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第一部 西の悪魔 第一章 西の国・迷いの森編
2.小さな村 後編
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そこには、インクで描かれた大きな絵があった。
「この世界はね、5層でできているんだよ」
そう。ネネが最も驚いたことは地面が何個も描かれていることだ。一番下部に描かれている地面から順に地表の4つが縦に連なるように空中に浮いている。
「このいーちばん下の層が第一層。それで、順番にいって、一番上のとこが第五層って言われてるんだ。」
なぜ、地面が浮いているのかも、なぜ5層もあるのかネネにはさっぱりだが、サフランは自慢げに話している。もしかしたら、この情報は知ってて当然で、知らないと恥なのかもしれない。
「第一層にはなにもない、枯れた土の大地だけが続いているとされているんだ。植物も動物も何もいないといわれているんだ。」
「言われている…?」
「うん、地下の層はまだ、ヒトが完全にたどり着いたわけじゃないんだ。だから、本当に正しいか誰にもわからないんだ。」
ヒトがたどり着いていない。それほど難しい道のりである可能性が高そうである。
「次に第ニ層。ここには炎の国と氷の国、その2つの間にはさまれた死者の国の3つがあるんだ。」
第二層にはなにやら、怖そうな国が並んでいる。特に死者の国。そのようなものがあって良いのだろうか。
「ここにはヒトはたどり着いているの?」
「一様はね。二層は行くことは出来るけど戻ることができないといわれているんだ。何人かが戻って来たことがあると言い伝えがあるけどその方法も、そもそも、戻ってきた人がいるかどうかも怪しいんだ。」
一層とニ層は知識があまり少ないようだ。言い伝えだけで存在を定義しているとは、もはや神話に近しい。
「それでね、僕達が今住んでいるのがこの第三層なんだ。ここにはね、ヒト以外の人種もいーっぱいいて、国もたくさんあるんだよ。」
ネネは勝手に最上階が我々が住むところだと考えていたが違うらしい。ここである疑問が生まれる。
「でも、私達が第三層にいるなら上に後ニ層もあるってことになるよね?でも、私、空を見ても浮いているものなんてみたことないけど…」
ネネがいままで見ていたのは純然たる空であった。青と白で構成された天に茶色などの浮遊物が入る余地などなかった。
「あーそれはね、第四層と第五層は他の層と比べてとーっても小さいからだよ」
本をよく見ると確かに四層、五層は小さく書かれている。この絵がどれほどの尺度で描かれているのかはわからないが、岩盤と言えるような第一層は置いといて、第二、第三は似たような大きさであるのに関わらず、四、五はその十分の一にもみたない。これで、他と同じく層と呼んで良いのか不安になるほどだ。
「第四層は天国と呼ばれていて、天使がいるんだ。実際に三層ともふかーく関わっているんだよ。そして、最上階の五層には神がいると言われているよ。」
第四層はヒトがいくことができるが、第五層もまた下層と同じでヒトはたどり着いていないようだ。
「んじゃあ、これから層について一つ一つ詳しく解説して行くね」
正直もうこれまでのたくさんの情報でネネの頭がパンクしそうになっていた矢先に、ちょうど良いタイミングで、母親からの寝なさいコールが聞こえてきた。
「えー今日はネネお姉ちゃんが来ているからいいでしょ?」
「だめよ、ネネさんは旅で疲れているのよ。そもそも、サフラン早く寝ないと身長伸びないわよ。」
「は~い」
サフランが残念そうにため息混じりの返答を交わした。
「ネネお姉ちゃん、お休み~。」
笑顔でサフランを送った後、ネネも用意された寝床についた。今回知った情報はとても大切なことであることに違いはないが、覚えることが多いため、少しずつ記憶していくしかない。そのようなことを思いながら、ネネはそっと目を閉じた。初めての寝床であったが、押し寄せる体と心の疲労に流されて、ネネの意識は深くへと落ちていった。
「この世界はね、5層でできているんだよ」
そう。ネネが最も驚いたことは地面が何個も描かれていることだ。一番下部に描かれている地面から順に地表の4つが縦に連なるように空中に浮いている。
「このいーちばん下の層が第一層。それで、順番にいって、一番上のとこが第五層って言われてるんだ。」
なぜ、地面が浮いているのかも、なぜ5層もあるのかネネにはさっぱりだが、サフランは自慢げに話している。もしかしたら、この情報は知ってて当然で、知らないと恥なのかもしれない。
「第一層にはなにもない、枯れた土の大地だけが続いているとされているんだ。植物も動物も何もいないといわれているんだ。」
「言われている…?」
「うん、地下の層はまだ、ヒトが完全にたどり着いたわけじゃないんだ。だから、本当に正しいか誰にもわからないんだ。」
ヒトがたどり着いていない。それほど難しい道のりである可能性が高そうである。
「次に第ニ層。ここには炎の国と氷の国、その2つの間にはさまれた死者の国の3つがあるんだ。」
第二層にはなにやら、怖そうな国が並んでいる。特に死者の国。そのようなものがあって良いのだろうか。
「ここにはヒトはたどり着いているの?」
「一様はね。二層は行くことは出来るけど戻ることができないといわれているんだ。何人かが戻って来たことがあると言い伝えがあるけどその方法も、そもそも、戻ってきた人がいるかどうかも怪しいんだ。」
一層とニ層は知識があまり少ないようだ。言い伝えだけで存在を定義しているとは、もはや神話に近しい。
「それでね、僕達が今住んでいるのがこの第三層なんだ。ここにはね、ヒト以外の人種もいーっぱいいて、国もたくさんあるんだよ。」
ネネは勝手に最上階が我々が住むところだと考えていたが違うらしい。ここである疑問が生まれる。
「でも、私達が第三層にいるなら上に後ニ層もあるってことになるよね?でも、私、空を見ても浮いているものなんてみたことないけど…」
ネネがいままで見ていたのは純然たる空であった。青と白で構成された天に茶色などの浮遊物が入る余地などなかった。
「あーそれはね、第四層と第五層は他の層と比べてとーっても小さいからだよ」
本をよく見ると確かに四層、五層は小さく書かれている。この絵がどれほどの尺度で描かれているのかはわからないが、岩盤と言えるような第一層は置いといて、第二、第三は似たような大きさであるのに関わらず、四、五はその十分の一にもみたない。これで、他と同じく層と呼んで良いのか不安になるほどだ。
「第四層は天国と呼ばれていて、天使がいるんだ。実際に三層ともふかーく関わっているんだよ。そして、最上階の五層には神がいると言われているよ。」
第四層はヒトがいくことができるが、第五層もまた下層と同じでヒトはたどり着いていないようだ。
「んじゃあ、これから層について一つ一つ詳しく解説して行くね」
正直もうこれまでのたくさんの情報でネネの頭がパンクしそうになっていた矢先に、ちょうど良いタイミングで、母親からの寝なさいコールが聞こえてきた。
「えー今日はネネお姉ちゃんが来ているからいいでしょ?」
「だめよ、ネネさんは旅で疲れているのよ。そもそも、サフラン早く寝ないと身長伸びないわよ。」
「は~い」
サフランが残念そうにため息混じりの返答を交わした。
「ネネお姉ちゃん、お休み~。」
笑顔でサフランを送った後、ネネも用意された寝床についた。今回知った情報はとても大切なことであることに違いはないが、覚えることが多いため、少しずつ記憶していくしかない。そのようなことを思いながら、ネネはそっと目を閉じた。初めての寝床であったが、押し寄せる体と心の疲労に流されて、ネネの意識は深くへと落ちていった。
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