如「メリーさん」からのラインが入り、「愛美」から「葵先輩が美羽先輩を裏切ろうとしてるよ」との電話があったという。着信履歴を確認すると、着信履歴は「愛美」となっていたが、愛美本人のスマホと違う番号であったことは他の三人と同じだった。
稀世たちを含めた話し合いは午後3時を過ぎても続けたられていた。その間に、葵と美羽のスマホには「メリーさん」からの「怪しいメッセージ」が届き続けていた。「メリーさん」のメッセージが届くたびに、美羽は葵の手を取り、「変なことしないよね!私たち友達だよね。」と涙を流して訴えていた。
向日葵寿司に重苦しい空気が立ち込めたまま、ふと夏子は自分のスマホを開いた。着信履歴は何もなかった。悠斗は昼に出たきり戻ってくることは無く、連絡もないままだった。陽菜が連絡を入れていた真央も向日葵寿司に姿を見せることは無いまま午後4時半に解散となった。
陽菜は夏子と連絡を取り合い、今日のランチも向日葵寿司で集合という事にした。おそらく来るであろう直と興味を持って首を突っ込んでくる稀世の分も資料をプリントアウトした。朝、8時半に葵に電話を入れ、昨晩の暴言を詫びた。腰低く、詫びる陽菜に恐縮したのか、葵の態度は一気に軟化した。葵は少なくとも愛美の入院する病院には電話を入れていないことが分かった。
陽菜は少し心がとがめたが、愛美の母親を名を騙り、愛美が飛び降りた9月9日午前8時以降に愛美の入院状況に関する問い合わせの電話連絡について確認した。すると、9日出勤の医療事務課の職員から意外な返事があった。
「お問い合わせのお電話はご主人じゃないんですか?男の人でしたよ。確か、お昼休みの後でしたから、午後1時以降だったと思うんですけど、「愛美さんの父です」と言って、容体を確認されましたけど。」
と言われ、疑問点が増えた。(えっ、今まで「男」は出てけえへんかったよな…。うーん、ここでまた新キャラの登場か?)陽菜は頭を悩ませたが、ランチタイムまでに何の仮説も出てこなかった。
午前10時50分、おそらく開店前にいろいろと聞きたいことがあるであろう稀世のために少し早めに陽菜は向日葵寿司に入った。予想通り、稀世は直を先に呼んで待っていた。「なっちゃんが来てから話は始めるわな。」と言ったが、稀世に急かされ、先にプリントを稀世と直に手渡した。
「ふーん、よくまとまってるやん。今の問題点は、「本人でない本人の声からの電話」と病院にかかってきたっていう「男」の電話やな。
「裏アカ」も誰かひとり確定すると、次々と「ピース」がはまり込む気がするけど、最初の一つがわからへんねんな…。」
と稀世は持ち前の直感で事態を理解して、夏子と陽菜に尋ねた。
「ところでなっちゃんと陽菜ちゃんは「mabudachi」と「kare」って使って見たことあんの?結局は、自殺未遂者の共通点は、その二つのヒットアプリとクローンとスパイアプリの四つが揃って初めて「メリーさん」が出るってことやないの?まずは葵ちゃんにその四つが入ってるか確認してみたら?」
陽菜は葵に電話をして、葵のスマホに「mabudachi」と「kare」がインストールしていることを確認した。「Dr.FONE」については、愛美から「個人情報を護るアプリだから入れといたほうがいいらしいですよ。」と勧められてインストールしたとのことだった。一度電話を切り、ストレージのアプリ情報を見てもらったところ「mSpy」は知らないうちにインストールされていたとのことだった。それを知った稀世は
「おそらく、「mSpy」で三人の動向を探って、「Dr.FONE」でメリーさんを装ってラインやメールを入れてたってことやな。後は、かけられるはずのない人の声でかけてきたっていう電話やな…。」
と呟いたとき、夏子が声をあげた。
「稀世姉さん、これや!「kare」の音声合成装置や!今、いろいろ試してみたんやけど、「アイドルの伊集院拓海君みたいな声」って「kare」を設定したら、そのまんまの声で話しよる!「私の物まねしてみて!」って言ったら、私の声でしゃべりよんねん。これで愛美ちゃんや葵ちゃんの声を作ったんとちゃうか?」
夏子の発見で一気に事が進むように思えたが、確信には至らなかった。一方的に話すだけなら音声合成技術で可能なのだろうが会話となるとそうはいかない。そこで再度、葵に愛美からの電話がどうだったかを確認したが記憶があいまいではっきりとはわからなかった。夏子が悠斗に技術的な部分を確認するがどうも歯切れが悪い。
「悠斗君、どないしたん?VRゲームでもAIが会話してるんやろ?その技術を使えば自由に話せるんとちゃうの?」
と夏子が突っ込むと、「僕はストーリーと画像担当なので、そこらへんはどうも…・と言ったきり黙り込んでしまった。
ずっと陽菜がまとめてプリントした優依の裏アカウントの愛美との交信記録を読んでいた直が
「わしはSNSいうのはようわからんのやけど優依ちゃんからのメッセージで「金柑」と「地羅」って言葉が何回か出てくるんやけど、どうも文脈にそぐわへんねんけどなんや?この文字が出てくるときに、例の「28」いうのも出てくるわな。あと「DM」って人のイニシャルか?何か「聞く」とか「尋ねる」って言葉に繋がる感じがするんやけど…。」
と呟いた。
陽菜と夏子は稀世と一緒にそのページを読み返した。
「「金柑」や「地羅」の「錠剤」ってどうなんのか「DM」に聞いてみるわ?ってあるわな…。「金柑」の「錠剤」って、タブレット菓子みたいなもんか?それにしたら「地羅」って言葉は聞いたことが無いよな。イニシャルは「DM」に該当する人物も思いつけへんけど、優依ちゃんはやたら「DM」を頼ってるよな。うーん、私らの時にはやった「ちょべりば」とか「ちょばぶー」みたいな略号か、今のJK用語かなんかか?さすがに卒業して11年の平成JKやった私にはピンとくるもんが無いなぁ…。」
と稀世が言うと、陽菜が真顔で尋ねた。
「「ちょべりば」と「ちょばぶー」ってなんですか?」
稀世は、(5歳違いでも伝われへんのか…。そりゃ年を取るわけやわ…。)と思いながら、
「「ちょべりば」は「超ベリーバッド」。「ちょばぶー」は「超バッドブルー」の略やな。私らの中学のころからしばらくは使ってたんやけど、今は聞くことあれへんもんな。陽菜ちゃんもなっちゃんもニコニコプロレスに入ったころよく「ぴえん」とか言うてたやろ?そんな感じのJK用語とちゃうんかな?」
と聞くと、陽菜が何か気づいたようにスマホをいじりだした。
しばらくググると「大阪JKなんちゃって業界人」というページがあった。バブル期の東京のテレビ局の業界くんが、「銀座」を「ザギン」と言ったり「寿司」を「しーすー」と逆さまにした言葉をもじって隠語にするものという事だった。
その中で陽菜は「引きマンの錠剤は?」と言う言葉を思い出したのだ。リサイクルショップニコニコでコスメ商品の万引きをした13歳の女子中学生を捕まえた時に、
「おばさーん、私ら中一やから「引きマン」の「錠剤」は「動詞」ですむから「殺系」呼んでも無駄やで!」
と「おばさん」扱いに加えて、訳の分からないことを言われカチンと来て、軽くしばいて、説明させたことがあったというのだ。
「「引きマン」は「万引き」。「錠剤」は「罪状」。「動詞」は「指導」。「殺系」は「警察」と逆に言うんやったら…」
とノートに「金柑」、「錠剤」、「DM」と書き込むと最初に「錠剤」の横に「罪状」と書き、スマホのメモアプリで「かんきん」と打ち、ノートの「金柑」の文字の横に変換予測の熟語を書き連ねた。「換金」、「官金」、「監禁」と書き込み「監禁」に丸を付けた。
「地羅」の横に「裸地」、「埒」と書き込んだ後「これや!」と叫んで「拉致」と書き込んだ。
「なっちゃん、稀世姉さん、直さん、見てや!「監禁と拉致の罪状はどうなのか「MD」に聞いてみるわ?」やわ!
「あー、そういえば門工の一年生がうちに来た時も「しーすーのランチ」って言うてたな。それは陽菜ちゃんの推理が当たってるとするならば、彼女らが相談するっていうたら…。」
「あっ、陽菜ちゃん、稀世姉さん!「MD」は「mabudachi」やな!人名は「短縮」系なんや!愛美ちゃんと優依ちゃんは「mabudachi」と「kare」のユーザーやったから、きっと「mabudachi」に相談してたんや!」
陽菜の発見に夏子が即反応した。
夏子は即、「mabudachi」に「女子高校生です。友達を拉致監禁した場合どんな罪状になりますか?」と入力した。すると2秒後に「mabudachi」からの回答が来た。
「拉致・監禁の被害者が成人の場合であれば、営利目的や人質目的等があった場合にのみ処罰は限定されますが、未成年の場合は目的のいかんにより処罰されます。処罰内容は「3か月以上7年以下の懲役です。被害者が慰謝料等の民事裁判を起こした場合には、まず執行猶予が付くことはありません。仮に「民事で和解」したとしても不起訴はあり得ません。今の状態で拉致監禁状態から開放して自首したとしても必然的に「NATSUKO」さんは、刑事裁判で高い確率で有罪判決を受けることになります。仮に被害者が死亡した場合には間違いなく長期実刑を受けることになるでしょう。何があったのか知りませんが、安易に「拉致監禁」などしないようにしましょう。しかし、どうしても「それ」を考えるのであれば別途相談承ります。」
「mabudachi」からの返答を読み上げると直が憤慨した。
「なんやこれ!最初は丁寧に対応してるように見せかけて最後はなんやねん。「どうしても「それ」を考えるのであれば別途相談承ります。」やとー!けったくそ悪い!夏子、そんなもん消してしまえ!」
その言葉を陽菜が遮った。直を抑えつつ陽菜は夏子に
「なっちゃん、「mabudachi」に続けて、拉致の実行方法について再度問いかけて!」
と言うと、夏子は「どうしても許せないやつがいます。拉致監禁の最善方法を教えてください。」と入力した。 すると2秒後にとんでもない返事が来た。
その内容は、「殺意の否認」の逃げ道に始まり、「完全犯罪」を行う為の手法に、グループで実行する際の「秘密共有」の方法から仲間の「口封じ」の仕方まで事細かに書かれていた。
その内容に稀世たちは驚愕した。その中で悠斗は、夏子に「ちょっと出かけます。夕方には帰りますので。」と言い残すと走って向日葵寿司を飛び出していった。
夏子も店を飛び出て悠斗を追ったが、駅の方に走り去る悠斗には追い付けずすぐに見失ってしまった。(あの慌てようっていったいなんやろ?なんか、さっきから様子がおかしかったから、気になるなぁ…。)と思い、「時間できたら電話ください。」とラインにメッセージを残した。
夏子が向日葵寿司に戻ると、陽菜が葵と真央に電話をして事の次第を伝えてすぐに向日葵寿司に来るように要請した。葵は30分後に来て、自らスマホを陽菜に手渡し、「mabudachi」や「Dr.FONE」がダウンロードされていることを確認した。
さらに、夏子がアドレス帳を確認した。そこで、今朝、悠斗と謎解きをした「メリーさん」からの着信ギミックも仕掛けられていることが分かった。夏子は「メリーさん」で着信する電話番号を突き止めた。その番号は、葵のアドレス帳のトップに登録されていたが、相手番号の呼び出し検索で「めりーさん」や「メリーさん」と入れても出てこないことも分かった。しかもその電話番号は愛美の名前での着信番号と一致していることも判明した。そして、それらの番号は愛美と優依のスマホにもトップに登録されていた。
「なっちゃん、これってどういうことなん?」
と稀世が首をかしげて質問をすると
「アドレス帳の検索順位ってフリガナ欄で決まるんやけど、「記号・数字」、そして「日本語文字」最後に「英語」表記の順に並ぶんよ。だから、氏名に「メリーさん」と入れて「読み仮名」に「.」だけ入れておくと全体名簿の最上位に表記名「メリーさん」、読み方「.」が入るんで、いくら「メリーさん」や「めりーさん」って検索をかけても表記されへんねんな。「mSpy」でアドレス帳に書き加えたら、「メリーさん」からの着信回線の出来上がりってわけ!当然、ラインも「メリーさん」の発信先がスマホであれば、スマホ同士の友達申請は自動で承認する設定もできるし、「承認」を遠隔操作でできるようにしてしまうのも可能ってことなんです。
せやから「メリーさん」は「怪異」なんかやなくて、誰かが操ってる「デジタル」なんで「呪い」や「霊現象」なんかやないんですよ!」
と夏子が答えた。
「夏子ががそれに気づいたんか?凄いやないか!ちょっと見直したで!」
と直が珍しく褒めたことに対して「これに気づいたんは、私やなくて悠斗やねん。」と正直に答えた。
「ところで、その悠斗君はどこに行ったんや?えらい慌てて出て行ったけど。」
の直の問いには何も答えられなかった。(もしかして、一連の事件に悠斗が絡んでる…?まさか、今回の事件は悠斗が?)と不意に最悪の想像が頭に浮かんだが、夏子は首を振って自らの想像を全否定した。
夏子の説明が一息つくと、葵のスマホが鳴った。陽菜が画面を確認するとラインの着信で「美羽」と出ていた。「メリーさん」からのメッセージと思って身構えた全員が弛緩した。しかし陽菜が葵にスマホを手渡し、葵がラインを開いた瞬間、全員が凍りついた。
「私のところにも「メリーさん」からラインが来ました。転送しますので、見てください。今すぐ会いたいのですがどこにいますか?」という美羽からのメッセージの後に、転送されたと思われる「メリーさん」からのメッセージが添えられていた。
「次はお前の番だ。私は死んでもお前たち五人を許さない。私が死ぬまでに必ず地獄に引きずり込んでやるからな。」
そのメッセージを見て陽菜と夏子は驚いた。皆には言っていないが二人はフォアローゼスの唯一被害を受けていないトップの「美羽」こそが状況証拠から見て「黒幕」だと思っていたのだったが、その推測が根底から崩れ去った。
葵はその場でへたり込んでしまった。直が葵に「この美羽いう子はフォアローゼスの仲間やな。この子にも「メリーさん」が来たってことなんか?」と確認すると震えて頷くことしかでなかった。続いて、再び葵のスマホが鳴った、今度の着信は「メリーさん」となっている。「葵ちゃん、開くで!ええな!」と陽菜がラインを開くと「第三者に絡むなと言ったはずが、お前は約束を破った。美羽が死ぬのはお前のせいだ。」とメッセージが届いていた。それ以前にも「以下は未読メッセージです。」のコメントの下に「メリーさん」からのラインが二十通以上あり、その内容は巧妙に葵の心をむしばみ再度の「自殺」に導く「悪意」に満ちたものであり、中には「「愛美」と「優依」があなた(※葵の事)の身を滅ぼす「証言」をする前にどうすればよいのか考える事ね。」と意味深なメッセージもあった。
葵は美羽に「今は、ニコニコ商店街の向日葵寿司にいます。」とメッセージを返すのが精一杯だった。
直が「拉致」、「監禁」について問いかけるがそこは頑として答えないのは一貫していた。いずれにしても、「怪異」は「何者かによってつくられたまやかし」であり、そこに「mabudachi」が絡んでいるであろうとの想像で話は止まった。
約1時間ほど葵を交えて話し合っている間に美羽が到着した。そこから美羽も交えて現状の「メリーさん」の分析状況について話された。陽菜が美羽のスマホをチェックすると他の三人のフォアローゼスと同じように「mabudachi」や「Dr.FONE」の4つのアプリが入り、アドレス帳のトップには「フリガナ」が「.」の「メリーさん」の名前が登録されていた。
学校の昼休みに突如「メリーさん」からのラインが入り、「愛美」から「葵先輩が美羽先輩を裏切ろうとしてるよ」との電話があったという。着信履歴を確認すると、着信履歴は「愛美」となっていたが、愛美本人のスマホと違う番号であったことは他の三人と同じだった。
稀世たちを含めた話し合いは午後3時を過ぎても続けたられていた。その間に、葵と美羽のスマホには「メリーさん」からの「怪しいメッセージ」が届き続けていた。「メリーさん」のメッセージが届くたびに、美羽は葵の手を取り、「変なことしないよね!私たち友達だよね。」と涙を流して訴えていた。
向日葵寿司に重苦しい空気が立ち込めたまま、ふと夏子は自分のスマホを開いた。着信履歴は何もなかった。悠斗は昼に出たきり戻ってくることは無く、連絡もないままだった。陽菜が連絡を入れていた真央も向日葵寿司に姿を見せることは無いまま午後4時半に解散となった。
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赤井です。
突然ですが、いきなり書き下ろしの新連載です。
7月13日に「赤井先生、「JK心亜ちゃん」の興行が好評だったんで、既に発注してる「OL心亜ちゃん」の前にもう一本「霊もの」書いてほしいねんけど!別の脚本家の「本」がボツ喰らっちゃったみたいで監督さんから急に8月興行ネタを頼まれてしもたんよ。今回も製本配布するんで公開スタートは19日、稿了は8月9日で200ページね!連載はお盆前後で完結でよろひこー!」ってな感じで、突如、制作スタート!
毎度のことながらゴーストライターに「拒否権」はナッシング(笑)。
今作は、納品先の新エースの「OL心亜ちゃん」役の女の子に合わせての設定で23歳の新人脚本家の「音玄万沙《ねくろ・まんさ》」ちゃん!
変な名前でしょ?「ネクロマンサー」っていうのは「死者や霊をを用いた術(ネクロマンシー)を使う人」で「屍術師」なんて言われ方もしますね。
赤井の大好きな名作アニメ「ゾンビランドサガ」1stシーズンの主題歌「徒花ネクロマンシー」の「ネクロマンシー」ですね。
まあ、万沙ちゃんはゾンビを蘇らせて「佐賀を救う」わけでもないし、降霊術を使って「世直し」するようなキャラじゃない(笑)。
そんな仰々しい物じゃなく、普通の23歳の女の子です。
自らのながらスマホの自転車事故で死ぬ予定だったんだけど、ひょんなことで巻き込まれた無関係の56歳のおっちゃんが代わりに死んじゃいます。その場で万沙ちゃんは「死神」から「現世」での「懲役務」として、死んだおっちゃんと1年半の「肉体一時使用貸借契約」することになっちゃうんですねー!
元「よろずコンサルタント」の「副島大《そえじま・ひろし》」の霊を憑依させての生活が始まります。
まあ、クライアントさんの納品先が「社会派」の監督さんなんで、「ながらスマホ」、「ホストにはまる女子高生」、「ブラック企業の新卒」、「連帯保証人債務」、「賃貸住宅物件の原状回復」、「いろんな金融業者」等々、社会問題について書けるとこまで書いてみたいと思いますので「ゆるーく」お付き合いください。
今回も書き上げ前の連載になりますので「目次」無しでスタートです(笑)。
では、7月19日からよろひこー!(⋈◍>◡<◍)。✧💓
芙蓉の宴
蒲公英
現代文学
たくさんの事情を抱えて、人は生きていく。芙蓉の花が咲くのは一度ではなく、猛暑の夏も冷夏も、花の様子は違ってもやはり花開くのだ。
正しいとは言えない状況で出逢った男と女の、足掻きながら寄り添おうとするお話。
表紙絵はどらりぬ様からいただきました。
【完結】『突撃!東大阪産業大学ヒーロー部!』
M‐赤井翼
ライト文芸
今回の新作は「ヒーローもの」!
いつもの「赤井作品」なので、「非科学的」な「超能力」や「武器」を持ったヒーローは出てきません。
先に謝っておきます。
「特撮ヒーローもの」や「アメリカンヒーロー」を求められていた皆さん!
「ごめんなさい」!
「霊能力「を持たない「除霊師」に続いて、「普通の大学生」が主人公です。
でも、「心」は「ヒーロー」そのものです。
「東大阪産業大学ヒーロー部」は門真のローカルヒーローとしてトップを走る2大グループ「ニコニコ商店街の門真の女神」、「やろうぜ会」の陰に隠れた「地味地元ヒーロー」でリーダーの「赤井比呂」は
「いつか大事件を解決して「地元一番のヒーロー」になりたいと夢を持っている。
「ミニスカートでのアクションで「招き猫のブルマ」丸見えでも気にしない「デカレッド」と「白鳥雛子」に憧れる主人公「赤井比呂」」を筆頭に、女兄妹唯一の男でいやいや「タキシード仮面役」に甘んじてきた「兜光司」好きで「メカマニア」の「青田一番」、元いじめられっ子の引きこもりで「東映版スパイダーマン」が好きな「情報系」技術者の「木居呂太」、「電人ザボーガー」と「大門豊」を理想とするバイクマニアの「緑崎大樹」、科学者の父を持ち、素材加工の匠でリアル「キューティーハニー」のも「桃池美津恵」、理想のヒーローは「セーラームーン」という青田一番の妹の「青田月子」の6人が9月の海合宿で音連れた「舞鶴」の「通称 ロシア病院」を舞台に「マフィア」相手に大暴れ!
もちろん「通称 ロシア病院」舞台なんで「アレ」も登場しますよー!
ミリオタの皆さんもお楽しみに!
心は「ヒーロー」!
身体は「常人」の6人組が頑張りますので、応援してやってくださーい!
では、ゆるーく「ローカルヒーロー」の頑張りをお楽しみください!
よーろーひーこー!
(⋈◍>◡<◍)。✧♡
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
最強女戦士と化した夏子が100万ドル獲得に挑んだ二十日間の物語~余命半年を宣告された嫁が…R3《リターンズ3》
M‐赤井翼
現代文学
1年ぶりに復活の「余命半年を宣告された嫁が…」シリーズの第3弾!ニコニコ商店街・ニコニコプロレスのメンバーが再集結。稀世・三郎夫婦に3歳になったひまわりに直とまりあ。もちろん夏子&陽菜のコンビも健在。復帰第3弾の今作の主人公も「夏子」?夏子は稀世にかわって「ヒロイン」に定着できるのか?
今回の敵は「ウクライナのロシア軍」、「ソマリアの海賊」、「メキシカン・マフィア」と難敵ぞろい。アメリカの人気テレビ番組「目指せ!ミリオネラ!」にチャレンジすることになってしまった夏子と陽菜は稀世・直・舩阪・羽藤たちの協力を得て次々と「難題」にチャレンジ!
「ウクライナ」では「傭兵」としてロシア軍の情報・指令車の鹵獲に挑戦。「ソマリア」では「海賊退治」に加えて「クロマグロ」を求めてはえ縄漁へ。「メキシコ・トルカ」ではマフィア相手に誘拐された人たちの解放する「ネゴシエーター」をすることに。
もちろん最後はドンパチ!
夏子の今度の「恋」の相手は、なぜか夏子に一目ぼれしたサウジアラビア生まれのイケメンアメリカ人アシスタントディレクター!
シリーズ完結作として、「ハッピーエンド」?
皆さんからの感想やイラストをメール募集しながら連載スタートでーす!
8月28日の最終回までお付き合いいただけますと嬉しいです。
いただいた感想やイラストのメールは本編「おまけ」と「RBFC4-H(レッドバロンファンクラブ4-H)」で不定期で公開していきますよー!
ではよろしくお願いしまーす!(⋈◍>◡<◍)。✧♡
突然覚醒した巫女の夏子が古代ユダヤのアーク探しに挑んだ五日間の物語~余命半年を宣告された嫁が…R《リターンズ》~
M‐赤井翼
現代文学
1年ぶりに復活の「余命半年を宣告された嫁が…」シリーズの第1弾!ニコニコ商店街・ニコニコポロレスのメンバーが再集結。稀世・三郎夫婦に3歳になったひまわりに直とまりあ。もちろん夏子&陽菜のコンビも健在。復帰第1弾の今作の主人公は「夏子」?淡路島イザナギ神社で知り合ったイケメン大使館員の「MK」も加わり10人の旅が始まる。ホテルの庭で偶然拾った二つの「古代ユダヤ支族の紋章の入った指輪」をきっかけに、古来ユダヤの巫女と化した夏子は「部屋荒らし」、「ひったくり」そして「追跡」と謎の外人に追われる!古代ユダヤの支族が日本に持ち込んだとされる「ソロモンの秘宝」と「アーク(聖櫃)」に入れられた「三種の神器」の隠し場所を夏子のお告げと客観的歴史事実を基にアークの追跡が始まる。もちろん最後は「ドンパチ」の格闘戦!7月1日までの集中連載で毎日更新の一騎掲載!アークと夏子とMKの恋の行方をお時間のある人はゆるーく一緒に見守ってあげてください!では、感想やイラストをメール募集しながら連載スタートでーす!(⋈◍>◡<◍)。✧♡
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
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